2025.02.22
Ruiza@新宿club SCIENCE
Ruiza Birthday Live「Alive」一部【深海で眠る私】二部【天空で目覚める君】

2024年3月をもって無期限活動休止となったDのギタリストRuizaが、2025年1月22日にソロ名義でのミニアルバム『Alive』を発表し、そこから1ヵ月を経た2月22日、新宿club SCIENCEにて「Ruiza Birthday Live「Alive」」を開催した。

2006年にスタートした“Ruiza solo works”ではインストゥルメンタルを中心に活動してきた彼だが、このたび本格始動と相成った“Ruiza”名義では、ヴォーカルを含むゲストミュージシャンを迎えたバンド編成で音源を制作。本公演はその冠にある通りRuizaの生誕を祝う日と同時に“Ruiza Band”の始動ライブ、すなわちRuizaの新たな始まりの日という記念すべき一夜となった。

Ruiza
Seth

Seth(Vo/Moi dix Mois)、Tsunehito(B/D)、美景(Dr)と共に、一部「深海で眠る私」、二部「天空で目覚める君」の二部制で行われた当夜。その中心に据えられたのは当然『Alive』収録の全7曲でありつつ、先頃公開したVifのインタビューで明かされていた通り、本公演に向けて制作された新曲も2曲加わり、結果的に全9曲のレパートリーで展開することに。「一部は目覚めるところ、二部は目覚めた後を見せたい」とRuizaが述べていたわけだが、楽曲は両部で共通ながら、異なる組み合わせで2ステージを魅せたのだった。

一部の幕開けを飾ったのは「生々世々」、それに続いたのが「深層」。前者はRuiza Band正式始動前の昨年7月に行われたワンマン公演において、同メンバーで初披露した楽曲、後者はRuizaが今一番やりたいことを形にしたという『Alive』のリード曲であり、ハードナンバーに乗せた〈夢の続きを君に見せるから その手を離さない〉(「生々世々」)、〈僕は時を止めはしない〉(「深層」)といった力強くも温かなリリックを含め、まさに“始まり”を示すものだった。

Tsunehito
美景

全ての楽曲の作詞作曲はRuiza自身だが、その言葉を歌で届けるのはヴォーカリストであるSethの役割。彼がRuizaの誕生日にSNSに綴った「俺が君の声になって想いを伝えていくからね!!」というメッセージは、彼らの関係性を物語る、何とも胸を打つものだったが、当夜のステージ上でも「この話をもらった時、すぐにOKしました。浮遊してしまった君たち(ファン)の心をどうにかしてあげたいというルイちゃんの思いが伝わってきたので、ぜひ一緒に歌わせてもらいたいと思って」「コロナ禍以降、歌う機会が減っていた中、ヴォーカリストとして歌う機会が増えて、僕からしたら助け船でした」と述べていたのが印象深い。ちなみにここだけの話、一部の終演後には「これを歌うのが自分でよかったなと。もし違う誰かが歌っていたら、嫉妬していたと思う」とも話していたのだ。

無論、TsunehitoはDとして長年活動を共にしてきた盟友、美景は遥か昔にRuizaのローディーを務めた時からの付き合いで、それぞれが数十年来の仲の4人。「ステージだけじゃなく、音源制作をはじめ、バンドじゃないかというくらいの熱量で皆やってくれるんですよ。色々な人の力を借りて今日があります」とのRuizaの発言があったように、この日に至るまでの彼らの様々な発信からも、Ruiza Bandにかける熱量の高さがひしひしと伝わってきた。そんな4人の関係性だからこそ生まれる和やかなムードが根底にありながら、ひとたび演奏を始めれば、その思いを爆発させるようにオーディエンスを巻き込んだ全身全霊のパフォーマンスを繰り広げていったのだった。

Ruiza
Seth

両部の随所で「今日に照準を合わせてやってきた」と口にしていたRuiza。その最たるものは、新曲の存在だ。本公演のサブタイトルにある“天空”と“深海”、その両方を感じられる曲を作ったという「追憶」は、ゆったりと始まりつつ、サビでは軽やかなリズムになったりと、様々に展開していく聴かせるナンバーで、〈忘れないで ここにいて〉〈夢から目覚める〉〈さぁ歩き出そう〉といった、本公演のテーマに沿った歌詞が響いてきたのが印象的。もう一方の新曲「黎明」は、「『深層』に続くループ曲を作ってきました」との言葉があった通り、いわゆる煽り曲で、「すごかったよホントに…」とRuizaに言わしめるほど、オーディエンスが見事な暴れっぷりを見せた。なお、その景色を経て「きっとメンバー皆、同じところを見ていたんだろうなと今、改めて気づいて。“サポート”じゃないなと、僕はそれくらいの気持ちでいます」とRuizaが吐露した場面も忘れ難い。

