2025.07.30
LM.C@神田スクエアホール
[maya BIRTHDAY LIVE 2025]

あやかりたい。本当にあやかりたい。自己肯定感の申し子である、LM.Cのヴォーカリスト・mayaのことを全力で祝う[maya BIRTHDAY LIVE 2025]が今年も彼の誕生日当日=7月30日に開催されたのだが、なんと例年は東京公演のみだというのに今回は前夜祭のようなかたちで大阪でも7月28日に開催されることになった。

めでたいのだから何度でも祝われたい、いくらでも祝われたいという、mayaの無邪気にして貪欲なスタンス。それは謙虚や遠慮といったタテマエをつい意識してしまう日本人にありがちな思考とは少し異なるのかもしれないが、素直だからこその愛嬌を持つ人物は往々にして愛すべき存在だと言えはしまいか。

「ようこそ!本日はLM.Cのライブならびにワタシの誕生日ライブです。楽しませてくれますか?何度でもおめでとうと言ってください。アゲてけ! アゲてけ!」(maya)

ギタリスト・Aijiの弾くエッジーなギターフレーズが炸裂する「Be STRONG, Be POP. 」から始まり、その名のとおりにメタメタしい音が痛快な「METALLY」と来て、まず今宵のmayaがオーディエンスに向けて最初に投げかけた言葉はこれ。

以降、mayaはことあるごとに曲の合間で「誕生日!」という掛け声を入れていき、それに対する観衆からの「オメデトウ!」を浴びる場面を積極的につくりだしていくことになり、まさに幾度となく祝いの言葉が場内に響きわたることになったのだ。ちなみに、何時の頃からかmayaのバースデーライブでは“BIRTHDAYハラスメント=バスハラ”という言葉を本人やAijiが使うようになっているものの、これはあくまでもジョークであることを何卒ご理解いただきたい。なにしろ、その場に集っている者たちは全員がmayaの誕生日に半ばかこつけるかたちで、なんなら何時も以上にライブをとことん楽しんでやろう!とハッピーな前のめり状態になっているだけなのだ。

そんな幸せ気分はライブ中盤戦でもより色濃くなっていき、どこかカリビアンな空気感が漂う夏歌「ningyo no namida」や、これまた暑い季節に似合うラスタカラーのライティングが場内を彩った御機嫌なレゲエチューン「Optimisland」が続けられたくだりでは、誰もが異国のリゾートへと誘われてしまうかのような一幕もあった。そのあとに奏でられたやわらかな旋律と〈大きな悲しみもいつかは 小さな笑い話になる〉と歌うmayaの優しい声が聴き手の心を癒やしていった「marble-s」も含めて、たとえアッパーな楽曲ではなくともLM.Cの楽曲たちはどれも良質で味わい甲斐のあるものばかり。

なお、本編後半へと突入する前のタイミングではバースデーケーキがAijiからmayaに贈呈されるセレモニーも用意されていて、ケーキ上のプレートには“自己肯定感キング”の文字が(笑)。昨年開催されたmayaの誕生日ライブ[mayaの王様ナイト’24]では、Aijiがmayaのことを「自己肯定感の鬼」と評していたはずだが、今年はいよいよ本当にキングまで格上げされた模様。

また、このセレモニーの間に観客席側からあがった「mayaおめでとう!」「maya好き!」「mayaカワイイ!」という声に対し、「カワイイだけで生きてきた♪…ってことで、mayaです(笑)」という愛嬌と茶目っ気がたっぷりな一言があったことも、念のため付記しておこう。

「全てを肯定されて育てられたので、ワタシは全てを肯定してしまいます。ただ、さんざんここまで「祝ってください」「生まれてきてくれてありがとうでしょ?」みたいに自分、自分で毎年ずっと来てますけど、よくよく考えたら誕生日って親に対しての「ありがとう」の日でもあるんですよね。普通は22歳くらいで気付くようなことを、ようやく今年に入って思うようになりました(笑)。だから、ワタシはワタシと出会ってくれたみなさんの両親にも勝手に感謝したいと思います」(maya)

おおいなる慈愛の心をみせるmaya。なんでもネパール語やヒンディ語だとmayaは愛を意味する言葉であるというが、それは単なる偶然なのだろうか。と思いたくなるくらい、mayaの愛あふれる言葉はここからさらに説得力を増していった。

