10周年を迎え、待望のメジャーデビューを果たすDaizyStripper。彼らがメジャー1stシングル『AGAIN』に込めた思いとは――
バンド始動から10年目となる記念すべき日に10th Anniversary 47都道府県TOUR 2017 GRAND FINALE 「KISS THE FUTURE~僕らの帰る場所~」を行ったDaizyStripper。今なお記憶に残る、「10年後の僕らは笑っていました」という言葉と共に、彼らは次なるフィールド、メジャーシーンへと歩を進める。そんな5人が、抜群の音楽センスと100を超える楽曲制作の中で培ってきた経験を基に完成させたシングル『AGAIN』はDaizyStripperの魅力がこの上なく濃密に詰め込まれた必聴の1枚に仕上がった。Vif初登場となる彼らの言葉を通じて、ぜひこの作品の片鱗に触れていただきたい。
◆まだまだ出したい曲があると思えるのは彼の振り幅のおかげ(風弥)
――初登場ということで、Vif恒例の“隣のメンバー紹介”をお願いします。
夕霧:ギターのなおを紹介しますね。(なおの声を真似て)「えっと、俺は中卒で…」…
なお:そういう真似するんだ(笑)。
夕霧:なおちゃんは高校を中退しているんですけど、この間なおちゃんのお姉ちゃんがいいことを言っていたんです。「なおは、何をするにも私の後ろをずっと付いてきて、自分では何も決めなかった。でも高校を中退するときに何で辞めるのか聞いたら、『バンドをやりたいから』って言ったのがすごく嬉しかった」って。その時に、「初めてこの子が自分で自分の道を決めた。だからお姉ちゃんは応援するよ」って思ったんですって。なおちゃんは早くにご両親を亡くされて、お姉ちゃんと一緒に住んでいるんです。
――グッとくるお話ですね。
夕霧:そして部屋がすごくオシャレで、雑誌『Smart』のお部屋の特集に載ったこともあります。好きなギタリストはカート・コバーンで、ストロングゼロというお酒が好きなO型です。
なお:ギターのまゆ君を紹介しますね。俺が彼と初めて会ったのは渋谷の不二家でした。その日はRei君以外のメンバーと初めて会う日で、面接みたいでドキドキしていたんです。俺がコーラを注文したら、まゆ君は「僕はショートケーキで」って言って、ショートケーキが来た瞬間に、「わぁ~! ショートケーキだ! 食べたかったんだよ~。俺はこのために昼ごはんも食べずに色々我慢してたんだぁ~」って言ったんです。そのとき、俺はこいつとなら一生やっていけると思いました。バンドではすごく優しくて、何も喋らなくても彼がいるだけで場が和むというか…どうせ喋っても全然面白くないし(笑)。
まゆ:!!
なお:でも、いるだけですごく空気が柔らかくなるという素晴らしい才能があります。おっちょこちょいで、小さなツイていないことはいっぱいあるけどケロッとしている感じがすごく好きです。
まゆ:ありがと。
――ショートケーキが好きなドジッ子なんですね。
夕霧:すごいな。萌えの要素しかないよ(笑)。
まゆ:では、ベースのRei君を紹介します。Rei君が音楽の道を志したのは、学生時代に介護施設で弾き語りをして、施設の方々から「力をもらえたよ」と言ってもらえたことがきっかけらしいです。音楽が人の心を元気づける、そこが彼の音楽の根本になる部分なんですね。バンドをリーダーとしてまとめてくれていて、俺はなかなかいいことが言えないんですけど、Rei君がその後にしっかりまとめて…まとめて…まとめてくれる…頼れるリーダーです。
全員:!?
夕霧:時が止まった(笑)?
Rei:今ので伝わるかな(笑)。では風弥君を紹介します。横浜育ちの176cmのA型で、僕は近くの高校だったので知り合いにどんな人なのか聞いたら、「運動はできないけど、音楽にすごく長けている」と教えてもらいました。ちなみにバレーボールのトスができなかったそうです。
夕霧、なお:(ヒソヒソ声で)運動できないんだ…。
風弥:トスはできるよ!
