熱くなれるライブを作りたいなっていう気持ちが楽曲にも繋がっている

「沼」の曲作りは、どのようなスタートだったんでしょう?
JUN:「穴」を作曲し終わった後に「沼」を作曲し始めたんですけど、イメージがもう今年の頭ぐらいからあって。サウンド感というか、音としての楽曲イメージみたいなのはなんとなくあったんです。で、年始に2025年のライブスケジュールをドーンッていっぱい発表する時に映像で出したんですけど、夏のツアー告知のターンのところに付いていた音楽が、もうその時僕の頭にあったイメージで。そのイメージを引き継いで、のちに絶対曲を作ろうと決めていました。それがこの「沼」です。
そうだったんですね。
JUN:だから、その時点で「穴」は存在してなかったんですけど、実はずっと自分的には「沼」がこの夏のツアーの目玉になる曲のつもりでいました。ライブ感もあって、きっとお客さんと一緒に楽しめて、今のすごくカッコいいアプローチができる曲でありたいっていう、それだけで作った感じでしたね。
この曲もイントロのギターはやはり印象的ですが、間奏の音色もあまりない感じで面白いなと。
JUN:ブリッジのギターソロみたいなところはそうですね。まず自分的にやらないアプローチを入れていい曲は決まっていたりするんですけど、こういう楽曲は、新鮮味のあるブリッジをはめることによって、自分も気持ちいいみたいな(笑)。聴いていてノレる気持ちになってくれたらいいかなっていう。テクニックがどうのこうのっていうよりかは、フレーズが可愛いかどうかのほうが大事みたいな(笑)。
ちなみにこの曲、個人的にサビ終わりの樹威さんの声の切り方が好きです。
樹威:ああいうのは、なんかどうしたらいいかわからなくて、誤魔化していることのほうが多いんですけどね(笑)。
JUN:切ってちょっと吸うみたいなやつですよね(笑)。
樹威:ちょっとカッコつけて終わるみたいな(笑)。まぁ、ちょっとした癖がありますよね。
JUN:これ言われたら、ライブで歌う時にどうやってたっけ?って気にしちゃいそう(笑)。
樹威:わかんなくなっちゃう(笑)。
(笑)。それと、歌詞の中で漢字の〈愛〉と平仮名の〈あいしてる〉を使い分けているのは、どのような意図なんでしょう?
樹威:平仮名のところは、メロディの音の数が5個だったから、文字も5個のほうがいいかなと思って。だから、漢字よりそっちのほうがいいかなと思ったぐらいですね。
なるほど。ところで今作の歌詞は、昨年12月リリースの『The Die Is Cast』と、先ほど話に出た5月リリースの『CO-ADDICTION/The Ruler’s Play』の流れを汲んでいるものなのかなと思ったのですが。
樹威:確かに、5月に出した作品の雰囲気と割と近いですよね。シチュエーションというか、束縛的な。でも、今作は曲の雰囲気に持っていかれるままに歌を乗せていったらどうなのかなっていうところで、なんとなく最初の歌い方はこんな感じがこの曲に似合うだろうなと、その歌い方にどういう言葉がいいかなという組み立て方でしたね。だから、曲に導かれるように歌っていったら、こういうタイトルにもなったしっていう。
こちらの考え過ぎでしたね。「CO-ADDICTION」は共依存・相互依存の意味ですし、〈穴開けたい〉という歌詞があったり、支配されることで安堵を得る人間の心理みたいなものが描かれていて、「穴」には〈安堵からの離脱〉という歌詞があったりするので、色々重なってくるなと勝手に思ってしまいました。
樹威:あ、そう言われればそうですね。でも自然体で書いたら、こうなりました。僕、「穴」の〈離脱〉がいっぱい続いていくところが好きなんですよ。いろんな口の開け方で〈離脱〉と歌ったらどうなるのかなと家で試してみたら、全部違って聞こえたんですよね。これいいなと思って。JUNが作った段階で、もう鍵盤でメロディが付いていたんですけど、2番の〈甘い〉のところでサビに行くのかなと思ったら、トラップだった(笑)。
JUN:サビに行くと思わせて、実は違うっていう(笑)。
樹威:また離脱するんだっていう感じが、僕的には今までの中でも結構すごいインパクトだと思いましたね。
ちなみに、「沼」の歌詞に〈ファーレンハイト〉というワードが入ってくるのが、樹威さんならではだなと。
樹威:華氏摂氏の華氏ですね。たまたま適当に歌ったら、温度感みたいな雰囲気があったので、はまったなと。この言葉自体は前にも1回使っているんですよね(『CAST』収録曲「White-Hymn-Choirs」)。なぜこの言葉を知っているかと言うと、クイーンの楽曲「Don’t Stop Me Now」の中に〈Fahrenheit〉という部分があるんですよ。この響きがずっと気に入っていて、いつか何かでこの言葉を使おうと思っていたんです。
そうだったんですね。「穴」と「沼」の間に「GR_AUDIO_001」というSE的な曲が入りますが、なぜこれを入れようと思ったのでしょうか?