「人によっても両親に対しての好き嫌いとか仲の良い悪いはあるだろうし、2度と顔を見たくないと思ってたり、2度と顔を見せるなって言われてる人もいるのもしれない。中には、勝手に産みやがってと思ってる人だっているのかもしれないけど。そこは一旦置いておいて、生まれてきてこうして“出会えちゃってる”わけだから。勝手に感謝させてください。みなさん、生まれてきてくれてありがとうございます!」(maya)

高らかな「We are LM.C!!」から幕を開けたライブ後半において、〈自分史上で最悪の瞬間を迎えても “I just wnna be 最幸”って 笑い飛ばせりゃOK〉という歌詞が真っ直ぐに飛んでくる「Ah Hah!」の素晴らしきポップチューンぶりも、実に一貫したmayaらしさをたたえていたと言っていい。

「ほんとに楽しいです、ありがとうございます!また“生まれ変わってもmayaになりたい”って今日も思いました(笑)。秋にやるツアーもあるし、そのファイナルは今度はAijiさんの誕生日だし。我々今年で19周年っていうことは来年は20周年だし。これからもよろしくお願いしますね!」(maya)

LM.Cきっての名曲と言ってもさしつかえない「88」から、ラストに向けての佳境においては、mayaによるトップダウンジャッジで途中に「CRAZY A GO GO」がぶっ込まれたりもしながら、この場に集った人々のチャクラが全開になるかのような高いテンション化に包まれた「The BUDDHA」、フロアから自然とシンガロングが沸き起こった「星の在処。-ホシノアリカ-」で最高の盛り上がりをみせ、そのうえまるでセトリに入っていなかった「Avocado」も追加されることに。なおかつ、全曲の演奏が終わったあとのメンバー紹介シーンもなかなかに胸熱だったように思う。

「毎年なんだかんだで祝ってくれる、俺たちのギター・Aiji! mayaがどんな格好でも許してくれるギター・Aiji! そして、この間の大阪から決めました。誕生日だけはAijiさんにワタシのメンバー紹介をしてもらおうと思います。毎年恒例にしますのでご静聴願います!」(maya)

若干の豆鉄砲をくらった感がある驚きの表情を見せたあとにAijiが叫んだのは、シンプルだけれども万感のこもったこの言葉だ。

「今日、最高のバースデーを迎えたヴォーカル・maya!」(Aiji)

楽しくて、幸せで、あやかりたいほどの尊さも満載。ことmayaの誕生日はその傾向がより強くなるとはいえ、基本的にLM.Cのライブは何時も心地よい充足感に満ちている。来たる11月16日には幕張メッセでの[CROSS ROAD Fest <DAY2>]への参加が決まっている一方で、mayaが今宵のMCでふれていたとおり10月11日より開催の秋ツアーも決定しており、そのファイナルとなる11月17日・渋谷 duo MUSIC EXCHANGE公演はAijiの誕生日当日であることをここであらためてお伝えしておきたい。「祝われるのはちょっと苦手」と長らく公言してきているAijiが、今度はmayaから祝われ倒す様子は必見かと。

LM.Cの醸し出すポジティヴな波動と、自己肯定感の申し子であるmayaの放つハッピーオーラを浴びながら、我々としては引き続きそれにしかとあやかりたいものである。

●7/30ライブ映像ショート動画「88」

●15周年ライブ LINE CUBE SHIBUYA公演 ダイジェスト映像

(文・Yuki Sugie/写真・Mirai Yamashita(PROGRESS-M))


【リリース情報】
Album『怪物園』

【ライブ情報】
●LM.C TOUR 2025
10月11日(土)柏 PALOOZA
10月12日(日)横浜 ReNY beta
10月17日(金)埼玉 HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3
10月18日(土)長野 CLUB JUNK BOX
10月24日(金)京都 MUSE
10月25日(土)大阪 ESAKA MUSE
10月26日(日)神戸 VARIT.
11月8日(土)宮崎 LAZARUS
11月9日(日)福岡 DRUM Be-1
11月17日(月)渋谷 duo MUSIC EXCHANGE

●LM.C × 有村竜太朗「參龍會」in 台北
12月8日(月)・9日(火)THE WALL LIVE HOUSE

LM.C オフィシャルサイト