「純粋にライブが好き」お互いが再確認したツアー
かつてないイレギュラーなアルバムツアーが終わり、バンドとして、アーティストとして何か変わったことや見えてきたことはありますか?
悠介:いつも通りの事をやるだけだったので、変化したことはないんです。でも、ツアー前に腱鞘炎になってから、一本のライブに対するペース配分というか、力の入れ方が変わった気がします。今まで変に力みすぎていたんだなと思う部分があったので、ツアーが始まって最初のうちはそこを意識して動くようにしていました。今回、2days公演もあったので、何とか2日目も維持できるように動いてはいましたね。後半になるにつれて感覚が掴めてきていたのでも、やっとリラックスして演奏することができるようになったんです。観ている人にとっては激しく見えると思うんですけど、自分的には頭はリラックスして、動きはアグレッシブに、ということができるようになったんですよ。今までは感情に任せていたことも多くて、冷静じゃないこともあったんですけど、腱鞘炎をやってからは、常に頭はフラットですね。
感情面がコントロールできるようになったというのは大きな変化ですね。
悠介:良い状態で、熱いものが一定のレベルで見せられるようになったかなと思います。あと、『ULTIMA』の楽曲が割と神経を使うものが多かったので、それもあって常に冷静でいられるようになったというところもありますね。
晁直:僕は、今回ファンを全員入れられない不完全な状態でのライブだったので、「次にやるときは完全な状態でできるのかな?」と思ったのが正直なところです。ツアーが終わったから何かが変わったとか、そういうところは正直ないんですけど、ツアーができるだけありがたいとは思っていました。でもそう思いつつも、苦しい部分はありましたね。ツアー中にご飯を食べに行ったりもできなかったし(笑)。だから次は、完璧な状態でやれたらいいなと思っています。
玲央:今回、できる限りの形でツアーを回って、やっぱり自分たちにとってライブは特別なものだし、それをすることによってファンの方が喜んでくれる。それに、自分たちも嬉しいんです。純粋にライブが好きなんだなというのを、お互いが再確認したツアーだったと思うし、お互いがなきゃいけない存在だと思うことができた。だからこそ、晁直も言っていましたけど、よりフラットな制約のない状態で、一日も早くライブができるようになったらいいなと切に願っています。そうなったときに、「あの時がんばってよかったな」と思えるくらいのライブの感動を、みんなに届けられたらなと思っています。
これだけ我慢した後に通常の状態のライブをやったら、爆発的なパワーが生まれそうですね。
玲央:これだけバネが縮んでいますからね。解放されたときの瞬発力はすごいと思います。その時を今は辛抱で待っています。
明徳:自分はまず「完走した」という感じです。全公演何事もなく、クラスターも発生せず、ちゃんと完走できたことが一番嬉しかったです。それこそlynch.のライブに来るお客さんは、暴れたいし声を出したい人が多いと思うんですけど、それでもちゃんとルールを守って、窮屈な思いをしながら自分たちの楽しみを見つけて楽しんでくれた。それが嬉しかったです。あと、ツアー中に、振替公演の大阪(5月21日のZepp Osaka Bayside)ができなくなったんですよ。でも、スタッフがツアー期間内に収まるように、振替の振替の会場を抑えてくれたんです。それが本当にファインプレーで、優秀なスタッフに恵まれてありがたいなと思いました。
前作ライブ映像作品『HALL TOUR’19「Xlll-THE LEAVE SCARS ON FILM-」』のドキュメンタリー映像に引き続き、スタッフの方々の愛と優秀さが際立つエピソードですね。葉月さんはいかがですか?
