2025.12.06-12.07
Ruiza BAND@池袋RED-Zone ANERIS
「Break the Day」


「今年1年、たくさんのものを積み上げてきました。でも、全然満足していません。俺たち、もっともっとやれるなと確信しています。我々一人ひとりの力、バンドの結束力も高めていかないといけないですが、皆ともっともっと高めていけるなというのを、今年1年かけてすごく感じました。なので、ここまでの時間をすべてぶっ壊して、もっと高みを目指していきたいなと思います」
2024年3月をもって無期限活動休止となったDのギタリスト・Ruizaが、バンド編成による新たなソロプロジェクトをスタートさせた2025年。1月にソロ名義でのミニアルバム『Alive』を発表し、2月開催の「Ruiza Birthday Live『Alive』」をもって本格始動を果たした。Seth(Vo/Moi dix Mois)、Tsunehito(Ba/D)、美景(Dr)と共に、次々と新曲を生み出しながら多くのライブを重ね、“Ruiza BAND”として精力的に活動を展開している。

そんなRuizaが、このたび行われた2days公演「Break the Day」第一夜の序盤に、その冠に込めた思いを語った言葉が、冒頭に記したものである。Ruiza BANDとしては、この二日間が年内最後のワンマンライブであり、本公演の舞台となったのは池袋RED-Zone ANERIS。先述の通り、Ruiza BANDの本格始動は2025年だが、現メンバー4人で初めてステージに立ったのは、2024年7月に同会場で開催された「Ruiza solo works Oneman Live『生々世々 〜Endless Circle〜』」アンコールでのこと。ゆえに、4人の始まりの場所で2025年を締めくくりたかったのだという。
両日ソールドアウトで迎え、この1年間の活動の集大成であると同時に、Ruiza BANDそのものの現時点での集大成となった二日間。Day1は初音源『Alive』発表時、すなわち4人での最初のMVであった「深層」の衣装、Day2は8月リリースの最新シングル『黎明』の衣装で臨み、異なる構成による2ステージを通して、未来へと繋がるRuiza BANDの歩みと現在地を鮮明に描き出したのだった。


Day1では、Ruiza BANDの始まりの象徴「生々世々」「深層」が幕開けを飾り、本編ラストには彼らの第2章の始まり「黎明」、そしてアンコールには「深層」の再プレイもあり、中盤の流れも含めていわば王道的な構成でDay2へと繋げる展開に。そして、Day2では幕開けとアンコールラストを「黎明」、本編ラストを「深層」が担い、新たな試みも取り入れながら、新鮮さのある構成とともに2026年へと向かうRuiza BANDの姿を提示した。
今夏より披露されている、現時点での未音源化曲「Brain Deceive」「Endless Circle」は、ワンマン公演と主催イベントツアーを前に生み出されたという経緯もあり、抜群の盛り上がりを見せるライブチューン。両日ともに序盤ブロックに配された「Brain Deceive」は、Ruiza BANDに新たな風を吹き込んだダンサブルな1曲で、美景の軽快なドラミングとTsunehitoのグルーヴィーなベースに乗せて、キャッチーなメロディがポジティブな空気を生んだ。一方、Oiコールの掛け合いからスタートする「Endless Circle」は、Day1では後半戦への突入曲として、続く「残響」とともにハードナンバーの連投となれば、Day2では美景のドラムソロを経て、Ruizaとオーディエンスによる掛け合いから楽曲へと雪崩れ込む、新たな展開を見せた。


そして、この二日間で、さらなる新曲が2曲お披露目されたことは、大きなトピック。Day1のMCにおいて、鋭意制作中のニューアルバムのリリース日が、自身の誕生日である2月18日になったことを思いがけず口にしたRuizaだが、その作品のリード曲となるのが、両日披露されたメロディアスな「New World」だという。「アルバムの中のとてもとても大事な、自分の思いだったり、これからの未来に向けて歌った、皆の気持ちをたくさん込めて生み出された楽曲です」と彼が語ったことからも、2026年のRuiza BANDの重要曲となることは間違いない。
Day2のみで披露された、もう一つの新曲「Impulse」については、「来年に向かって、明るかったり、楽しかったり、エネルギーに満ち溢れた活動になったらいいなと。こんなことを言うと、綺麗な曲かなと思うかもしれないけど、激しい曲です。激しい曲、大好きなのでね」とRuiza。Sethのシャウトも飛び出したヘヴィーチューンに、初見にもかかわらずオーディエンスは拳とOiコール、ヘッドバンギングで応戦し、白熱の光景が広がると、そこへエモーショナルなミディアムナンバー「夢幻」が続き、強いコントラストを描き出した。


また、Day1の中盤では『Alive』の収録順と同様に「Swallowed」「alma」「奈落」が並び、連続性のある物語を表現したのに対し、Day2ではそれぞれを切り離した配置で異なる魅せ方をしたのも印象的。〈忘れないで ここにいて〉という穏やかな歌い出しが空気を一変させる「追憶」にバラード「Swallowed」が続き、深海を思わせる世界観が色濃く映し出されたことに加え、Sethの温もりのあるふくよかな歌声が際立つセクションとなれば、Tsunehitoのデスボイスも炸裂する「奈落」はアンコール1曲目に投入され、起爆剤となった。


