2023.10.28
SLAPSLY＠渋谷REX
SLAPSLY 1st TOUR「SLAPSLY in da house 〜OUTBURST〜」
「このままじゃよくないなというのをずっと思っていて。一回どこかで立て直したいというのがあって、2023年はちょっとだけ時間をください。リセットではなくリニューアルみたいな感じで、土台をしっかり固めて曲もしっかり作って、この5年培ってきたものを、ちゃんとした形で皆さんの前でお届けできたらなと。またやる時になったら絶対に今日よりもパワーアップしたライブをしますので、その時はぜひ観に来てもらえれば嬉しいです」
これは昨年12月、CHIYUが自身のバースデー公演でファンに向けて告げた言葉。ベースヴォーカルとしてソロ活動5周年を迎えた2023年、CHIYUはソロプロジェクト“SLAPSLY（スラップスライ）”としてリスタートすることを発表し、9月27日に5周年記念アルバム『OUTBURST 〜The best of the CHIYU〜』をリリース、かくして迎えた10月28日、ついにSLAPSLYとしての初ステージとなる、1stツアー「SLAPSLY in da house 〜OUTBURST〜」の第一夜が渋谷REXにて行われた。
今回の衣装や最新作のアートワークとなっているモチーフが大型LEDに映し出される中、色違いの揃いの衣装を纏ったメンバーが登場すると、作品同様にオープニングのインスト「SLAPSLY in da house」から勢いのあるロックナンバー「Get over it…」で幕を開けた。現在、ベーシストとして様々なアーティストのサポートを務めていることに加え、今年はSuGの39日間限定復活もありながら、並行してリスタートへの準備を整えてきたCHIYU。彼がソロアーティストとしてステージに立つのは、先に記した昨年12月の公演以来、実に約10ヵ月ぶりで、序盤に「久々にライブができるのが嬉しいです。皆さんと一緒に成長していけるソロであればいいなと思っているので、力を貸してください」と告げたのだった。
SLAPSLYではサポートを務める面々もこれまでのCHIYUの活動から一新し、“SLAPS MEMBER”（＝イケてるメンバーの意）としてJOHN（G）、宏崇（Dr）が参加。それぞれ交流はあるものの、今回が初の組み合わせとなるスリーピース編成ということで、二人について話す一幕も。
CHIYUと宏崇の前バンドのカラーが真逆であることから「メンバーが発表された時、皆ビックリしたんちゃう？」と話せば、CHIYUとJOHNはKIRITOのサポートメンバーとしてステージを共にしているゆえ、「『JOHNをよろしく』ってKIRITOさんに託されているから。JOHNは初めて音を合わせた時から、どんどんスポンジのように吸収して成長していっているんですよ」と言い、「俺より目立ってくれてもいいし、自分のバンドのようにやり散らかしてほしいんですよ。皆で成長したものを持ってまた同じ現場に入った時に、やって良かったなと言われてほしいし」と、その本心を覗かせた。
そんなCHIYUの言葉を体現するように、序盤の「V.I.P.」冒頭で早速JOHNがハンドクラップ、宏崇がドラムスティックを打ち鳴らし、フロアを盛り立てたのをはじめ、その後も3人のバンド然としたパフォーマンスが繰り広げられていったのが印象的。また、センターにCHIYU、上手にJOHN、下手に宏崇を基本の立ち位置とした今回ではあるものの、下手側にもマイクを置き、ステージを行き来しながら歌うのがCHIYUのスタイル。続く「L or R」で早くもその姿が見られれば、「跳べー！」と叫ぶCHIYUに対し、フロアは息ピッタリのジャンプで応えたのだった。
R＆B色の強い「あいすくりん」を皮切りに、中盤のアダルトブロックではベースを置き、ヴォーカルに専念。最新作収録の新曲「月と影と私」では、表の顔と裏の顔の二面性を2本のマイクを使い分けて表現し、次いで「最高の瞬間を切り取ります」という言葉から「film#0」では、CHIYUが歌いながらカメラを手にフロアやステージを撮るという恒例の演出も。
終盤では、疾走感のあるロックナンバー「愛欲の華」からゴリゴリのスラップベースが際立つハードナンバー「TRICK STER」、さらにタオルを手にハンドマイクで「Infinity & Beyond」、再びベースヴォーカルで「FREAKY DANCE」と、パーティーチューン2曲を立て続けにプレイ。場内の熱量が最高潮に達したところで、本編ラストナンバーを前にCHIYUはこう述べたのだった。
