EP盤2連作第2弾『RESULT』が完成。ツインギターKaryu&ギルのこだわりが生み出す音の秘密。Angeloサウンドの全貌に迫る。
Angelo初の試み、6 tracks EPの2枚連続リリース。第1弾である前作『FACTOR』に続く第2弾『RESULT』が完成した。ヘヴィーかつマニアックでありながらキャッチーというAngeloならではのサウンドが存分に発揮された今作。前回に引き続き、AngeloのツインギターKaryu&ギルによる曲解説を主軸に話を聞いていくと、作曲者として、ギタリストとしての細部に渡るこだわり、随所に存在するライブでの見どころからツアーへの期待がより膨らむと同時に、理想的なパートナーとも言える二人の関係性を垣間見ることができた。
◆Karyuさん天才ですからっ(ギル)
――前回のインタビュー時が今作『RESULT』制作の大詰めの時期でしたが、完成してみていかがですか。
Karyu:なんか…全体的に『FACTOR』より好きです(笑)。と言うと語弊があるかもしれないですけど、満足度は『RESULT』のほうが高いですね。
――それはご自身ではなぜだと思いますか?
Karyu:なんでだろう。自分の表現方法が上手くできたなと。喜怒哀楽が1曲1曲に込められた。ストーリー性も曲で作れたなと思います。
――ギルさんはいかがですか?
ギル:『FACTOR』よりも弾いていて自分がノリやすいというか、各フレーズに呼吸がちゃんとあって、弾きやすくまとまった楽曲が揃ったかなという印象があります。そういう意味では満足度は高いですよ。
――今作を聴いて、かっこよさにテンションが上がりましたよ。
Karyu:やった! 俺も上がりましたもん(笑)。
――とにかく新鮮な要素が盛りだくさんで。
Karyu:ありがとうございます。
――良い意味で“普通”じゃないというか。前作で「SELF AWAKE」「狂人」(キリト作曲)に関して、お二人が「変態な曲」と言っていましたが、今作は全体的に変態感が強いなと(笑)。
Karyu:僕らは麻痺している感が(笑)。
ギル:ですよね(笑)。ドラムのリズムに対しての捉え方とか、他と違うとは思います。
――前回のお二人による曲解説がとても好評だったので、今回はそれをメインに進めていこうと思います。
Kary:ギル、メインで(笑)。
ギル:俺(笑)?
――(笑)。では早速「RESULT」から。
ギル:テンポも速めで疾走感があってメロディがキャッチーなのはもちろんなんですけど、のっけからギターが4本バンッと出てきまして。間奏はKaryuさんがすごくこだわっていて、3本別のことを弾いて上手く混ぜて1つの和音になる感じといいますか。それでいて全ての音階が上がるだけではなく、1つ下がっていたりして、上手く混ぜるというのをチャレンジしたり。何より、これを録る時だけ、とあるルートから良いギターを借りることができて、そのギターがものすごく良かったんですよ。弾くのは難しかったんですけど、完成したものはギターの音がすごく立っていて、僕はかなり気に入っています。
――それはどのような経緯でお借りできたんですか?
Karyu:知り合いの知り合いが古いギブソンを持っていて、そんなに使っていなくてメンテナンスに出すという時に、借りてもいいかな?とお願いしたら、相手もOKで。
――タイミングが合ったんですね。「RESULT」に関してKaryuさんはいかがですか?
Karyu:Angeloって今こうじゃないかなというのが凝縮されている曲に仕上がっていると思います。間奏はすごくこだわっていて。サビは人で言うと顔なんですけど、僕的に内面的なものを間奏で表現する習性がありまして。それが上手くいったなという曲です。
――続いて「Pendulum Clock」です。この曲は〈Artifice… All this is a choice…〉の部分のベースのフレーズが新鮮だなと。
ギル:あぁ~、すごく速いペダルポイント(※コードが変わっても特定の音を持続させる奏法)な感じの音階ですよね。クラシック系ではよくある感じですけど、怪しい音階を使っているのでAngeloに馴染むという。その上のTAKEOさんのタムの表現もかっこいいと思うので、そこに対してギターはシンプルに8を刻むっていう…ま、Karyuさん天才ですからっ。
Karyu:(笑)
――Karyuさん作曲の曲に関しては、ベースのアレンジは結構お任せな感じが多いということでしたが、この楽曲に関しても?