Rei:運動には長けていないけど、音楽に関しては本当に天才的で。3歳からピアノを始め、小学生のときのお友達はベートーベンか滝廉太郎かという人間で、それが功を奏して今は作曲家の道を歩んでいます。母校の小学校の校歌を作曲したという才能溢れる彼ですが、初めて夕霧の声を聴いた時に「こいつの声に乗せたら、すごくいい音楽を作れる」と言ったことから、今のDaizyStripperが在ります。
風弥:ぎりっちょ(夕霧)は、顔よりも人よりも先に声で知ったんです。Reiとは以前から同じバンドをやっていて、解散して新しいバンドを組むときに夕霧の声が入ったデモを俺に聴かせてくれたのがきっかけでした。その瞬間に「一緒にやりたい」と即答したのを覚えています。世の中にはいろんなヴォーカリストがいますけど、バラードの綺麗な歌声から、ウィスパー、ファルセット、デスヴォイスまで、全方向にいけるヴォーカリストは他にいないと思っていて。これはDaizyStripperの一番の強みだし、オンリーワンだと思っています。DaizyStripperはこれまで100曲以上発表していますけど、まだまだ出したい曲がいっぱいあると思えるのは彼の振り幅のおかげだと思っています。彼はとにかく多彩で、体操も水泳もできるし、さらに物まねがすごくお上手で。楽屋でDaizyStripperを長渕さんバージョンで歌ったりして、正直、バンドマンにしておくのはもったいないぐらいです(笑)。
――それは全世界に発信しないんですか?
風弥:今後はできたらいいなと。あと、夕霧はアナ雪の「とびら開けて」を男役女役、両方一人で歌えるんです。あの曲はレンジが広いからすごいことですよね。人柄的には誰かに喜んでもらうことをするのが好きです。例えば誰かの誕生日に、こんなプレゼントはどうだろう、こんなドッキリをしたら喜ぶんじゃないか…そういうことを考えるのが好きで、人の喜ぶ顔を見るために時間も労力もかけてくれる人なんです。
◆あの日は未来を見せられた(なお)
――人を喜ばせたいという精神は先日の10周年記念ライブからも伝わってきました。
夕霧:ありがとうございます。デイジーのライブはよく、「仲がいい友達の結婚式に参加したときの感じ」って言われるんです。幸せそうな友達を見ていると自分も満たされて超ハッピーな気持ちになるじゃないですか。それに近いなって言われるし、自分でもそう思うんですよ。
――今、改めて振り返ってみて、10周年はどんなライブでしたか?
夕霧:温かかったですね。あの日は10年間の集大成のつもりでいたから、肩に力が入ってしまうような気持ちもあったんですけど、幕が開いてみたらすごくリラックスしていて。ファンも関係者の皆さんもすごく温かくて、夢のような3時間でした。普通のワンマンで考えたら長すぎるぐらいなんですけど、俺らにとっては一瞬で。来年の6月5日も、ああいうところでやれたらいいなと思っています。
――まゆさんはご自身の予想に反して泣かなかったようですね。
まゆ:そうなんです(笑)。会場入りをして、展示をしたり、いただいたお花を見ているときは泣きそうで、うるうるしながら本番を迎えたんです。SEでも結構うるうるしていたんですけど、始まったら1曲1曲夢中で。「伝えたい」という気持ちもあったし、何より楽しくて自然と笑顔で駆け抜けました。
なお:あの日は未来を見せられたかなと思っていて。単純に過去の集大成もいいけど、俺たちはこれからも進んで行く。来てくれた人たち皆にDaizyStripperの可能性を見せられるライブになったと思っています。俺は9周年で泣いたので、今回も泣くかなと思っていたんですけど、もっと楽しみたいという気持ちが勝っていたし、いい意味での緊張感があって。家に帰っても疲れているのに全然眠れませんでした。
Rei:僕は爆睡でした!
まゆ:俺も速攻寝ました!
風弥:俺はそれすら記憶にないぐらいです。どうやって帰ったんだろう…。
なお:俺を送ってくれたじゃん!
