BAROQUE

BAROQUE

最新シングル『G I R L』を世に放ったBAROQUE。その音楽に確たるヴィジョンと信念をもち、自らが思い描く未来へと突き進む彼らをフィーチャー!

淡いピンクのジャケット写真にガーリーなMV…その意表を突くアートワークや映像でリリース前から世間を驚かせたBAROQUEのニューシングル『G I R L』がリリースされた。L’Arc~en~CielのギタリストKenをプロデューサーに迎えたこの作品は、昨年5月にリリースしたアルバム『PLANETARY SECRET』に続く、次なるアルバムへの礎となるものだという。四人体制から二人体制になったことで決して平坦ではない道を歩むこととなりつつも、それをきっかけに自らを見つめ直したという彼らが見据える未来について、そしてその一端が垣間見える今回の作品について、怜(Vo)と圭(G)に話を聞いた。

◆色々な経験があったからこそ今は全てを前向きに捉えられる(怜)

――圭さんは今年8月のNOCTURNAL BLOODLUSTのCazquiさんとの対談、怜さんは2013年のシングル『たとえば君と僕』のインタビュー以来のVif登場です。

怜:超お久しぶりです!

――リリースも久々ですね。

怜:そうだね。アルバム『PLANETARY SECRET』をリリースしたのが1年5ヶ月前で、シングルに至っては、それこそ『たとえば君と僕』以来だから。

圭:俺らは二人になって1回消滅しているに等しいからね。

怜:本当に、ここ何年かはすごく濃かった。

――前回、怜さんにインタビューした頃にベースの万作さんの脱退、その後ギターの晃さんの脱退と、バンドの体制に大きな変化がありました。二人になったことでBAROQUEに対しての向き合い方に変化はありましたか?

圭:そもそも“四人でのBAROQUE”を前提に復活したんですよ。そうしたら一人いなくなって。まさかいなくなるなんて思っていなかったし、とは言えスケジュールは決まっているから、やらなくてはいけないという状態でグチャグチャになって。

怜:どうにかしようって考えちゃったんだよね。

圭:そしてさらにもう一人いなくなって。もうBAROQUEをやる意味がわからなくなっちゃったし、お客さんもそう思っていたと思うんです。でも、そこから1年以上は活動しなくてはいけない状況だったから、二人とも「ライブをやっていれば何か見つかるかもしれない」と思ってやっていました。でも、なかなか見つからなくて。

――転機はあったんでしょうか?

圭:今から2年くらい前に、もう辞めてしまおうかと色々考えたんです。その時にもう一回、BAROQUEのあり方も自分の生き方も全てを変えようと思ったんです。最初のバロックは晃君と万ちゃんがいて、俺たちは誘われて入って何となく来たけどダメになって、そこで全部失った。でも過去を踏まえてこの先を考えたときに、俺が小学生のときに「ミュージシャンになりたい」と思って描いた未来を全部叶えたいと思ったんです。俺が変われば全てが変わると思ったし、元々の自分に戻す必要があった。そこから今に続いています。だから今のBAROQUEはBAROQUEではあるんだけど、0から新しいものに変わった感じです。

――Cazquiさんとの対談のときに、「最近になって、ギターに本当に真剣に向き合うようになった」と言っていましたよね。

圭:そうですね。それもやっぱりその頃からです。

怜:色々ありましたからね。元々俺は「この人の歌を歌いたい」という気持ちがあって。BAROQUEを0からやるにあたって、『PLANETARY SECRET』を出す前にしっかり話して向き合いました。ちゃんと向き合えたからこそ始まったのかなと俺は思っています。もちろんそれまでの過去を否定しているわけではなくて、すごく色々な経験があったからこそ、それをきっかけに今は全てを前向きに捉えられているのかなと。それには『PLANETARY SECRET』を出したことが大きいわけだけど。

