HERO

HEROがニューシングル『ゼロ』で描く確率論。偶然か必然か、奇跡か運命か。限りなく“ゼロ”に近い確率のその先にあるものとは。

8月に自身初の日比谷野外大音楽堂公演を行ったHEROがリリースする最新作『ゼロ』。現メンバーでの活動を開始してから丸5年という月日が経った今、彼らは再び“ゼロ”からスタートする。確率論をテーマに描かれた表題曲は〈限りなく0のモノが 限りなく100になるよう 君を愛すから〉と歌う、純粋たるラブソングでもある。そんな今作について話を聞きながら、メンバー4人の恋愛観にも迫ると、彼らの素顔が次々と明らかになった。

◆成長したのかなと思います(SARSHI)

――早いものでもう2ヶ月経ちますが、8月23日に行われた日比谷野外大音楽堂公演はいかがでしたか。

JIN:ソールドアウトしなかったんですけど、視力が悪くてめちゃくちゃパンパンに見えたので、楽しかったです(笑)。

SARSHI:ガラガラなのかなと思っていたんですけど、そうでもなく見えて、純粋に楽しかったですね。野外で開放感溢れて、テンションが上がりました。

Yusuke:僕も、ステージからはむしろ良い感じにお客さんが入っているように見えたので、すごく楽しかったですね。

yu-ta:野音は虫がすごく飛んでいて、頭の中にセミが入ったんですよね。MC中に、なんか頭の上が騒がしいなと思ってパッと見たらセミが。

――そうでしたね(笑)。野音を経たことによる意識の変化はありますか?

JIN:お金をもらっているので、仕事ではあるじゃないですか。仕事としてしっかり考えていかないといけないんだなぁと思いましたね。一歩一歩、ちゃんと計画をして、生活しつつ夢を追いかけないといけない、夢ばっかり追いかけちゃだめなんだなと。堅実にいこうと思いましたね。

――なかなかシビアですね。

JIN:いや、むしろ前向きで、「よし! がんばろう!」という気持ちになれたので良かったですね。

――「星に願いを…」を野音でもう一度みんなで歌うことを約束していましたよね。

JIN:即完するレベルになったらやるので、5年後くらいに。

――この日、ステージで今回のシングル表題曲「ゼロ」のMVが初披露でした。

JIN:そうですね。一からやり直したかったんですよ。だから「ゼロ」にしたいなとは思っていたんです。そこで、前から書きたかった確率論の歌詞を書いて。メジャーで学んだ今まで自分になかったものと、インディーズでやってきたものを合わせた感じの曲なんですけど、上手く昇華できたなと思いますね。

――HEROの楽曲によく登場するピアノの音が、今回は入っていないですね。

JIN:そうなんですよ。「ゼロ」に関しては僕が同期を作ってないんです。僕が作らない場合はあんまり入ってないんですよね。逆にc/wの「極超過激愛歌~Hyper Ultra Lovesong~」(TYPE-A収録)と「「古今集」春・113」(TYPE-B収録)は僕が同期を作ったので、入れています。

――今回も小名川高弘さんがプロデュース、アレンジを担当していますが、これまで何度か一緒に作品を作ってきていかがですか?

SARSHI:僕はやっぱりアレンジの仕方がガラッと変わったし、前まではライブだけを重視していたんですけど、今は曲ありきで考えるようになりました。そこからライブにどう持っていくかという。実際、最近の曲のほうが複雑な曲が多いのでライブは大変で、ステージングとしてはできない部分も出てきちゃったんですけど、ギターのフレーズとしては、ライブでも聴かせられるものになったので、そこは成長したのかなと思います。

yu-ta:アルバム『巡り行く季節の中での さよならの仕方』の時よりも今回のほうが、わりと助かったかなと思います。ちょっと悩んだ部分が大きかったので、小名川さんがいたおかげで、自分にはあまりないフレーズが出てきました。「ゼロ」のサビ、イントロとかですかね。部分的なものなんですけど、ノリの出し方というか、そういうのが今までとちょっと違うかな。聴いてもそんなにわからないと思いますけど(笑)。

Yusuke:これまで何作かやってきて、自分の中にはないアレンジの仕方とか、ベース、ギターとの絡み具合とか、新しいものを学ぶことができたので勉強になりました。今回も色々とアドバイスをもらって、すごく活かせていると思います。

――「極超過激愛歌~Hyper Ultra Lovesong~」は「超過激愛歌~Super Ultra Lovesong~」(2008年9月発売シングル/以下、「Super Ultra Lovesong」)のパワーアップVer.ですよね。

