2024.11.27
Luv PARADE@初台DOORS
Luv PARADE Tour 2024「Beautiful Errors」
TAKA(Vo)、Karyu(G)、ZERO(B)、TSUKASA(Dr)によって2022年に11年ぶりの再始動を遂げたLuv PARADE。以降、セルフカバーと洋楽カバーを中心にステージを重ねてきた彼らが2024年6月、全曲オリジナルの1stミニアルバム『JOKER』を発表したことを機に新たなスタートを切り、これまで以上に精力的な展開を見せている。ライブを重ねるごとに進化していく、バンドとしてのあるべき姿を体現している彼らは、『JOKER』を手に巡った6月開催のツアーを通して一段階上に歩を進め、さらに9月に行ったコンセプチュアルな原宿RUIDO 2days公演をもって、一つのボーダーラインを突き抜けたのだった。
そんなLuv PARADEが11月17日にスタートさせたツアーは、よくある宣伝文句ではなく、実際に“急遽”決まったもの。メンバー自身の発言によって既に公となっているため簡単に事情を記すと、Karyuが活動するもう一つのバンド、H.U.Gが本来は11 月にツアーを開催予定だったが、延期となったことから代わりにLuv PARADEが行う運びとなった。このような経緯から、予期せぬ事態をプラスに変えていきたい、不完全なものの美しさという意味を込めた「Beautiful Errors」がタイトルに冠され、本ツアーに先駆けて11月13日には新曲「SHOOT IT DOWN」を配信リリースした。まさにイレギュラーかつ全4公演という短いツアーであったものの、その最終夜、彼らはまたしても新たな景色を見せてくれたのだった。
早くもオーディエンスに浸透している様子が見て取れた、現時点での最新音源となる「SHOOT IT DOWN」で勢いよく幕を開け、ラストシーンに至るまで最終的に全21曲が披露された当夜。様々な場面を繰り広げていく中で、これまでのステージとは異なる多くの変化があった。例えば、これまで中盤に配されることが多かったミディアムナンバー「INTO THE FLAMES」が序盤ブロックに組み込まれたこと、「TRICKCTeR」(D’ESPAIRSRAY)がLuv PARADEのレパートリーとして新たに加わったこと、バラードのカバー曲がメニューから外れたこと、「Toxic」(Britney Spears)へと繋ぐ場面でZEROのソロセクションが入ったこと、本編のセットリストがツアー全公演で共通だったこと。
また、洋楽カバーにおいては、再始動を機に選曲基準を熟考し、自分たち自身とはかけ離れたジャンルかつ女性ヴォーカルの楽曲を多くセレクトしてきたことから、これまでにLuv PARADEがロックバンドのカバーを演奏したのは数える程度。そんな中、当夜では「The Hand That Feeds」(NINE INCH NAILS)が披露されたわけで、おそらく再始動後の初ステージ(2022年6月20日Luv PARADE主催「DEVIL’S PARTY 2022」)以来、本ツアーで久々に組み込まれたと思われるこの楽曲は、ある意味異質な存在で、新鮮な感覚を生み出した。
さらに新曲「EDELWEISS」が本ツアーで初披露となったことは特筆すべき点で、力強いバラードナンバーに乗せた〈終わらない夜を越えて〉というリリックが何とも印象深いものであったし、先述の通り他のバラード曲がラインナップに含まれなかったことは、この楽曲を際立たせるためという意図もあったのではと推察する。
そして、当夜および本ツアーのハイライトと言えば、本編ラストを飾った「TONIGHT, TONIGHT, TONIGHT」だろう。『JOKER』のリードトラックであるドラマティックな展開が魅力的なこの楽曲は、前ツアー時点でオーディエンスとのタイトルコールの掛け合いがお決まりとなっていたが、本ツアーでは楽曲冒頭で〈We live tonight We live tonight 思いのまま跳べばいい We live tonight We live tonight 二度とは無いこの夜に〉の一節をコール&レスポンスでシンガロングし、実に温かく美しい光景を描き出したのだった。
この楽曲を披露する直前、TAKAが告げた言葉を記したい。
