結成10周年を駆け抜けるvistlipが、3ヵ月連続リリース第2弾作品『Timer』を完成させた。かつてない斬新なMVと共に届けられた最新作、その魅力に迫る!
10周年を迎えたvistlipが発表した約9年ぶりとなる“3ヵ月連続リリース”。幕開けを飾った第1弾シングル『It』に次いで世に放たれるのは、シングル『Timer』。Tohya曰く「2枚で1組のような感じ」というこの作品は、前作同様に作曲者の個性を色濃く際立たせながら、バンドとしての進化を感じさせる1枚となった。現在、後半戦を迎えた過去のアルバムの再現ツアー・vistlip 10th Anniversary Tour「Encounter the Phantoms」真っ最中のvistlip。ツアーについて、そしてバンドの歴史に新たな彩りを加えた最新作について、智(Vo)と今作の作曲者の一人である海(G)に話を聞いた。
◆実はデモの段階で俺だけ「Timer」をやるのに反対だった(海)
――今回は、3ヵ月連続リリースということで、2枚のシングル、そして1月にはDVDが発売されますね。
海:あ、“予定としては”ですよ? ツアーやいろんなことがある最中にCDを作っていたから、なかなかDVDの編集に手が付けられてなくて。
――ハラハラします…。前回の『It』のインタビューで、瑠伊さんとTohyaさんは2週間くらい暇な時期があったと言っていましたが。
海:俺は休みが1日もなかったし、智はずっと歌詞を書いていたし、Yuhは今回「Timer」のシンセを外部の方に頼んだからその作業をずっとしていて。シンセは、外部の人に作ってもらったものを送ってもらって、Yuhがいじり直して送り返して…という作業をずっとやっていたんです。シンセに関しては、俺は全く触れないので、ただただすごいな、すみませんと(笑)。
――(笑)。今回の2枚のシングルは全くベクトルの違う楽曲が4曲揃いましたが、そこは意図的に?
海:曲のタイプが全部違いますからね。変えようと思って変えたというより、単純に「いいな」と思って選んだ4曲を振り分けたら、全然ベクトルが違ったという感じです。
――ミニアルバム『SENSE』の時は、全員が1曲ずつ曲を書くにあたって智さんから「絶対全員1曲ずつ!」という指令がありましたが、今回は?
智:みんな自主的に曲を持ってきてくれました。
海:今回、Tohyaから「作れる人間は絶対に曲を作ろう!」と言われていたんです。彼は曲を作るのが速いし、すごい数を作ってくるんですけど、俺は作るのが遅いし、作ろうと思っても作れないタイプの人間なんですよね…。半端に出来上がっているものはちょこちょこあるんですけど、完成していないものがすごく多いんです。でも「曲を持って来ないのは絶対になし!」と言われて。それは前からよく言われていたんですけどね。
智:今回は強めに言ってたよね。
海:うん。すごく強かった。
――Tohyaさんの中で、何か心境の変化があったんでしょうか。
智:同じ目標に向かって足並みを揃えるということを平等にしたかったんじゃないかな。
海:曲作りに関しては、結果が出ていないと意味がないですからね。例えば作曲のために全員で合宿をしたりして、それでもできないなら仕方がないと思えるかもしれないけど、全員平等に作曲の期間をとっていて、それでもし全く曲が出来なかったらCDが出せないわけじゃないですか。「それはダメでしょう」というTohyaの理論は確かに正しいと思います。
――そういう中で出来上がったそれぞれの楽曲に、1人1曲ずついいなと思える曲があったというのはすごいことですね。
海:1人1曲どころか、瑠伊は「It」だけしか出していないですからね(笑)。最後に1曲ポンと出してきました。でも、いつもなら2~3曲作ってくる瑠伊が、この曲だけを持ってきたということは、多分彼の渾身の1曲なんだと思います。
智:瑠伊はいつもと曲のタイプが違ったし、今回は相当頭で考えながら作った曲だと思うな。壮大だよね。
――確かに「It」の壮大な世界観には驚かされました。ちなみにいつも曲出しの時は各自どのくらいの曲数持って来るんですか?