JIN:メンバー間で「Super Ultra Lovesong」はもういいかなっていう話をしていて(笑)。で、「ソプラノ」(2011年6月発売シングル)をやっていたんですけど、「ソプラノ」ももういいかなと思い始めてきたんですね(笑)。2曲とも好きで、ああいう曲ってたまにやるからいいと思うんです。なので、しばらくしまっておきたいなと。盛り上がる曲だから、それをパワーアップさせた曲を作って定着させて、しばらくしてから「Super Ultra Lovesong」をやったら、お客さんが喜ぶんじゃないかなと思って。で、安易なんですけど「極超過激愛歌~Hyper Ultra Lovesong~」だなと。この後、「究極過激愛歌~Ultimate Ultra Lovesong~」が出るんで。まだまだシリーズ化できますからね(笑)。一周して普通の「Lovesong」になったりして(笑)。

全員:(笑)

――最初のほうに入っている電子音は、パワーアップを表現しているんでしょうか?

JIN:そうですね。スーパーマリオのキノコを取った時の音を調べて、一音ずらしたりして入れているんですけど、思いのほかパワーアップ感は出てますよね。これは、僕はCDとして聴いた時にすごくいいなと思ったんですけど、ライブでその音が出た時、お客さんが一瞬「?」っていう顔をするんですよ(笑)。オマージュとして捉えてもらいたいですね。「ゼロ」と「「古今集」春・113」は、まだライブでやってなくて。「「古今集」春・113」は、こないだスタジオで3人がやっているのを聴いた時に、「あ、これはライブでこういう風に盛り上げられるな」と色々頭に浮かんだので、盛り上がる気がしますね。あんまりちょくちょくやる曲ではないと思いますけど。

――和っぽい雰囲気はHEROには珍しいですね。

JIN:メロディ自体は10分くらいでできましたね。サビの段階で、和で狙っていこうと思って、そのまま間奏のピアノを考えて、じゃあAメロBメロも和っぽくするかと。この曲、息ができないんですよね。スタジオで気付いたんですよ。「よし、できたー」ってスタジオに持っていって完成し、歌詞を入れようと歌ってたら「あれ? これ息吸えないけど大丈夫かな?」って。結果、大丈夫じゃないんで、やっぱりライブではあんまりできないですね。ピアノで聴くと心地いいテンポ感だったんですけど、いざ歌うとしんどいですね。

◆「愛してるよ」とか、あんまり言わないんですよね(yu-ta)

――それにしても、今回も歌詞が純粋ですね。「ゼロ」の歌詞にある言葉を実際に言った経験はありますか?

JIN:(笑)。僕、イタイので、大抵言っていますね。

――トレンディーですね。みなさんはいかがですか?

yu-ta:俺、「愛してるよ」とか、あんまり言わないんですよね。

JIN:yu-taは硬派なんで、「あそこまっすぐ行ったらタクシーいるから帰りな」とか。そういうところあるんですよ。

――冷たい(笑)。

JIN:フォローしなきゃいけないんで、「タクシー代は出してあげてるんだから、いいじゃん」って言ったら、「いや、出してないよ」って(笑)。かっこいいっすわ(笑)。

yu-ta:(笑)

Yusuke:僕は、若い頃は結構言ったことがあります。純粋な頃は(笑)。今は、あんまり軽々しく言えないですよね。

yu-ta:俺、昔、付き合ってた女の子の鼻毛が見えただけで、もう好きじゃないってなりましたからね。

JIN:yu-taは結構歪んでるというか。ちゃぶ台返しとか平気でやりますからね。

yu-ta:そこまではいかないですけど、昔はケチ付けたりしましたね。「これ、(味)薄いよ。不味いっ」とか。

Yusuke:うわー、やだー。

JIN:すごくやだー。

yu-ta:そういうのはだめだなって学んだんですよ。どんなに不味い料理が出てきても「おいしいっ」(笑顔)って言う(笑)。

SARSHI:僕は、言ったほうが得かなっていう時は言いますね。

全員:(笑)

JIN:ほんと、サイテー。「愛してるよ」とか「側に居るよ」とか言うんだ?

SARSHI:まぁそうだね。言ったら相手はいい気分になるじゃないですか。そしたらラッキーじゃないですか。

全員:(笑)

SARSHI:結果、自分のためなんですよ。

JIN:まぁ全てそうよ。

――え? 本当は思ってないということですか?

JIN:僕は思ってますけどね!