風弥:そこから先を覚えてないんだよね(笑)。
Rei:あの日は盛り沢山だったなと思います。「KAMAKURA」のSEから入って、新しい試みのオーケストラも、メドレーもあって。俺は正直メドレーが忙しすぎて色々思い返す暇もないぐらい早かったんですけど、聴いてくれた人たちは「この時期に好きになったな」という振り返りもできたと思うし、新しい俺たちを見せることができたので、とても良いショーになったと思います。
――オープニングからラストまで、ずっと見どころがありました。
Rei:そこも我々が意図していたことで、段落ごとに楽しんでもらえたらなと思っていたんです。アンコールでもタキシードを着て結婚式を挙げられましたしね。
夕霧:契りを交わしました(笑)。
風弥:俺たちは“10年”というテーマをずっと掲げてきたので、こんなライブにしてやろうとか、こういう思いでこの曲をやろうと思っていたんですけど、本番が始まったらそんなことはどこかにいってしまうぐらい無我夢中でした。ライブ当日は本当に一瞬で。朝、メイクが始まったのが6時で、本番前まですごく時間が長かったんですけど、ようやく本番だ!と思ったら気付いたら終わっていた感じです。ライブが終わった直後は記憶がなかったんですけど、次の日になるとライブの景色がスローモーションで脳内再生されて…不思議な感覚でしたね。
――あのライブならではの演出はありましたか?
風弥:今までのライブではグランドピアノの形をした電子ピアノを使っていたんですけど、あの日は本物を使うことができたんです。朝から調律師さんが入って、調律を何度もやって。念願のグランドピアノの蓋を全部外して、その音を客席に届けることができたということが、俺の中で一つの夢の達成でした。弦の振動やグランドピアノにしか出せない倍音を生で聴かせたかったから、それができて本当に良かったです。
◆再生ボタンを押して、この曲の世界を感じてもらえたら(まゆ)
――満を持してのメジャーデビューですが、今回の作品を作る上で意識はしましたか?
風弥:自分たちは常に全力だし、そのとき一番カッコいいと思う曲を出しているので、特別大きく変わったことはないんです。強いて言うなら、今回せっかくのメジャー1stシングルなので、今までデイジーがたくさんの作品を作ってきた中で培った曲作り、レコーディングで学んだ経験を、全部注ぎ込んでやってやろうと思って。それに、意味があるのかないのかわからないような作業にすごく時間をかけたんですけど、「AGAIN」ができてそれが無駄じゃなかったなと思えました。
――どんな作業だったんでしょう?
風弥:今回、イヤホンで爆音で聴いても聴こえないような音が何十個も入っているんです。そういうものが曲の雰囲気を司っていたりするので。そういうのも今まで色々失敗を繰り返した上での一つの結果です。今回、「AGAIN」にそれを全部反映したし、失敗から得たプロセスをもとに作業したので、曲作りからマスタリングまで全てがベストだったと思います。
――「AGAIN」をタイトル曲に選んだのはなぜだったんですか?
風弥:みんなで案を出して決めたんですけど、「DaizyStripperって何ぞや」と考えたときに、ハードで、切ないメロディーがあって、突き抜けるハイトーンがあって、バラードも魅力…という、いろんなベクトルの曲を持つバンドだなと思ったんです。だから、それを凝縮したような濃い1曲、これを聴いたらデイジーがどんなバンドかわかるような、いろんな要素を詰め込んだ曲にしたいと思ったんです。メジャーデビューシングルは後にも先にもこれ1枚だから、これがパブリックイメージになっていくと思うんですけど、「AGAIN」で良かったなと今でも思っているし、いろんな人が「デイジーカッコいい!」と思ってくれる作品になったんじゃないかと思っています。
夕霧:この曲を気に入ってくれたら、過去の曲を遡って聴いても全部好きになってくれるはずです。この曲を聴いて違うと思ったら、多分過去の曲は10曲に1曲ぐらいしか当たりがないでしょうね。
――ところで今回のジャケットには記号が描かれていますが、これはどういう意味なんですか?
