2025.08.09
Ruiza@青山RizM
Ruiza ONEMAN LIVE「Genesis of the world 東京〜玄色の刻〜」

2025年、無期限活動休止中のDのギタリスト・Ruizaが、バンド編成による新たなソロプロジェクトをスタートさせた。1月にソロ名義でのミニアルバム『Alive』を発表し、2月開催の「Ruiza Birthday Live「Alive」」をもって本格始動。Seth(Vo/Moi dix Mois)、Tsunehito(Ba/D)、美景(Dr)と共に、“Ruiza BAND”として精力的に活動を展開している。
このたび行われたのは、東京・札幌・神戸の全3ヵ所での開催となるワンマンライブの第一夜「Genesis of the world 東京〜玄色の刻〜」。とはいえ、その3公演と同時期に主催イベントツアー「BURNING SOUL vol.3〜10」も決行されることから、これらを含めた全11公演の初日という意味合いも持つ。2月に正式始動したばかりのRuiza BANDにとって、これほどのボリュームのツアーは初めてのことだ。さらに、この日はSethの誕生日当日であるうえ、『Alive』以来の新たな音源となるシングル『黎明』が同日より会場限定リリースされることとなった。
そんな様々な要素が重なり合った本公演に、Ruizaが特別な思いを込めていたことは想像に難くない。実際、前夜に彼のXに綴られた言葉は、この公演の本質を端的に表す極めて重要なものであったため、以下に抜粋して記したい。
「新たな活動を始めて全身全霊を込めて「Alive」という作品を作った、その次の世界が生まれる日。なので「黎明」という新たな楽曲のリリースをその次のワンマンでしたかった。だからこそRuizaの楽曲に歌を命を吹き込んでくれているSethさんのバースデーに全てを揃えようと思ったんだ。ただのバースデーライブじゃないよ。この日からまた更に我らの絆は深くなるだろう。ツアー初日であり新たな世界の始まり。ページをめくり、次の一歩を踏み出す日」


改めて当夜の冠を紐解くと、「Genesis of the world」は“世界の始まり”を意味し、「玄」は赤や黄を帯びた深みのある黒色で、老荘思想においては天地万象の根源を指す。そして、作品タイトルの「黎明」は、文字通り夜明けを意味すると同時に、比喩的には物事の新たな始まりを象徴する。
かくして迎えた8月9日。「思い切り飛ばしていこうか!」というSethの第一声を合図に、『Alive』のリード曲、すなわちRuiza BANDの名刺代わりでもある「深層」が幕開けを飾った。ただでさえ抜群の勢いを持つ楽曲だが、ステージを重ねるごとにキラーチューンの位置を確立し、この夜も初っ端からステージ、フロアともに凄まじい熱を放っていたのが印象深い。そこに『黎明』のc/w曲として収録されたライブチューン「残響」が続き、容赦ない展開となった。
「今日が新しい一歩を踏み出す日ということで、ものすごく気合を入れてやってきました。忘れられない1日にしましょう」とRuizaが述べた後、早速ケーキと「Happy Birthday」の大合唱でSethの誕生日を皆で祝福。それを受けてSethが語った言葉は、Ruiza BANDの良好な関係性と、バンドに対する率直な思いを示すものだった。

「僕は20歳の時に東京に出てきて、初めてバンドを組みました。その時と同じくらいの気持ちで、今とても楽しくて、曲を一緒に作る時にとてもワクワクして、レコーディングする時はドキドキして、ライブをする時はその頃のようにすごい緊張と解放感に包まれています。それはこの4人でバンドの形を成して数ヵ月、同じメンバーで過ごしていることがとても大きいと思います。対バンをしても、バンドとして負けている気が全然しません。なので、このRuiza BAND、まだまだ思い切り暴れ倒して、皆が驚くくらい、最初から応援していて良かったなと思えるくらいのバンドにしていきたいので、これからも一緒に暴れ倒していきましょう」
そして、「今日を特別な1日にできるかどうかは、僕らと皆次第なので、最後まで全力でぶつかり合いをしましょう。よろしくお願いします! 誕生日ということで、Ruiza BANDが最初に演奏した楽曲を」(Ruiza)という言葉から「生々世々」が披露され、イントロではSethが「ここから一緒に歴史を作っていきましょう」と投げかける場面も。その後、様々な展開の中にキャッチーさも光る「追憶」が前後を繋ぐグラデーションを描き、重厚なミディアムナンバー「夢幻」が響き渡った。特に「夢幻」の終盤、Tsunehitoと美景のリズム隊が土台を強固に支え、そのうえでRuizaのギターとSethの歌が濃密に絡み合った音像は、実にエモーショナルなものだった。


