2023.07.09
Luv PARADE主催「DEVIL’S PARTY♯3」＠新宿BLAZE
Karyu（G）、ZERO（B）、TSUKASA（Dr）、TAKA（Guest Vo／defspiral）によるLuv PARADEが、昨年9月以来となる主催イベント「DEVIL’S PARTY♯3」を新宿BLAZEにて開催した。本公演の出演アーティストは、Moi dix Mois、H.U.G、NoGoD、そして主催者を含めた4組というラインナップ。過去2回のイベントでは、Luv PARADEと関係性の深いアーティストが出演してきたが、今回は趣向を変え、メンバーそれぞれのキャリアの中でも対バンという意味では交わりのなかった2組が入り、新たな刺激が加わるイベントとなった。
トップバッターは昨年の「DEVIL’S PARTY」で始動した、ryo（Vo）、Karyu（G）、横山和俊（Mani＆Key＆Per）によるH.U.G。本イベント唯一の皆勤賞アーティストだが、5人編成での出演は今回が初であり、ドラムはTAKEO（PIEEROT、Angelo）、ベースはこの日がH.U.G初ステージとなるMASASHI（Versailles）がサポートを務めた。
カラフルな照明が明滅する中、白の衣装を身に纏った5人が登場。初っ端に未音源化の新曲「HELIOS」を放つと、多様な展開かつ疾走感で駆け抜け、早速フロアのボルテージを上げる。「ようこそ」というryoの挨拶から、1stアルバムのリード曲であり、一度描いた夢を決して諦めないでいれば、その思いは必ず芽吹いて花になることを歌ったメッセージソング「SEEDS」をプレイ。次いで「DROP」では、横山のパッドとTAKEOのドラムのユニゾンによるリズムに合わせて、フロアもハンドクラップを鳴らし、ryoがKaryuに寄り添ったり、MASASHIと向かい合ってシャウトするシーンも。
ここでムードを一変させたのが、「空から降るのが悲しみじゃなくて愛ならいいのに」というryoの言葉から始まった「LOVE THAT NEVER ENDS」。このドラマティックな楽曲は、イベントにおいても一瞬で空気を支配する抜群の力を発揮していたことが印象深い。後半戦では、ヘヴィーなライブナンバー「WHO IS THE ROMEO」でさらにフロアとの一体感を増すと、ラストにはH.U.Gの中で最もキャッチーな愛の歌「HEART」を届け、「名前だけでも覚えて帰ってください！」（ryo）と、“新人バンド”らしい締め括りでステージを後にしたのだった。
二番手の登場は、昨年8月より団長（Vo）、Shinno（G）、K（Dr）、hibiki（B）、Iyoda Kohei（Support G）の新体制となったNoGoD。ギュイーンと唸るギターの音を合図に幕が開くと、「他のバンドが絶対しない挨拶するぜ。こんばんはー！ さぁ、布教活動を始めましょうかー！」と団長の声が高らかに響き渡る。最新アルバムのラストナンバーでもある「現約聖書」が1曲目を飾り、声を求める団長に対し、フロアが抜群の応戦力を見せると「素敵じゃないの」と団長。
「What do you say」では、早速フロント4人がステージ前方に横並びとなりフロアを煽れば、曲中に「今日は最高にカッコいい先輩たちと共演できて嬉しいけど、俺らの世代の底力見せてやるよ！ お前たちも見せてくれ！」と団長の叫びが。その後に続いたKoheiとhibikiによるタッピングユニゾンは見応え抜群。
「わかるよ。戸惑いを隠しきれていない、このフロアの感じ。トップバッターはね、セクシーの塊。この後出てくるMoi dix Mois、美しさの塊。主催者、セクシーの塊。どれもとても悪魔的ですね。じゃあなんで呼ばれたか、それは悪魔的にお喋りしろってことだと思っております！（中略）18年NoGoDをやってきて、全ての対バンさんが初めましてというのは、なかなかある機会じゃないので、本当に楽しみにしてきました。最後までよろしくお願いします！」（団長）