夕霧:これは一つひとつの記号に意味があって。初回限定盤Aの逆三角形は自己探求を意味する記号で、初回限定盤Bは平行線ではなくなることを意味しています。そして初回限定盤Cの丸が〈永遠〉の象徴で、通常盤が「AGAIN」という言葉を表しているんです。
――背景の木は、歌詞の〈深い森の中で〉からきているんですね。
夕霧:そういうことです。
――では、DaizyStripperのメジャーシーンへの旅立ちにふさわしい3曲について、より詳しく教えていただこうと思います。
01.AGAIN(作詞:夕霧/作曲:風弥)
夕霧:俺が気に入っているのは、〈響くサイレン〉という歌詞です。あと、今回の歌詞にはインディーズ時代に出した7つのフルアルバムのタイトルが隠れているんですよ。〈サイレン〉=『SIREN』、〈貫通〉=『TRAGUS』、〈空気〉=『AIR』、〈愛〉=『LOVE』、〈祝福〉=『BLESS』、〈居場所〉=『HOME』、〈生まれる〉=『BIRTH』…タトゥーみたいに一生消えないように刻み込むことによって、俺たちの決意が表れているところが、個人的にはとても気に入っています。ちなみに、この曲はまだラジオで数回流しただけなんですけど、既にそこに気付いてくれている人がいて。「すげーなお前ら! よく気付いたな!」と思って嬉しかったです。
――トレゾア(※ファンの呼称)の皆さんは作品を深く聴き込んでいるという印象があります。
夕霧:嬉しいです。意識高い系ですね。10年間教育してきた甲斐がありました(笑)。
――夕霧さんは〈平行線 並び合う 僕らじゃなく〉というところもお好きだそうですね。
夕霧:よくご存知で! あの部分は好きですね。デイジーのメンバーもそうだし、メンバーとファンの関係もそうだけど、お互い平行線でまっすぐ夢に向かって進めたら素敵だけど、人間だから蛇行してしまったり、遠回りしてしまったりもする。でも、だからこそ交われるし、手を取り合って頑張りあえるから目標を達成したときの喜びも倍だよねという。人間臭い一文だと思うんですけど、すごく気に入っています。
なお:この曲は全てが絶妙なバランスなんですよ。始まりは歌とピアノで、俺はこのジャケットみたいに、ちょっと孤独感を感じるんです。だけど弾けて激しくなって、サビで明るく力強くなって、優しさも出てくる。20年、30年後のワンマンで俺たちがやっても形になると思います。全年齢対象の曲というか、どの年齢の人でも鼻歌で口ずさめる曲です。
まゆ:この曲はギターも歌を引き立たせるために、ということをすごく考えて弾いたので、すんなり聴けると思うんです。聴覚上もそうだし、サビのきらびやかさを出すために、聴こえないような部分も録っていたりもするので。ド頭のギターも曲の雰囲気を左右する重要なポイントだと思っています。ただ今回は、歌を聴いてもらうためのギターを弾いたので、聴くよりも感じてもらいたい。だからとりあえず再生ボタンを押して、この曲の世界を感じてもらえたら嬉しいです。
Rei:「AGAIN」は僕たちDaizyStripperの名刺代わりになる楽曲になっていると思うんです。歌詞にも過去のことが載っていて、過去があってこれから再スタートする曲なんだよ、ということを自分たちにも暗示する楽曲ですね。もし僕たちがこの先迷いそうになったときにこの曲を奏でたら、こういう気持ちもあったよね、と教えてくれる楽曲でもあると思うんです。だから、今まで付いてきてくれたファンの子は、これを聴いて「こんな時もあったな」と思うだろうし、新しく聴いてくれてここから一緒にスタートする子には、これを聴けば全てを感じ取ってもらえると思うので。聴くのは今からでも遅くないと言える、DaizyStripperの新しい入口になる楽曲です。
――ちゃんと入口が用意されているんですね。