――怜さんは前回のインタビューで、「音楽が好きで歌っているというよりも、BAROQUEが好きだから歌っている」と言っていましたね。

怜:俺は圭の世界観だったり、その中で表現できることがすごく好きなんだよね。

――『PLANETARY SECRET』で、お二人で作るBAROQUEの形がはっきり見えた気がしました。

怜:そうだね。俺らは、圭が生んだ表現に俺が乗るというお互いの役割がすごく明確なんですよ。

圭:役割が全然違うんだよね。最初に俺がやりたいことを怜に話して、それに怜が詞をつけて歌うという感じ。

怜:俺が深く潜っていくというか。

圭:『PLANETARY SECRET』を出す前、今後の人生で何をしていくかを考えたときに、出したい作品やテーマがたくさんあったし、それをBAROQUEでやるべきだと思ったんです。だから、そこからのBAROQUEは言うなれば銅像を作る前のような…銅像ってそこに何を作るか見えないと作れないでしょう? それと同じで作るべきものがわかっていて、この表現をするべきだということがすごくはっきりしていたんです。だから作品も、1枚目はこういう感じ、2枚目はこういう感じ、その次はこんな感じ…というところまで見えているんです。

――そんなに先まで見据えているんですね。

怜:うん。軸があるからそのまま進んでいる感じです。

圭:だから今回、「GIRL」のMVを見てびっくりした人もいるかもしれないけど、俺たちの中では想定内なんです。BAROQUEは、バンド名の表記がカタカナだったり小文字だったりした時期があるけど、大文字は結成時に「あり得ない」と言っていたんですよ。でも、そんな大文字表記の今、ある意味完全体になるような活動をしていかないといけないと思ったんです。だから、アートワークもグッズも写真も自分たちで納得しないものは出さないし、自分たちがカッコ悪いと思うものは絶対にやらないようにしようと決めて始めたんです。

怜:伝わる方法を考えながら、いいと思うことを全力でやっています。だから、ファンの人たちには安心してほしいし、「誰かにやらされているわけじゃないよ」ということをわかってもらえたら嬉しい。

――ファンの方々はこれを聞いてホッとすると思います。

怜:そうだよね。これはぜひ発信しておきたいです。

圭:そして、いい意味で裏切り続けたいなと思っています。

――今回の作品は、アートワークの面でも驚かされました。ピンクのジャケット写真と言えば『sug life』が浮かびますが、より“GIRL”な感じだったので。

怜:圭が、この曲をやろうと言って来たときに、色のイメージについても聞かされたんですよ。だから、すごくわかりやすく進めました。

圭:イメージができたときに、もうほとんどが見えているんです。それを実際に具体的なものにできるかどうかのほうが大変なんですよ。BAROQUEはそういうプロジェクトだと思ってもらったほうがいいかもしれないですね。

◆男の人は少年に戻り、女の人は少女に戻るような、童心を描く作品(圭)

――「GIRL」は実に多幸感に満ちた曲ですね。オフィシャルサイトに書いてあった「音楽、芸術本来の持つ力を信じ、人々に希望を与え、この世界で生きるということの素晴らしさを伝えていきたい」を体現していると思いました。

圭:『PLANETARY SECRET』は夜中に一人で星空を見上げて物思いにふけるような、そこで自分と対峙していくようなアルバムですよね。自分たちの誕生というテーマもあったし、すごく哲学的で、自分たちの人生観みたいなものが表れた作品だと思うんです。『PLANETARY SECRET』でそれを書き切って、それが核になった。じゃあその次に何を表現しようかと思ったときに、夜が明けて必ず朝が来るように、人間も朝になれば、家族や社会という人との関わり合いの中での自分というものになっていく。そういう世界を描きたいと思ったんです。現実社会を見回すと、みんないろんな問題や悩みを抱えて自分本来の姿を見失っている気がして。だから、次のアルバムでは、その人自身も気づいていないような本当の姿を気づかせられる、男の人は少年に戻り、女の人は少女に戻るような、童心を描く作品にしようと思ったんです。そんな中で最初にできた曲が「GIRL」でした。

――シングルとしてリリースすることは決めていたんですか?

