2025.04.20
SLAPSLY@表参道GROUND
「SLAPSLY Tour 2025 ~Discipline has『RELAXED』~」

ベースヴォーカルCHIYUによるソロプロジェクト“SLAPSLY”が、JOHN(G)、Ryo(Dr)を“SLAPS MEMBER”に迎えた全4公演の「SLAPSLY Tour 2025 ~Discipline has『RELAXED』~」を開催。そのファイナルが4月20日、表参道GROUNDで行われた。
「4本という短いツアーですが、本当に右肩上がりでお互い(バンドとオーディエンス)のグルーヴがかなり上がったんじゃないかなと思います。俺たちと君たちもそうですが、とにかくこの二人(JOHN、Ryo)のグルーヴがスッゲー上がってて」とは、当夜の序盤でCHIYUが述べた言葉。それはこのツアーの空気感を端的に表すものだった。



本ツアーは最新EP『RELAXED』リリースに伴うものながら、対となる前作EP『EXCITED』と合わせて、“二部作の完結編”と位置づけられていた。軸となった『RELAXED』自体が、歴代作品の中でも特にラウドなサウンドやゴシックな世界観に振り切った一作だけに、ステージ上で高い熱量を生み出すのは、ある意味で必然だった。とはいえ、ファイナル公演がここまでのものになったのは、そうした要素に加え、楽曲同士の相乗効果、そして何より前述のグルーヴの深化が重なり合った結果に他ならない。
また、当夜のステージ上でCHIYUが「『EXCITED』と『RELAXED』の完結編のツアーとは言っていますが、今までのソロの総括のようなライブにできればなと思って回ってきました」と述べ、この日実際に披露されたのは『RELAXED』の全5曲、『EXCITED』から4曲、二作以前の既存曲8曲という全17曲。二作の対比を描くと同時に、今現在のCHIYUおよびSLAPSLYのベスト盤的なステージとなったのだった。
ラウド系ミディアムナンバー「「L」」でエモーショナルに幕を開け、「さぁ、ここからアゲていこうか!」と起爆力抜群の「Nothing is Over」へ。『RELAXED』の収録順と同様の2曲を続けた後、「L or R」のイントロでRyoの威勢のいいOiコールが響けば、下手位置に立ったCHIYUと、上手のJOHNによる煽りの双璧感っぷりにフロアも負けじと全力で呼応してみせた。
本編中盤では、EP二作とそれ以前の楽曲を巧みに組み合わせ、実に見事なストーリーを紡ぎ出したのが印象的。〈出会った日のトキメキ〉や〈僕の世界に 沢山の愛注いでくれたから〉と歌う「fleek=fleek」から、男性目線で一途な恋心を描いた「Can’t stop feeling」、そのアンサーソングとなる、天性の“騙す才能”を持つ女性目線での「Gift」、さらに〈願い続けても 愛を注いでも 全てが叶うわけじゃないさ〉と歌うロックナンバー「無限の風」。この流れはまさに秀逸で、本来「fleek=fleek」と「無限の風」は恋愛ソングではないにもかかわらず、この4曲を繋いだことにより、そう聴こえてくるのだから興味深い。



「終わるのが寂しいですね」(JOHN)、「(ここまで)たった3本で、マジで20ヵ所回ってきたの?っていうくらい、僕たちのグルーヴもそうですし、SLAPSLYと皆さんの高め合いを目の当たりにできて、とても幸せな気持ちです」(Ryo)、「こんな会話を結構するんですけど、(Ryoが)『SLAPSLYってライブバンドっすね!』って言うくらい、すごく熱いライブができていたんじゃないかなと思います」(CHIYU)
そんな3人の和やかなやり取りを経て、「さぁ、ここからはやることいっぱいだよ?」(CHIYU)と、本編終盤ブロックは怒涛のライブチューンを繰り広げることに。とてつもない音の洪水が押し寄せた「Slayyyyy」、ベースの見せ場もあるハードナンバー「TRICK STER」、ハンドマイクでタオルを振り回しながら歌い、曲中にCHIYUとJOHNがハイタッチを交わす場面も飛び出したパーティーチューン「Infinity & Beyond」、文字通りフロアを乱舞させた「アマランヴ」、そして、“変”を追求したという言葉通り、目まぐるしい展開が特徴的な「ESPOIR」。
過去最高と言っても過言ではないほどの白熱ぶりを見せた、当夜を象徴する最大のハイライトとなったのが、この「ESPOIR」と、アンコールラストのあの瞬間だった。前者では楽曲終盤のヘドバンタイムをJOHNとRyoが煽りに煽り、最終的に7回繰り返すという熱狂の極みとも言うべき展開に。後者では、「このツアーを通していなかったら、こんな終わり方できねーよな!? 全員で叫んで終われるかい!?」(CHIYU)と、かき回しからのキメ前に、オーディエンスを含めた全員でドスの効いた声を叫び、劇的な締めくくりとなった。
「『ESPOIR』だけ異様に成長してるんすよ(笑)。俺、こんなつもりじゃなかったのに(笑)。2日目の名古屋でライブ中に急遽思いついてやったことが、ツアーでどんどん広がって、こうなりました。皆さん、お付き合いいただきありがとうございます。でも、こういうノリができたのも、俺たちと皆さんのグルーヴが高め合えたからこそ。悪ノリからの派生ではあるんですが、すごくライブ感が出せたんじゃないかなと思っています」とCHIYUは述べたのだった。