海:YuhとTohyaは5~10曲くらい作ってきて、瑠伊が2~3曲、俺が0~2曲ぐらいです。俺は2曲作ってくると褒められる(笑)。
――なるほど(笑)。2枚の振り分けはどのようにしたんですか?
智:元々1枚にする予定だったものを2枚にしているので、組み合わせを最初に考えました。みんなで、「この組み合わせじゃないとすごく大人しくなっちゃうし、ポップになりすぎちゃうね」ということは考えたりしましたね。
海:「これとこれを一緒にしよう」という組み合わせを考えて、どちらを先に出すかは曲の進行具合で決めました。
智:Tohyaの曲は大分構築されていたけど、Yuhの曲はもうちょっと練らないとダメということで後に回したんだよね。
海:うん。「Timer」はデモからかなり変わったんです。実はデモの段階で俺はこの曲をやるのに賛成ではなかったんですよ。違う曲のほうがいいと思っていて。でもYuhから、「この曲はこうする。だからこの曲をやりたい」と強く言われて、本人がそう言っているし、他のメンバーも推しているということは、自分がイメージしているものと違う形がみんなには見えているんだろうから大人しく待っていようと。それもあって必然的に「Timer」は後ろに回すことになって、さらに俺の曲が全部できていなかったので一緒に後ろに回すことになったんです。ちょうど組み合わせ的にもこの方がいいんじゃないかという話をしていたからよかったかなと。
――海さんの曲は完成までかなり時間がかかったそうですね。
海:俺が勘違いして2曲デモを出したうちの、「LEVEL 1」じゃないほうの曲をフルで作っちゃったんですよ。そうしたらみんなに、「こっちじゃないよ!」って言われて「マジ!?」という…(笑)。
――すごいところでドジっ子ぶりを発揮しましたね。
海:どっちもギターのアルペジオから始まっている曲で。「LEVEL 1」は元々、こういうのをフルで作るというイメージを持っていた曲だったから何とかなったけど、完成したのがドラム録りの二日前ぐらいでしたからね。
◆傷つきながらも命と触れ合っている人間の性質がすごく不思議で(智)
――前作『It』は「ヒーローの裏側」がテーマでしたが、今作のテーマを教えてください。
智:今回ね、悲しい動画を見ていたんですよ。土葬された主人の墓の上に居続ける犬とか、妻のお墓の前に座っているおじいちゃんの画像が流れる動画で、とても悲しいなと思ったんです。その時、例えばペットを亡くした後にまたペットを飼うような傷の連鎖というか、傷つきながらもそれを受け入れて命と触れ合っている人間の性質がすごく不思議で。なので歌詞も、また命と触れ合っても亡くしたときに辛い思いをする、そんな経験をした主人公が答えを出していくという内容です。
――なぜこのタイミングで、そんな悲しい動画を見たんですか。
智:YouTubeが好きなので。
海:お前は今時の子か!
智:ツアー中はYouTubeばかり見てますからね。寝るときもずっとつけっ放しで。
海:超今時の子だな。
智:だって知らないことをいっぱい教えてくれるじゃない。
――そこから歌詞のイメージが沸くことはよくあるんですか?
智:「It」は違うんですけど、興味を持つことはたくさんあるかな。「Timer」の歌詞に関しては、例えばペットを亡くした後に剥製にしちゃう人がいるのかなと思って調べたんです。そうしたら実際に剥製にした人が、「これは間違いだった」と言うのを見て、すごく感情を刺激されて。
――「Timer」の作詞にすごく時間がかかったそうですが。こういう深いテーマだったことも影響しているんでしょうか?
智:確かにそういう部分もありますね。最初に思い切って、剥製を第1テーマに掲げちゃおうと思ったんだけど、やっぱりどうしてもグロテスクになっちゃって。〈きれいに洗い流して〉という言葉に辿り着くまでに、生々しい部分がいっぱいあったんです。それをペットや動物ではなく人間に置き換えたときに、言うなればラブソングだけど、人間を剥製とすることを考えるとすごくグロテスクだなと思って。それで苦戦しました。
――お二人は大切な人やペットを失ったときに剥製にするという選択肢はありますか?
