◆おススメのシーンは、「DOGMA」からの「RAGE」(葵)
――あの日のライブを映像で見て、どんな感想を持ちましたか?
葵:おススメのシーンは、「DOGMA」からの「RAGE」ですね。映像との融合もすごく良かったし。「DERACINE」も良かった。
――「DOGMA」は音と映像とライティングが相まって鳥肌が立ちました。奈落から登場するという演出も素晴らしかったです。
葵:実は、そのシーンで戒さんだけは最初から台ごと上にいたんですよ(笑)。
戒:(苦笑)
葵:ドラムがステージの下まで下がり切らなくてやめたんだっけ?
戒:そう。下げてみたんだけど、どうしてもシンバルの上の方が客席から見えちゃって(笑)。
麗:気になるよね。下がり切ってないって。
葵:ちょっとシンバルが見えてるとかなくないですか? 「あそこから出てくるんだな」ってわかっちゃうじゃないですか(笑)。
――残念ながらDVDでは、そのシーンの戒さんは映っていないですね。
戒:ステージに出ていくところは映っていないですね。「せーの、ドン」で、みんなが上がってくるタイミングで俺もこっそり行っているんですけど(笑)。
麗:「DOGMA」の曲終わりでみんないなくなって見えなくなるじゃないですか。でも戒君はそこにいるんですよ(笑)。やっぱりそこで目が行っちゃうんだよね。
戒:また捌けるわけにもいかないから仕方がないですよね。演出上、色々なことを総合的に考えたときに、飲み込まなくてはいけないな、という部分でした。
――大人ですね。REITAさんが思う見どころはどこでしょう?
REITA:俺は個人的に、「DOGMA」までがオープニングという感じがしていたんです。「DOGMA」が終わって「RAGE」でやっとメンバー5人が合体して改めて始まる、という感じなので切り替わるところがミソかなと。後ろの稲妻と同時にRUKIの煽りから入るんですけど、ステージで5人がギュッと詰まったような感じがするので、そこが見どころですね。
――細かいカメラワークで、あの日の熱とライブ感が凝縮された完成度の高いライブDVDでした。
REITA:そうですね。ライブは何作かずっと同じ監督にやってもらっているので、その人がいい感じに仕上げてくれました。
葵:さすがの完成度でしたね。
――大画面で観たい作品です。ところで、今回の初回限定盤はドキュメントとライブのDVD2枚組ですが、どちらを先に見てほしいですか?
REITA:これは難しいな。いつもなら本編からですけど、こうなってくるとドキュメントからというパターンもありです。
戒:長く楽しむなら、一度ラフにライブDVDを見て、その後でドキュメントDVDを見て、思い入れを込めてライブDVDをもう一回見る、かな(笑)。DOGMAのスタートからずっと来てくれている子たちは、ドキュメントDVDで振り返りながら見るとすごく楽しいと思います。
――そうすることで、また違った見え方になるかもしれませんね。ところで、今回のライブDVDにゴールデンチケットのようなサプライズはあるんですか?
RUKI:あるわけないでしょ(笑)!
REITA:あれは、そう何回もできるものじゃないですからね!
――(笑)。またいつか実現する日を楽しみにしております。そんなゴールデンチケットを手にして代々木第一体育館公演でエントリーカードに引き換えた人のみが参加できた幕張メッセでのグランドフィナーレは、「漆黒」に比べてどこかホームのような温かさを感じました。
RUKI:よく言われるんです。でも地方のライブやツアー中の東京のライブはあんな感じですよ。緊張感がないわけではないんですけど、「漆黒」のようなファイナルだと、やっぱり「ちゃんとしなくては!」という感じが出てしまうから、余計そう思われるのかもしれないですね。
REITA:あの日は来てくれた人も含めて皆で「お疲れ様でした」という感じでした。1年以上DOGMAに触れていて辛いこともあったんですけど、それは、ライブに来てくれた子たちも知らないと思うのでドキュメントDVDで見てもらえればと思います。それでもやっぱりツアーに参加してくれた子たちも含め、みんなで「お疲れ様でした」と言える場があったのは良かったと思いますね。
――グランドフィナーレが、あの規模の会場でのスタンディングというのは特別な感じがしました。
REITA:椅子があってもスタンディングでも同じようなライブをしたいとずっと思っていたんですけど、やっぱりグチャグチャになるのと綺麗に並んでいるのとでは見える景色が違いますよね。しかも、これまで大きい場所でのスタンディングは、あまりやっていないので新鮮でした。正直、あまり人が来ないと思っていたんですよ。本番前も、恐くて客席の写メを撮ってきてもらったくらい(笑)。本当にどれだけ来てくれるのか読めなかったんですけど、意外と人がいたので一安心でした(笑)。
――「漆黒」で代々木第一体育館を即完したバンドからそういう言葉を聞くのはとても意外です。
RUKI:むしろ他のバンドよりも、自信のなさと言うか、来てくれるのかなと不安に思う気持ちはあると思いますよ。
REITA:そもそも、「漆黒」で一回ファイナルをやっているわけですからね。もう一回ファイナルをやりますよ、というときにどのくらいの人が集まってくるのか、本当に想像がつかなかったです。
――あの日はそんな心配を吹き飛ばすくらい詰めかけたファンの方々が、全力で楽しんでいるのが伝わってきました。
戒:それが何よりです。自分も楽しかったですし。幕張は代々木とメニュー自体はあまり変わらないだろうと思っていたんですけど、代々木で出し切ってしまっていたので、どうなるのかなと思っていたんです。でも、当日はあまり堅苦しいことを考えずにできたのが今でも不思議で。個人的には、あまり気負わず、良い意味での余力感でできたと感じたライブでした。それは、そこまでガッチガチに固めてやってきたからできたことなのかもしれないし、やっと終わるという開放的な気持ちもあったのかもしれませんね。
◆映像を流しているときに歓声をステージの袖で聴いていて、やっぱりいいものだなと思った(REITA)
――あの日は最後に、来年3月10日に国立代々木競技場第一体育館で初期コンセプトである“大日本異端芸者”を掲げての記念ライブを行うことが発表されましたが、あの発表までの流れとして、アンコール以降のセットリストがとても自然でした。
RUKI:それも含めてのセットリストだったんですよ。伏線的にね。
――なるほど。それにしてもなぜ15周年に“大日本異端芸者”をやろうと思ったんですか?