SARSHI:思ってるんですけど、普段は恥ずかしくて言わないんですよね。でもまぁ…思ってますよ!

yu-ta:女の子のほうから「好き?」って聞かれることもあるじゃないですか。そういう時は「うん、好き好き」って。

全員:(笑)

JIN:弦楽器陣は結構サイテーですよ。

SARSHI、yu-ta:んなことない。

SARSHI:僕は相手を気分よくさせるために、自分を押し殺しているだけなんで。

全員:(笑)

JIN:え、好きでもない相手に「好き」って言うってことすか?

SARSHI:そうじゃなくて、相手に気分よくなってほしいなっていう…尽くす愛の心というか。

JIN:ていうか、さっきから発言サイテーだよ(笑)。

◆奇跡の連続で人間って生きてるんでしょうね(JIN)

――では、「ゼロ」の歌詞にある「確率にしたら限りなく0に近い」と思った出来事は?

JIN:それはバンドですよ。すごい確率の中で、ミュージシャンとして4人集まるということが、本当に限りなく0に近い奇跡ですよね(ドヤッ)。でもさ、そのタクシーは通る確率は結構高かったの?

yu-ta:そうそう、すごく通るのを知っとるもんで、そこら辺におったら多分タクシーが。

全員:(笑)

Yusuke:勝手に拾えよ、みたいな(笑)? すごいっすねー。

yu-ta:眠かったからね。確率で言うと、その女の子に出会う確率だって0に近かったわけですよね。

JIN:基本、出会いは0%に近いですからね。突き詰めていくと、僕らがここでこうして、こういうことを喋っている確率も、0に近いですからね。だから、奇跡の連続で人間って生きてるんでしょうね(ドヤッ)。

Yusuke:その通りだね。

JIN:yu-taがバンドを首になる確率は、限りなく100に近い(笑)。

――(笑)。では「確率にしたら限りなく100に近い」と思った出来事は?

全員:…。

JIN:ないんですよ。今話していて思いました。きっと、限りなく0に近いもののほうが多いんですよ。だから、それを限りなく100になるように愛するって、すごく深い言葉ですね(ドヤッ)!

全員:(笑)

――TYPE-BのDVDには「ゼロ」MVのMember Personal Versionが収録されていますが、見どころをお願いします。

JIN:自分の顔をブサイクだと思っているので、もっと他のメンバーを映してって言うんです。最後のBメロのくだりの時に、僕のカットがあまりに長くて放送事故レベルだったので「ブサイクだから他のメンバーにしようぜ」って言ったら、SARSHIさんがもっともらしく「ここはJINくんのほうがええやん」って言い出したんです。でも実は、自分がボーッと突っ立ってたらしいんですよ。自分を映されたら困るから、そういうことを言うっていう。きたねーなと。まぁ、MVは僕以外のメンバーを見てほしいですね。そして、個人のMVは見ないでほしいです。

Yusuke:基本的に、ドラムってライブでも後ろだから、あんまり見えないと思うので、こういう機会に「あ、こういう風に叩いてるんだ」っていうのを見てもらえると嬉しいなと思います。

yu-ta:僕の見るところと言ったら、手元くらいですかね。すごくいいんですよね。

SARSHI:僕は、最後のほうに、編集で一瞬スローモーションみたいになってるんですよ。そこが良いです。

◆続けてます!(Yusuke)

――前回伺った2014年夏の目標の結果を聞きたいと思います。JINさんは「何か資格を取りたい」ということでした。

JIN:言ってましたね(笑)。取ってないっすねー! 気持ちはあるんですけど。次の目標は、メンバー含め自分の給与額を増やす。

――次回、結果を聞いていいんですか?

JIN:がんばるんで。

yu-ta:仮に万が一、減ってたとしてもちゃんと言う?

JIN:それは言うよ! 増やすようにがんばろうぜっていう鼓舞でもありますからね!

――SARSHIさんは「日常会話ができるくらいの英語の勉強」そして「海外の友だちを作りたい」と。

SARSHI:海外の友だちはできなかったんですけど、弟が英語の先生だったり、従兄弟もずっと海外に住んでいたり…まぁ、通訳がいるし、覚える必要ないかなという結論に至りましたね。

全員:(笑)

SARSHI:ある程度、聞き取れるようにはなってますよ。

――ちなみに、肉体改造はどうなりました?

SARSHI:それは、またいつかやります。

――(笑)。野音に向けてという話もありましたが。

SARSHI:夏が過ぎたので、来年の夏に向けて腹筋ローラーを買おうかなと。こないだギルドとツアーを回ったんですけど、あいつら腹筋ローラーで鍛えていて。それをやってみたら良かったので、これは一家に一台腹筋ローラーやなと。それで来年の夏までには鍛えますよ。

――yu-taさんは「暖かい間にツーリングに行きたい」と。

yu-ta:あーー。遠くは行ってないですね。都内をブンブン走ってます。夜の恵比寿を走って「超気持ちいいー」って。…だから、行けてない。

JIN:もう次の目標、散歩とかにしたら?

