CHIYU

今までにないCHIYUをファンの人に知ってもらいたい

「あいすくりん」は不思議なタイトルですが、どのように生まれたのでしょうか?

CHIYU:「あいすくりん」「ヒトリ籠」は、今までこういうジャンルの曲を作ったことがなくて、恋愛の歌詞も一度も書いたことがないので、自分の中で挑戦でした。今までにないCHIYUをファンの人に知ってもらいたいなという部分から、恋愛ソングを書いてみようと思ったんですけど、まず、恋愛ソングって何だ?となったんですよ(笑)。アイスクリームって最初は綺麗な形をしているじゃないですか。でも、時が経てば溶ける。一度溶けたら元の綺麗な形には戻らない。それを恋愛と掛けてみたくて。最初は「好き好き」って綺麗な形で付き合って、いろんな理由があってどんどん溶けて別れるという。なので、アイスクリームが溶ける前に勇気という壁を持って、もっとちゃんと伝えたいことを伝えられていたら、これは溶けなかったんじゃないかなという意味合いを込めた曲にしてみました。

R&B的な曲で、ベースの音色もデジタリックですね。

CHIYU:元々デモ段階ではベースをスラップで入れていたんですよ。でも、これは生ベースいらねーなと思って、全部シンセベースにしました。そのほうが曲に合うかなと思って。スラップver.もカッコよかったんですけどね。「あいすくりん」「ヒトリ籠」は多分ライブでベースを弾かないので、歌に集中しようということも相まって、シンセベースを入れちゃいましたね。

「あいすくりん」はAメロでもサビでもないセクションから始まるというのも、なかなか新鮮だなと。

CHIYU:そうですね。ライブの時、コードも何もない状態で一発目から歌うから、すげー不安なんですよ(笑)。結構難しいですね。でも、この2曲はライブでハッとしてほしいという思いがあって。

新しいCHIYUさんが見られる2曲になりましたね。ちなみに、「ヒトリ籠」のほうはギターソロ前にベースが目立つ箇所が少しありますよね。

CHIYU:あそこもいろんなパターンを考えたんですけど、最近買った機材にワウベースが入っていたから、どうしても使いたくなって(笑)。そういうこともありつつ、ちょうど抜けポイントだったので変な音色を使っても合うかなと。ちょっとした遊びです。

このタイトルもまた特徴的です。

CHIYU:これもすごく悩みましたね。歌詞はあまり具体的に言うとグロい話になっちゃうので言わないですけど、失恋+エロい要素を入れたくて。好きな人に沈められていく話なんですけど、「嫌」と言ってしまうと嫌われる恐怖…という壁(笑)。そこから抜け出したいけど抜け出せないから、檻の中に閉じ込められているというイメージがあって、このタイトルになりました。

恐ろしい曲ですね(笑)。

CHIYU:最後のほうに〈愛喰らい〉という部分があるんですけど、あれは「I cry」という意味も掛かっていて。なので実は泣いているんですよね。恐ろしい…ヴィジュアル系が好きそうな曲(笑)。ただ、そういう裏テーマというか、ダブルミーニングみたいな歌詞もやってみたかったんですよね。歌詞で想像してみてほしいです。

CHIYUさんって、何となくエロ要素を求められている感じがありますよね。

CHIYU:求められているのはわからんでもないんですけど、めんどくせってなっちゃうというか(笑)。今までこういう歌詞は小っ恥ずかしくて書けなかったんですよね。この曲は元々もうちょっとポップめで、テイラー・スウィフトの少しロック版みたいな感じだったんですけど、最終的に結構ロックになったので、途中まで書いていた歌詞を一旦白紙にして、恋愛ソングでちょっとエロ要素を入れた歌詞にしたいなと、本当に曲に引っ張られたんですよね。

そうだったんですね。そして「嘘のない世界」はドラム始まりからベースが入ってグッと引き込まれるイントロで、疾走感のあるキャッチーな曲です。間奏ではギターとベースの掛け合いもありますね。

CHIYU:こういう交互に弾くというのは今まであまりなかったんですよね。せっかくスリーピースで前は二人しかいないので、ライブの画としてカッコよく見せたいなと。歌詞は完全に映画に引っ張られた内容です。世界に一人だけ嘘をつける奴がいて、その嘘を全員信じてしまうから、どんどんとんでもない世界になっていくという映画があって。嘘のない世界になったら、実際どうなるんだろうなと、それを自分で噛み砕いて歌詞にしていきました。