RUKI:何をやろうかなとは思っていたんです。DOGMAが色々な面で確立されたものだったので、その後の周年であまり意図もないような、オールタイムベストみたいなライブをやっても仕方がないなと。そこにファンが今求めているものを加味して考えたつもりです。意表を突くというか。
――映像が流れたときに、まさに意表を突かれました。
RUKI:洋から一転して、和に変わるという(笑)。ちなみにあのムービーも、メイド・イン・我々です。
――今回もREITAさんがメインで作ったんですか?
REITA:いやいや、そんなことないですよ。エフェクトとかはやりましたけど。
RUKI:REITAさんは、すごいモニターを買ったんですよ。MVの監督の家とかにあるようなやつ。
麗:そのうちVRとかやるんじゃない?
全員:(笑)
葵:ちなみに、僕は全然やらなかったです。会計ソフトで予算を捻出したくらいで。
全員:会計ソフト(笑)!
麗:俺は横で応援してました。
葵:麗さんはSEつけてたでしょ。戒君は画面を覗いたりしてたね。
戒:俺はREITA君にお任せしているので。茶々を入れたり、文句をつけたり…と言いつつ、みんなで手分けしてやっていましたよ(笑)。
REITA:ワイワイやってたよね。
――今回は巨匠・RUKI氏からのNG出しはなかったんですか。
REITA:俺が5時間ぐらいかけて作った映像が、1秒未満の挿絵に変わったりしました。まあそういうものなんですけどね…。映画でも1秒のためにエフェクトで何時間もかけたりするし、そう考えれば全然やれるんですけど、一瞬やりがいのなさを感じました…。
麗:バッサリ切られるとヒヤッとするよね。
RUKI:いやいやいやいや! もー、みんなそういうこと言うんですよ。だから俺も段々言いづらくなっちゃって。
REITA:嘘つけ!
――言いづらくなって、「このNG出しをするのは我慢しよう」ということもあったんですか?
RUKI:いや、「今度はこっち作って」って言いました。
全員:(笑)
――苦労が偲ばれます。でもこうやってあの動画ができたのかと思うと感慨深いですね。
REITA:映像を流しているときのファンの歓声をステージの袖で聴いていて、やっぱりいいものだなと思いました。一緒になって鳥肌が立っている感じがしましたからね。
RUKI:ちなみに俺は「このシーンは歓声が来るから、もうちょっと伸ばしたほうがいい」って言いました。
REITA:自信過剰か(笑)。
RUKI:でも、“大日本異端芸者”の文字を出すのに、どうやって出したら一番いいのか悩んだよね。
REITA:そこは無音で歓声オンリーでしょう。歓声がなかったら成り立たないもん。
◆皆をびっくりさせつつ、自分たちも思いきり楽しみたい(戒)
――それにしても、“大日本異端芸者”の頃と、今のthe GazettEは、皆さんの中である種切り離して考えていると思っていたのですが、そんなことはなかったんですね。
RUKI:そんなに器用ではないですよ。切り離していると言えばそうなのかもしれないですけど、俺らは一つのことをやっていたら、それしかできない。だから、やるからにはマジでやろうと思っているんです。何をやるか楽しみにしていていただきたいですね。
――一体どんなステージになるのか、初のハロウィンライブ(「the GazettE HERESY LIMITED THE DARK HALLOWEEN NIGHT [-SPOOKY BOX-]」)ぐらい気になります。衣装やメイクはもう決まりましたか?
麗:ボチボチですね。
RUKI:ボチボチってハロウィンもうすぐだよね(笑)。ちなみに仮装ではないです。だって嫌じゃないですか。うちのメンバーの誰かが、スパイダーマンをやりたいとか言い出したら(笑)。
麗:ドラえもんとかやられてもね。
RUKI:そうだよ。なので、「私たちが提案するハロウィンとは」というもので、全然ギャグっぽくないです。
――本気な感じですね。
RUKI:何をやるにも本気です。
葵:へぇ、あれがRUKIさんの本気なんだ。あ~可愛かったな~RUKIさん。…今言える情報としては、それぐらいですかね。
RUKI:え、何が!? もー、こういうこと言うんですよ!