「皆がいるから今日も（ライブが）できているんやなと改めて思いました。自分がアコースティックギターを手にした時からこの道は始まって、そこからベースに行って、気が付いたらベースヴォーカルをやっているというこの状況は、色々な出会いが重なったからで、誰か一人でも会わなかったら、俺はこの場にいないんだろうなと思います。皆が俺と出会ってくれたからこそ出る色をどんどん足していって、今のCHIYUが形成されているんだなと、本当に感謝しています。曲にすると恥ずかしい言葉もスッと言えるので、今の正直な気持ちを殴り書いたみたいな感じ。皆と一緒に歌って初めて完成する曲だなと思っているので、皆さんの力を借りて、この曲を完成させていいですか？」
そんな言葉から届けられたのは、最新作のリード曲でもあるファンへのメッセージが綴られた「Diary of Life」。オーディエンスの歌声に乗せて〈もし明日死ぬとしたら生き方が変わるのですか？〉と、ありったけの思いを込めて歌い上げるCHIYUの姿は何より印象深く、「皆さんがいたから、この曲ができました。ありがとうございました」と締め括ったのだった。
アンコールでは、「黄色い声で『好き』って叫んでください！」と、ポップなラブソング「Egoistic GAME」、フロアにタオルが舞った「AMArican Dream」、〈君と僕を繋ぐメロディー〉のリフレインが印象的なポジティブソング「wiθ U」で多幸感溢れる空間を描き出し、「SLAPSLYとして初めてのステージを見届けてくれてありがとうございました。最高のツアーにしましょう」というCHIYUの言葉をもって、記念すべき新たな始まりの一夜は幕となった。
『OUTBURST 〜The best of the CHIYU〜』自体がライブのセットリストをイメージし、新曲5曲に加えて過去作品からライブの定番曲9曲をセレクトした、ベスト盤的要素を含む作品であることから、それを引っ提げたステージは盛り上がること必至ではあるものの、新体制での初ツアーであるという事実と、何よりそこに掛けるCHIYU自身の思いが一段と強いものであることは確か。
本ツアーはこの後、11月3日の名古屋 ell.SIZE、4日の心斎橋 OSAKA RUIDOを経て、11日に代官山SPACE ODDでファイナルを迎える。「このライブを持って次のライブ、またその次のライブというのを味わえるのがツアー。ファイナルはすごいことになると思うので、期待していてください。この二人の見たことのないパフォーマンスも出てくると思うので」とのこと。ここから彼らがSLAPSLYとしてどんな進化を遂げていくのか見逃さないでほしい。
◆セットリスト◆
01. SLAPSLY in da house
02. Get over it…
03. V.I.P.
04. L or R
05. あいすくりん
06. 月と影と私
07. film#0
08. apathy house
09. 愛欲の華
10. TRICK STER
11. Infinity & Beyond
12. FREAKY DANCE
13. Diary of Life
En
01. Egoistic GAME
02. AMArican Dream
03. wiΘ U
（文・金多賀歩美／写真・堅田ひとみ）
【ライブ情報】
●SLAPSLY 1st TOUR「SLAPSLY in da house 〜OUTBURST〜」
11月3日（金・祝）名古屋 ell.SIZE
11月4日（土）心斎橋 OSAKA RUIDO
11月11日（土）代官山 SPACE ODD
＜SLAPS MEMBER＞
JOHN（G）、宏崇（Dr）
【リリース情報】
●5th Anniversary Concept Album『OUTBURST 〜The best of the CHIYU〜』
2023年9月27日（水）発売
［通常盤］（CD／ジュエルケース）FAM-10006 ￥3,500（税込）
（発売元：FUN ALL MUSIC／販売元：ダイキサウンド）
［限定盤］（CD＋DVD／トールケース／32Pブックレット）FAM-10006L ￥7,500（税込）
（発売元・販売元：FUN ALL MUSIC）
※オフィシャルWEBショップ、ライブ会場等で販売
＜収録曲＞ ※共通
01. SLAPSLY in da house
02. Get over it…
03. V.I.P.
04. 愛欲の華
05. TRICK STER
06. wiΘ U
07. あいすくりん
08. 月と影と私
09. film#0
10. Infinity & Beyond
11. apathy house
12. AMArican Dream
13. FREAKY DANCE
14. Diary of Life
＜限定盤DVD＞
・ミュージックビデオ
01. 無限の風
02. Egoistic GAME
03. 未完成のヒマワリ ~acoustic version〜
04. Keep it real
05. Diary of Life
・OUTBURST MAKING