2枚目のファンへのラブレターという感覚

「TRICK STER」は唯一のゴリゴリベース曲であり激しい曲で、尺が2分39秒という短さです。

CHIYU:イベントで使いやすいやつ(笑)。

(笑)。次の「V.I.P.」に繋げるために書いた曲なのかなと思ったのですが。

CHIYU:いや、元々納期ギリギリまで違う曲だったんですよ。ライブ曲ではあったんですけど。「ベース始まりの曲を作りたいからちょっと待って」と言って、何とか作って差し替えました(笑)。これが最初のほうで話したベーシストを思い出すためだけに作った曲ですね。

この曲に入っているコーラスはどなたですか?

CHIYU:自分と美月も入っています。ちょうどコーラス録りをしている時に「お前暇やろ? 来い」と言って(笑)。「V.I.P.」の原曲は美月が書いたので、それのコーラスと、ついでにこれも一緒に録ってもらいました。俺はシャウトみたいなものがあまり得意ではないので。

美月さんは得意ですもんね。

CHIYU:アイツはワーワーしか言わないので(笑)。

「V.I.P.」は再録を除いて今作で唯一CHIYUさん作曲ではないわけですが、今回なぜ美月さんにお願いしたのでしょうか?

CHIYU:お願いしたというか(笑)、ソロをやり出した最初からそうなんですけど、美月が色々と曲を作っている段階で「あれ? これCHIYUに合うんちゃうん?」となっていったりすることがあるみたいで、これは美月が「こういうのできたんやけど」と投げてきた1曲なんですよ。で、「めっちゃ良いやん」と。そこからサビメロを変えたり、尺をいじったりしているんですけど、原型はアイツのやつですね。やっぱりアイツはライブノリの曲が得意で、俺の今までの曲も全部知っているし、ライブも観ているので、俺に足りない、ここのゾーンでこういう曲があったらなというのも知っていて、そういうのを狙い撃ちで持ってきてくれるんですよ。なので「おー、君採用!」と(笑)。

仲良しですね(笑)。

CHIYU:(笑)。アイツが作った曲なので、やっぱりベースソロは入れてくるという。フレーズはちょっと変えましたけどね。

これだけゴリゴリな曲でありながら、間奏で急にジャジーな展開をするのがまた面白いし、最近の美月さんっぽさもあるなと。音楽的にThe THIRTEENも最近色々な要素を取り入れているので。

CHIYU:確かにそうですね。

歌詞としてはなぜ夏をテーマに?

CHIYU:これはライブで絶対盛り上がる曲にしたいなと思ったので、どこでもできるように、あまりちゃんとした歌詞を付けたくなかったんですよ。ナンパしまくって大人の階段上ろうぜ、イェーイ!みたいなアホっぽい曲にしたくて(笑)。曲も激しいところはありますけど、ポップでライブノリがすごく良さそうなので、これくらいのほうがハマるなと。曲調的に決して冬ではないと思うんですよ(笑)。ちょっと夏終わり頃の感じなので、秋としてジャジーなベースソロがあるみたいな感じかもしれないです。季節の変わり目、夏の終わりらへんにナンパして成功したのかという、その時系列は夏秋らへんですかね(笑)。

そんなストーリーが(笑)。そして、最後は温かなメッセージソング「I’ve found you.」で締め括られるわけですが、ここまでストレートに歌を聴かせる曲で、なおかつほぼピアノと歌だけで1コーラス聴かせるのは結構覚悟が必要なんじゃないかなと。

CHIYU:1サビ終わりまでは、イメージとして手紙を朗読している風にしたかったんです。で、バンドオールインしてから、「皆で行こうぜ!」というようなテンション感に持っていきたくて。これは「未完成のヒマワリ」(2018年8月発売シングル『未完成のヒマワリ畑』収録)のアンサーソングみたいな感じなんです。その曲はファンへのラブレターのように書いた曲で、コロナ禍にそのアコースティックver.を作ったんですけど、ギターのフレーズで変な終わり方をしているんですよ。そのフレーズから「I’ve found you.」が始まっています。なので、歌詞も「未完成のヒマワリ」から引用していたり、全部繋がっているので、2枚目のファンへのラブレターという感覚で書いていました。だから、今作の「壁」というテーマとしての観点で言うなら、自分とファンの誰にも壊せない壁として入れましたね。

なるほど。ストレートに歌を聴かせる曲は、CHIYUさんとしては気負いますか?

