2025.09.28
SLAPSLY@渋谷REX
「SLAPSLY & SLAPSTAN 2th Anniversary『Dear My Bastards 2025』」

ベースヴォーカルのソロアーティストとして2018年に活動を開始し、2023年にソロプロジェクト“SLAPSLY”へと名義を改め再出発したCHIYU。その2周年を記念した「SLAPSLY & SLAPSTAN 2th Anniversary『Dear My Bastards 2025』」が9月28日、SLAPSLYの初ライブの地である渋谷REXにて開催された。
本公演の“SLAPS MEMBER”を務めたのは、プロジェクト始動時からステージを共にしてきたJOHN(G)、そして今年のイベント出演で初めてSLAPSLYに参加し、ワンマンとしてはこの日が初舞台となるTohya(Dr/vistlip)。SLAPSLY名義での最初の作品『OUTBURST 〜The best of the CHIYU〜』発表以降お馴染みとなった、オープニングSEから生演奏にスライドするインスト「SLAPSLY in da house」が幕開けを飾った。

MCの中で「曲が増えてきて、色々入れ替えられるようになった」とCHIYUが語ったように、周年にふさわしく新旧楽曲を絶妙なバランスで織り交ぜたメニューにより、全19曲が繰り広げられた当夜。勢いづけにうってつけのミクスチャーナンバー「V.I.P.」、CHIYUによる「Are you ready?」のウィスパーを合図に轟音のイントロへ突入した「Slayyyyy」。さらにフロアに拳が突き上がったラウドチューン「Nothing is Over」と続き、序盤から全力疾走の展開に。思わず「初っ端から疲れるブロックだったよ(笑)」とこぼしたCHIYUの言葉が、その熱量を物語っていた。

次いで、MVを背景にエモーショナルなミディアムナンバー「「L」」を響かせ場面転換すると、CHIYUがベースをハンドマイクに持ち替え、SLAPSLYのステージに欠かせない要素の一つである、アダルティブロックへ。恋愛をモチーフに、心の苦しさを歌う女性目線の「あいすくりん」に対し、男性目線で一途な恋心を描いた「Can’t stop feeling」という対照的なR&B色の強い2曲が並んだ。
「さぁ、携帯電話の時間だよ。写真をたくさん撮ろうか」と、恒例の撮影OKタイムとなった「film#0」では、歌いながら様々なポーズをキメるCHIYU。これまでのステージでは、CHIYU自身もインスタントカメラなどで観客やメンバーを撮影する姿が見られたが、当夜では彼の手にしたカメラ映像が、ステージ背面のLEDビジョンにリアルタイムで投影されるという、新たな演出が取り入れられた。歌い終えたCHIYUは「あー面白かった!」と、笑顔を覗かせたのだった。


「今までのワンマンの流れを、ちょっと崩した部分があって。それが俺はすごく楽しみなんです」「JOHNターンもあれば、Tohyaターンも用意しているので、楽しみにしていて」――当夜このように述べていたCHIYU。それらが具体的に形となったのは、本編終盤とアンコールでのことで、まさにソロプロジェクトでありながらもバンドとしてステージを見せていきたいという、SLAPSLYのあり方を示すものだった。
キャッチーでポジティブなメッセージソング「fleek=fleek」が後半戦の始まりを告げた後、まずはJOHNがセンターお立ち台に上がり、テクニカルなギターソロを轟かせる新たな光景が見られた。そして「まだまだ足んねーよな!?」という彼の煽りから、「Own weapon」へと突入。JOHNの軽快なカッティングとTohyaの躍動感あるビートのコンビネーションが、心地よいアンサンブルを生んだ。

CHIYUが邪悪な声で「行こうか!」と投げかけ、ハードチューン「TRICK STER」でさらに熱量を上げると、フロアにタオルが旋回した「Infinity & Beyond」では、CHIYUとJOHNがスイッチしつつ、上手下手のお立ち台でプレイする場面や、背後からCHIYUに頭を撫でられたTohyaが笑みを見せる場面も。「さぁさぁ、お前たちの本気を見せなさい。2周年おめでとう! ありがとう!」(CHIYU)と言い、いよいよクライマックスへ。
今春開催の前ツアーで急成長を遂げた「ESPOIR」は、曲中にLEDビジョンへ『いけるよね? まだまだだよな? 声出せるよな? 叫べーーー!』と表示される演出に加え、CHIYU自身も「2年分ちょうだい! ソロの8年分ちょうだい! (年齢の)40ウン年分ちょうだい!」と、さらなる熱狂を求めれば、終盤での『アタマぁーーー!』の表示を合図に、ヘドバンタイムが4回繰り返され、フロアも全力で応戦してみせた。そして、ラストはダンスチューン「FREAKY DANCE」で騒ぎ倒し、本編を締めくくったのだった。

