2023.12.08
ギル@青山RizM
「Reverse Honey」

ギタリスト・ギルのソロ2ndワンマンライブが12月8日、青山RizMにて開催された。2022年1月をもってAngeloが無期限活動休止となって以降、ソロアーティストとして始動したギルは、これまでに『DAWN OF FLAME Ⅰ/Ⅱ/III』(2022年12月/2023年4月/8月)と、三作の音源を発表。主催ツーマンやイベント出演を重ねながら、自身の誕生日である今年8月21日に満を持してソロ初のワンマンライブを行ったわけだが、誕生日を皆に祝ってもらえた喜びを返したいという思いから、その日付を逆さにしたこの日、「Reverse Honey」と冠して行われたのが本公演となる。

チーム・ギルお馴染みの高井淳(Ba)、ばる(Dr/DuelJewel)と共にインスト「meteor」で幕を開け、最終的に全20曲というギルのソロステージ史上最多の曲数が披露されたこの日。先に記したバースデーライブでさえ全18曲だったことを考えれば、その曲数も彼なりの“お返し”の一つだったのかもしれない。

三作の音源に収録されている全9曲、既にステージでは披露済みの未音源化曲3曲、そして初披露の新曲1曲、さらにカバー曲7曲というのがこの日の内訳で、「今日は俺の持てるもの全てを受け取ってほしいというコンセプト」とギル。序盤では「meteor」「革命」と、メロディアスかつテクニカルなインストから、決意を新たに未来へ走り出す自身を投影したギル初のヴォーカル曲「Liberty」へと繋ぎ、ソロアーティスト“ギル”の王道の姿を提示すれば、続くブロックでは飛び跳ねながらプレイし、シャウトも聴かせる未音源化の「Brutal Predator」、ギル作曲によるAngeloの「BREATH」インストver.、オリエンタルなムード漂う「バビロン」と、カラーの異なるナンバーを並べ、様々な表情を魅せていった。

バースデーライブでバラエティに富んだカバー曲を披露し、私たちを驚かせたギルだったが、この日の中盤でも初披露のカバー曲たちを。クラシックの「ハンガリー舞曲第5番」を緩急のあるアレンジで、「ROCKET DIVE」(hide with Spread Beaver)をギルのギターヴォーカルで、そして「ELECTRICAL PARADE THEME」では音粒の揃ったさすがのプレイで、ディズニーの様々な名曲たちを奏でたのだった。なお、「今後も持ち曲が増えようが、色々とカバーもギルアレンジでやっていきたい」という発言があったことも記しておこう。

その後、初披露の新曲「HORIZON」、限界の先を超えて突き進むことを描いた、最新作に収録されているヴォーカル曲「Exceed」、バースデーライブで初披露した未音源化曲「炎舞曲」と、最新のギルを示すブロックを経て供されたのが、ヴィドールの「思春の痕 〜Love me,Hug me〜」。この楽曲に対し、ギルはこんな言葉を述べたのだった。

「本音と建前とか、俺はあまり冗談とか通じないから真正面からぶつけるんだけど、それが嫌な人もいるだろうし。そんな尖っていた頃に作った曲で、その頃ギスギスして衝突していたから、あまりやっていなかった曲なんだけど、改めて聴き直してみたらいいなと思って。今日を機に呼び起こして、これからもやっていきたいなと」

ギルのギターヴォーカルによる演奏を皮切りに終盤ブロックへ。起承転結のある構成と華やかなメロディー、スリリングさを併せ持つインスト「Beyond the crisis」、速弾きとシャウト、グッズの「迷惑承知」タオルを掲げながらコール&レスポンスでフロアの熱量を上げた「arise」、さらに11月のツーマンで初披露したばかりのエネルギーに満ちた「焔迅」を立て続けにプレイ。そして、「皆と音を共有している時間が本当に楽しくて幸せです」と告げると、ギルの始まりの曲「Departure」をもって本編を締め括ったのだった。

アンコール1曲目には壮大でドラマティックな「Tiny Grace」を響かせれば、次いでAngeloの「JIHAD」インストver.では3人のソロ回しも。さらにここで、2024年4月にこのメンバーで東名阪ツアーを行うことを告げ(詳細は近日発表)、「俺の物語は終わらない。そして今日もまだ終わらない。いつも汗をかかない俺でも汗をかいた思い出の日になりました。最後、皆にも汗をかいてほしい。苦しみの先にきっとご褒美はある」と、ヴィドールの暴れ曲「ワイセツ人形」を投入。終盤に差し掛かったところで高井とばるがステージを去り、「俺がこの曲を弾いて歌うとは思わなかった」とギルが話し出す。そしてこの後、驚きの展開に。

この日は「Reverse Honey」というコンセプトであることから、入場時と退場時にそれぞれ来場者へのプレゼントが用意されていたことに加えて、「まだあるんだよ」とTシャツを脱ぎ、素肌が見える目の粗い網のトップス姿になると、「皆大好き、網だよ。『ワイセツ人形』だから、俺が一番ワイセツじゃないと。この5分間の砂時計が終わるまで、好きなだけ撮っておくれ」と、まさかの撮影タイムを実施。撮影中には「ワイセツ人間」というパワーワードも飛び出しながら、「これは『Reverse Honey』の今日だけだから、今後もあると思わないように。撮ったものは門外不出でお願いしたい」とのことなので、ご了承を。撮影タイムを終えるとギルはその姿のままギターを持ち、高井とばるも再登場。「ワイセツ人形」の続きを演奏し、この夜は幕となったのだった。

冠の通り終始徹底したお返し尽くしで、ギルの愛情がたっぷり詰め込まれた一夜を終え、次に彼と再会できるのは少し先になりそうだが、「次のツアー、これを超えるライブにしたいと思うので、皆待っているからね!」とのこと。今度はどんなステージを見せてくれるのか、その時を楽しみに待ちたい。

◆セットリスト◆
01. meteor
02. 革命
03. Liberty
04. Brutal Predator
05. BREATH
06. バビロン
07. ハンガリー舞曲第5番
08. ROCKET DIVE
09. ELECTRICAL PARADE THEME
10. HORIZON
11. Exceed
12. 炎舞曲
13. 思春の痕 〜Love me,Hug me〜
14. Beyond the crisis
15. arise
16. 焔迅
17. Departure

En
01. Tiny Grace
02. JIHAD
03. ワイセツ人形

(文・金多賀歩美/写真・浜本研志)


ギル オフィシャルサイト