智:ないですね。剥製にしたい気持ちは山々でも、あまりにも痛々しすぎるから。
海:俺は実際に実家でペットを飼っていたから、剥製にせず、ちゃんと眠らせてあげたいという気がするんです。でも骨とか歯だけほしいかな。
智:えー! いらないー!
海:でも歯ぐらいだったら…
智:嫌だよ、痛いじゃん! ベッて取るじゃん!
海:そうかなぁ。やるなら絶対に自分でやるよ。
智:嫌だ嫌だ。
海:それに、自分が剥製にされるのはすごく嫌だけど、愛されていたが故に、その人の手で歯を抜かれて持っていてもらう気持ちはわかるかなと。犬だったら犬歯かな。
智:人間は?
海:爪とか。
智:絶対嫌だ!
――智さんが全く共感していませんね(笑)。
智:だって嫌だよ!
海:でも、もし自分が本当に死ぬなら、俺は誰にも見付かりたくないですけどね。理想は、死んで時間が経ってから発見されたいです。それに、もし自分が剥製にするのであれば、剥製にするために、剥製にするためのものを捕まえます。死んでしまったから、剥製にするものではないと思う。
――標本ですね。
海:そう。標本ってそれを作るために捕まえるじゃないですか。一番良い状態をそのままの形で取っておくためのものですからね。
◆ヴィジュアル系に興味がない人が目を止めてくれるMVに(海)
――「Timer」はレコーディングをする上で苦労はありましたか?
海:この曲は苦労しませんでしたね。Yuhの曲は難しくても、ギタリスト的にやりづらいということがないんです。あいつはギターを持って作るから、ギターが成り立たないような曲を絶対に作ってこない。たまに、彼は7弦で、俺はダウンチューニングして同じ帯域にもっていっているだけだから、こっちのギターでやると大変だなということがありますけどね。でも、あいつは俺のチューニングをわかっているし、俺の持っているギターも出す音もわかっていて、フレーズを作るときは、そこまで考えて作ってくれるので基本は困らないです。
――今回は、意外なフレーズを弾いたりは?
海:特にYuhの曲では、俺はウワモノは弾かないんです。上にいこうかな、と思ったところが1ヵ所あるんですけど、結果的にシンセが入ると聞いたので、じゃあいいやと思って。その分、ちょっとややこしいテンションを入れています。実はコードに書いたら、Yuhの弾いているものと、鳴っているシンセと、ベースと、俺のギターで、楽曲としてすごく複雑になるところがあるんです。それは自然に出てきたものがハマったから、これはこれでいいか、という感じでやっちゃいました。
――どの部分でしょう?