葉月:具体的なことを言いますけど、曲を作る上で今後意識を変えなきゃいかんなと思っているんです。今までは、ここで頭を振る、飛ぶ、声を出す、の3点くらいだったんですけど、今は声が出せないから、それ以外で楽しめる要素を取り込んでいかなきゃなと思って。足踏みでもいいし、手拍子のリズムを決めるでもいい。コロナ禍でこういうことにならなければ、こんなことを考えることはなかったと思います。
曲作りの根本的な部分が変化したんですね。
葉月:あと、これまで僕はイヤモニをしていなかったんですけど、立川(7月4日のTACHIKAWA STAGE GARDEN)と今回のLINE CUBE SHIBUYAで全然音が聞こえなくて、めちゃくちゃやりづらかったんですよ。そこでヤバいと思って、それ以降イヤモニをするようになったんです。イヤモニは外の音が聞こえなくなるんですけど、最近になって外の音が聞こえる商品が発売されて、使ってみたら結構いいバランスだったんですよね。でもこれも、今までのようにお客さんの声がある状態だったら、選択肢として辿り着かなかっただろうなと思うんです。ライブ中は常にリアクションを敏感に気にしていて、「あれ? 今声が小さいな。盛り上がっていないな」と思ったら煽ったりもしていたし。でも、コロナ禍のライブではそれができないので、より集中できる方向にと思ってイヤモニをしてみた。これは明確な変化ですね。
最後に、今後のlynch.の展望を教えてください。
葉月:まだ漠然としているんですけど、うちはメンバーが5人いるわけじゃないですか。僕個人としては、それをもっと出していきたいなと思っているんです。僕はソロ活動で「奏艶」をやっているし、悠介君も最近新しいこと(真空ホロウの松本明人との新ユニット「健康」)を始めた。そういう中で、せっかくこの5人が集まったときには、この5人であるその理由がもっとあると良いなと思っているんです。ステージを見た時に感じるlynch.の説得力って凄いじゃないですか。なので今後は、ステージ以外でもそれが感じられる場面を増やしていけたらと思っています。
(文・後藤るつ子/写真・江隈麗志)
lynch.
葉月(Vo)、玲央(G)、悠介(G)、明徳(B)、晁直(Dr)
オフィシャルサイト
リリース情報
『TOUR’21 -ULTIMA- 07.14 LINE CUBE SHIBUYA』
2021年11月17日(水)発売
[Blu-ray](OUTER CASE + DIGIPACK + 36P PHOTO BOOKLET)KIXM-464 ¥8,580(税込)
[DVD]KIBM-881 ¥5,280(税込)
収録曲
[初回盤]
- ULTIMA
- GALLOWS
- XERO
- RUDENESS
- CREATURE
- ALLERGIE
- IDOL
- EROS
- ZINNIA
- IN THIS ERA
- ASTER
- D.A.R.K.
- MIRRORS
- BARRIER
- MACHINE
- OBVIOUS
- pulse_
- EUREKA
[ENCORE-1]
- WALTZ
- ALLIVE
- JUDGEMENT
- FAITH
- EVOKE
[ENCORE-2]
- 24.ADORE
『2011-2020 COMPLETE BOX』
2021年12月27日(月)発売 [完全限定生産盤](11CD+Blu-ray)KIZC-90643~54 ¥27,500(税込)
[収録内容]
[CD]
-ALBUM-
DISC01 I BELIEVE IN ME
DISC02 INFERIORITY COMPLEX
DISC03 EXODUS-EP
DISC04 GALLOWS
DISC05 D.A.R.K. -In the name of evil-
DISC06 AVANTGARDE
DISC07 SINNERS-EP
DISC08 SINNERS -no one can fake my bløod-
DISC09 Xlll
DISC10 ULTIMA
-SINGLE-
DISC11(全17曲収録)
『MIRRORS』
THE TRUTH IS INSIDE
MIRRORS
DEVI
『LIGHTNING』
LIGHTNING
THE MORNING GLOW
『BALLAD』
BALLAD
CRYSTALIZE
『EVOKE』
EVOKE
DOZE
GUILTY
『ETERNITY』
ETERNITY
ALIEN TUNE
VARIANT
『BLØOD THIRSTY CREATURE』
BLØOD
CREATURE
THE WHIRL
『ALLIVE」
ALLIVE
[Blu-ray](全19曲収録)
-Music Videos-
・I BELIEVE IN ME
・MIRRORS
・A FLARE
・INFERIORITY COMPLEX
・FROZEN
・LIGHTNING
・BALLAD
・NIGHT
・DEVIL
・EVOKE
・ETERNITY
・BEAST
・F.A.K.E.
・TRIGGER
・CREATURE
・SORROW
・JØKER
・XERO
・ALLIVE
ライブ情報
●17th Anniversary Premium Live「THE IDEAL」
12月31日(金)Zepp Nagoya