JUN:これがさっき言った、ライブ告知の時に付いていた曲をリニューアルしたものというか。この作品と向き合ってみて、ちょっと作り直したところはあるんですけど、この「穴」と「沼」という…助さん格さんじゃないけど(笑)、手を繋がせるのか、それとも二人ともよく見せるのかわからないけど、2曲だけ行ってらっしゃいっていうより、SEがあったほうがトータルのストーリー性が確実に増える感覚があったので。今回の作品の物語というか、絵的なものの色付けをもっと濃くするためには、あったほうがいいなという感覚でした。なので、入れたかった。これをお客さんに作品として聴いてほしいし、ライブバージョンのSEにもしたいなと思っていて。あ、言っちゃった(笑)。ライブとの違いも踏まえて、いろんなことで楽しんでほしいなという思いもあるから、ないよりあったほうがいいでしょうっていう。
そういう制作の流れだったから、「GR_AUDIO_001」と「沼」のリズムが近いんですね。
JUN:もう本当に、「GR_AUDIO_001」で制作した曲のデータをそのままコピーして、そこから「沼」を作り出したので、使っている音とかも結構一緒なんですよ。
そうなんですね。そして、今年も夏のツアー「GOTCHAROCKA 13th Anniversary Tour『390 degrees』」全13公演が控えています。今回は新作がシングルということもあり、全体のセットリストはどのような感じになっていきそうですか?
樹威:今年はちょっとイレギュラーで、8月18日に始まって、また最後に東京に戻ってくる形になっていますけど、年に1回のお祭り的な感じですよね。5月にも『CO-ADDICTION/The Ruler’s Play』を出して、まだそれを披露してない地方もあったりするので、それもありつつ今回の新曲「穴」「沼」も増えてという感じで、最新の僕らの感じを、より強い形で皆に見せることができるんじゃないかなと思います。
例年はツアーファイナルが周年記念日の8月18日でしたが、今年はその日からスタートするという形にしたのは、何かきっかけがあるのでしょうか?