CHIYU:歌自体は気負いますよね(笑)。今回レコーディングして、ベースに関しては何も思わなかったんですけど、歌はもっと鍛えないとなと思いました。自分がこうしたいと頭の中で描くものをちゃんと具現化できるように特訓しないと。この曲もちゃんと伝えたいので、ライブではベースを弾かないようにしようと思っています。

以前から思っていたのですが、CHIYUさんはハートが強いなと。

CHIYU:本当ですか。ガラスのハートですよ(笑)。ライブで「今日ダメだ…!」って、めちゃくちゃ挫けている時もありますから(笑)。もうちょっとやれたらなと思いますよね。

12月にはThe THIRTEENとのツーマン東名阪が決定しています。

CHIYU:初めてファンの前でやる曲も結構増えると思うし、やっぱり今までと違う見せ方はしたいなというのはあって。曲も増えたから色々な組み方ができるなと。意表を突くのか、安定してパワーアップさせるのか、裏切るのか…どれで行こうという悩みがあって。これも入れたいし、あれも入れたいしと、その葛藤の中でまだすごく悩んでいます。今日もライブで使うデータの整理をしていたんですけど、それをやっていく中でまたちょっと構想が見えてきたので、3本ともやっぱり違うライブにしたいなとは思っています。なので、3本とも来たほうがいいよというのは伝えたいですね(笑)。

そして、今年の締め括りとなる恒例の聖誕祭が12月27日にあります。

CHIYU:フルアルバムが出て初めてのワンマンになるので…どうしよう(笑)。

全部盛りになるのかなと。

CHIYU:まぁそうですね…全部盛りもできるし、あえてやらないというのもできるし(笑)。でもその日にやらなかったら、できるライブが今のところないしな。やっぱりアルバムをちゃんと表現したいというのはもちろんあるので、そこを表現しつつ、プラスアルファ既存曲を混ぜての化学変化を見せたいですね。今までソロ活動をしてきたCHIYUとしての主軸というものを、ここで一回ちゃんと固めたいなと。2021年までのCHIYUのベストライブセットリストです!というものを作れればなと思っています。

楽しみです。最後に、何か言い残したことはありますか?

CHIYU:今作のCOMPLETE EDITIONはライブに来ても買えるし、オフィシャルサイトからクリックしたら買えるよ(笑)! すごくお洒落なコースターも付いてるよ(笑)!

(文・金多賀歩美)

CHIYU

オフィシャルサイト

リリース情報

New Album『SCREAM on the WALL』
2021年11月24日(水)発売
(FUN ALL MUSIC)

[通常盤](CD、ジュエルケース、ブックレット16P)FAM-10005 ¥3,300(税込)

[COMPLETE EDITION](M∞CARD、PHOTO ALBUM、限定オリジナルグッズ) ¥11,000(税込)

※オフィシャル通販、ライブ会場限定

収録曲

[CD]※共通

  1. Egoistic GAME(Vocal Re-recording Version)
  2. Own weapon
  3. 無限の風(Vocal Re-recording Version)
  4. Keep it real
  5. あいすくりん
  6. ヒトリ籠
  7. 嘘のない世界
  8. TRICK STER
  9. V.I.P.
  10. I’ve found you.

[COMPLETE EDITION M∞CARD]

  • 全収録曲
  • 「Keep it real」ミュージックビデオ
  • メイキングMOVIE

※M∞CARDは音楽や映像を楽しめるダウンロードカードです。

[COMPLETE EDITION PHOTO ALBUM]

  • A4変形サイズ 正方形、フルカラー48P
  • 収録曲歌詞掲載
  • ロングインタビュー

[COMPLETE EDITION 限定オリジナルグッズ]

  • レコード型コースター(全1種1枚)
  • ランダムチェキ(1枚)

ライブ情報

●「The THIRTEEN 5th Anniversary presents IKKIUCHI -拾参番勝負-」
出演:The THIRTEEN、CHIYU
12月1日(水)高田馬場CLUB PHASE
12月6日(月)OSAKA RUIDO
12月7日(火)名古屋ell.SIZE

●「聖誕祭 2021 ~SCREAM on the WALL~」
12月27日(月)下北沢ReG
※生配信あり