怜:当初シングルカットする気はなかったんだよね。

圭:本当は、『PLANETARY SECRET』を出してすぐに次のアルバムをリリースしようと思っていたんです。でも、正直に言うと、『PLANETARY SECRET』はコマーシャルな作品じゃなかったから、セールス的には売れなくて。

――あの名盤が世に広まっていないというのはとてもショックなんですが…。

圭:それは出す時から承知の上だったし、これから先の未来、本当の意味で広がる作品になるだろうと今も思ってます。ただ、いろんなことにお金をかけ過ぎたこともあって、「このままじゃ次の作品は作れません!」という状態だったんです。それがKenさんとの出会いもあり良い方向に流れが変わり、シングルをリリースできる事になったんです。

――確かに『PLANETARY SECRET』は作品の随所にこだわりが感じられて、お金がかかっているんだろうなとは思っていました。

圭:かかってます。びっくりしちゃいましたよ(笑)。

怜:そうなんだよね(笑)。でも、こだわり抜いた事によって、この先に生まれていくものもあるし、始まりでもある。今後いろんなところでBAROQUEを知ってくれた人たちが、後に手に取ってくれる作品だと思っているから。それに、最近は「PARTY ZOO」もあったりして、外に出て行くことが多かったんだけど、そこですごくたくさんの人にアルバムを手に取ってもらえて、ありがたかったな。

圭:あと、これは大切な事なので何度も言いますけど、あのアルバムの本当の意味がわかるのは、もう何年か後だと思います。それは、後で評価される作品ということとは別に、「この曲はこの場所で」「こういうタイミングで」という自分達のイメージが具現化された時にはじめて多くの人にあのアルバムが生まれた意味が伝わる気がするんです。

――壮大な伏線なんですね。お二人が思い描く未来がとても楽しみです。

怜:でしょ? 自分たちも楽しんでやっていますから!

――ところで、「GIRL」の歌詞を読んで、マザーグースの「お砂糖とスパイスといろんなステキ 女の子って、それらで出来てる。」が浮かびました。お二人にとってGIRLのイメージは、SWEET(可憐)でBLAVE(勇敢)なんですね。

怜:そうだね。圭とよく「やっぱり女性には強さもあるよね」と話していました。

圭:3歳の女の子でも80歳のおばあちゃんでも共通する、少女っぽい心ってあるじゃないですか。女性はいくつになっても乙女だと思うんです。だけど前に海外のCMで、いろんな年代の女の人に「女の子みたいに走って」と言うと、思春期を越えた女の人は可愛い感じで走るけど、小学校に入る前ぐらいの女の子は全速力で一生懸命走る…というのを見て、すごく感じるものがあったんです。女性は子供を産んだり、男よりもはるかに強いと思わせられるようなことがいっぱいあるじゃないですか。精神的にも女性のほうが強いと思うし。そこに、乙女心とは別のいきいきとした強さというか、女の人の本質の美しさを見た気がしたんです。

怜:『PLANETARY SECRET』のMVのときに小さい子がすごく力強いし、エネルギーに満ちあふれているのが印象的で。その話を聞いたときにパッと思い浮かんだんだよね。

圭:そういう絶対的なパワーというか、エネルギーを呼び起こさせるような曲にしよう、とは思っていました。

――BOYではなくGIRLというのが面白いなと思いました。

圭:BOYについてもよく話していたんだけど、自分たちが男だからよくわかっているんですよね。

――GIRLには、より未知な部分があるんですね。

圭:全然未知です。

怜:未知だからこそ、歌詞にするのはすごく難しいだろうなとは思っていました。初めはやっぱり、どう伝えたらこのGIRLというものが伝わるんだろうか、から始まったし。詩的にしてしまうとちょっと違う…、でも日本語で書くと、こっ恥ずかしいぐらいスマートじゃないと伝わらない…、もしくはもっと幻想的な…と、色々考えて。そんな中で、全ての人に伝わるように英詞はどうだろうと思ったんです。今回、初の全英詞だったので、アドバイザーを付けて案をもらいつつ構築していったんですけど、結果これで良かったなと思います。

圭:俺は、日本語詞にしたら変にあざとくなり過ぎて、かえって伝わらないんじゃないかと思っていたんです。それに、この作品に関しては、文章で読むほうが入ってくるんじゃないかと思ったし。

怜:もしかしたら日本詞も入ったほうがいいんじゃないかと思って、その混合させたバージョンも書いてみたりしたんですけど。やっぱり最終的に手に取ったのはこれでしたね。

――メロディとも映像とも、雰囲気が見事に合っていました。

怜:はまっていますよね。最後のレコーディングでは、英語のニュアンスをKenさんに一緒にディレクションしてより磨いてもらったので、これで良かったなと思います。

◆当時なかった全てのものが、完璧に自分の目の前にある(怜)

――今回、Kenさんが参加したのは、どういういきさつだったんでしょう?