――(笑)。Yusukeさんは、プロテインを飲んで筋トレをしているので、それを続けたいということでした。

Yusuke:続けてます! 毎日ちゃんと腹筋もして、週に何回か走りに行ったり。最近はわりとがんばってますね。でも、ちょうど一週間前にギルドの腹筋ローラーを借りてやったら、筋を痛めたみたいで。それからできてないんです。

SARSHI:目標変えようかな。今、バンド内ではyu-taくんが一番腕相撲が強いんですよ。それに勝てるくらい鍛えようと思います。

JIN:結局、筋トレやん!

yu-ta:俺、どうしようかな。あ! サバゲーがすっごい大好きなんですけど、スナイパーライフルで敵を撃つっていうのがなかなか難しいんです。なので、スナイパーライフルで3人は撃ち殺したいですね。普通の電動ガンだったら何人でも殺せるんですけどね。そこはちゃんと言っておかないと。結構上手いですよ。

Yusuke:僕は腹筋を続けることと、それとは別で、家が大好きなんですよ。色々な物件を見たりするのが大好きで、散歩しながら他人の家をじろじろ見てるんです(笑)。なので、家の勉強をしようかなと。

JIN:好きならいいことだよね。

――さて、10月31日にTSUTAYA O-WESTでハロウィンワンマンと、28日にSHIBUYA-REXでハロウィンワンマン完売御礼追加公演が控えています。

SARSHI:東京のワンマンって、大抵ツアーファイナルで気を張ってるので、そうじゃない感覚で楽しくできたらいいなと思います。

――パートチェンジがあるんですよね。

SARSHI:28日のほうは、学園祭のノリでコピーバンドみたいな感覚で。

――JINさんがドラム、SARSHIさんがベース、yu-taさんがギター、Yusukeさんがヴォーカルと。

SARSHI:そうですね。曲は来てのお楽しみということで。

――31日は『メンバー全員女装バンド「ヒロイン」1日結成ワンマン』ですね。

JIN:相当ブスなんで、期待しといてほしいですね。でも、自分の女装を見て、この程度なら抱けるなと思いましたけどね。

SARSHI:僕は、JINくんは無理っすね(笑)。

――(笑)。ではJINさん、最後にVifをご覧のみなさんへの熱いメッセージで締めてください。

JIN:実は今、HEROはいろいろ大変で、言えていないことがいっぱいあるんですけど、11月1日に諸々スケジュールが発表されると思うので、とりあえず12月下旬はみなさんスケジュールを空けておいてください。お願いします!

(文・金多賀歩美)

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HERO

<プロフィール>

JIN(Vo)、SARSHI(G)、yu-ta(B)、Yusuke(Dr)から成るロックバンド。2009年6月より現メンバーでの活動を開始。2011年1月、1stアルバム『Life』をリリースし、ツアーファイナルを赤坂BLITZで開催。その後、シングル三部作をリリースするなど精力的に活動を続け、SHIBUYA-AX公演をソールドアウトさせた。2013年7月、シングル『答え合わせ』で日本クラウンよりメジャーデビュー。12月には初のホールワンマンとなる渋谷公会堂公演を成功に収めた。2014年5月、メジャー1stアルバム『巡り行く季節の中での さよならの仕方』をリリース。8月には自身初となる日比谷野外大音楽堂公演を開催した。11月1日、今後の予定が発表される。

■オフィシャルサイト
http://hero-izm.com/

【リリース情報】


TYPE-A
(CD+DVD)
CRCP-10329
¥1,800+税


TYPE-B
(CD+DVD)
CRCP-10330
¥1,800+税


TYPE-C
(CD)
CRCP-10331
¥1,200+税

『ゼロ』
2014年10月22日(水)発売
(CROWN RECORDS)
確率論をテーマに描かれたHEROのメジャー3rdシングル。それぞれ異なる収録内容の3形態でのリリース。

【収録曲】
TYPE-A
[CD]
01. ゼロ
02. 極超過激愛歌~Hyper Ultra Lovesong~
[DVD]
「ゼロ」Music Video & Special Movie

TYPE-B
[CD]
01. ゼロ
02. 「古今集」春・113
[DVD]
「ゼロ」Music Video/Member Personal Version 4 Type

TYPE-C
[CD]
01. ゼロ
02. 極超過激愛歌~Hyper Ultra Lovesong~
03. 「古今集」春・113