海:Aメロとかサビの頭です。ちょっと不思議な雰囲気のところが出ていると思うんですけど、そこはあまり普段使わないテンションを入れました。レコーディングで入れてみたらハマったんですよね。こういうのって家でどれだけやっていても、実際にレコーディングしてみないとわからないことが多いんですよ。家でコードを当てはめたときは「これ気持ちいい!」と思ったのに、実際にレコーディングをしてみたらすごく気持ち悪いとかね(笑)。俺はレコーディングで大きくは変えないけど、細かいところは変えたりします。作ってきたフレーズも、やっぱりいらないなと思ったら入れなかったりするし。
――結構現場でいじるんですね。
海:そうですね。割と誰が聴いても気にしないところで、よくそういうことをやっています。
――今回のMVについてお聞きしたいのですが、かつてない展開でビックリしました。「こう来たか!」と思って。
海:それはありがたいです。
――過去最多の登場人数ですよね。
海:そうですね。学生のエキストラにも協力してもらったんですよ。
――「July VIIth [Re:birth]」のMVもそうですけど、最近海さんの中でダンサーが流行っているのかなと思って。
海:それ、智にも言われました(笑)。最近、ダンサーが入っている映像作品が世の中にそんなにない気がして。あと、ヴィジュアル系でやっている人がいないんですよね。でも、それでヴィジュアル系が好きな人が拒否反応を起こすものを作ってもしょうがないと思っていたんですけど、この曲だったら合うだろうと。
――もしやこれが、以前海さんが言っていた「ずっとやってみたいと思っていたもの」なんでしょうか。
海:そうです。こちらが言ったことができる人を集められるかどうかが課題だったんですよ。今回出てもらった中で、男の子の一人が結構すごくて、新体操の全日本チームに入れるぐらいの技術を持っているんです。本気で飛んでもらったらものすごかった。何しろ、俺の上を飛べますからね! 逆に彼が困っていたのは、カメラに映る範囲に収まるために、できるだけ低く飛ばなきゃいけないってことでしたから。
――迫力が映像からビシビシ伝わってきました。毎回vistlipのMVには驚かされますが、その中でも群を抜いて新しい面白い試みですね。
海:今回のMVはヴィジュアル系に興味がない人が目を止めてくれるものにしたかったし、それができる楽曲だと思ったんです。あと、MVの案を練っている段階でまだ歌詞が出来上がっていなくて、歌詞に画を合わせることができなかったから、久々に歌詞じゃなくて曲のイメージに合わせたMVを作ろうかなと。
智:俺は最近そんなに歌詞とのリンクを気にしないというか、映像として楽しんでもらえたらいいなと思っていて。ただ、今回は歌詞を書いた次の日が撮影だったから、歌詞を全然覚えていなくて、歌っているふりをしています(笑)。
海:それもあるし、曲にも合うから今回マイクを用意してもらいました。智には「マイクがあるからこうやって歌っていいよ」って伝えて、監督には「リップシンクはやらなくていいですよ」と伝えて。
智:でも「口元もほしいな」と監督に言われて仕方なく1ヵ所だけ撮ったんですけど、絶対に合ってないと思う(笑)。
海:そこが合って見えるんだよ。うちはちょこちょこそういうのがあって、「July VIIth [Re:birth]」のMVなんて俺とYuhは音と違う昔のフレーズを弾いてますからね。二人ともギターのフレーズを後々レコーディングで変えちゃって、Yuhはごまかしたんですけど、俺はごまかしようがなかったので、もういいかって。
――それを踏まえてもう一度観てみます(笑)。それにしても、今回のMVは前作「It」とは全く逆に振れた作品ですよね。
海:そこはすごく気にしました。「It」は世界観を構築して、あえて現実味を帯びないようにしたんですけど、今回はできるだけ都会的にと言うか。ちなみに、人がたくさんいる演奏シーンはスタジオの裏で撮ったんです。本来使うべきではない後ろ側に鉄骨を組んでもらったんですよ(笑)。
◆これからもっともっと大きくなっていきたい(智)
――海さん作曲の「LEVEL 1」ですが、私はこの曲に感動しました。
海:おー、ありがとうございます! この曲は1年ぐらい前にイントロだけ作っていたんですけど、俺がイントロで弾いているギターが、自分でもわからないコードを使っているんですよね…。
――え、今も不明なままですか?
海:今もわからないんですよ。すごく複雑な分数のコードになっていて。何となく弾いているときに、「この響き、気持ちいいな」と思って、フレーズの印象が残ったからちょこちょこ携帯に録っていて。弾いていたら、そのまま自分の中で歌が乗ったんです。それで、これをやってみようと思って。取り掛かってからは結構早かったですね。ハマるとサラッとできるんですよ。
――今回完成までに2ヵ月くらいかかったという話を小耳に挟んだのですが、ハマってからは早かったんですね。
海:フルはガーッと2日間ぐらいで作ったんですけど、そこに行きつくまでが(笑)。俺は自分でコントロールできないので、出て来ないときは、本当に出て来ないんです。無理やりやると、よくわからないものができちゃうし。今回はハマるまで割と長かったかな。メンバーにはちょっと迷惑をかけちゃいました。ピアノが出てこなかったんですよね。初めこれは全部ギターだったんです。
――ピアノもご自分で?
