GOTCHAROCKA

結成10周年を迎えるGOTCHAROCKAの10thシングル『愛錠』。節目となる記念作品に映し出されたバンドの変化と進化の過程。

GOTCHAROCKAが流通作品としてはアルバム『POLYCHROME』(2020年10月)以来、実に約1年9ヵ月ぶりとなる新作『愛錠』をリリースする。奇しくも8月に迎える結成10周年を目前にしたタイミングでの10枚目のシングルとなる今作は、GOTCHAROCKAらしい美しいメロディーかつ疾走感と温かさを持つ表題曲「愛錠」、80年代を彷彿とさせる打ち込みサウンドを、現代版としてGOTCHAROCKA流に新たに作り上げたc/w曲「花怨」を収録。そんな最新作について話を聞くと、始動から現在に至るまでのバンドの変化と進化の過程が見えてきた。


限界だと思ったことは一度もなかった(樹威)

樹威

名阪での「GPS主催~名阪強化合宿の旅~」と「VR TOUR#23」から帰ってきたばかりのGOTCHAROCKAの皆さんですが、久々に4日連続でライブをしてみて、いかがでしたか?

樹威:5周年の時に5日連続ワンマンをやったことがありましたけど、今回はワンマン、イベント、イベント、ワンマンという4日間だったので、意外とイベントの2日間で体力をちょっと回復できたところもあった気がして、それで何とか乗り切れた感じかもしれないですね。

JUN:久々の4daysだったので疲れるかなと思っていたんですけど、意外と大丈夫だったという(笑)。あまりやったことがないということを自分たちでもわかっている中で挑んだところもありつつ、ワンマンツアーが控えているという気持ちもありながらやっていたので、この4日間が自分たちにとってすげー良い鞭になったというか。気が引き締まった感じもあって。最近は何となく月1ペースでライブをやっていた感覚だったので、「さぁ、これから大変なやつが来るし、しっかり緊張感を持ってやらなあかん」みたいなものが自分たちに課せられたのが良かったなと。やってめっちゃ良かったなと感じました。

十夜:JUNの話と近くなるんですけど、全国ツアーが始まる時って、やっぱりそれを見ちゃうというか、新曲も増えて、これから迎える初日に向かってきちんとやっていかなきゃという気負いみたいなものがあるんですけど、そういうものがいきなりスタートするよりも、その前にこの連続ライブをやることで体が馴染んだというか。体力的には疲れたなとかはあったんですけど、演奏面や、これからツアーをやっていくうえでの自分の良い気の引き締めにはなったなとすごく感じました。なので、良いタイミングでやれたなと思います。

そして、まもなく10周年を迎えるということで、おめでとうございます!

全員:ありがとうございます!

GOTCHAROCKAのVifインタビュー初登場は5周年のフルアルバム『SCREAMY』の時でしたが、始動からの5年間と、5年目から現在の5年間という二つに分けて考えると、バンドに向き合う姿勢や内面的に変化したところはありますか?

樹威:両方同じくらいの記憶の量なんですけど、僕は断然5年目からの5年間のほうが濃いような気がしていますね。始動から5年って何か手探りだったような気もして、GOTCHAROCKAってこういうバンドだなというのを、自分たちで作っていったとは思うんですけど、理解していこうみたいなのがより強くなっていっているのは、やっぱり後半のほうなので。そういった意味では、僕はここ5年のほうが頑張ったよなぁという感じはありますね。

JUN:難しいですけど、感覚は樹威さんが言ったものと似ていますね。最初の5年は、GOTCHAROCKAというバンド名が、自分でわかっているつもりではいながらも「それ、なんや?」みたいな、そこに向かって突進していた5年間だったような気がするんですけど、時を経ていって、バンド名が先に来るというよりは、今はこの3人の人間でやっているバンドだなという部分をすごく大事に思うようになっていて。そういう面での濃度で言うなら、良い意味でとても人間らしいバンドをやっているなと感じるのが、5年目から今にかけての時間なので、丸くなるというのとは違って、大人な部分と子供な部分を両立してやっているような気がして、楽しんでいる率は確実に今だろうなと思います。

十夜:やっぱりスタート当初って、僕らがGOTCHAROCKAとしてどんなバンドなのか、どんなバンドになっていくのかというのは、例えるなら山を登るうえで頂上の景色の想像がついていなかったので、手探りでやっていた感じがありました。だから、最初の5年のほうが良くも悪くも力が入り過ぎている部分があったのかなというのは感じていて、今は余裕とはまたちょっと違うんですけど、自分のあり方だったり、俺たちってこうだよねっていうのが、わざわざそういう話をしなくても3人で認識していられているんじゃないかなと思いますね。

俗に言う、5年の壁、10年の壁みたいなものを感じたことはありますか?