Rei:新しく聴く子たちは、ここから始めてくれたらなと思います。
風弥:個人的にはちょっとしっとりしている2サビ後のセクションがすごく気に入っています。デイジーはサビ以外のメロにもすごくこだわっていて、そこに自分の好みをぶつけるというか。今回も、すごくしっとりしたところから最後のサビのクライマックスに向けて、1から100まで持っていくような坂道をDメロのメロディーとアレンジで表現しました。楽曲を作ったとき、自分の中で全部のトラックが同時に鳴っているんですけど、それをイメージ通りに実際に形にするのはすごく難しくて。試行錯誤して、何日もかけてできあがったのがこの最後の駆け上がりなんです。そういうセクションごとの繋がりも聴いてほしいですね。
◆築き上げてきたものの集大成(Rei)
02. decade~10年後の僕らver.~(作詞:夕霧/作曲:風弥)
夕霧:正に10年後の僕らが歌った歌です(笑)。全部録り直しました。
――今回、頭にカウントが入っていたり、鍵盤が入っていたりしますね。
風弥:あ、確かに! 俺は意図的に変えたというより、ライブやリハで何千回とやっている中で体に染みついたものをレコーディングした感じです。自分的にはライブそのままの音を叩いたから前の作品と同じだと思ったんですけど、叩き終わってみるとやっぱり以前の「decade」とは違うなと。カウントについて言っていただいて気付いたんですけど、俺にとってはライブ中に必ず入れるものだけど、改めて考えてみると、「そうか、元々はカウントがなかったんだ」とか。言われて初めて「なるほど!」とたくさんのことに気付かされた、すごく自然なテイクなんです。
夕霧:さらに今回は2016年の9周年の野音で録ったファンの子の歌声が、かなりガッツリ入っています。
――夕霧さんの声は元の曲よりもさらに華やかな印象です。
夕霧:昔に比べて今のほうが太い声が出せるようになったからかな。それに、もう100万回くらい歌った曲でもありますからね(笑)。
なお:今回、ギターはあまり変えるつもりはなくて、整理整頓した感じですね。別に難しいことを入れるつもりもないし、昔「decade」を録るときに風弥君が言っていた“中高生でもコピーしやすいようなアレンジ”になっています。
まゆ:ライブをやっていく中で前の音源から変わった部分はあったんですけど、基本はそんなに変わっていないです。本当に今の音、今の自分で弾いてみたらどうか、という感じですね。
なお:変わったのはギターソロぐらいだね。
まゆ:そうだね。元々は俺がソロを弾いていたんですけど、俺が活休しているときに、それをなおちゃんが受け継いで弾いていて。戻ってきたときに、また前のスタイルに戻すかという話もちょっと出たんですけど、「DaizyStripperの歴史を、そのまま今の形で収めようぜ」ということでそのままになっています。
――正に10年後の僕らなんですね。
まゆ:本当にそうですね。
Rei:ベースも同様に整理した感じです。思い出をそこまで変えるものでもないと思うし、築き上げてきたものの集大成として出しているものなので。
まゆ:あ、でもサビの音の流れが俺はちょっと違ったんだよ。いつの間にか変わってた(笑)。
Rei:単純にそういうことだよね(笑)。「10年後の僕らver.」にはファンの子たちの声が入っていて、夕霧は希望に満ち溢れた声をしているのを感じるから、ライブの情景が見えてファンの温かさに包まれている夕霧が想像できる。それがレコーディングに表れているなと思います。
まゆ:華やかになって、カーニバル感がすごく増えたよね。10thアニバーサリーって感じ。
――今回と過去の「decade」を少しずつ聴き比べたら、色々発見があってとても面白かったです。
なお:すげぇ! デイジーのこと、めっちゃ好きじゃん(笑)!