なお、両日のアンコールでは各メンバーの言葉も届けられ、Tsunehitoが「Ruiza BANDの時は毎ライブものすごい汗をかくんですよ。運動量もそうですけど、ボルテージをものすごく上げて挑んでいるので、集まってくれた皆とぶつかり合うのが楽しいです」と話せば、今回の2days公演に際して、自身のドラムセットを持ち込んだ美景は、「音楽とは別の道に進んでいった先輩後輩から譲ってもらった機材もあって。だから、ここにいるファンの皆さんの思い、夢を託してくれたバンドマンの皆さんと、Ruizaさん、Sethさん、Tsunehito君の思いも、僕がこれから背負いまーす! …違う、Ruiza BAND! 一緒にね」と、場内を和ませながらもRuiza BANDに対する覚悟を覗かせた。
さらに、「レコーディング、ずっとやっていたいというくらい、楽しいです。歌うことがすごく楽しいなと思う活動をさせてもらえています。新曲ができるたびに、自分のことを考えて作ってくれているんだなと感じられて、すごく嬉しいです。このメンバーが大好きです」と述べたSethの温かな言葉は、Ruiza BANDの良好な関係性を物語っていた。


Day2のアンコールにおいて、オーディエンスのシンガロングが響き渡った多幸感溢れるアンセム「with you」を終え、「『with you』を演奏すると、グッと来すぎてすごく苦しくなります。自分たちと皆がいないと成立しない曲になりました。今日も皆さんの歌声で完成した曲です」とRuiza。そして、「伝えたいことはたくさんあるけど、音楽をやっている身として、気持ちは音で届けていきたいなと思います。これが終わると次に会えるのは2026年。そう考えると、すごく先のようだけど、きっとすぐです。次の世界を作るための『黎明』をやります」と続け、前に突き進む力強さに満ちたラストシーンとなったのだった。
なお、当夜Ruizaが何気なく口にした「このメンバーで幸せです」「Ruiza BANDを始めてよかった!」という実感のこもった言葉は、Ruiza BANDがいかに良い状態にあるか、そしてその活動の充実ぶりが強く伝わってくるものだった。


年明け1月10日には主催イベント「BURNING SOUL vol.11」が控えており、2〜3月にはRuiza、Tsunehito、美景それぞれのバースデーライブとなる東名阪ツアー「A new dawn」の開催も決定している。加えて、「1年分のスケジュールを出そうと思って、全部組んでいるところ」とのこと。
「もう“Ruiza”を取って“BAND”でいいです(笑)。それくらい心も通じ合っているし、皆で生み出しているなと思って。ソロだけど、全然一人でやっているつもりはなくて、本当に皆に支えてもらって色々生み出しています。それをもっともっと高めて、皆に素敵なものを届けたいなと思っています。来年、デッカい愛を贈るので、受け取ってください」とも語っていたRuiza。新作の完成に期待を寄せつつ、年明けの再会を心待ちにしたい。

◆セットリスト◆
【12.06:Day1】
01. 生々世々
02. 深層
03. Brain Deceive
04. 魔儀
05. 追憶
06. Swallowed
07. alma
08. 奈落
09. 夢幻
10. Endless Circle
11. 残響
12. New World
13. 黎明
En
01. 深層
02. with you
【12.07:Day2】
01. 黎明
02. Brain Deceive
03. New World
04. 魔儀
05. 追憶
06. Swallowed
07. 生々世々
08. Dr.solo
09. Endless Circle
10. Impulse
11. 夢幻
12. 残響
13. 深層
En
01. 奈落
02. with you
03. 黎明
(文・金多賀歩美/写真・さかもと)
【リリース情報】
●New Album(タイトル未定)
2026年2月18日(水)発売
【ライブ情報】
●Ruiza 主催イベント「BURNING SOUL vol.11」
2026年1月10日(土)東京Wild Side Tokyo
出演:Ruiza BAND、ANCIENT MYTH、SAISEIGA、CRIMZON FLARE、NEiN
●楽屋ライブ2026「おはるさんバースデー‼」
2026年1月11日(日)the Groove TAKASAKI
出演:THE DEAD P☆P STARS、Ruiza BAND、死んだパンダ噛んだズ、BEAT CHILD
●Ruiza BAND東名阪ワンマンツアー「A new dawn」
2026年
2月21日(土)西荻窪BETTY ROOM
3月8日(日)大阪CLAPPER
3月14日(土)名古屋HOLYDAY NEXT
●Nana PRESENTS AKI BIRTHDAY EVENT HYBRID DARKNESS
2026年3月26日(木)池袋EDGE
出演:ナナ、Ruiza BAND、NICOLAS