樹威:あまりそういうのは気にしていなくて。ただ、GOTCHAROCKAを結成するとなった時に、割と自分たちで動かしてやっていこうという気持ちが強かったんですね。大人の人が嫌だとかではないんですけど、事務的なことでも何でも、自分たちでやれることは極力自分たちでやっていこうというのが強くて、それをお客さんにもわかってもらえるような状況下にあったと思うんですけど、そういう感じに慣れていなくて。最初の5年間でそれに慣れてきて、そこからの5年間でもっとアーティストらしく音楽を一番として、事務的なものは任せられる人に任せるみたいな、その切り替えが5年目辺りだったかもしれないですね。それまでは、自分たちでやっているからというのを、全部お客さんに見せようと思っていたというか。

そうだったんですね。

樹威:だから壁というよりは、長くやってきたからこそ超えられるものってあるなと思いました。5年やってきたな、10年やってきたなというので、それが限界だと思ったことは一度もなかったですね。だからと言って、15年、20年を目指すという指針みたいなものは別にないし。数字を目標としているわけではないので、祝われることは嬉しいですけど、普通にやってきたことだしなという感覚ですかね。

自然体で一生懸命熱く届けようとしている瞬間がすごくエモい(JUN)

JUN

7月6日にリリースとなる『愛錠』は一般流通シングルとしては2019年11月の『Chirality』以来の作品となりますが、この『愛錠』の前に、6月16日に FC限定シングル『GPS vol.3』もリリースされましたよね。この情報が6月5日発表だったので、割と唐突だったなと。これはどのような経緯だったのでしょうか?

樹威:7月に『愛錠』を出すと決まった時に、そういえばFC限定のCDって最近出してないねという話になって。ライブで楽しくやれそうな曲を別で作ろうかということで、同時進行でレコーディングをしていました。発表のタイミングはそんなに気にしていなかったかもしれないですけど、突然出しますという発表をして、お客さんに「あ、出るんだ…!」という感覚を味わってほしかったというのはあるかもしれないですね。

JUN:プレゼントです!

JUNさんとしては、この二作を同時進行している作業の大変さはありましたか?

JUN:いや、アルバム『POLYCHROME』が大変過ぎたので、これは大変ではないです(笑)! ただ、『愛錠』の2曲と『GPS vol.3』の2曲で計4曲を作っていたんですけど、二作に向かうそれぞれのモードというのは全然違いました。『GPS vol.3』の2曲はFCのものなので、遊びが想像付くようなものを大切にしたかったところでもあり、良い意味で変に荷が重くなく、制作期間からツアーのことを考えたりして結構楽しんでやっていましたね。喜んでくれたらいいなぁ、みたいな。

『愛錠』は10周年を迎えるタイミングにちょうど10枚目のシングルということになるのですが、これは狙っていたのでしょうか?

樹威:僕ら、あまり狙うことはしないんですよ。たまたまいつも何かとタイミングが良いんですよ(笑)。

そうなんですね(笑)。それにしては奇跡的ではないですか。

JUN:本当にそうですよね。去年12月にライブ会場限定で出したシングル『SENSITIVE DARKSIDE/PRISM』は、一般流通ではないということで9.5枚目のシングルとなっていたので、今回がたまたま10になるという(笑)。

樹威:してやった感はないです(笑)。

JUN:例えるなら、たまたま時計を見たら「あ、俺の誕生日の数字や」というくらいの感じ(笑)。

十夜:多分、コロナ禍がなかったら、10を超えていたと思うんですよ。もっと出していそうな気がするので。

確かに。今回、このような特別なタイミングでリリースする作品ということを前提とした曲作りだったのでしょうか?

JUN:10周年、10枚目…すごく単純な思考でいくと、もしかしたら最高傑作、総集編みたいなものを求められているのか!?みたいな(笑)、そんなことが自然と頭をよぎったりしたんですけど、そんなことに向かっていってしまったら、何も曲を作れないやというのが、とりあえず僕が出した答えで。でも、やっぱり無視はできないという部分も正直あって。なので、作曲を始める時に、今そういうタイミングで何をやりたいかなと考えて、ライブ映像や録音を何気なく聴く時間を設けたんです。

そうなんですね。

JUN:その時に良いなと改めて思ったのが、このバンドは何かになろうとせずに、自然体で一生懸命熱く届けようとしている瞬間がすごくエモいなと、それを出せる楽曲を作りたいなと感じたんです。それが今回のコンセプトであり、感覚に任せて何となく音を組んでいきました。なおかつ、結成してからこんなこともやっていたなみたいな、昔のポケットを引っ張ってきた部分を入れてみたりしながら作って。そんな流れがあってデモを完成させたんですけど、自分では「OK、もうこれでしょ!」とは思わなかったんです。なぜかと言うと、「そういう意図で作りました」と言って、そこにメンバー皆の気持ちが一致して初めて=自然体で一生懸命届けようとする気持ちが揃った時に初めて、僕らなりのエモさが出ると思ったんです。なので、皆に相談しようと思ってデモを完成させて、選曲会まで待っていたという流れでした。

樹威さんと十夜さんは、選曲会で「愛錠」を聴いた時の印象はいかがでしたか?

樹威:表題曲を何にしようかと言って、5~6曲聴いたんですよ。どれがオススメとか何も探らずにとりあえず全部聴いて、「愛錠」を聴いた時にこれかなと思ったんですよね。僕としてはイントロの頭のリズムが、普通にあるリズムなのにちょっと新しいなという感覚があって。あとは突き抜ける感じと、少し力を抜いて熱く歌えそうだなと。僕が歌ってなくても、お客さんが歌って成立するようなものが良いんじゃないかなと思ったんですよね。

十夜:順番に曲を聴いていく中で、これは「あっ」と思ったんですよね。メロディーもすごく綺麗だし、曲として疾走感と優しさもすごく感じたんです。その優しさの部分が、このタイミングにはこの曲が合っている気がするなというのは、聴いた時にすごく感じました。感覚が皆、近い部分があったのかもしれないですね。