海:曲頭と、イントロで流れているのは自分で作って、結果的にそのまま使っています。
――特にイントロのピアノがものすごく良かったです。そして最後がフォルテで終わるという新しさもいいですよね。
海:頭のピアノだけ作って、最後のやつは俺にはできないからTohyaに任せました。「こういう感じだから、何となくわかるでしょ?」って。
――Tohyaさん、今回はピアノでも頑張ったんですね(笑)。
海:Yuhの曲は外部の人とやっているからTohyaの負担がないし、今回は大丈夫かなと思って。それに、ちょっと不思議な曲で、本当に意味がわからないコードを使っているので。Aメロとイントロがずっと分数で、しかもレコーディングでさらに変えちゃった部分があるんですよ。ベースのフレーズを瑠伊が作って入れたのを聴いてみたら、元々入れていたコードだとすごく暗くなっちゃって、どうしようかなと思ってその場でコードを変えたんです。でも、Yuhに三つ目のコードだけ違うから気を付けてって言ったら、「気にしないから大丈夫だよ。何でもハマるようなものを作るから」って言われたし、Tohyaにも本当に訳がわからないコード進行だからって言ったら、「別にそんなにややこしくないよ」って言われて。
――頼もしい!
海:そうですね。ギター的には、俺は弾いたことのないコードを弾いています。デモを出した段階で、これは音楽的に正しいのかな、これで成り立っているのかなということがわからない状態でしたし。
――でも、この曲が選ばれたのは海さんらしい曲だったからなのかもしれないですね。
海:うん。そのほうが、らしいんじゃないって。
――智さんはこの曲を聴いた時にどういう印象でしたか?
智:古いな、と思いました(笑)。90年代にありそうだなという。この曲はTohyaが珍しく、ああしたいこうしたいって率先して言っていて。そこからアレンジをして今風になったんですよ。
――歌詞は今回、2曲ともラブソングですよね。
智:そうです。俺が書くラブソングと、世の中に溢れているラブソング。
――「LEVEL 1」は最後に作詞者の智さん目線の言葉が入ったり、単純なラブソングというよりも、ちょっと引いた目で見ているんだなと思ったんです。「Timer」も、現実的な言葉が入っていて、そういう意味で、ちょっと俯瞰で見ているところがあるのかなと。
智:確かにそうですね。「LEVEL 1」の歌詞はすごく早く書けたんです。テーマができてから、あるあるの言葉を探して書いて、全部で2時間ぐらい。
――最後にああいう言葉を付けるというところまで決めて書き始めたんですか?
智:うん。だって、これが俺の歌詞だと思われるのは違うので。
海:あれがなかったら、成り立たないよね(笑)。
智:ディスりとかではなく、商業的には「LEVEL 1」の歌詞のほうが絶対にいいんですよ。だけどそこに満足できずに自分の色ばかり出すダメなやつだなと思いながら「Timer」を書きました(笑)。ミュージシャンとしては大切なんですけど、バンドが大きくなるとか、そういうトータルで人生を考えたときに、それでも自分を捨て切れられない俺、みたいな感じです(笑)。
――智さんは実体験を元に歌詞を書くと言っていたので、こんなにすごいラブソングを書くんだ!とも思ったんですけど(笑)。
智:すごく楽しかったですよ。産みの苦しみは何もなくて、歌詞がスラスラ出てくるんです。1個この言葉を使おうと決めたら、後に言葉が続いて、すごく簡単だったし楽しかった。良い息抜きになりました。クイズやゲームをやっている感じでしたね。
海:「良い歌詞を作ってみよう!」みたいな?
智:「この穴を埋めてください!」みたいな感じ(笑)。遊び心ですね。
――遊び心、いい言葉ですね。さて、目下vistlip 10th Anniversary Tour「Encounter the Phantoms」真っ最中ですが、この再現ツアーはいかがですか?
