2012.1.14

the GazettE@横浜アリーナ

the GazettE LIVE TOUR 2011-12 VENOMOUS CELL-FINALE- OMEGA

 

 

昨年10月10日、東京国際フォーラムホールAを皮切りにスタートした今ツアー。ファイナルは奇しくもthe GazettEの2012年初ライブとなった。RUKI曰く「これもthe GazettEらしいかなと」。終わりから始まる1年、なるほど型に捕らわれない彼ららしい。

 

客電が落ちた場内に鳴り響くSE。ステージに漆黒の衣装を纏ったメンバーが姿を現すと、地鳴りのような歓声が沸き起こる。幕開けは「VENOMOUS SPIDER’S WEB」のデジタルなサウンドとハンドクラップ。客席を煽るRUKIのグローブのラメが、闇を舞う夜光虫のように妖しく光り、絡め取られるような錯覚に陥る。

 

実を申せば1曲目すら終わっていないこの段階で、『TOXIC』が27本に及ぶツアーの中でとてつもない成長を遂げていることは明白だった。“こなれた”なんてスレたものではない。会場を満たす空気には微塵のブレも戸惑いもなく、メンバーもオーディエンスも、まるで息をするように『TOXIC』を自分たちのものにしていたのである。

 

ステージにスモークが満ち、深紅のライトが彼らを映し出す。
突き抜けるような明を、残酷なまでの暗を、サウンドにスクリーンとライトも加わり、聴覚で、視覚で、全てを極限まで研ぎ澄ました彼らの世界観を突き付ける。
「RUTHLESS DEED」で四つの原色が混ざり合う様を背に混沌を描き出したかと思えば、「痴情」ではむき出しの脚に絡みつく美しい蛇が溶けるようなエロスを、そして、きらめく光の帯が舞う中で奏でられた「UNTITLED」では胸を締め付けるような切ない愛を…。艶めかしさが滲むRUKIの声に、麗が、葵が左右から鮮烈なフレーズを投げかければ、ヘヴィなコーラスでREITAのベースが弾き出す重低音を彩り、戒の強靭なドラムが鋭く激しく場を支配する。
ライブは無敵の布陣が織りなす鉄壁のセットリストで展開されていった。

 

 

『TOXIC』の収録曲ばかりが特別ではない。「横浜! もっと一つになろうぜ!」というアジテートで幕を開けたライブの定番曲たちもその威力を層倍にしていた。「AGONY」では会場内にとてつもない激震が、続く「HEADACHE MAN」ではモッシュの波が起こる。そして一筋のライトが葵の姿を照らし、その指が「Filth in the Beauty」のあの旋律を奏でると、歓声と共に会場内にヘッドバンギングの嵐が巻き起こった。

ハンドクラップで煽りたてたラストの「TOMORROW NEVER DIES」まで、一切の躊躇もなく本編を駆け抜けたのだった。

 

「OMEGA」が流れる無人のステージ。スクリーンには回転するプロビデンスの目。この「神が全てを見通す目」は涙を流し、共に映し出される人間の“業”ともいうべき目を背けたくなるような残酷な現実を見ている。視覚で、聴覚で、コンセプチュアルなアルバム世界をそのまま具現化した“魅せる”ということに突出したライブだった。

 

急く ようにアンコールを叫ぶ客席に応え姿を現したリズム隊が奏でるのはもちろん「Ride with the Rockers」。REITA、戒がロックなスピリットに溢れるリズムセッションで会場を沸かせ、登場したギター隊二人が更なる彩りを加える。黒い衣装でシックに装った本編から一転、麗は全身白のスポーティな出で立ち、そして葵は黒いトップスにゆらゆらとエレガントに揺らめく赤のロングスカート姿。 口元は黒い布で覆い、客席を煽る。

 

レオパード柄のロングジャケットを羽織ったRUKIが姿を現すと客席はさらにヒートアップ。激しくも抒情的に歌い上げられた「REMEMBER THE URGE」。そしてそこから間髪入れずに始まる「赤いワンピース」「COCKROACH」「DISCHAREGE」そして「LINDA~candydive Pinky heaven~」という極上のナンバーで客席の高揚感も臨界点に達した。

 

「今日でツアーが終わってしまいます。楽しかっただけに少し寂しい。ツアーで『TOXIC』の曲を育ててきてこの横浜で現段階での完成形を見せられたらと思っていました。サンキュー横浜。またここから始められることに感謝しています」

 

客電が付いてもなおも木霊するアンコール。そして――
「最後はこの曲…地獄へようこそ!! 土下座!!!」
RUKIのその絶叫をきっかけに始まった、狂乱のフィナーレ。REITAが、葵が、柵から身を乗り出して客席を煽り、麗が戒の渾身のドラムに合わせシンバルを打ち鳴らし、RUKIが花道から客席へ降り立ち、会場はまさしくカオスと言う言葉がふさわしいラストとなった。

 

卓越したライブパフォーマンスが生み出す客席との一体感で、彼らの真価を存分に見せつけた、鳥肌が立つような極上のライブ。
10周年を迎える今年は3月10日に幕張 メッセでのスタンディングライブ、5月にはライブDVD、8月には『TOXIC』以来のフルアルバム『DIVISION』のリリースが 決定しているthe GazettE。留まることなく、振り向くことなく更なる高みへと向かう彼らに、極限は果たしてあるのか。その答えを見てみたい。

 

◆セットリスト◆

SE.INFUSE INTO
01.VENOMOUS SPIDER’S WEB
02.SLUDGY CULT
03.VORTEX
04.THE SUICIDE CIRCUS
05.MY DEVIL ON THE BED
06.13 STAIRS[-]1
07.RUTHLESS DEED
08.痴情
09.UNTITLED
10.AGONY
11.CLEVER MONKEY
12.VERMIN
13.HEADACHE MAN
14.Filth in the beauty
15.PSYCHOPATH
16.TOMORROW NEVER DIES
17.OMEGA

ENCORE
EN01.Ride with the Rockers
EN02.REMEMBER THE URGE
EN03.赤いワンピース
EN04.COCKROACH
EN05.DISCHARGE
EN06.LINDA~candydive Pinky heaven~

 

EN07.関東土下座組合

 

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【ライブ情報】

10TH  ANNIVERSARY

THE DECADE

3月10日(土)

幕張メッセ国際展示場ホール10

[OPEN / START]16:00 / 17:00

[チケット代]¥7,300(tax in) *オールスタンディングブロック指定

[一般発売日]2月18日(土)

 

【リリース情報】

■LIVE DVD『TOUR11-12VENOMOUS CELL FINALE OMEGA LIVE AT 01.14 YOKOHAMA ARENA』

5月9日発売

 

■NEW ALBUM

『DIVISION』

8月発売

 

(文・後藤るつ子)