2024.11.03
SLAPSLY@赤羽ReNY alpha
「SLAPSLY Tour 2024 〜One grows「EXCITED」〜」

ベースヴォーカルCHIYUによるソロプロジェクト“SLAPSLY”が、タイゾ(G/ANONYMOUS)、直人(Dr/ダウト)を“SLAPS MEMBER”に迎えた新体制で「SLAPSLY Tour 2024 〜One grows「EXCITED」〜」を開催。その最終夜が11月3日、赤羽ReNY alphaにて行われた。

本ツアーは10月9日リリースの最新EP『EXCITED』を引っ提げて行われたもの。ステージを覆っていた幕が上がると、ほぼ横並びのセッティングによる3人の立ち姿が現れるという印象的なオープニングから、CHIYUの「Are you ready?」を合図に作品同様「Slayyyyy」でスタートを切り、『EXCITED』収録曲と既存曲が見事な相乗効果を生み出しながら、全16曲が繰り広げられた。

CHIYU

起爆力を持つ「Slayyyyy」に続いたのは、疾走感のあるロックチューン「Anser indicus」。作品においてもその収録順がとられているように、高みを目指して突き進むことを歌うストーリーとしても繋がりのある2曲は、まさに幕開けを飾るにふさわしい。次いで、ベーシストCHIYUを堪能できるセクションを含む既存曲「TRICK STER」「apathy house」でフロアを沸かせると、「いつもとちょっと違う、ファイナルっぽいファイナルでございます。自分に言い聞かせるようですが(笑)、カメラが入っていようが緊張せず、全力で今のSLAPSLY、最高のSLAPSLYを見せようと思います!」というCHIYUの宣言が。そんな言葉の後に供されたのが、『EXCITED』のリード曲であるキャッチーでポジティブなメッセージソング「fleek=fleek」で、ステージの3人が笑みを浮かべれば、フロアにはオーディエンスの手が揺れ、実に温かな光景が広がった。

中盤にアダルティな楽曲を配置するのがSLAPSLYのステージ構成の常であり、新たな作品が生まれるごとに、そのブロックに組み込まれるであろうタイプの新曲が加わる。もちろん最新作にもあるわけで、当夜では既存曲「ヒトリ籠」と新曲「Can’t stop feeling」が並ぶことに。この「Can’t stop feeling」はCHIYU初の男性目線でのハッピーエンドなラブソングであり、軽やかなビートに乗せてストーリーの主役のように情感たっぷりにハンドマイクで歌う姿が魅力的だった。

タイゾ
直人

なお、SLAPSLYを構成する“SLAPS MEMBER”はフレキシブルな体制をとっており、本ツアーでは初の組み合わせとなったが、旧知の仲である同世代の3人による和やかな空気感が見て取れたのも印象深い。全5公演のツアーを振り返った3人のMCによれば、緊張の初日(横浜)、3日目の大阪でほぐれてきて、CHIYUの地元である尼崎で行われた4日目のFC限定ライブで爆発したとのこと。

CHIYUが、タイゾと直人について「自分のバンドのように楽しんでくれるし、もっとこうしたほうがいいんじゃないかと提案もしてくれるし、感謝しています。この二人が本当に好きだよ。好きで好きでたまんないよね。その好きを爆発させようか!」と言い、ポップなラブソング「Egoistic GAME」へと繋げば、LEDビジョンに煌めくハート、フロアにもオーディエンスが手で作るハートが溢れ、まるで夢のような空間に。そんな愛に満ちた曲終わりに、CHIYUがオーディエンスに向け「もちろん君たちも好きだよ」と告げたことも記しておきたい。

CHIYU

後半戦ではフロアにタオルが旋回した「Infinity & Beyond」、Oiコールが鳴り響いた熱いロックナンバー「L or R」に続き、「このツアーの成果見せろよ!?」とお祭り騒ぎのライブチューン「アマランヴ」へ。補足すると、この楽曲は『EXCITED』リリース前にSLAPSLYの1周年アニバーサリーライブで初披露された際、オーディエンスにとってはハンドクラップのリズムの難易度が少々高かったようで、CHIYUから「55点」との採点が出ていたのだ。音源のリリースとツアーを経て、ファイナルでは満点の光景が見られたことが何とも喜ばしい。

さらにダメ押しのダンスチューン「FREAKY DANCE」で騒ぎ倒した後、「このツアーでまた一歩、皆さんと近づけたかなと思います。このツアーを通して改めて皆さんがいてくれて本当に良かったなと、これからもいてほしいなと思いました」という言葉から、ファンへの思いを綴った温かな「Diary of Life」を力強く歌い上げ、「最上級の愛をありがとうございます。これからもSLAPSLYをよろしくお願いします」と本編を締め括ったのだった。

R&B色の強い「あいすくりん」、キャッチーなロックナンバー「愛欲の華」、多幸感溢れるポップな「wiΘ U」と、異なるタイプの3曲をアンコールでプレイし、この日のステージおよび本ツアーは幕となったわけだが、当夜の始まりと終わりを担った2曲「Slayyyyy」「wiΘ U」は、曲調は違えど、この先も高みを目指していこうという共通のメッセージが含まれている。それはまさにCHIYU、SLAPSLYというアーティストの核を示すものだと言えよう。ベーシストとしても様々なアーティストのサポートを務め、多忙を極めながらも、この1年間の活動と本ツアーを経て、ソロプロジェクト“SLAPSLY”としての在り方がより明確になったのではなかろうか。

この日、早くも次なる新作EP『RELAXED』を2025年3月にリリースすることが新たに発表され、そこに収録されるであろう新曲が当夜のエンディングSEとして本邦初公開となった。作品タイトルからも明白なように、『EXCITED』と『RELAXED』は対を成し、二作を合わせて一つの作品になるという。散りばめられた伏線がどのような結末を迎えるのか、期待が膨らむ。また、年内のSLAPSLYの動向としては、12月27日に高田馬場CLUB PHASEにて恒例のCHIYUバースデー公演の開催が控えている。記念すべき祝福の夜を、ぜひ共にしてほしい。

◆セットリスト◆
01. Slayyyyy
02. Anser indicus
03. TRICK STER
04. apathy house
05. fleek=fleek
06. ヒトリ籠
07. Can’t stop feeling
08. Egoistic GAME
09. Infinity & Beyond
10. L or R
11. アマランヴ
12. FREAKY DANCE
13. Diary of Life

En
01. あいすくりん
02. 愛欲の華
03. wiΘ U

(文・金多賀歩美/写真・堅田ひとみ)


【リリース情報】
●New EP『RELAXED』
2025年3月発売予定

【ライブ情報】
●SLAPSLY CHIYU 聖誕祭2024 〜ランヴランヴで痺れさせて〜
12月27日(金)高田馬場 CLUB PHASE
SLAPS MEMBER:JOHN(G)、YASU(Dr)

CHIYU/SLAPSLY オフィシャルサイト