Karyu:浮かんだ部分は自分でデモに入れているんですけど、サビとかは基本的にルートでデモを仕上げるので、そういうのはお任せしています。
――なるほど。この楽曲は間奏がドラマティックですね。
Karyu:そうなんです(満面の笑み)! パッと聴くとデジタル調なんですけど、一番人間的というか、喜怒哀楽が表現できているなと思いますね。
――間奏の鍵盤が入ったあとのアコギも新鮮で素敵です。
Karyu:あれは二人のミックスかな。素敵ですよ。
ギル:何個か試しましたよね。オープンでいくかユニゾンでいくかとか。結局あそこに落ち着いたと。
――ライブでTAKEOさんも目立ちそうですね。
Karyu:初めは人が叩けるものじゃなかったのを、色々と相談して叩けるものになりました。
――そうなんですね(笑)。続いて3曲目「DAY OF THE END」です。
ギル:これは自分の中ですごく難しい部類に入る曲ですね。テンポがそんなに速いわけじゃないんですけど、冒頭から16分音符なので腕がつりそうでライブも緊張しそうなんですが、何よりもみんなでバンドインしてからのドラムのスネアのインパクトが凄まじいなと。最初、これは人が表現しきれるものなんだろうかと思ったんですけど、曲の疾走感を失うことなく見事TAKEOさんが叩ききってくれて。この曲も割と色鮮やかな展開で、アウトロも二人でハモったりして、ギターがおいしいところがあるなという曲ですね。
Karyu:バックはすごく大変なことをやっているんですけど、曲自体はキャッチーで。サビとか特に好きで、コード進行に素敵なナインスを入れてみたり。
――マグマのようなイントロから暴れ曲かと思いきや、サビのコード感にグッと胸を掴まれて。ずるいなぁと(笑)。
Karyu、ギル:(笑)
Karyu:そういうメリハリがすごく良い曲ですよね。マニアックさとキャッチーさが共存している。
――1サビ後のギターとベースのユニゾンもかっこいいです。
ギル:あぁ~、「デーデデデッデデッデッデッデデー」。
Karyu:あぁ! これはデモ通りですね。
ギル:あそこはKOHTAさんがフランジャーっていうエフェクターをかけてうねりを出していて、それに混ざるようにギターが主張しない程度にいるというのが難しかったみたいで。ライブでも聴きどころですね。僕も聴いています(笑)。
Karyu:やることないから(笑)?
ギル:あそこ、僕は呼吸してます(笑)。
――(笑)。では続いて4曲目「AI(Artificial Intelligence)」です。
ギル:この曲は家でプリプロしている時に、ピックスクラッチという弦をキューッとこする演奏方法があるんですけど、それにエフェクターをかけるとどんな音になるんだろうって試したら、面白いことが起きて。Karyuさんからのアイディアで、「スパパパパパパッ」って切れるような機械的な音階でアプローチできたらかっこいいと思うんだけどっていう話をもらっていて、何かできないかなと試してみて出てきたものです。それが3Aに一瞬だけ出てくるんですけど、自分の中でだいぶ気に入っています。
Karyu:普通の人は気にしない部分ですけどね。でもギルからそれが来た時に「キタ!」って(笑)。
ギル:隙間が埋まったというか、表情が一つ付いたなというような。曲の雰囲気を壊さないくらいの感じで。
Karyu:自分が思っていたパパパ感より、良いパパパ感で(笑)。
全員:(笑)
Karyu:普通じゃないっていう。
ギル:まぁ普通じゃないですよね。パパパパパパッてなるんで。
Karyu:文章では伝わりにくい(笑)。
ギル:ライブで観てもらえれば。
――今作はライブでの見どころが多いですね。
Karyu:そうですねぇ。あと、Angeloに加入して一発目に自分が作りたかったのが、この感じ。それを自分じゃなくてキリトさんが作ったという。僕のAngeloのイメージというか、こういう感じにしたいなと思ったものですね。
ギル:これはソロが難しかったです。ソロというか間奏のノイズ感のある感じというか。あんまりやってこなかったアプローチなので、弦を引っ張り過ぎて指が痛かったっす。
――また見どころが一つ。そして5曲目「BLACK FLAG」です。
ギル:これは今作の中で一番テンポが速い曲ですね。疾走感があるんですけど、みんなで揃えるのが難しい。「ダッダッダッダッ」とか、ちょいちょい決めがあるんですけど、それがものすごく難しい曲ですね。
――この曲でようやくオーソドックスなものがきたなという印象がありました。
ギル:確かに、ザ・Karyuさんっていう感じでした。
Karyu:そうだね。『FACTOR』寄りな感じの。
――キャッチーだけどヘヴィーで、イントロAメロのギターリフが印象的です。
ギル:僕は今作の中でこの曲が弾いていて一番楽しいですね。
――1曲の中での喜怒哀楽がすごくハッキリしていますよね。こういうメロの展開は意外でした。
Karyu:テンポが速くてリフがずっと鳴っていて、サビでハーフのリズムになるというのは、作曲者としては割と王道というか、グッとくる感じは出せるんですけど、今まであんまりやってこなかったかもしれないですね。
ギル:今回のKaryuさんの3曲に関しては、どれも間奏に強いこだわりを感じます。
Karyu:全部、間奏からDメロにいくところをすごく大事にしました。
――そして最後の曲「CALL」です。
ギル:他の曲はギターを重ねまくっているんですけど、この曲に関してはほとんどそれがなくて、すごくシンプルな構成に収まった曲ですね。二人ともバッキングに徹しているという、ちょっとパンクロックに近いようですけど、流し込みのシーケンスとギターの混ざりでデジタル寄りになるように。その辺を狙った曲です。でもメロディはすごく爽やかですよね。
――今作の中で一番キャッチーで爽やかですね。ところでこの曲は、どれがサビなんですか…?