この日、新作音源のリリースに留まらず、今春の東名阪ツアーまでは存在していなかった2曲の新曲が加わったことも、大きなトピックだった。本編中盤に配された、リズム隊始まりの「Brain Deceive」は、ベースソロとギターソロも含みつつ、メインイントロやサビでは皆で飛び跳ねるダンサブルなナンバー。これまでのRuiza BANDにはなかったタイプの新たなライブチューンの誕生は、今後の主催イベントの中でも強力な武器になりそうだ。
少しのインターバルを挟み、温もりある始まりから次第に熱量がほとばしるバラード「Swallowed」、インストゥルメンタル「alma」を経てハードナンバー「奈落」へ。一つの物語として『Alive』に収められたこの3曲が収録順通りに供されたのち、「Ruizaはもっと欲しい、お前らの声を! なので、さらなる新曲を作ってきました。デカい声出して暴れて一つになりたいなと思って、このツアーになんとか間に合わせて。全箇所でやるかはわからないけど、ワンマンでは確実にやるだろうなと思います。皆、歴戦の猛者たちしかいないと思うので、初見でいけるよね? デカい声を俺たちに届けてください」(Ruiza)と投入されたのが、もう一つの新曲「Endless Circle」。Tsunehitoの極悪シャウトも炸裂しながら、Ruizaの言葉通りオーディエンスは拳とOiコール、ヘドバンで応戦。見事な暴れっぷりを見せつけたのだった。
そこへ多幸感溢れるアンセム「with you」が続いたことで、「Endless Circle」とのコントラストがいっそう際立つ形に。曲中には、RuizaとTsunehitoがSethを挟むようにセンターに並び、さらに3人が後ろを向いて美景を含めた4人が円形となり、笑みを交わす場面も見られた。また、オーディエンスの温かなシンガロングを聴くことができるのも、この楽曲の大きな魅力であり、プレイを終えたRuizaは「めちゃくちゃ素敵な歌声でした」と告げた。


そして、「楽しいことはあっという間に過ぎ去ってしまいます。なので、1秒1秒大切に、今日のライブは二度とありません。しっかり俺たちのことを受け止めて帰ってくれたら嬉しいし、次また一緒にこの熱を作りたいなと思ってくれたら、本当に最高です。そのためにもっともっと気合を入れて頑張っていきたいなと思っております。なので皆さん、この先もどうかよろしくお願いします」――そう語ると、新たに年末から2026年3月までのスケジュールが一挙に発表された。日程等は別掲の通りだが、補足として12月6〜7日は、今の活動の原点に戻りたいという思い、12月13〜21日はインストも含めたRuizaソロの集大成的な内容、1月10日の主催イベント「BURNING SOUL vol.11」は、vol.3〜10とは毛色を変え、メタルバンドを揃えるとのこと。そして2〜3月は、Ruiza、Tsunehito、美景それぞれのバースデーライブの東名阪ツアーとなる。
当夜のステージはここで本編最終ブロックとなり、爆裂ハードナンバー「魔儀」を経て、本公演の軸である「黎明」がラストを担った。力強く突き進むドラミングに、トリッキーなギターとベースのユニゾンフレーズが印象的で、美景が立ち上がりフロアにアピールする場面も見られれば、フロント3人のアグレッシブな煽りに、フロアも全力で応戦してみせた。