圭:Kenさんが去年の大晦日のイベント「Tokyo Chaos」にBAROQUEを観に来てくれて、その時にすごく気に入ってくれたんです。連絡先を交換したら次の日に電話がかかってきて、「昨日のライブを観たんだけど、BAROQUEはどうなりたいの?」「これから先、どうなっていこうとしているの?」と色々聞かれて。ヴィジョンを話したら意見を聞かせてくれたんです。その頃、俺たちは『PLANETARY SECRET』を出してツアーが終わって、この先やりたいことがあった。そうしたら、次のアルバムに向う中で知りたかったことを、Kenさんが全部教えてくれたんです。そこまで色々教えてくれるなら、一度一緒に仕事ができないかと打診をしたら実現しました。

怜:いいタイミングでの出会いだったよね。

圭:自分たちには『PLANETARY SECRET』で確立した音楽性があって、次のアルバムのテーマがある。それを守ったまま、作品をより多くの人に聴いてもらえる形で広めたいという気持ちがあった。そのために必要なことをKenさんとの出会いで得た気がします。

――出会いは偶然というより、必然だった気がします。

圭:そうですね。でき過ぎているぐらいの(笑)。

怜:本当にそうだよね(笑)。

――でも、Kenさんとの出会い以降の流れは、お二人がしっかりヴィジョンを持っていたからこそ実現したことなんでしょうね。

圭:そうだと思います。「Tokyo Chaos」を観た後にKenさんから、「これはこれでBAROQUEは完成しているけど、この先どっちに行きたいの?」と言われた時に、すごくコアな音楽ファンに向けた玄人好みのロックバンドになりたいのか、それとも音楽性はそのままに、より多くの人に愛されるようなバンドになっていきたいのかを聞かれたんです。「多くの人に愛されるようなバンドになりたい」と答えたら、「じゃあ協力できることがあるかもしれない」と言ってもらえて。

――Kenさんはその答えを待っていたのかもしれないですね。

圭:そうでしょうね。「だよね!」って言っていましたから(笑)。

怜:あ、今の言い方、Kenさんにちょっと似てた(笑)。「だよね!」ってすぐ答えてくれたよね。

圭:そうだったね。KenさんはそこからBAROQUEを研究してくれたみたいで、「こういうのもBAROQUEの武器なんじゃないの?」「そういう面もいいよね」と色々教えてくれて。その中で、自分たちも改めて発見した部分があったし、『PLANETARY SECRET』を出したことで音楽的にも自信を持てているので、いい意味で自分たちのキャラクターを武器にしたほうが面白いことになるんじゃないかとも思えたし。今は、そういう余裕があるのかもしれないです。10代、20代の頃なんて、俺らは突っ張っていたじゃないですか。若かったから反発心があって。「見た目に注目するんじゃなくて音楽を聴いてくれよ!」と思ったりね。

――BAROQUEは実に特殊なスタートを切っていますよね。

怜:全てが駆け足だったからね。始まった途端に、だったから。

圭:だから音楽にもコンプレックスがあったし、ヴィジュアル系だからとなめられるのも嫌だった。だけど、今は自信があるんです。そこに辿り着けたのは大きいと思いますね。

――ところで、今回のMVは「唄」に似ているという意見がお二人から出ていましたね。そう聞いて久々に「唄」のMVを見ました。

怜:若い!と思ったでしょ(笑)。でも、MVチェックのときに「唄」のMVを思い出して、根本にあるムードというか、どこか似てるなと思って。飾らない何かがあって、伝わるものがあるなと。あの当時なかった全てのものが、完璧に自分の目の前にあるというか、何だかすごく不思議な気分だったな。

圭:俺は、『PLANETARY SECRET』の後に夜が明けた世界を書こうと思ったときに、きっとそういう部分が出てくるんだろうなとは思っていました。あえて意図したわけではないけど、やっぱり作っているのは同じ人たちなんだなという感じですね。よく12年周期なんて言うけど、今のBAROQUEは始まった頃に似てる部分もあるんですよ。昔も「唄」が転機になったし、あの頃あの作品は異色だった。あれからBAROQUEがガラッと変わって、たくさんの人が来てくれるようにもなった。そのときの空気と、今はちょっと雰囲気が近いなと。