なお、一部と二部の大きな相違点と言えば、冒頭ブロックの選曲と、新曲「追憶」の配置。一部の幕開けは先に記した通りだが、二部は「深層」「魔儀」が冒頭を飾った。一部のアンコールが「魔儀」「深層」の順で白熱の光景を生み出したように、それらが冒頭に供されたことで、まさにトップギアのスタートとなったのだ。実のところ、一部を経てステージ、フロアともに既に温まっている空気が感じられたわけで、もしかしたらこの曲順は、そういった状況も想定したうえで組まれたものだったのかもしれない。そして、「追憶」の配置については、一部では本編中盤に供され、バラード「Swallowed」へと繋ぐ美しいグラデーションを描き出したのに対し、二部ではタイプの異なる2曲の新曲「追憶」「黎明」が本編終盤で続けて披露されるという意外性のある流れとなった。

Tsunehito
美景

「終わらないものを作りたいなと、自分で活動すれば終わらないじゃないかと気づいて、こういう形を取りました」と序盤で述べていたRuizaではあるものの、二部本編の「with you」を前に、オーディエンスに向けてこんな言葉を告げたのだった。
「全力で死ぬまでやろうと思っているんですけど、全力ゆえにいつまでできるかわからないです。だから、皆の愛をください。僕も皆に愛を与えたいと思って作った曲、皆の歌声を乗せて完成させたいです」

両部のアンコールではRuizaの誕生日を祝い、一部ではケーキ、二部では花束が「Happy Birthday」の合唱と共に贈られるサプライズの一幕もありながら、当夜のラストナンバーとなったのは、この日三度目の演奏となった「with you」。フロント3人がセンターに集結するという、一部にはなかった場面も見られれば、オーディエンスによる温かな歌声が響き渡り、多幸感溢れる終幕となった。全てのパフォーマンスを終えた4人がハグを交わし、「2025年、ようやく始まった気がします。ここからぶっ飛ばしていくので、よろしくお願いします!」というRuizaの言葉をもって締めくくったのだった。

Ruiza
Tsunehito/Ruiza

改めてこの夜のどこを切り取っても、無邪気な笑顔でギターを奏でるRuizaの姿が印象的だった。今後のRuiza Bandの動きとしては、4月13日に六本木unravel TOKYOで主催イベント「BURNING SOUL vol.2」、4月26日〜5月31日に「東名阪ONEMEN TOUR[Alive ~fill in the「  」]」の開催が控えているが、Sethの誕生日当日である8月9日にワンマン公演を行うことが新たに決定した。さらに「夏以降、色々なところに行こうと思っています。北海道、九州も」とのこと。いよいよスタートしたRuiza新章。Ruiza Bandの快進撃に期待したい。

◆セットリスト◆
【一部「深海で眠る私」】
01. 生々世々
02. 深層
03. 魔儀
04. 追憶
05. Swallowed
06. alma
07. 奈落
08. 黎明
09. with you

En
01. 魔儀
02. 深層

【二部「天空で目覚める君」】
01. 深層
02. 魔儀
03. 生々世々
04. Swallowed
05. alma
06. 奈落
07. 追憶
08. 黎明
09. with you

En
01. 魔儀
02. 深層
03. with you

(文・金多賀歩美/写真・さかもと)


【リリース情報】
●New Mini Album『Alive』
2025年1月22日(水)発売

[CD]Riz-001 ¥2,800(税込)
01. 生々世々
02. 深層
03. Swallowed
04. alma(instrumental)
05. 奈落
06. 魔儀
07. with you

【ライブ情報】
●Ruiza主催イベント「BURNING SOUL vol.2」
4月13日(日)六本木unravel TOKYO
出演:Ruiza、HIZAKI、RENAME、ミスイ、Distray(1日復活)

●Ruiza東名阪ONEMEN TOUR[Alive ~fill in the「  」]
4月26日(土)大阪阿倍野ROCKTOWN
5月17日(土)NAGOYA HOLIDAY NEXT
5月31日(土)EDGE Ikebukuro

●Sethバースデーライブ(タイトル未定)
8月9日(土)都内某所、詳細後日発表

Ruiza Band Member:Seth(Vo/Moi dix Mois)、Ruiza(G/solo works、D)、Tsunehito(B/D)、美景(Dr)

Ruiza オフィシャルサイト