特集-Special Feature-

バロック

バロック

2か月連続シングル第2弾『たとえば君と僕』をリリースしたバロック。
そのストレートな言葉に込められた想いをヴォーカル・怜が語る!

怜曰く「番外編」の第1弾シングル『キズナ』。その高いメッセージ性が印象的だった作品に続いて、バロックが世に放ったのが今作『たとえば君と僕』だ。 怜が得意とする複雑な構成のリリックは鳴りを潜め、シンプルかつストレートな言葉がまっすぐ聴き手に届く。そんな2枚のシングル、そして彼が愛してやまないバンドについて、怜が住む街で話を聞いた。

◆曲にして発信できる場所があるっていうのは幸せなことだと思う

怜:僕の街へようこそ!

――(笑)。最近引っ越されたそうですね。

怜:3か月くらいかな。住む環境って大事だなって思いましたね。初めて東京に出てきたときもこういう下町っぽいちょっとローカルなところに住んでたんだけど、そこで育ったのが忘れられなくて。原点に返るというか。

――この街を選んだのはそういう意味で意図的に?

怜:そうだね。最近せかせかしていたけど、ここだと少しゆっくり息が吸える気がするし、上京当時を思い返しやすくなったし。最近よく美容師さんに間違えられるんだよね。この前「シャレオツっすね」って言われました(笑)。

――確かにシャレオツですよ(笑)。でも、シャレオツなのにローカルな街も似合いますね。


怜:こういう雰囲気の街、好きだしね。俺、おじいちゃんおばあちゃんにめちゃくちゃモテるんですよ(笑)。やっぱり「シルバー限定GIG」やろうかな。席は一人に畳1畳を用意して、バロック饅頭付きで。でも、音量は相当下げないとなー。

――なんですか、その素敵なプランは(笑)。

怜:うちのバンド、本当にそういう企画考えますからね。昔「シルバー限定席作ったらいいじゃん!」って案もあったし(笑)。

――そういう案が誰かから出た場合、バンド内に理性的なストッパーはいるんですか?

怜:いないです。誰も止めないから、みんなが相当面白がったのをやる。うちは弦楽器隊のセンスが半端ないんで、面白いことを考えるのに長けてます。

――クールキャラっぽい圭さんも?

怜:うん。面白いことを一緒に考えてやるのが好き。俺みたいにゲラゲラ笑うタイプじゃないけど。…このくらいにして圭のイメージを保持してあげよう(笑)。

――優しいなぁ。ところで、怜さんにお会いするのは、昨年夏のツアー「ナイトメアvsバロック」以来なんですよね。

怜:そうだね。ほんと久しぶり。YOMI君(NIGHTMARE)との対談の時は、万ちゃんがいなくなるなんて全然思ってなかったよね。

――その後の活動を見ていて、万作さんが不在になってからも、バロックはしっかり歩こうとしているなと思っていました。

怜:上手に歩けてはいないけどね。足並み揃えてってわけにはいかないけど、確実に一歩ずつ前に歩こうとはしてます。

――昨年11月7日、NHKホールで行われた「TOURバロック現象 第4現象」を観て、なるほどバロックはこういう歩きをしていこうとしているのか、と思いました。

怜:決めるまでにすごく葛藤はあったけどね。全てのファンが望む形じゃなかったかもしれないけど、俺はバロックが大好きだから、ゆっくりでも止まらずに行くってことを選択した。多くを語らなかったのは、CDとライブで伝えようと思ったから。

――そして、『キズナ』という、ある種特殊な楽曲がメジャー1stのシングルになったわけですが。

怜:『キズナ』は当初の予定にはなかったんだよ。4人で話していた段階では、あそこでシングルを切ろうとも思ってなかったし、デビューももっと後だと思ってた。でも3人になって迷っていたときに「伝える」って意味でも必要だって、やった方が良いんじゃないかって思ったんだよ。全世界配信も、万ちゃんに届きやすいって考えたからだし。 ただ、「この曲は万作さんに書いたんですか?」って言われると俺はそうとは言いたくない。受け止め方は聴き手に任せたいから。“記憶を閉じ込める”っていうテーマの曲に、俺は“鍵穴”ってテーマをジャケットに入れたいって言って、それがリンクして今までの4人のバロックを詰め込んだ番外編だね。

――“番外編”という言葉は意外でした。タイミングもテーマも、あまりに状況にぴったり当てはまっていましたから。

怜:確かにね。NHKホールの2~3週間前に「やろう」ってなったんだよ。ほんっとにギリギリで。もうげっそりしたもん。PV撮影して、深夜3時位に終わって、そこから個人練習して…みたいな。でも、曲にして発信できる場所があるっていうのは幸せなことだと思う。望んでできることじゃないからね。

――そんな『キズナ』を初めて聴いたとき、正直これまでの楽曲とは全く違うというのが第一印象でした。

怜:そうなんだよ。歌声も曲調も、今までのバロックがカケラとしては入ってるのにね。俺も意識したわけじゃないのに、自分で聴いて「歌声が違う」って思ったし。

――演奏も心情も、バロックのリアルがパッケージされていますね。

怜:そしてそういうリアルな部分を切り取るって一番大事かなって思う。その時思ったものを形にするのが一番健康だけど一番難しいから。ただ、偶然か必然かわからないけど、これを出すことによって立ち上がろうっていう意思になれるかなと。

――ファンの方も、バロックの“答え”が聴けて安心したと思いますよ。

怜:そうだと良いな。でも11月7日のNHKホールでは、流す流さないで揉めたんだよ。 MCで3人で決めたことを伝えて、「ila.」を封印して、そこで自分たちの気持ちを提示すべきなのか迷っていて。商業的な意味じゃなくて、どっちの方が気持ちが伝わるんだろうって。それで、一番シンプルに押し付けにならない形で流すことにしたんです。まぁ、タイミングはうちの某マネージャーのクオリティでちょっと早かったんですけどねー…。

――おや(笑)?

怜:俺、楽屋で「きゃああああ!! 2分くらい早い!!」って叫びましたもん(笑)。でも、あの日はみんなすごく緊張していて、俺もステージに上がるまですごく考えてたし、眠れなかった。あのMCはねじ曲がって伝わってほしくなくて、当日まで何度も言葉を考えたんです。でも当日でも言葉が纏まらなくて。 メンバーが「3人がこう思っているっていうことと、バロックは続いていくってこと、あとは怜が思うことを言えばそれがバロックだから」って言ってくれて。それでフラットな感じで1曲目から臨めたな。

――ファンの啜り泣きを聞いて、メンバーの気持ちは伝わっているんだなと思いましたよ。

怜:聴こえたなら良かった。その場にいなかったファンには『キズナ』って曲を通して感じてもらえたらなと。あとはイベントとかTwitterとか、どのツールも俺らにとってバロックの場所だから。本当は生で感じてほしいけど、来られない子たちにはそういう場所を用意しているから。