樹威:5月にやったツアーが「13年目ノ禁遊戯」ということで、衣装がポリスの格好で、ちょっとしたお遊びもあって。その後のスケジュールを組んでいく中でこうなったというのはもちろんあるんですけど、夏と言っても、夏ど真ん中にあえてやる必要があるのかなっていう。お客さんもそれに対してどう思うのかなという投げかけでもあって。夏のど真ん中でやってほしいという声もあるかもしれないし、そうじゃない声もあるだろうし。だから、そんなに深い意味はないですけど、最近の夏は昔より暑いので、ちょっと色々危険だなっていうのもあります。
夏が暑過ぎる問題。
JUN:本当っすよ。
樹威:暑過ぎて、新幹線とかも止まってしまうイメージがあるので。皆が動き過ぎるから、そうなっているんだなと思って、だったら僕らはSDGs的に…(笑)。
地球規模の問題ですね。
JUN:今まで周年とツアーファイナルが重なっているエモさはやっぱりあったから、それが今年違う形になるけど、いろんなことを試してやってみる中で、プラスに働くようにしたいなと思っています。だから、目玉が増えたと思ってライブを楽しんでもらえたらいいなと。8月18日でファイナルと思っていたら、まだ先にファイナルがあるみたいな。
十夜:「穴」と「沼」、とても良い2曲に仕上がったと思うので、音でもたくさん聴いてほしいんですけど、ライブでやった時の臨場感や迫力はやっぱり生の演奏にしかないものっていうのは絶対あるし、印象も違うと思うんです。そういう部分をより良くというか、ライブを観てもらった時に圧倒できるように頑張りますので、楽しみにしていてください。
JUN:作曲をしていても思ったし、5月のツアーをやっていても思ったんですけど、最近ライブで皆と一体感を出している瞬間が、楽しくて仕方ない気持ちが強くて。激しくアクションができる曲に限らず、普通に聴く楽曲だったとしても、いろんな面で熱くなれるから、そういう一体感だったり、熱くなれるライブを作りたいなっていうのが今一番強いです。そういう気持ちが楽曲にも繋がっているから、「沼」もきっと皆好きだろうなって信じているし。さっき歌詞の話で出ていた、5文字の〈あいしてる〉とか〈輝いて〉のところは、理想はお客さんに歌ってほしいなと思って作った部分もあるので、そういうこともできたらいいなと思っています。一緒に作っていくライブツアーにしたいなという思いが強いので。楽しいツアーにしたいですね。
樹威:今回の2曲、ライブでどんな感じになるんだろう…やっぱり「沼」のほうは、なんとなくこんな感じで盛り上がっていくのかなみたいな想像はできますよね。でも「穴」も、もちろん聴く体勢に入る人もいると思うし、聴き方は自由でいいと思うんですけど、気持ちよくなって聴いてほしいなと。例えばそこで聴き入って感動する部分があったとしても、ライブ全体を通して楽しんで観てほしいなという思いもありますね。
(文・金多賀歩美)
GOTCHAROCKA
樹威(Vo)、JUN(G)、十夜(G)
オフィシャルサイト
リリース情報
New Single『穴/沼』
2025年8月6日(水)発売

[TYPE-A](CD+DVD)GCR-269 ¥2,750(税込)

[TYPE-B](CD)GCR-270 ¥2,200(税込)
収録曲
[TYPE-A]
[CD]
- 穴
- GR_AUDIO_001
- 沼
[DVD]
- 穴(Music video)
[TYPE-B]
[CD]
- 穴
- GR_AUDIO_001
- 沼
- 穴(Jui-ananonaka-ver.)
※トレカランダム1枚封入(TYPE-A&TYPE-B同絵柄全4種)
ライブ情報
●GOTCHAROCKA 13th Anniversary Tour「390 degrees」
8月18日(月)duo MUSIC EXCHANGE ※13th Anniversary day
8月23日(土)西川口Hearts
8月24日(日)柏ThumbUP
9月5日(金)札幌SPiCE
9月7日(日)仙台ROCKATERIA
9月14日(日)名古屋SPADE BOX
9月15日(月・祝)静岡Sunash
9月20日(土)岡山IMAGE
9月21日(日)広島SECOND CRUTCH
9月23日(火・祝)福岡DRUM SON
9月27日(土)OSAKA MUSE
9月28日(日)神戸VARIT.
10月12日(日)Veats Shibuya
●TOYA BIRTHDAY LIVE ブルーライト横濱 浴衣祭’25 ~歳重ね 最初に届ける こんばんは~
8月11日(月・祝)新横浜NEW SIDE BEACH!!
●GPS主催 -Dark fantasy resort ’25-
10月20日(月)高田馬場CLUB PHASE
●Jun’s Birthday Live
11月16日(日)新宿ReNY