アンコールではメンバー全員の声が届けられ、美景が「今日のライブを通じて一つ確信したことがあります。ここにいる皆さんはSethさんの歌に救われてきたと思うんですけど、僕もその一人だということがわかりました」と話せば、「Ruizaさんのソロプロジェクトのバンドですけど、メンバーの一員として必ず全力を出せるようにやらせてもらっているので、素晴らしいライブという空間、音源、皆と同じ時間を共有できて、楽しいとか熱いとか感動とか、そういう気持ちも共有できて嬉しいです」と、思いを述べたTsunehito。
Sethはこれから始まる主催イベントツアーに向けて、「対バンってすごく燃えるんです。バチバチした喧嘩みたいな勝負ではないけど、俺は毎回負けたくないと思ってやっています。ライブを応援しに来てくれる皆がいい笑顔で楽しそうにしてくれている姿を見て、僕はすごく勇気をもらって真ん中で歌うことができています。絶対この『BURNING SOUL』、他の対バンも、Ruiza BANDはどのバンドにも勝つつもりでいくので、皆さん思い切り一緒に暴れて、その会場をとにかく飲み込んでいきましょう」と語った。
「もう本当にこれはバンドですよね。最高のメンバーと一緒に活動ができて最高に幸せです。ありがとうございます! 美景が叩いてくれて、ツネがベースを弾いてくれて、Sethさんが歌ってくれて、自分がギターを弾くことで、このバンドの音楽が生きてきます。生きる、まさにLIVEだなといつも思っています。俺、自分の曲が大好きなので、(アンコールで)全部やりたいくらいなんですよね。でも、今日は新しいページをめくった日でもあり、新たなスタートということで、初心を忘れたくないなと思ったので、『深層』をやろうと思います。思い切り皆と暴れて一つになって、心に深く俺たちの音を刻んで、最高の1日だったなと思えるように、心を込めて演奏したいと思います。絶対に悔いは残さないでください」――Ruizaがこう語り、「深層」、そして「with you」の再プレイをもって、この夜は終幕を迎えた。

すべてのパフォーマンスを終え、「本当の意味で、皆と一緒に作れたワンマンライブだと思いました。なんでこんなに終わりたくないんだろうね」とSeth。最後に一人ステージに残ったRuizaは、「本当に終わりたくない気持ちです。楽しいと(終わるのが)悲しくなっちゃうね。だけど、俺たちは終わらないです! もっともっと力をつけて、唯一無二の何者でもない我々になって、皆とこの先もずっとずっと一緒に歩んでいけたらなと思っていますので、どうか皆さん、末長く一生よろしくお願いします! 今日は本当にどうもありがとうございました!」と、締めくくったのだった。
まさにRuiza BANDの新たな始まりとなった一夜。「黎明」の歌詞に〈終わることは二度とないと誓う〉〈歩みは止めない〉とあるように、その揺るぎない決意を胸に、彼らは未来へ向けて力強く歩み続けるだろう。

◆セットリスト◆
01. 深層
02. 残響
03. 生々世々
04. 追憶
05. 夢幻
06. Brain Deceive
07. Swallowed
08. alma
09. 奈落
10. Endless Circle
11. with you
12. 魔儀
13. 黎明
En
01. 深層
02. with you
(文・金多賀歩美/写真・さかもと)
【リリース情報】
●New Single『黎明』
2025年8月9日(土)より会場限定販売
[CD+ブックレット8P]Riz-002 ¥1,500
<収録曲>
01. 黎明
02. 残響
03. 黎明 instrumental
04. 残響 instrumental
【ライブ情報】
●Ruiza ONEMAN LIVE「Genesis of the world」
東京〜玄色の刻〜
8月9日(土)青山RizM
札幌〜濃藍の刻〜
8月22日(金)札幌Crazy Monkey
神戸〜白銀の刻〜
11月2日(日)神戸live music club PADOMA
●Ruiza主催イベントTour「BURNING SOUL vol.3〜10」
8月19日(火)仙台ROCKATERIA
8月21日(木)札幌Crazy Monkey
9月5日(金)HOLIDAY NEXT NAGOYA
9月14日(日)浦和NARCISS
10月5日(日)博多DRUM SON
10月6日(月)広島SECOND CRUTCH
10月7日(火)心斎橋FANJ-twice
10月25日(土)渋谷REX
●Ruiza BAND ワンマンライブ「Break of day」
12月6日(土)池袋RED-Zone ANERIS
12月7日(日)池袋RED-Zone ANERIS
●Ruiza ソロワンマンライブ「Thanks to you」
12月13日(土)大阪MUSE BOX
12月14日(日)名古屋静かの海
12月21日(日)東京TOKYO EFFECTOR
●Ruiza 主催イベント「BURNING SOUL vol.11」
2026年1月10日(土)東京Wild Side Tokyo
●Ruiza BAND東名阪ワンマンツアー「A new dawn」
2026年
2月21日(土)東京西荻窪BETTY ROOM
3月8日(日)大阪CLAPPER
3月14日(土)名古屋HOLYDAY NEXT