さすがのトークスキルでMCを挟んだ後、「大人っぽいこともできるんだぞということを証明できたらいいな」（団長）と、重厚なバラードナンバー「mind’s eye」をエモーショナルにプレイ。後半戦は「神風」でギアを上げると、「今日出ている先輩方、俺、大好きなんだよ。その人たちから、このシーンのカッコよさを教わって、俺たちの世代で糞詰まっている場合じゃねーよな！ 俺たちもこの業界引っ張っていかなきゃなんねーんだよ！ 一緒にこのジャンルが消えないように証明しようぜ！」（団長）と鼓舞し、「Never fade away」へ。〈この先もここに立ち続ける／ここからまた歩きだそう 何度でも〉と、彼らの決意が込められた楽曲をもって終始全力疾走と言えるステージを完遂したのだった。
続いてのステージは、対バンイベントへの出演自体が久々になるという、昨年20周年を迎えたMana（G）率いるMoi dix Mois。厳かなSEの中、プロジェクトメンバーHayato（Dr）、Sugiya（B）、Ryux（G）に続いて、Manaが姿を現し、クリスタルギターを高く掲げてみせる。Seth（Vo）の登場で「より深い暗黒の世界へと、皆で行きましょう」と告げると、「Material Death」でフルスロットルの幕開けだ。早速Sethの回転ヘドバンも飛び出し、シャウトが場内に鳴り響いた。
「ようこそ、新宿BLAZEへ。我々がMoi dix Moisだー！」Sethの挨拶でステージ、フロアともにメロイックサインを掲げる。「さぁ、今宵は『DEVIL’S PARTY』。悪魔の宴だな？ ということは、すなわちサバトだ。より深〜い暗黒の世界へ皆で共に行き、そして思う存分邪悪な印を突き立て、そして淫らに妖艶に、心も体も、洋服も脱ぎたいやつは思いっきり脱いで、派手にいきましょうや。それでは思いきり飛ばしていくぜ。今宵はサバトだ、サバトだ、サバトだー！ 狂っていこうか！」（Seth）と「Witchcraft」に突入すれば、まさに邪悪なギターサウンドが鳴り、間奏ではセンターでManaとRyuxがハモリのツインを魅せる場面も。
続いて舞踏会を思わす「Solitude」ではManaも体を揺らし、ひらりと舞わせる手の動きがなんとも美しい。「もっとできるはずだよな！？」とSethが拡声器を手に突入した「Beast side」がさらなる起爆剤となり、ManaとRyuxによるギターの掛け合いから「Dead Scape」がスタートすれば、フロアは腕を力強く突き上げ応戦。ManaとSugiyaのユニゾンも魅力的だ。「あなたたちのその小さな背中に、黒い羽が生えてきているはずです。それでは、私たちのその真っ黒な暗黒の翼とともに天国へ飛び立っていきましょうか」（Seth）と、ラストはHayatoの高速ドラミングが炸裂する「Ange〜D side holy wings〜」を放ち、センターにフロント4人が集結するお決まりの嬉しいパフォーマンスもありながら、熱狂の終幕となったのだった。
トリはいよいよ主催者Luv PARADEの登場。3月のワンマン以来、約4ヵ月ぶりとなる待望のステージだ。TAKAの「行こうか！」を合図に、ラヴパ流ロックver.のダンスチューン「Poker Face」（Lady Gaga）で勢いよくスタート。既に彼らの鉄板曲と言っていいこのナンバー、KaryuとZEROが早速ヘドバンしながら演奏する姿も見られれば、〈P-p-p-poker face, p-p-poker face〉のTAKAのシャウトは何度聴いてもたまらない。
ダークかつ妖艶でヘヴィーなアレンジが施された「Toxic」（Britney Spears）、「BAD GUY」（Billie Eilish）で、アダルトなエロティシズムを充満させれば、そのムードを引き継ぎながら、このイベントに不可欠な「DEVILS’ PARADE」（D’ESPAIRSRAY）でバチッと重なり合うバンドサウンドを魅せる。さらに、映画『タイタニック』のテーマ曲として有名な「My Heart Will Go On」（Celine Dion）では、どこまでも壮大かつエモーショナルなロックバラードとして、その圧倒的な表現力で観るものを惹きつけた。
後半戦では「一緒に踊ってください！ 歌ってください！」（TAKA）と、「Dub-I-Dub」（Me & My）を投入。ミラーボールが回りだし、オーディエンスが飛び跳ねる。その様子はさながらダンスフロアだ。KaryuとZEROがコーラスを担うサビの〈Dub-i-dub-i-dub-i-dub-dub-dub〉のリフレインはやはり中毒性が高い。次いで「MIRROR」（D’ESPAIRSRAY）が放たれると、フロアが待ってましたと言わんばかりの白熱ぶりに。TAKAがZERO、Karyuと絡む場面もあれば、TSUKASAが大きくスティックを掲げたキメのアクションも華やか。