アンコール1曲目に届けられたのは、ソロ活動初期にファンへのラブレターとして書かれた「未完成のヒマワリ」。JOHNのアルペジオにCHIYUの歌声が重なり、一節を演奏したのち、「大切な曲です。聴いてください」と告げてメインイントロに入ったドラマティックな展開も印象的で、〈一度きりの人生 だから届けたい ねぇ未完成な物語だけど この唄聴いてよ〉〈あの日の君との笑顔 守り続けていくから〉という温かなリリックが、場内を優しく包み込んでいった。
「皆の顔を見ると、改めて感謝と、1本1本のライブを大事にしたいなという気持ちが生まれます」とCHIYU。その後、3人の和やかなトークが繰り広げられていく中で、JOHNが「ここから皆の度肝を抜く展開があるよ」と予告する一幕も。「ワンマンだとのんびりしちゃうね。何を喋っても大丈夫みたいな(笑)。何をしても許してくれる皆さんが好きで好きでたまらないんですけど、好きって叫んでいいですか!?」とのCHIYUの言葉から、ポップソング「Egoistic GAME」でフロアにオーディエンスが手で作るハートが溢れ、愛が充満する空間となった。

そして、先述の“Tohyaターン”、“度肝を抜く展開”となったのは、ここから。「アマランヴ」冒頭の同期が流れたところで「ちょっと止めて。お前歌え。SLAPSLYのドラムは歌わないといけないみたい(笑)」というCHIYUの振りで、ヴォーカルTohya ver.での「アマランヴ」が披露されることに。「気持ちで歌う! かかってこいやー!」とTohyaが叫び、笑顔溢れるステージとなったのち、本家「アマランヴ」が続き、場内は文字通りのお祭り騒ぎとなった。なお、CHIYUから「(Tohyaが)思ったより歌えていてビックリした(笑)。今度は俺がドラムやって、JOHNがベースやろうか」という発言が飛び出したことも付記しておきたい。さらに「今日はハッピーに終わりたいので」と話し、〈君と僕を繋ぐメロディー〉と歌う「wiΘ U」をもって、幸福感に包まれたフィナーレとなったのだった。
「皆が幸せになればいいなという気持ちで、日々のストレスを少しでも忘れられるライブになればいいなと、素敵なライブをお届けできるように頑張りますので」――そう語った流れで、「…聖誕祭やります!」とCHIYUからあまりにも唐突に告げられた発表に、フロアからは拍手と歓喜の声が上がった。改めて記すと、12月27日に高田馬場CLUB PHASEで恒例の「CHIYU聖誕祭」開催が決定。“SLAPS MEMBER”にはタイゾ(G/夜光蟲、DRUGS)、Tohyaを迎える。サブタイトルに掲げられた「博打なんて所詮チョコレート」とは、この日も披露された「ESPOIR」の一節であり、どのような構成のステージが繰り広げられるのか期待が高まるところだ。年に一度の祝福の夜、そしてSLAPSLYの今後にも期待したい。
◆セットリスト◆
01. SLAPSLY in da house
02. V.I.P.
03. Slayyyyy
04. Nothing is Over
05. 「L」
06. あいすくりん
07. Can’t stop feeling
08. film#0
09. fleek=fleek
10. Own weapon
11. TRICK STER
12. Infinity & Beyond
13. ESPOIR
14. FREAKY DANCE
En
01. 未完成のヒマワリ
02. Egoistic GAME
03. アマランヴ(Vo.Tohya Ver.)
04. アマランヴ
05. wiΘ U
(文・金多賀歩美/写真・まいつむり。)
【ライブ情報】
●SLAPSLY CHIYU 聖誕祭2025 〜博打なんて所詮チョコレート〜
12月27日(土)高田馬場 CLUB PHASE
OPEN 16:00/START 16:30/END about 18:00
SLAPS MEMBER:タイゾ(G/夜光蟲、DRUGS)、Tohya(Dr/vistlip)