Zepp Tokyoでの最後のライブを終えたvistlip。慣れ親しんだ会場に別れを告げ、さらなる未来を目指す彼ら一人ひとりに、現在の思いを聞いた。~瑠伊編~
ハロウィンシーズンのライブとなった今回のライブのコンセプトを誰よりも気に入っていた瑠伊(B)。ライブのためのSEを制作し、これまでのvistlipのステージではほとんど使ったことがなかったアップライトベースを弾くなど、積極的なアプローチで最後のZepp Tokyoのステージに挑んだ。そんな彼が今願うこととは?
すごく好きなコンセプトのライブだった
ライブを終えた今の心境は?
瑠伊:個人的にすごく好きなコンセプトのライブだったので、とても楽しかったです。昨年は開催中止になってしまったから、こういう形で改めてできて本当に嬉しかったですね。
瑠伊さんのメイクは顔が真っ白に塗られていてインパクトがありましたね。
瑠伊:真っ白でしたね(笑)。vistlipのハロウィンライブは初めてだったんですけど、僕は普段からこういう世界観が好きなこともあって、仮装っぽいことは、やりつくしてはいたんですよ。だからハロウィンライブでどんなことをしたらインパクトを与えられるかな?と考えたときに、白塗りしか出てこなかったんですよね(笑)。
まだやっていないのはこれだ!と(笑)。
瑠伊:そう(笑)!これしかないなと思って、初挑戦してみました。でも、白塗りをした自分のキャラを掴みきれていなかったですね(笑)。
ライブの途中でも「キャラに入り込む!」と話して鏡を見る時間がありましたよね。あの後は入り込めましたか?
瑠伊:入り込み気味くらいな感じでした(笑)。自分の中の気持ちと見た目のギャップを常に感じながらのライブでした、でもそれはそれで良かったかなと思っています。
今回の衣装はそれぞれキャラクターが設定されていて、瑠伊さんは、吸血鬼と悪魔でした。瑠伊さんにぴったりなキャラクターだと思いましたが、衣装についてはいかがでしたか?
瑠伊:僕が日頃から発信してきた好きなテイストを、盛り込んでもらえて嬉しかったですね。
今回のライブで、自分自身のプレイで1番良かったなと思ったところは?
瑠伊:アップライトベースを使ったことかな。vistlipのライブでアップライトベースが登場したのは、「New ERA STYLE」ツアー(2019年1月)のときと、今回のライブだけですね。
アップライトベースは、オープニングの演出での演奏と「ORDER MADE」で使用されていましたね。
瑠伊:「ORDER MADE」に関しては、MVで使っていたんですよ。でも、ライブでは普通のエレキベースでずっと演っていて。最後のZepp Tokyoのステージで「ORDER MADE」をやるのであれば、アップライトベースでやりたいなという気持ちがあって弾きました。ライブのコンセプト的にもばっちり合っていたと思います。見た目の雰囲気も、音の感じもすごく今回のコンセプトにはまっていましたよね。自分では、「New ERA STYLE」ツアーのときよりも、もっと物にできていた感じがしていて、今回のライブでアップライトベースを弾いて良かったです。
瑠伊さんがアップライトベースを使ったシーンは、今回のライブの見所でもあったと思います。他のメンバーの「これが良かった!」と思ったところは?
瑠伊:智の世界観の作り込み方はさすがだなと思いました。オープニングはもちろん、MCも素晴らしかったですね。
智さんはオープニングでのゴシックでホラー感のある世界観のまま、ライブ中のMCを続けていましたが、途中でキャラクターが崩れてしまった場面もありましたね(笑)。
瑠伊:その崩れる感じもvistlipだなと(笑)。今回のオープニングの演出は智主導で考えたんですが、SEを作ってくれと伝えられました。映像部分の曲のアレンジや、告知動画の音源など、音楽的なものは僕がやらせてもらったんです。智から「こういう雰囲気のものをやりたいんだよね」という構想を聞いて、それに合うように作っていきました。
瑠伊さんがライブのSEを担当するのは珍しいですよね。
瑠伊:そうですね。今回のコンセプトが好きなこともあるんですが、こういった世界観の楽曲を作るのが得意なんですよね。
SEの出来はご自身としてはいかがでしたか?
瑠伊:作り始めてから、1〜2時間くらいでできたんですよ。そのあとに細かい部分の修正はしましたが、あっという間にできたので、「やっぱりこういう曲を作るのは得意なんだな」と自分でも思いましたね。作った曲は智にも満足してもらえました。智と一緒にやっているユニットのLillでは、ファンタジーな雰囲気の楽曲を沢山作っていたので、その経験が今回vistlipに活きてきたなという感じですかね。
海さんは、「ORDER MADE」で瑠伊さんのベースがハウった音が、何かが泣いているように聞こえて、すごいことをするなと思っていたそうです。
瑠伊:海のその発言を聞いて、すごく救われました。あの音が演出の一部になれたってことですよね。「ORDER MADE」は繊細な曲じゃないですか。曲の静かなところで、ハウってしまって、僕としては「やってしまった」感がすごくあったんですけど、海がそんな風に言ってくれたことは嬉しいですね。
Tohyaさんは、「彩」のベースソロのミスが、会場の全ての空気を持っていったので、「もしかしたら、わざとだったんじゃないかな?」と疑っていました(笑)。
瑠伊:わざとじゃないです、心の底からやってしまいました(笑)。最後のZepp Tokyoという大事なステージで間違えてしまって、「何やってるんだよ!」って自分では思っていたんですけど、ある意味、最後のZepp Tokyoであの頃の雰囲気を演出できたのは、良かったといえば良かったのかもしれませんね(笑)。
vistlipはまだまだこれから
アンコールの「-OZONE-」が、Zepp Tokyoで演奏する最後の曲になりました。あのとき、どんな思いでいましたか?