全員:(笑)
風弥:あとはそういうふうに、10年近くいろんな経験を積んだので、「AGAIN」と同じように聴こえない音を入れていて、もっと膨らみを出したり、ちょっと雰囲気をソリッドにしたり、というテクノロジー的な工夫は盛り込んでいます。ピアノがわかりやすいですけど、ピアノではない空気の音みたいなものを工夫して入れて作り込んでいるんです。
――あの音たちは、そういう仕掛けの上に成り立っているんですね。見えない音に時間を割く、すごく贅沢な作りです。
風弥:そうですね。誰も気付かないんですけど、「何か違う」「何かカッコいい」というその何かを演出するための時間でした。
◆今後のDaizyStripperが、ますます輝いていくことは間違いない(夕霧)
03.WHO KILLED THE FIGHTER?(作詞:夕霧/作曲:風弥)
――この歌詞を読んで、「コンボ!」と思いました(笑)。
夕霧:(笑)。お察しの通り、歌詞のテーマはゲーム「ストリートファイターⅡ」の主人公、リュウです。俺、リュウがすごく好きなんですよ。彼はすごく自分に厳しくて、「俺は俺より強いやつに会いに行くんだ」と言って、優勝しても表彰台にも上がらず、すぐ自分探しの旅に出るんです。そういう強い気持ちから俺は学ぶべきところがあると思っていて。
――リュウへの愛がビシビシ伝わってきました。
夕霧:ですよね(笑)。最近、c/wで他の人には書けないような、自分が好きなサブカルに関するものを書くのがマイブームで(笑)。今回はリュウの名言や、リュウと言えばこれというものがたくさん出てきています。そして、ストⅡの世界ランキング1位の人と言えば、今もう頭に浮かんでいると思いますけど…梅原大吾。
なお:携帯に画像出してる(笑)!
夕霧:この梅原大吾さんはリュウの使い手で、リュウで世界を取ったから最近はガイルに変えた人なんです。ガイルでもめちゃくちゃ強いんですけど、梅原さんといえば、やっぱりリュウなんですよね。俺は何かの間違いでこの記事を梅原さんが読むことを楽しみにしています。
――ご本人にこの熱を届けたいですね。
夕霧:届けたいです! YouTubeで検索すると出てくるんですけど、ハンパないですよ。超エンターテイナーで、あと1個で負けるというところまでわざとやられて、そこから大逆転して勝つような人なんです。魅せるストⅡのプロゲーマー・梅原大吾…よろしくお願いします!
全員:(笑)
――梅原さんへの愛もビシビシ伝わってきました(笑)。それにしてもこの曲のキーは高いですね。
夕霧:そうですね。一番高いところはデイジーの歴代ベスト3に入るかも。最初風弥がこの曲を持ってきたときに出るか心配したくらいで、女の子もこれはなかなか出ないんじゃないかな。
風弥:勢いで作ったところもあるんですけど、そもそもこの曲はドラムとベースのバトルの曲にしたいなと思っていて。そうすると、解放弦が鳴るような、楽器が一番弾きやすいキーというのがあるんですよ。それに合わせて作った結果、ヴォーカルが高めになっちゃったんです。ただ、ここらで最高音をやってみようかな、という。
夕霧:「紅」より高い?
風弥:うん。世間に「うちのヴォーカルはこんな高い声が出るんだぞ! どや!」と示したいということもあって、ここでブッこんでみました。
夕霧:ライブでちゃんと出るかしら…。
――梅原さんを思い浮かべれば、きっと大丈夫ですよ。
夕霧:そうか。ウメさん…!
全員:(笑)
――それにしても、ベースとドラムのバトルが素晴らしいです。
Rei:そうですね。ライブでも色々と遊びを入れていきたいと思うし、この曲をもっと育てたらいろんなアプローチができると思うので、それも見どころの一つかなと思います。このバトルはその日のライブごとに色々あると思うので、ぜひ注目していただきたいです。
なお:交互にベースとドラムというのは、これまでありそうでなかったから聴いていて面白いよね。ライブが楽しみです。見せ方の選択肢がいっぱいあるし、ファンの子も楽しみにしてくれるんじゃないかな。
まゆ:でも、この曲はテンポが速いんだよ。しかもリフが難しい!
――過去最速だという「ARREST」(2015年1月リリースの18thシングル)とどちらが速いですか?