また、アンコールでは「このツアーを通して、本当に皆さんのことが好きでたまらなくなりました。今まで以上に大好きが止まりません。この大好きどうしたらいんだろう。好きって叫んでいいですか!? 皆さんに好きを叫ばせてください!」との言葉から、ポップな「Egoistic GAME」で愛溢れる空間が広がり、会場中が“好き”の渦に包まれる一幕も。
時系列は前後するが、本編とアンコール、それぞれのラストではメッセージ性が高い2曲が届けられた。バラード「Fanfare」を披露する直前には、「今日どんだけ泥臭くても、必死に今日1日を乗り切ったら、今日以上の明日が来ると思っていますので、昨日よりも今日、今日よりも明日と進んでいけるような、皆さんの背中を押せるような曲にできたらなと。この曲を聴いて、自分自身の背中を押して、今日以上の明日を迎えてもらえればなと思います」とCHIYUは述べたのだった。

そして、「十代からバンドをやってきて、もう20年以上になるのかな。これまで出会った人たちの中で、今は来ていない人もたくさんいますが、今もこうして来てくれる皆さんがいるから、しっかりとまだこのステージに立てているなという感謝もありますし、今まで関わってくれた人たちがいたからこそ、今の自分があるなという思いを込めて、いろんな人の色が重なって、また素晴らしい明日の素敵な色にしていきましょうという曲です。皆さんで一つになりましょう」と、当夜のラストナンバーとなったのは「Diary of Life」。〈もし明日死ぬとしたら生き方が変わるのですか?〉と渾身の歌声を響かせて、終幕を迎えたのだった。
最後に「またツアーを回りたいなと思うので、もっともっとライブが楽しくなるように、しっかりと良い曲をたくさん書きます。また一緒に遊びましょう」と告げたCHIYU。SLAPSLYの今後の動きとして、9月28日にSHIBUYA REXで2周年アニバーサリーライブが開催されることが決定した。改めて補足すると、CHIYUがソロアーティストとして活動をスタートさせたのは2018年に遡るが、2023年に5周年を迎えたことを機にソロプロジェクト“SLAPSLY”と名義を変え、再出発した。そこから丸2年を迎える記念すべき一夜を、ぜひ共有してほしい。

◆セットリスト◆
01. 「L」
02. Nothing is Over
03. L or R
04. 愛欲の華
05. fleek=fleek
06. Can’t stop feeling
07. Gift
08. 無限の風
09. Slayyyyy
10. TRICK STER
11. Infinity & Beyond
12. アマランヴ
13. ESPOIR
14. Fanfare
En
01. Egoistic GAME
02. FREAKY DANCE
03. Diary of Life
(文・金多賀歩美/写真・堅田ひとみ)
【リリース情報】
●New EP『RELAXED』
2025年3月26日(水)発売
[通常盤](CD ONLY)FAM-10009 ¥2,500(税込)
01. 「L」
02. Nothing is Over
03. Gift
04. ESPOIR
05. Fanfare
【ライブ情報】
●SLAPSLY & SLAPSTAN 2th Anniversary「Dear My Bastards 2025」
9月28日(日)SHIBUYA REX
OPEN 16:00/START 16:30/END about18:00
SLAPS MEMBER:JOHN(G)、Tohya(Dr/vistlip)