Karyu:全部サビだと思えばサビだし、キャッチーづくしの曲ですね。
――不思議な曲だなと。最初に聴いた時、AメロBメロAメロBメロ…あれ?って(笑)。
全員:(笑)
ギル:ですよね。
Karyu:その区別をギターのアプローチで付けようとしたんですけど、作曲者(キリト)的には違ったようで。
ギル:僕らなりに他の曲みたいに間奏とか階段を付けて段々盛り上がるように表情を付けようとしたんですけど、平坦な感じのデジタル寄りのほうがいいということで。重ねればいいという答えじゃなくて、抜く勇気をもらった曲ですね。間奏は実はKaryuさんのうねる「ヒャウォ~」っていうギターだけで成立させちゃっているんですよ。自分がこうしたいというものを抑えるという勇気は…なかなかでした(笑)。
Karyu:独特なキャッチーさで、ライブでも残っていく曲だろうなと思います。
ギル:ギターを抜くことによってこういうアプローチができるんだよっていう、良い例だなと思っています。
◆ギルは理解者であってくれる(Karyu)
――前回、お互いのギタリストとしての魅力を挙げていただいて、Karyuさんはギルさんに対して「音作りが上手い。エフェクティブな感じ」とのことでしたが、今作で特にそう感じた出来事は?
Karyu:さっき話したパパパですね(笑)。僕、思い浮かぶんですけど上手く表現できなくて、イメージを伝えるんですけど、言葉で言うとパパパとか(笑)。
ギル:サッサッサッサッサッとか。
Karyu:自分で作ってはみるんですけど、なんか違ったりして。それがギルから出てきた時「あ、これこれ」って。
ギル:偶然ですけどね。家にあった機材でやってみたらできて、良かったなと。
――そしてギルさんはKaryuさんに対して「この人すごいなと感じることが新しい作品を聴く度にある」ということでしたが。
ギル:本当に今回の3曲の間奏のこだわりがすごくて、自分じゃやらないなという音の重ね方を綺麗にやっていて。その分混ぜるのが難しいんですけど、でも見えているのがすごいなと思って。こうなるはずだと見えていて、これを入れているんだという強い意志が感じられたので、あぁすごいなと思いました。
Karyu:有り難いですね。
ギル:「Pendulum Clock」の「デーデデーデ」っていうメインリフの間の取り方とか独特で。Karyuさんにしか出せない間です。隙間の置きどころが機械みたいでした。それって楽譜に書けない部分なんですよね。8分音符とか4分音符のお尻と、次の音符の前のなんとも言えない間なんですけど。すごいなって。
Karyu:ありがとうございます(笑)。
ギル:ライブでも聴いてもらいたいですね。こういうのって、言わなきゃわからない部分だと思うので。
Karyu:結構、ギルは理解者であってくれるんですよ。さっき言っていた「Pendulum Clock」の間奏のアコギが入っている部分は、エンジニアさんとかは割と「ここ必要?」っていう意見が多くて、唯一ギルが「良いと思いますよ」って言ってくれたのが心強かったです(笑)。
ギル:知らなかったっす(笑)。
Karyu:一推しだったのになぁと。
――あ、だから先ほど私がそこに触れた時、あの反応だったんですね。
Karyu:嬉しかった(笑)。そこの重要性をわかってくれる人がいたと思って。
――(笑)。ところでギルさんは、アレンジの段階で結構な数のパターンを提示するということでしたが、今回も…
ギル:今回は逆にKaryuさんからクレームが来ちゃいましたね。どれか絞ってよって(笑)。どれもハマってるからどれでもいいんだけど、自分的にはどれが一推しなの?って。
――贅沢なクレームですね(笑)。
ギル:今回は一度Karyuさんに投げてみて、自分の一推しのものを通して、完成形をキリトさんに聴いてもらって納得してもらっているので、俺的にはすごく満足です。結果的にスムーズでしたね。
Karyu:ギルは大変だと思います。KaryuというOKがあった上で作曲者のOKという二段階の…(笑)。
――ダブルチェック(笑)。
ギル:それを打ち破った時は「よっしゃー、さすが俺」って勝手に言ってますよ。
全員:(笑)
ギル:楽観的な前向きですよ。クリエイティブなことをしている時はすごく楽しいので、全然苦じゃないんです。物を作るのは楽しいですよ。
――素晴らしいことですね。そして、ツアーに向けて現在リハーサルの真っ最中ということで。
ギル:アンサンブルはまとまってきていて、『RESULT』の曲は聴き手にはノリやすい雰囲気なので、あとは『FOCTOR』=要因、『RESULT』=結果、その現象を求めにいくという感じです。音作りもギター隊はほぼできてきているので、準備は着々と仕上がっております。
――お休みしていたKaryuさんの筋トレは再開しましたか?
