メンバー皆が自分のバンドだと思っている

ここまでの活動の中で、メンバーの初めて知った一面はありますか?
美景:Tsunehito君と僕の付き合いはまだ日が浅いんですけど、ベースのスタイルとかすごく発見するところが多くて。自分の中では今、ヴィジュアル系の中で最もカッコいいベーシストだと思っています。他にない何かを持っていて、ステージもそうなんですけど、フレーズもベーシストとして一番カッコいい部分を前面に出していて。Ruiza BANDを始めてから、自分の中ではTsunehito君の見方が一番変わったかなと。アレンジも常に変化していますし、空気感の作り方もやっぱり一番カッコいいなと思います。ロックベーシストであり、ヴィジュアル系であり、僕の中の理想が詰まったベーシストだなと感じました。
Tsunehitoさん側からも、美景さんはドラマーとしてすごく柔軟という話が出ていて、「これからリズム隊として、より固まっていくことができると思う」と話していました。なんだか理想的な関係性ですよね。
美景:Ruiza BANDとして活動していく中で、いつの間にか僕も人に紹介する時に「うちのバンドは」みたいなことを言っていて(笑)。うちのバンドなんですけど、うちのバンドじゃない、一応Ruizaさんのソロプロジェクトなわけですけど、多分メンバー皆が自分のバンドだと思っているというか。このバンドの中で何をしようって、まさにバンドを作る作業に皆が今入り込んでいる感じがしますね。
だからこそバンド感の向上が凄まじいスピードで進んでいるわけですが、今現在、この曲は特に成長したな、進化したなと思うものを1曲挙げるなら、どれになりますか?
美景:僕としては「swallowed」が圧倒的に進化したなと思いますね。ライブ中、僕は進行のこともあるので、いつもヴォーカルの声をイヤモニで聴いているんですけど、元々上手いSethさんの歌が日に日に表現力を増していって、最近はSethさんの息遣いまで聞こえてくるようになってきたので、どこまで進化するんだろうと。もうめっちゃカッコいいなとライブ中に感じながら演奏しています。
確かに、どんどん歌に感情が乗っていっているように思います。
美景:そうですよね。Sethさんのストイックさは本当にすごいですから。歌に入り込んでいる時のSethさんは鬼気迫るものがあって、こっちも1カウント叩くのに汗をかきます(笑)。ぜひいろんな方にライブで体感してほしいですね。
そんなSethさんの誕生日に当たる8月9日、青山RizMでの「Ruiza ONEMAN LIVE『Genesis of the world』」から、会場限定シングル『黎明』が発売されます。表題曲は始動ライブの時点で披露されていましたが、その時にRuizaさんが「きっとメンバー皆、同じところを見ていたんだろうなと今、改めて気づいて。“サポート”じゃないなと、僕はそれくらいの気持ちでいます」と話したことも印象的でした。
美景:やっぱりメンバーがこの曲でライブを作りたい、一体感を作りたいと、すごく意識しているのかなというのは感じました。それと、ヴォーカルのメロディもそうですけど、この曲で何か新しい道しるべを作っていきたいというのを僕は感じましたね。
東名阪ツアーのファイナルの時に、個人的には「黎明」が良い意味で最も「こんな曲だったっけ!?」と思ったんですよ。それは進化したということもあるでしょうし、あの時点でほぼレコーディングが終わっていたそうで、同期の音が以前とは異なっていたという部分が大きかったようですね。
美景:確かにそれはありますね。
ちなみに美景さんとしては、今現在あるRuizaさんの曲の中でドラマー的に一番難易度が高いのは、どの曲でしょう?
