2023.11.16
ギル、Kra@高田馬場CLUB PHASE
ギル presents「Kindheart revelry and Gnarly Guys」

ギタリスト・ギルの主催イベント第三弾として、Kraを迎えたツーマンライブ「Kindheart revelry and Gnarly Guys」が11月16日、高田馬場CLUB PHASEにて開催された。ギルのステージは同会場で行われた8月のバースデーワンマン以来約3ヵ月ぶり、Kraはワンマンツアー中のツーマン公演と相なった。サポートメンバーを含め同世代の面々が顔を揃えた“お祭り騒ぎ”の一夜をレポートする。

先攻はKra。「いこうかー!」と景夕(Vo)の第一声を合図に「英才教育」でスタートを切ると、フロアには早速ヘドバンが巻き起こり、結良(B)のスラップベースが映える「彷徨えど夜」では、景夕とオーディエンスがキュートな振りを見せる。次いで「ジャンプしようぜ!」(景夕)と、キャッチーな「少年と空」をフロアと共に楽しんだのだった。

「ようやくこのツーマンが実現しました」と景夕が話すと、結良はギルのサポートを務める高井淳と衣装がお揃いであることを告白。また、9月にリリースした3年ぶりのアルバム『新色の涙』を引っ提げたワンマンツアーのファイナル公演が、年明け1月12日にSHIBUYA PLEASURE PLEASUREで開催されることがこの日新たに発表となった。

ここでミラーボールが光り輝くなか披露されたのがシティポップ感のある「Tiny town」だが、このチョイスがギルの楽曲「Tiny Grace」に掛けたものだったと推測するのは、想像が過ぎるだろうか。偶然の一致だとしてもなんだか温かな気持ちになる。青に染まったステージに、まるで星のように照明が輝く光景も美しかった。

一転、「飛ばしていくぞ!」(景夕)と熱量を上げ、宏崇(Support Dr)、結良、刻(Support G)の楽器陣のソロ回しも見せ場の「ブラックホール」を皮切りに後半戦に突入すると、ダークファンタジーなナンバー「ハザマノマモノ」、ステージ、フロア共に右へ左へ飛び跳ねた「空中ブランコ」、さらに「過ぎ去りし時間、だからこそ今この瞬間を楽しんでいきましょう」という景夕の言葉から、フロアがモッシュで騒ぎ倒した「故に今」をもって幕となったのだった。

後攻は主催者であるギル。レギュラーメンバーである高井淳(B)、ばる(Dr/DuelJewel)とのスリーピース編成で、ギターを主役としたインストをメインとしながら、その歌声も披露しているのが彼のスタイル。最新作収録のインスト「Beyond the crisis」で幕を開け、華やかなメロディーを響かせると、既にギルのテーマ曲のような立ち位置にある自身初のヴォーカル曲「Liberty」でフロアの一体感を高めてみせた。

次いで、イントロのリフでヘドバンの光景が広がったヘヴィーな「meteor」、温かな空気を充満させた「Tiny Grace」、オリエンタルなムード漂う「バビロン」と、様々なカラーのインストを展開。そして、限界の先を超えて突き進むことを描いたヴォーカル曲「Exceed」を届けた後、そのタイトル通り舞曲を思わすメロディーと拍子の変化が特徴的な「炎舞曲」をプレイしたのだった。

なお、「炎舞曲」は前回のステージで初披露した未音源化曲だが、この日「タイトルや歌詞からも俺の曲だとわかる、今の俺のベストを詰め込んだ曲」と、未発表の新曲「焔迅」が初披露となった。これまでにないシャウトを多用したヴォーカル曲かつ、ライトハンドの見せ場もあり、とにかくエネルギーに満ちたナンバーであったことが印象深い。

さらに、メロディックメタルな「革命」ではフロアに拳が上がり、ステージ上手下手を行き来しながら速弾きとシャウトが炸裂した「arise」を終えると、ギルは拳を固く握りしめ、満足げに笑みを見せたのだった。そして、「人生には色々な出発があるけど、常に前を向いて、大好きなギターを奏で続けたいと思います」と、光り輝く未来への幕開けを思わす「Departure」でステージを締め括ったのだった。

この後ギルとKraの二人が再登場し、思い出話に花を咲かせながら「普通にセッションしてもなということで」と、ギルと結良がアコースティックギター、景夕のヴォーカルで、ギルがアレンジを担ったという「artman」(Kra)と「Liberty」(ギル)のアコースティックver.を披露するレアな一幕が繰り広げられた。なお、思いがけないミスがあったのはご愛嬌。さらに、ばるを呼び込むと、ステージ上の3人を見たばるが「安心感! 数少ないバンドマンの友達」と言い、そこから止まらない“楽屋トーク”に。話は割愛するが、とにかくギルは“コミュ力おばけ”だというのが3人一致の見解だったことを記しておこう。

「我々、激しい時代を生き抜いてきた世代、このままじゃ終われない」(景夕)と、この4人バンド編成で「artman」「Liberty」を改めてプレイ。ギルが景夕、結良とそれぞれ向かい合って演奏する場面もありながら、ステージ、フロア共に最高潮の盛り上がりを見せ、この夜は終幕を迎えたのだった。

ギルの次回公演は、誕生日を皆に祝ってもらえた喜びを返したいという思いから、8月21日(誕生日)を逆さ読みした12月8日に青山RizMで開催される2ndワンマンライブ「Reverse Honey」。ぜひギルの愛を受け止めに、会場へ足を運んでほしい。

◆セットリスト◆
【Kra】
01. 英才教育
02. 彷徨えど夜
03. 少年と空
04. Tiny town
05. ブラックホール
06. ハザマノマモノ
07. 空中ブランコ
08. 故に今

【ギル】
01. Beyond the crisis
02. Liberty
03. meteor
04. Tiny Grace
05. バビロン
06. Exceed
07. 炎舞曲
08. 焔迅
09. 革命
10. arise
11. Departure

【セッション】
01. artman acoustic ver.
02. Liberty acoustic ver.
03. artman
04. Liberty

(文・金多賀歩美/写真・浜本研志)


【ギル ライブ情報】
●「Reverse Honey」
12月8日(金)青山RizM

ギル オフィシャルサイト
Kra オフィシャルサイト