Karyu:始めています。トレーニングはちゃんとできているので、パフォーマンスは良い感じになるかと。『RESULT』がよりライブが見えやすい仕上がりになっているので、楽しめると思います。現象が巻き起こるように、良いツアーを回りたいです。
――ちなみに、前回の発言の後のツアーなので、おそらくファンのみなさんは、ギルさんのお立ち台の上でのギターソロを期待していると思います。
ギル:そうなんですか? 気持ち的にはやってはみたいですけどね。
Karyu:やってみたいなら、やればいい(笑)。
――(笑)。さて、もう年末ということで、今年はどんな1年でしたか?
Karyu:緊張感とかライブの楽しさ、音源制作に関しても、Angeloって独特だと思うんですよ。常に張りつめているというか。その綱渡り感が、よりかっこよさに繋がっているような1年というんですかね。
ギル:兄さんたちが去年ケジメをつけて、ツアーを終えて、2015年が明けて今一度気を引き締めていこうっていう見えない絆みたいなものと緊張感が並行して走り出した1年じゃないですかね。かつ、2枚の作品で打ち出すっていう。一回ふんどし締め直して、一から出直して、俺たちはこうアプローチするぞってチャレンジが改めて始まった感じ。僕はマスクなんか着けちゃったりして(笑)。そして来年の10周年に繋げていく。先を見据えた上での1年ですよね。気を抜くわけではなく今年は今年でやりきって。
――10周年を迎える来年へ向けて、最後に一言お願いします。
Karyu:Angeloに加入してから色々な種を蒔いてきたので、来年はそれを一つずつ実にしていく年にしたいなと思っています。
ギル:良い意味で裏切っていきたいので、何も心配せず、不安を感じず、信じて着いてきてほしい。
(文・金多賀歩美)
Angelo
<プロフィール>
キリト(Vo)、KOHTA(B)、TAKEO(Dr)の3人により結成され、2006年8月に正式デビュー。結成5年目の節目となった2011年8月、Karyu(ex. D’espairsRay)とギル(ex.ヴィドール)のギタリスト2名を迎え入れ、新生Angeloとして動き出す。同年10月、5人での初のアルバム作品『BABEL』をリリース。その後も作品リリース、ライブを精力的に展開。刺激的なラインナップが話題の主催イベント「THE INTERSECTION OF DOGMA」は、2015年8月で4回目を迎えた。9月に『FACTOR』、12月に『RESULT』という2枚のEP盤をリリース。11月23日から全国ツアー「THE RESULT FROM PHENOMENON」がスタートしている。
■オフィシャルサイト
http://angeloweb.jp/
【リリース情報】
『RESULT』
2015年12月2日(水)発売
※期間生産限定(発売日より30日間の限定生産)
(発売元:ブロウグロウ 販売元:ソニー・ミュージックマーケティング)
来年の10周年へ向けての序章となる、前作『FACTOR』に続くAngelo初EP盤2連作の第2弾。ヘヴィーかつキャッチーな楽曲が並ぶツアーへの期待が高まる作品。
【収録曲】
01. RESULT
02. Pendulum Clock
03. DAY OF THE END
04. AI(Artificial Intelligence)
05. BLACK FLAG
06. CALL
【ライブ情報】
Angelo Tour 2015-2016 「THE RESULT FROM PHENOMENON」
2015年11月23日(祝・月)横浜BayHall
2015年11月27日(金)新宿BLAZE
2015年12月2日(水)柏PALOOZA
2015年12月6日(日)札幌PENNY LANE 24
2015年12月13日(日)名古屋Diamond Hall
2015年12月18日(金)大阪BIGCAT
2015年12月20日(日)金沢8HALL
2015年12月23日(祝・水)福岡DRUM LOGOS
2015年12月25日(金)TSUTAYA O-EAST(※FC限定)
2015年12月27日(日)仙台 Rensa
2016年1月9日(土)赤坂BLITZ
2016年1月10日(日)赤坂BLITZ