――12年周期と言えば、今回の通常盤に収録された「ILA. REMIX by TAKEYUKI HATANO」の原曲は、ちょうど12年前の曲ですよね。だから、このタイミングでの収録なのでしょうか。

圭:この曲を入れたのもKenさんがきっかけだったんです。俺らが「リミックスを入れよう」と言ったときに、「『ila.』は良い曲だし、最近の曲より前の曲を入れたほうがファンの子も喜ぶんじゃない?」と言ってくれて。あと、「『PLANETARY SECRET』で切り替わったのはわかるけど、そこと過去をあまりにもバンドとして“切り離しています、関係ないですよ”というスタンスだと、ファンは寂しいんじゃない? でも『ila.』が入ることによって同じ一つの線として繋がる感じがするんじゃないかな」と言っていました。俺らも今だったら入れてもいいかなと思ったし、曲の雰囲気が初回盤の2曲と共通している部分もあったので。

怜:このシングル、すごく流れがいいよね。

――3曲がとても綺麗な一つの流れになっていますね。「ILA. REMIX by TAKEYUKI HATANO」はL’Arc~en~Cielでサポートキーボードをやっていらっしゃる秦野猛行さんが担当されていますが、リミックスをするにあたって方向性についてはどこまで伝えましたか?

圭:最初は何も言わないでやってもらったんですけど、結果的に結構言っていた気がする…(笑)。

怜:始めは原曲に近い形でリミックスしたバージョンだったんですよ。そこから色々お願いして変えてもらいました。

圭:原曲にあまり近づけないで、違う雰囲気にしてほしいとは言いましたね。

――原曲からガラリと雰囲気を変えた、今のBAROQUEらしい「ILA.」です。それにしても、原曲の「ila.」も、今聴いて全く遜色がないですね。

怜:確かに、俺もそう思います。もう12年も前の曲なんですけどね。

◆目をつぶったら何万もの人がいるところで演奏しているのが想像できる曲(圭)

――c/wの「PLAY」は、聴いていて明確に画が浮かぶ1曲でした。特に、Aメロの〈波の仕草が誘う方へ〉とギターが想像力を掻き立てます。歌詞とここまで深くリンクするのは、なかなか難しいのではないかと思ったのですが。

怜:この曲は、スタジオで圭が鍵盤を弾いて、俺がメロをラララでつけていった流れで、そのまま想像しながら書けたんです。泳いでいたというかリラックスして書いたかな。

圭:俺たちは基本的に曲先行で、メロも打ってあることが多いんです。でも、サウンドだけ聴いても景色が浮かばないと歌詞が出てこないと思うんですよ。例えば、クリスマスっぽい音とかホラー映画の音楽とか、音って言葉がなくても、イマジネーションを膨らませられるんですよね。

怜:波の強さまで聴こえてくるような感じで。歌は元々すごくエフェクティブだったんだけど、Kenさんのディレクションもあって、より風景とか時間の流れまで見えるような、人間らしさが入った感じですね。ライブでは少しエフェクトが強い分、人間っぽさがなかったんだけど、レコーディングをしていて、それがキーだったのかなと気づきました。

圭:この曲の始まりは、『PLANETARY SECRET』の「SKY WALKER」や「CELEBRATE」のようなエレクトリックのものが共存したトリッキーな曲の、夜が明けたバージョンを作ってみたかった、というところからなんです。

――実際に、それらの曲の続きで「PLAY」を聴いてみたんですが、延長線上にありながら開けている感じがしました。

怜:そうそう、まさにそういう感じ。何か嬉しいね。

圭:次のアルバムもそれだと思ってください。本当の核のようなものが『PLANETARY SECRET』で完成して、その音楽性は他にはないと思うし、ある種コアでマニアックだと思うんです。その核を守ったまま、どれだけ多くの人に愛される音楽にしていくかが、ここからの課題というか、勝負どころなんじゃないかと思っています。

――それによって、より多くの人がBAROQUEの音楽に触れられるようになりますね。

怜:そうだね。楽しみにしていてほしいです。

圭:この前の「PARTY ZOO」も、BAROQUEは名前しか知らないとか、名前も知らないという人が多かったけど、初めて観てすごく新鮮だったみたい。これまでもBAROQUEのライブに来てくれていた人たちはバンドの変遷を知っているけど、そうじゃない人の中には二人になったことでネガティブなイメージを持っている人もいただろうし、それすらも知らないで、元々二人組だと思っていた人もいたと思う。そういう意味で、すごくフラットに観てもらっている感じでしたね。