智:楽しいですね。夜寝るときに昔の曲を聴いていたりすると、今歌ってみたいなと思うんですけど、寝なきゃな、となる感じです(笑)。
――瑠伊さんとTohyaさんはなかなか思い出せない曲もあるそうですが、お二人はいかがですか?
海:俺は歌が入ると平気なんですけど、この間ライブで「夜」をやる時、歌を入れない状態でリハをしたら全然ダメで。家でしっかり弾いて予習もした状態でも、歌がないと全然わからない。
智:じゃあ今度は歌わないようにしよう。
海:やめて(笑)。
智:あと、舞台監督が地方にこんなに付いてくるのは初めてだよね。
海:うん。個人的には、今までのライブで一番悔しい思いをしたライブが当時の「FBA」だったんですよ。当時はやりながら反省していて。
智:何してるんだよ(笑)。
海:だって、当時ライブ中に「これは違ったな」と思って超冷静だったもん。悔いがすごく残ったライブだった。
――今回はそういうリベンジも果たせるツアーなんですね。
海:そうですね。それに、演出もちょっと変えています。
――ツアーに来る人たちは、色々楽しみだと思います。
智:うん。皆さん楽しんでいらっしゃる。
海:「最近知りました」という子も来てくれていますからね。やっぱり昔を知っている子たちが懐かしんでくれていると、知らない子たちからも「当時はこうだったんだ、とか、こういうふうに組んだライブだったんだということを知れるので面白い」と言ってもらえて。
――10周年ならではのツアーですよね。
海:普通は全部違う単発のライブなんて会社がやらせてくれないですからね!
智:お金ばっかりかかるからね(笑)。
海:だって全部違うんだもん。当たり前だよね。でもこうしてやらせてもらえた。でも当時と同じことをやっても面白くないので、もう1回やる意味を全部のライブに持たせられたらいいなと思います。
智:タイミングがいいだけというのもあるんですけど、どこで何をやるにしても、ファンが一緒に付いてきてくれる感じなんです。それがすごく嬉しくて。これからもっともっと大きくなっていきたいなという気持ちにもなります。昔の僕たちを知りに、再現ツアーに来てくれる新しいファンの子たちもしっかり捕まえて、この先戦っていけたらと思っているので、よろしくお願いします!
(文・後藤るつ子)
vistlip
<プロフィール>
智(Vo)、Yuh(G)、海(G)、瑠伊(B)、Tohya(Dr)の5人からなるロックバンド。2008年4月、ミニアルバム『Revolver』でデビュー。2014年4月にリリースしたシングル『Period』では初のオリコンチャート9位を獲得。2015年12月18日には国立代々木競技場第二体育館でワンマンライブ「Right side LAYOUT[SENSE]」を成功させた。2016年3月にミニアルバム『SENSE』を、11月にシングル『Snowman』をリリース。2017年7月7日にZepp Tokyoにてvistlip 10th Anniversary LIVE『Guns of Liberty』を行った。現在、vistlip 10th Anniversary Tour「Encounter the Phantoms」の真っ最中。
■オフィシャルサイト
http://www.vistlip.com
【リリース情報】
『Timer』
2017年12月6日発売
(発売元:マーベラス/販売元:ソニー・ミュージックマーケティング)
【収録曲】
LIMITED EDITION
[CD]
01. Timer
[DVD]
ROUGH the vistlip (花やしき大好きvistlip)
vister
[CD]
01. Timer
[DVD]
Music Clip『Timer』&Making Movie
lipper
[CD]
01. Timer
02. LEVEL 1
※初回生産仕様:メンバートレーディングカード(全10種類) 3タイプのパッケージを同時発売!
【ライブ情報】
●vistlip 10th Anniversary Tour「Encounter the Phantoms」
12月13日(水)札幌PENNY LANE ~[GATHER To the THEATER]~
●智&Tohya HAPPY BIRTH DAY TO THE CENTER LINE~season3~
2018年1月12日(金)