「まだまだ物語は始まったばかりです」（TAKA）と、本編最後に配されたのが「The NeverEnding Story」（Limahl）。多幸感溢れるキャッチーなロックナンバーに昇華させたこの楽曲は、タム使いが映えるTSUKASAのドラミングも印象的。また、KaryuとZEROが寄り添ってプレイする姿はなんとも尊いものだった。
アンコールでは、本イベントがこれまでとは異なる趣向の顔ぶれであることに触れ、ZEROが「刺激いっぱいでした」と話せば、TSUKASAは演歌歌謡グループ“最美桜前線”として活動を共にするSethがMoi dix Moisで歌っている姿を初めて生で観たそうで、「カッコよかった…！ 世界観が非常にマッチしていまして、本当に悪魔の世界から来た人だなぁと思って、まさにこのパーティーにピッタリ」と率直な感想を。また、Karyuも「出てくださっているバンド全部カッコよくて、悪魔寄りの感じで、やっと『DEVIL’S PARTY』という感じがするなと、やっている今もワクワクしております」と話し、TAKAは「志を貫いているバンドばかりだなという感じを受けまして、本当に刺激になりました」と述べたのだった。
また、「皆さんの反応が気持ち良過ぎて、皆がLuv PARADE目当てで来ているような気持ちでやったので、俺たちの全力が伝わったと思う」というZEROの言葉は、この夜がどれだけのものであったかを示すのに十分なものだった。そして、ステージはキャッチーな「sk8er boi」（Avril Lavigne）を経て、TSUKASAのドラミングから鉄板曲「DEATH POINT」（D’ESPAIRSRAY）に突入。ステージ、フロアともに最高潮の盛り上がりを見せ、幕となったのだった。
Luv PARADEの今後の動向として、D’ESPAIRSRAYの結成日となる9月9日、Veats Shibuyaにて「DEVIL’S NEW WORLD」と題した新たなワンマンライブを開催することが決定した。これまでの公演とは異なり、この日はD’ESPAIRSRAYの楽曲を多めに選曲する予定とのこと。なお、本公演もゲストヴォーカルは引き続きTAKAが務めるが、彼から「他にも色々と企んでいるので、楽しみにしていてください」という発言があったことも付記しておきたい。ここから4人が創造する新たな世界を心して待とう。
◆セットリスト◆
【H.U.G】
01. HELIOS
02. SEEDS
03. DROP
04. LOVE THAT NEVER ENDS
05. WHO IS THE ROMEO
06. HEART
【NoGoD】
01. 現約聖書
02. What do you say
03. mind’s eye
04. 神風
05. Never fade away
【Moi dix Mois】
01. Material Death
02. Witchcraft
03. Solitude
04. Beast side
05. Dead Scape
06. Ange〜D side holy wings〜
【Luv PARADE】
01. Poker Face／Lady Gaga
02. Toxic／Britney Spears
03. BAD GUY／Billie Eilish
04. DEVILS’ PARADE／D’ESPAIRSRAY
05. My Heart Will Go On／Celine Dion
06. Dub-I-Dub／Me & My
07. MIRROR／D’ESPAIRSRAY
08. The NeverEnding Story／Limahl
En
09. sk8er boi／Avril Lavigne
10. DEATH POINT／D’ESPAIRSRAY
（文・金多賀歩美／写真・小山美里(ODD JOB LTD.)）
【配信情報】
●Luv PARADE主催「DEVIL’S PARTY♯3」
7月9日（日）新宿BLAZE
アーカイブ配信中
チケット販売：～2023年8月8日（火）20:00まで
【ライブ情報】
●「DEVIL’S NEW WORLD」
9月9日（土）Veats Shibuya
問：サイレン・エンタープライズ03-3447-8822