風弥:BPM自体は「ARREST」のほうが速いんですけど、今回は16ビートだから手の速さで言ったらこっちのほうが速いです。
なお:でもプレイ的には圧倒的にこっちのほうが難しいよね。
まゆ:これ、絶対ライブで難しいよ!と思って。レコーディング前も練習しながら、「レコーディング本番で多分2回くらい泣く!」と思いながらやってましたからね(笑)。
――これはかなり過酷な楽曲だと思うので、ライブで早く聴きたいです。
夕霧:そうですね。アルバムコンセプトツアー2017「11 CHRONICLES」でも「AGAIN」の曲もやると思うので楽しみにしていてください。
――さて、10周年を経て、この後DaizyStripperはどうなっていくんでしょうか。
夕霧:メジャーデビューも決まり、7月26日に『AGAIN』が出て、さらに過去のアルバムを振り返るコンセプトツアーも決まっております。メンバー的には今とてもいい意味でフレッシュな気持ちになっていて、むしろもっと頑張らなきゃなと根っこを強く生やしている所存でございます。今後のDaizyStripperが、ますます輝いていくことは間違いないと思いますので、いつも応援してくれる方も、今日初めて知ってくれた方も、ぜひこれからもご贔屓に…ということで、ご機嫌麗しゅう。
――美しい締めの言葉をありがとうございました。「decade」(10年)の次は「score」(20年)を楽しみにしております。
まゆ:「score」っていうんだ! 初めて知った!
夕霧:「20年後の僕らver.」はアルバム『score』に収録だな。20周年のアルバム、決まっちゃったね(笑)。
(文・後藤るつ子)
DaizyStripper
<プロフィール>
夕霧(Vo)、なお(G)、まゆ(G)、Rei(B)、風弥~Kazami~(Dr、Piano)の5人からなるロックバンド。2007年3月結成。6月5日に高田馬場AREAでデモストレーションライブを行った。2008年2月1stシングル+DVD『ダンデライオン』をリリース。以降19枚のシングル、7枚のフルアルバムを始めとする数々の作品をリリースしながら、精力的にライブ活動を展開。2016年、バンド初となる全国47都道府県制覇TOUR「47 Runners High」を行う。バンド始動から10年目の2017年6月5日にTOKYO DOME CITY HALLで10th Anniversary 47都道府県TOUR 2017 GRAND FINALE 「KISS THE FUTURE~僕らの帰る場所~」を成功させた。
■オフィシャルサイト
http://daizystripper.com/
【リリース情報】
『AGAIN』
2017年7月26日発売
(CJ Victor)
【収録曲】
■初回限定盤A
[CD]
01. AGAIN
02. decade~10年後の僕らver.~
[DVD](※初回限定盤Aのみ)
・「AGAIN」MUSIC CLIP
・「AGAIN」MUSIC SLIP
・MAKING
トレーディングカードA(全10種からランダムで1枚)封入
■初回限定盤B
[CD]
01. AGAIN
02. decade~10年後の僕らver.~
豪華フォトブックレット(初回限定盤B ver)
トレーディングカードB(全10種からランダムで1枚)封入
■初回限定盤C
[CD]
01. AGAIN
02. decade~10年後の僕らver.~
豪華フォトブックレット(初回限定盤C ver)、トレーディングカードC(全10種からランダムで1枚)封入
■通常盤
[CD]
01. AGAIN
02. decade~10年後の僕らver.~
03. WHO KILLED THE FIGHTER?(※通常盤のみ収録)
トレーディングカードD(全10種からランダムで1枚)封入
【ライブ情報】
●DaizyStripper アルバムコンセプトツアー2017 「11 CHRONICLES」
Day1【THE BEAUTY Day】 7月27日(木)新宿BLAZE
Day2【BIRTH Day】 8月1日(火)札幌COLONY
Day3【LOVE Day】 8月2日(水)札幌COLONY
Day4【BLESS Day】 8月11日(金)大阪MUSE
Day5【SIREN Day】 8月12日(土)名古屋CLUB UPSET
Day6【AIR Day】 8月19日(土)新潟GOLDEN PIGS BLACKSTAGE
Day7【HUMALOID Day】 8月20日(日)仙台LIVE HOUSE enn 2nd
Day8【TRAGUS Day】 8月24日(木)福岡DRUM Be-1
Day9【SIRIUS Day】 8月26日(土)岡山IMAGE
Day10【HOME Day】 8月27日(日)高松DIME
FINAL Day【SINGLE&COUPLING Day】 8月31日(木)新宿ReNY