美景:ドラマー的にですか。そうですね…僕は「with you」が表現の部分で難しいかなと思います。特にお客さんが歌ってくれる部分もありますし、とにかく皆の感情がすごく乗っているので、その時によってアップテンポな雰囲気のノリになったり、ちゃんと聴かせたいなというのがメンバー皆の音からすごく伝わってくるんです。それをまとめるという意味でも、フレーズそのものが詰まっているわけではないので、余計に難しさを感じます。激しい曲の場合は正直、前のめりにフレーズを詰め込めば、なんとかなると言ったら語弊はあるかもしれないですけど、勢いは伝えられるかなと思うんですよ。でも、勢いだけでは片付かないけどアップテンポで、かつメロディもあってというところで、やっぱりこの曲は難しいですね。
技術的な側面ではなく表現という部分で、キャッチーだったり聴かせる曲のほうが、難しさがあるのかもしれないですね。ところで、美景さんってめちゃくちゃストイックですよね。
美景:そんなこともないですけどね(笑)。
筋トレの継続にしても、たくさんの資格取得にしても、なかなかできることではないと思います。そのストイックさの理由、源は何なのでしょう?
美景:何でも突き詰めたい気持ちがあるので、知的探求心が割と旺盛なんですよ。知りたいっていう気持ちから勉強にのめり込んでいったり。音楽にのめり込むのも、ドラムに対しても、やっぱり知りたいとか、こういう音を出したい、これはどうやっているんだろう、こういう勢いのあるフレーズにしたいっていうのを突き詰めていくうちに、こんな感じになったかなと。だから、自分の中では全部が繋がっていると思っています。
コロナ禍初期の1年間、様々な資格取得のために1000時間くらい勉強したそうで。
美景:はい(笑)。でも、例えば音楽家の人が絵を描いたり、音楽以外のアートでも才能を発揮することって結構あるじゃないですか。その別バージョンかなと思うんですよ。
ベクトルが違うだけで。
美景:そうそう。僕は絵を描いたりはしないですけど、勉強するのは得意というか。それに関連して言うと、僕は0から1を生み出すのが苦手なんですよね。だから、Ruizaさんみたいに曲を作ったり、こういう方向性でいきたいというのを示すのは苦手なんですけど、何か1お題があれば、それを1000とか1万とか無限に広げていくのは、めちゃくちゃ得意です。それはやっぱり何でも突き詰めたいという自分の性格もあって。なので、Ruizaさんがこういう曲をやりたいとなった時に、これはどういう曲なんだろう、Ruizaさんは何を思っているんだろうとか研究しだして、どこまでも自分の中で広げていくというのはすごく自信がありますね。そういう意味では今、良いバランスでやらせてもらえているのかなと。
突き詰めていくことが苦ではなく、むしろ楽しいんですね。
美景:そうですね。ちなみに、最近ご飯をたくさん食べてトレーニングをしていたら、どんどんガタイがよくなっちゃって、自分が思っているのとちょっと違うほうに行き始めたので、反省しています(笑)。
目指すはムキムキではなく、細マッチョだと。
美景:はい。よく食べてよく運動したら大変なことに(笑)。健康にはいいですけど、ヴィジュアル系らしくはないなと(笑)。
いないと違和感を覚えるくらい大きな存在に

8月からRuiza主催イベントTour「BURNING SOUL vol.3〜10」や、ワンマン「Genesis of the world」公演3本など、様々なライブが控えています。色々な地方にも行くことになりますが、そういう点で楽しみにしていることはありますか?
美景:行ったことのないライブハウスがあったり、久しぶりにやらせてもらうライブハウスがあるんですよね。Ruizaソロをやるにあたって機材も一新したので、その音で今までやっていたライブハウスなり、初めて出演するライブハウスでどんな音が出るのかは、すごく楽しみにしていますね。
訪れること自体が久々の地方もありますか?