瑠伊:いろんなことを思いながら演奏しましたね。初めてのZepp Tokyoでのライブの1曲目が「-OZONE-」だったんですよ。vistlipのZepp Tokyoでのワンマンライブの歴史の始まりの曲でもあり、終わりの曲でもあるということがすごく感慨深くて。10年前に、1曲目として演奏した時は、Zepp Tokyoというステージに慣れていないから、緊張と不安で足元がフラフラしていて。まるで宙に浮いているような気持ちで、弾いた思い出があるんですね。でも今回の最後に演奏した「-OZONE-」は、こんなにも堂々と落ち着いて弾くことができた。この10年でこのステージにすごく成長させてもらえたんだなという気持ちになって、その瞬間に「あぁ最後なんだな」という感情が込み上げてきました。
改めて、この10年のZepp Tokyoでのライブで1番記憶に残っていることは?
瑠伊:やっぱり初めてのときかな。1番ワクワクしていたし、1番不安にも感じたし、ドキドキワクワク、ザワザワソワソワみたいな、いろんな感情が巡っていました(笑)。ライブが終わった時の「やりきったぜ!」っていう感じも1番ありましたし、髪型に気合いも入っていましたね。前日に15時間くらいかけて、派手にしてきたり。
10年前の初めてのZepp Tokyoでは瑠伊さんは、すごく自分の見せ方を作り込んでいたと思いますが、だんだんステージで自然体になってきていませんか?
瑠伊:あまり意識的にそうした訳ではないけどそうかもしれない! 今回のライブのMCでも話したように、本当に最近では思うままにLIVEをしているので、ステージでは自然体になってきていますね。
瑠伊さんが自然体でステージに上がるようになってきたことが、ベースプレイや楽曲などに様々な良い影響をもたらしているかと思います。さて、Zepp Tokyoを出た今、今後vistlipとして、一人のアーティストとしてどう歩んでいきたいと思いますか?
瑠伊:ずっと長くやっていたいですね。こうなりたいとか、今よりも大きくなりたいとかはもちろんあるんですけど、1番に思うのは、長く続けていきたいということ。コロナ禍でライブも全然できていなかったんですが、最近スケジュールがどんどん決まってきているので、すごく幸せを感じています。だから今は、あまり先のことは考えていないですね。何よりも、ちゃんとライブやバンドの活動ができる状況が長く続いていくことを大事にしていきたいです。
今、瑠伊さんが長く続けていきたいと思っているということは、それだけvistlipの状態が良いのではないでしょうか?
瑠伊:バンドの状態は年々良くなっていますよ。もちろん、バンドの結成から今にいたる日々の中では、ちょっとギクシャクした時期もありましたけど、10周年を越えたあたりから、全くそんなことも無くなって、本当にみんなが分かり合えるようになりました。時には「ちょっとここが合わないな」ということもあるじゃないですか。そういうことも乗り越えて、今は本当に、それこそ家族ですね。家族だから、多少合わないことがあっても別に嫌な存在じゃない。元々メンバー間の仲は良いんですけど、最近では役割も「これなら俺がやるよ」と自然に分担ができていて、何のストレスもないです。vistlipはまだまだこれからという感じがしていますね。
あの日のライブのMCで、智さんから“良い未来”という言葉が語られましたが、vistlipにとっての良い未来とは?
瑠伊:vistlipがずっと終わらないでいること。歳を取って腰が曲がっても、白塗りをしてライブをしたいですね(笑)。vistlipを無くす理由が見つからないんですよ。きっとメンバー全員がそう感じていると思います。
来年には7thアルバムをリリースすることも発表しました。「7」という数字にこだわりがあるvistlpにとっては大事なアルバムになりますね。
瑠伊:そうですね。「7」という数字にこだわり続けてきたので。素敵なアルバムをリリースさせていただきます。
(文・武村貴世子/編集・後藤るつ子)
vistlip
智(Vo)、Yuh(G)、海(G)、瑠伊(B)、Tohya(Dr)
オフィシャルサイト
ライブ情報
【ライブ情報】
●Merry Bell 2021
12月17日(金)CLUB CITTA’
●V.I.P.LiST limited LIVE「HYSTERIC MEDIA ZONE」
12月26日(日)高田馬場AREA
●「HAPPY BIRTHDAY TO THE CENTER LINE」
2022年1月18日(火)新宿BLAZE
●V.I.P.LiST限定イベント
2022年2月
●V.I.P.LiST&MEMBER LiST限定 東名阪ONE MAN LIVE
●7th ALBUM 東名阪ONE MAN LIVE
リリース情報
●7th ALBUM 発売
2022年春