「本来は予定していなかったツアーでしたが、本当にやることができて心から良かったなと思ってステージに立っております。何が起こるかわからない日々の中で、本当にかけがえのない時間でした。何が起こるかわからない時だからこそ、そのワクワクをこれからも届けていきたいなと思っています。皆と感じ合っていきたいなと思います。皆で良い時間を重ねていきましょう」
「LOVE IS DEAD」(D’ESPAIRSRAY)から始まったアンコールでは、〈壊せばその眼に新しい未来 広がる〉と歌うキラーチューン「BRILLIANT」(D’ESPAIRSRAY)に続き、ピースフルな空間が広がった「The NeverEnding Story」(Limahl)すなわち終わらない物語、「楽しい未来を一緒に作っていきましょう」と「NEW WORLD」を、そして踏み出すことを描いた「SHOOT IT DOWN」の再プレイと、メッセージ性の強い構成で展開し、終演を迎えた…のだが、幕が閉じても鳴り止まない歓声に応え、予定になかった正真正銘のさらなるアンコールが実現。再びの「TONIGHT, TONIGHT, TONIGHT」で本来の歌詞から〈二度とはないこんな夜〉〈終わらせないこの夜に〉と歌い変えるシーンもありながら、幸福感に満ちたエンディングとなったのだった。
本公演をもって2024年のLuv PARADEのステージはラストとなったわけだが、既報の通り2025年の年明け早々には次なるツアーが控えている。加えて、そのツアー開催目前となる1月8日に、当夜披露された「EDELWEISS」「SHOOT IT DOWN」収録のニューシングル『EDELWEISS』がリリースされることが、新たに発表となった。「急遽決まったツアーでしたけど、回ってよかったなという成長っぷりがバンドにも皆さんにも見えたので、1月に繋がる良いツアーでした」(Karyu)、「この景色を来年、再来年と、もっともっと大きく広くしていきたいと思っていますので、これからもよろしくお願いします!」(TAKA)とのこと。予期せぬ事態はまた彼らを強くしたと言えよう。再会の日は近い。2025年もLuv PARADEの動向から目が離せなさそうだ。
◆セットリスト◆
01. SHOOT IT DOWN
02. MIDNIGHT SUN
03. INTO THE FLAMES
04. TRICKCTeR/D’ESPAIRSRAY
05. BORN/D’ESPAIRSRAY
06. The Hand That Feeds/NINE INCH NAILS
07. Toxic/Britney Spears
08. EDELWEISS
09. インソムニア/the Underneath
10. BAD GUY/Billie Eilish
11. Poker Face/Lady Gaga
12. JOKER
13. DEVILS’ PARADE/D’ESPAIRSRAY
14. MIRROR/D’ESPAIRSRAY
15. TONIGHT, TONIGHT, TONIGHT
En1
01. LOVE IS DEAD/D’ESPAIRSRAY
02. BRILLIANT/D’ESPAIRSRAY
03. The NeverEnding Story/Limahl
04. NEW WORLD
05. SHOOT IT DOWN
En2
01. TONIGHT, TONIGHT, TONIGHT
(文・金多賀歩美/写真・Ayami Kawashima)
【リリース情報】
●New Single『EDELWEISS』
2025年1月8日(水)発売
SIXR-005
<収録曲>
・EDELWEISS
・SHOOT IT DOWN
※後日詳細発表
【ライブ情報】
●Luv PARADE TOUR 2025「EDELWEISS」
2025年
1月11日(金)西川口Hearts
1月12日(日)横浜ReNY beta
1月18日(土)名古屋 SPADE BOX
1月19日(日)静岡Sunash
1月25日(土)OSAKA MUSE
1月26日(日)姫路Beta
2月1日(土)SHIBUYA DIVE
【配信情報】
●Luv PARADE Tour 2024「Beautiful Errors」
11月27日(水)初台DOORS公演
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