美景:広島は、すごく久しぶりです。とても楽しみにしています。
それにしても、ここまで広範囲の地方を回る主催イベントを組むというのは、業界全体的に今のご時世、なかなか厳しいじゃないですか。Ruizaさんはすごいなと思って。
美景:それに自然についていくガッツあるメンバーはすごいなと(笑)。自分も含めてですけど、違和感なく「よっしゃ、行こうぜ!」みたいな(笑)。
しかも、それぞれいろんな活動と並行していて多忙な中で、これだけやるというところが、やっぱり皆で一丸となっている感じがありますよね。まさにバンドだなと。
美景:そうですね。今ヴィジュアル系の中で、やっぱりRuizaさんは一つの道しるべ的な存在だなというのは、僕はすごく感じています。
それこそRuiza BANDが動き出してから、Ruizaさんはこんなに先頭を切って進んでいくタイプの方だったんだと初めて知って、意外だったんです。
美景:そうなんですね。確かにギタリストとしての印象が強いのかなっていう。でも、作曲、アレンジも本当に素晴らしいので、いろんな人に聴いてほしいなと、ずっと思っています。ちなみに、Tsunehito君のインタビューも拝見したんですけど、すごくパーソナルな部分に迫っていて、良いインタビューだなと思っていました。
中高生時代の話は今まで聞く機会がなかったですし、パーソナルインタビューだと、ちょっと深く掘り下げることができるので、こちら的にも興味深いです。
美景:そういうの、すごくいいなと思うんですよね。こういう機会をいただけて、本当にありがたいです。
こちらこそ。それに関しても、おそらくRuizaさんは、一人ひとりの魅力を掘り下げることがバンド全体の魅力にも結びつくと思って、全員のパーソナルインタビューを提案してくださったと思うんです。
美景:割と先のことまでちゃんと見据えて、考えて、色々スケジュールとかも組まれているので、ついていくほうもついていきやすいですね。細かいことで言うと、例えばワンマンライブに備えて、自分の中でトレーニングのメニューを計画的に変えていくこともできますし。
以前のインタビューでもSNSを見ていても、Ruizaさんは周りの人のことをすごく考えているのが伝わってきます。ここまで色々お話を聞いてきて、それは昔からなんだなと。
美景:そうですね。昔から周りにすごく気を使ってくれて。調整してくれたり、色々考えてくれていたりするので、Ruiza BANDは逆にサポートメンバーが伸び伸びやっているという、なんか不思議な世界ですけど(笑)。でもそれがRuizaさんなりのメンバーの活かし方なのかなっていうのもあるので、自由にやっていこうかなと思っています。
伸び伸びやってもらうことによって、それがバンドに良い効果をもたらすだろうという。
美景:はい。やっぱりDというバンドの存在も大きかったですし、そのギタリストのRuizaさんのソロプロジェクトなので、どうしても皆さん、いわゆるギタリストのソロというのを想像すると思うんですよ。バンドとして楽しいというのが、なかなかイメージだけだとわかりにくい部分もあるので、自分もそれを伝えていくポジションなのかなと思っています。
ではRuiza BANDのドラマーとして、今後どのようなステージを目指していきたいですか?
美景:明確に個性を出したいというよりは、いないと違和感があるみたいな。例えば、映画の登場人物でも、その人がいないと画面が引き締まらないとか、脇役だったとしても重要なポジションの人っていると思うんです。そういうところに自分は行き着きたいなと。普段は自然とバンドに溶け込んでいるんですけど、例えば僕のドラムじゃなかった時に違和感を覚えるくらい、あの存在は大きかったんだなっていう風に感じてもらえるようなドラマーになりたいなと思います。日本全国、揺らします!
(文・金多賀歩美)
美景
オフィシャルサイト
ライブ情報
●Ruiza主催イベントTour「BURNING SOUL vol.3〜10」
8月19日(火)仙台ROCKATERIA
8月21日(木)札幌Crazy Monkey
9月5日(金)HOLIDAY NEXT NAGOYA
9月14日(日)浦和NARCISS
10月5日(日)博多DRUM SON
10月6日(月)広島SECOND CRUTCH
10月7日(火)心斎橋FANJ-twice
10月25日(土)渋谷REX
●Ruiza ONEMAN LIVE「Genesis of the world」
東京〜玄色の刻〜
8月9日(土)青山RizM
札幌〜濃藍の刻〜
8月22日(金)札幌Crazy Monkey
神戸〜白銀の刻〜
11月2日(日)神戸live music club PADOMA