REITA:実際可愛いですよ。
麗:めっちゃ可愛いです。
RUKI:そうなのかなぁ。
葵:ファンが見たらドッカン来ますね。だから俺らも急いで尻尾作ってますんで。
全員:(笑)
――一体どんな可愛いRUKIさんが見られるのか、そして本当に尻尾は着用されるのか期待が高まります。
葵:テンション的に前橋みたいな感じかな。
REITA:あ、俺らは昔、前橋でのライブの動員が少なかったんですよ。だから誰も見ていないだろうということで、みんな前橋でライブをやるときはメイクをめちゃくちゃ思い切ったりしていたんです。葵さんは顔中トライバルにしたり、RUKIは微動だにしないで歌ったり(笑)。そういうちょっと悪乗り入ってることを、俺らは前橋状態と言うんですよ。
RUKI:「別れ道」ダークバージョンとか言って、めっちゃ低い声で歌ってたんですよ。
REITA:本当に微動だにしなかったもんね(笑)。
――前橋状態のハロウィンライブ、楽しみにしております! それでは最後にメッセージをお願いします。
RUKI:とりあえずDVDを見てください。
戒:長かった「DOGMA」をやっと無事に終わらせて、そこで得られた自分たちの経験を生かして次につなげたいなと。まずはハロウィンライブと、「KNOTFEST JAPAN 2016」があり、3月10日からは15周年イヤーがスタートします。またthe GazettEらしく皆さんをびっくりさせつつ、自分たちも思いっきり楽しもうと思います。
(文・後藤るつ子)
the GazettE
<プロフィール>
RUKI(Vo)、麗(G)、葵(G)、REITA(B)、戒(Dr)。デビューより一貫してセルフプロデュースを貫き、妥協なく追求したハイクオリティなサウンドが国内外で高く評価され、2010年12月には東京ドームライブを成功させる。2015年8月、アルバム『DOGMA』をリリースし、全国ツアー「DOGMATIC -UN-」「DOGMATIC -DUE-」を開催。2016年2月、国立代々木競技場第一体育館にてツアーファイナル「LIVE TOUR 15-16 DOGMATIC – FINAL – 漆黒」を行った。海外ツアーを経て、9月27日に幕張メッセで行われたフリーライブ「the GazettE STANDING LIVE TOUR 16 ~GRAND FINALE『DOGMA-ANOTHER FATE-』~」をもって、1年強に渡る『DOGMA』が完結。2017年3月10日には国立代々木競技場第一体育館にて十五周年記念公演“大日本異端芸者「暴動区 愚鈍の桜」”を行うことが決定している。
■オフィシャルサイト
http://the-gazette.com
【リリース情報】
『the GazettE LIVE TOUR 15-16 DOGMATIC FINAL -漆黒- LIVE AT 02.28 国立代々木競技場第一体育館』
2016年11月9日(水)発売
(SMR)
【収録曲】
●初回生産限定盤
DISC1[the GazettE LIVE TOUR 15-16 DOGMATIC FINAL -漆黒-]本編
01. NIHIL
02. DOGMA
03. RAGE
04. DAWN
05. SLUDGY CULT
06. VENOMOUS SPIDER’S WEB
07. BIZARRE
08. DERACINE
09. GRUDGE
10. GODDESS
11. WASTELAND
12. PARALYSIS
13. LUCY
14. INCUBUS
15. UGLY
16. BLEMISH
17. DEUX
18. OMINOUS
19. UNDYING
DISC 2[DVD]
[the GazettE LIVE TOUR 15-16 DOGMATIC FINAL -漆黒-]アンコール
01. INSIDE BEAST
02. VERMIN
03. COCKROACH
04. ATTITUDE
05. TOMORROW NEVER DIES
06.枯詩
07.春雪の頃
08. LINDA~candydive Pinky heaven~
DOCUMENT OF [DOGMA] 2015-2016
【封入特典】
・特製 LP サイズ仕様
・透明スリーブケース
・48 ページ撮りおろしLPサイズパンフレット
●通常盤DVD
DISC1:[the GazettE LIVE TOUR 15-16 DOGMATIC FINAL -漆黒-]本編
DISC2:[the GazettE LIVE TOUR 15-16 DOGMATIC FINAL -漆黒-]アンコール
●通常盤
DISC1:
[the GazettE LIVE TOUR 15-16 DOGMATIC FINAL -漆黒-]本編
[the GazettE LIVE TOUR 15-16 DOGMATIC FINAL -漆黒-]アンコール
【ライブ情報】
●"the GazettE HERESY LIMITED THE DARK HALLOWEEN NIGHT [-SPOOKY BOX-]"
10月28日(金)Zepp Tokyo
●十五周年記念公演“大日本異端芸者「暴動区 愚鈍の桜」”
2017年3月10日(金)国立代々木競技場第一体育館