2024.06.16
Luv PARADE@新宿ReNY
Luv PARADE TOUR 2024「JOKER」

2022年の再始動以降、セルフカバーと洋楽カバーを中心に、これまでに三度の主催イベントや二度のワンマンツアーを完遂してきたLuv PARADEが6月1日、遂に全曲オリジナルの1stミニアルバム『JOKER』を発表。それと同時にスタートしたLuv PARADE TOUR 2024「JOKER」のファイナル公演が6月16日、新宿ReNYにて行われた。

「サイドプロジェクトとか、過去の延長上の感じではなく、新しい気持ちでLuv PARADEというバンドを本格的にやりたいなと思っています」とは、今年1月開催の前ツアーファイナルでKaryu(G)が告げた言葉。それは、メンバーそれぞれのバンド(H.U.G、THE MICRO HEAD 4N’S、defspiral)がある中、並行して活動しているLuv PARADEだからこその宣言でもあった。

1月時点で既に2曲のオリジナル曲が存在していたものの、そこから更なる新曲を生み出し、『JOKER』を完成させたことは、その宣言を具現化した彼らの意思表示の一つ。また、Luv PARADEというバンドの発端となった、TAKA(Vo)、Karyu(G)、ZERO(B)、TSUKASA(Dr)の4人による2011年の初ステージ、そして2022年の再始動後初ステージが共に6月だったことから、この時期はLuv PARADEにとっての周年に当たるわけで、節目と言えるタイミングに初の正式音源リリースとツアーを迎えたことは感慨深い。

TAKA
Karyu

今ツアーより一新したバックドロップを背景に4人が姿を現わし、作品同様に「JOKER」でトップギアのスタートを切った最終夜。オリジナル曲が5曲入るとなれば、当然構成に変化が生まれ、自ずと1ステージの印象も変わってくることは想像に難くない。この日のメニューは、本編冒頭と最終ブロックをアルバム収録曲が担い、洋楽カバー、ダークサイドナンバーのセルフカバー、バラードゾーン、鉄板ライブチューンのセルフカバーという4ブロックを挟む形となったが、『JOKER』という作品自体が攻撃力の高い楽曲揃いであることから、これまで以上に体力勝負のステージを展開する結果となったのだった。

「JOKER」に次いで披露されたリード曲「TONIGHT, TONIGHT, TONIGHT」は、6分という大作ながら目まぐるしく展開していく楽曲構成で時間を感じさせないばかりか、ドラマティックかつ広大なスケール感が、ステージでより一層光り輝いていたのが印象深い。また、序盤に供された「Toxic」(Britney Spears)、「BAD GUY」(Billie Eilish)は一段と色気が増したように感じられ、中盤の「インソムニア」(the Underneath)、「DAMNED」(D’ESPAIRSRAY)というダークな2曲の流れは実に自然。さらに名曲「My Heart Will Go On」(Celine Dion)から、Karyuのギターで「INTO THE FLAMES」へと繋いだ場面も見事だったバラードゾーンでは、TAKAの圧倒的なヴォーカリゼーションが遺憾なく発揮されることに。

ZERO
TSUKASA

終盤にはD’ESPAIRSRAYのライブチューン3曲を連投。「DEVILS’ PARADE」では、昨今恒例となってきているTAKAとZEROのエロティックな絡みが見られれば、〈踊り明かそう〉と歌う「LOVE IS DEAD」において、フロント陣の煽りに対し、本来ジャンプ禁止の会場ゆえ膝のクッションをきかせて応戦するオーディエンスの姿が。TSUKASAが打ち鳴らすタムからの突入が何とも快感な「MIRROR」では、センターにTAKA、Karyu、ZEROが集結するという前ツアーまでは見られなかった光景が繰り広げられた。さらに「解き放ってくれよ! ミニデビちゃん(※ファンの仮呼称)」(TAKA)と、『JOKER』収録の2曲「MIDNIGHT SUN」「NEW WORLD」のダメ押しで、白熱の本編ラストを描き出したのだった。