――さらに多くの人たちに披露できる場として、ソールドアウトしたXmasワンマンライブ「PERFECT WORLD」の追加公演として、2017年1月28日にBAROQUE ONEMAN LIVE「PERFECT WORLD 2」が決定しました。

怜:本当にびっくりするぐらいチケットが伸び始めたんです。でも、こうやってすぐ次に集まれる場所ができて良かった。

――ずっと見守り続けて来たファンの方々も嬉しいと思います。

怜:応援してくれている皆にもそう思ってもらえると嬉しいな。きっと、もっといろんな人に知ってほしいと願ってくれていると思うから。

圭:去年と今年は俺たちがバンドを始めて以来、初めてというくらい数字的な面で厳しかったんです。今までライブをやってお客さんが入らないことなんてなかったから。もちろんこれも普通じゃないんだろうけど、これまでそういう思いをしたことがなかった俺たちが、その苦労をものすごく味わった。それでも来てくれた人たちはすごく愛が深いと思うし、メンバーと変わらない、もしくはそれ以上に支えてくれたと思います。

怜:本当にそうだよね。

圭:彼ら彼女らが望むものはそれぞれだと思うけど、でもきっとBAROQUEがたくさんの人に愛されるということを望んでくれていると思うから、恩返しをしたいですね。俺たちは二人になって大変な思いをして、本当の意味でありがたみも知った。だから、これからお客さんが来てくれたら、もう絶対に離しちゃいけないと思う。今の俺たちは離れたときの恐さも知っているから。この苦労は良い機会、良い時間だったと思うし、俺たちに必要だったんじゃないかな。

――以前のBAROQUEは順風満帆で突き進んできましたからね。

圭:そうなんだよね。

怜:でもそういうことを思い返しても、昔からあった「より多くの人の前で歌いたいという気持ち」は変わらないんだなと思った。

圭:そうだね。『PLANETARY SECRET』と『G I R L』の曲達に共通しているのは、目をつぶったら何万もの人がいるところで演奏しているのを想像できる楽曲か?というところなんです。自分らしさを一つも失わないまま、そういう可能性を持った曲を作ろうと決めている、それが以前のBAROQUEとは決定的に違う点ですね。きっと、Kenさんとの出会いも、それが呼んだんだと俺は思っています。曲に込めた願いがそういう場所に連れていってくれるんじゃないかと信じているんですよ。

(文・後藤るつ子)


ARTIST PROFILE

BAROQUE

<プロフィール>

怜(Vo)、圭(G)からなるロックバンド。2001年に結成し、2003年にメジャーデビュー。同年8月、結成から2年3か月という史上最速で初の日本武道館公演を行う。2004年12月に解散し、2011年7月17日に横浜赤レンガ倉庫野外特設ステージでフリーライブを行い、9月に正式に復活を発表した。2013年4月にアルバム『ノンフィクション』を、2015年5月にアルバム『PLANETARY SECRET』をリリース。 2016年12月25日にSHIBUYA WWW Xで行う「PERFECT WORLD」をソールドアウトさせ、追加公演として2017年1月28日にEX THEATER ROPPONGIで「PERFECT WORLD 2」を行うことが決定している。

■オフィシャルサイト
http://www.pigmy.jp/

【リリース情報】

G I R L
2016年10月26日発売
(Manufactured by sun-krad Co., Ltd. Distributed by FWD Inc.)

G I R L
初回限定盤(CD2曲+DVD)
PGSK-007/008
¥1,800+税
amazon.co.jpで買う
G I R L
通常盤(CD3曲)
PGSK-009
¥1,200+税
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【収録曲】

【初回限定盤】
[CD]
01. GIRL
02. PLAY

[DVD]
GIRL – MUSIC CLIP-

【通常盤】
[CD]
01. GIRL
02. PLAY
03. ILA. REMIX by TAKEYUKI HATANO

【ライブ情報】

●BAROQUE ONEMAN LIVE
「PERFECT WORLD」
2016年12月25日(日)SHIBUYA WWW X

●BAROQUE ONEMAN LIVE
「PERFECT WORLD 2」
2017年1月28日(土)EX THEATER ROPPONGI