アンコールではTAKAが「『JOKER』を発売して、色々な意味で気持ちが変わったというか、さらに高いところに行っているなという気持ちで、このツアー1本1本噛みしめるように回ってきた」と話せば、ツアー直前に足の指を骨折したZEROは「メンバー、スタッフ、そして皆の力でここまで来られたと思います。俺以外のメンバーはきっとツアーを噛みしめながら回っていたと思うんですけど、俺は踏みしめながら一歩一歩着実に、躓かないように歩んできました」と笑いを交えた。そして、TSUKASAが「アルバム発売前と比べて、皆さんの笑顔が非常に多く見受けられて、自分までニコニコです」とツアーを振り返ると、Karyuは「またここから新しいスタートなので、色々あるでしょ、今年(笑)。ゆくゆくわかっていくので、温かく見守りがながらついていきてください!」と、気になる言葉を述べたのだった。

TAKA
Karyu

ここから披露された楽曲の数々もまた、熱量の高いものであったことはもちろん、メッセージ性の観点からも今のLuv PARADEの強い意思が凝縮されたものであったように思う。本編ラストとアンコール1曲目に同タイトルの楽曲を配したことも憎い演出だが、2011年のステージで披露し、再始動後は前ツアーで初めて組み込まれたカバー曲「NEW WORLD」(BUG)には〈壊せば向こう側にある 何かが見える〉とあり、満場の拳が上がった「BITE THE BULLET」(the Underneath)では、曲終わりにTAKAが「限界はない!」と歌詞にある言葉を叫んだ。さらに「Forbidden」(D’ESPAIRSRAY)では〈すべて壊せ〉と歌い叫び、「BRILLIANT」(D’ESPAIRSRAY)では、〈壊せばその眼に新しい未来 広がる〉と。

このあまりにも見事なストーリーの先に「このツアーで、もっともっと欲が出てきました」(TAKA)と、温かくキャッチーな「The NeverEnding Story」(Limahl)すなわち終わらない物語を、そしてタイトルコールの掛け合いから「新しい世界を、未来をイメージしていこう」と、再びの「TONIGHT, TONIGHT, TONIGHT」でのシンガロングをもって、この夜は終幕を迎えたのだった。

ZERO
TSUKASA

今後のLuv PARADEの動きとして、9月7〜8日に原宿RUIDOにて自身初の2days公演「RED NIGHT」「BLACK NIGHT」を開催することがこの日、新たに発表されたが、「今回『ツアーが短いっ』という声が届いていましたけど、我々も一緒です。もっとやりたい! 今、発表できたのは2本ですけど、本当に色々動いていますので、期待して待っていてください!」(TAKA)とのこと。常に新たな世界を切り開いていくLuv PARADEが、ネクストステージでどんな景色を見せてくれるのか、楽しみに待ちたい。

◆セットリスト◆
01. JOKER
02. TONIGHT, TONIGHT, TONIGHT
03. sk8er boi/Avril Lavigne
04. Toxic/Britney Spears
05. BAD GUY/Billie Eilish
06. Poker Face/Lady Gaga
07. インソムニア/the Underneath
08. DAMNED/D’ESPAIRSRAY
09. My Heart Will Go On/Celine Dion
10. INTO THE FLAMES
11. DEVILS’ PARADE/D’ESPAIRSRAY
12. LOVE IS DEAD/D’ESPAIRSRAY
13. MIRROR/D’ESPAIRSRAY
14. MIDNIGHT SUN
15. NEW WORLD

En
01. NEW WORLD/BUG
02. BITE THE BULLET/the Underneath
03. Forbidden/D’ESPAIRSRAY
04. BRILLIANT/D’ESPAIRSRAY
05. The NeverEnding Story/Limahl
06. TONIGHT, TONIGHT, TONIGHT

(文・金多賀歩美/写真・岡本麻衣(ODD JOB LTD.))


【ライブ情報】
●Luv PARADE 2DAY LIVE
9月7日(土)原宿RUIDO「RED NIGHT」
9月8日(日)原宿RUIDO「BLACK NIGHT」

●FORBIDDEN 新音源リリース記念主催公演「FORBIDDEN CITY Vol.2」
8月30日(金)池袋EDGE
出演:FORBIDDEN、Luv PARADE(GUEST)、Chanty、DAMNED、トリカブト、NAZARE

【配信情報】
●Luv PARADE TOUR 2024「JOKER」
6月16日(日)新宿ReNY公演
アーカイブ配信中

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