5月1日にスタートした全10公演にわたるKIRITOの全国ツアー『KIRITO Tour 2023「REBUILDED NEOSPIRAL」』が、6月4日EX THEATER ROPPONGIにてファイナルを迎えた。

前ツアーとバースデー公演を経て、今ツアーはある意味『NEOSPIRAL』第3章とも言える…というのは初日のレポートでお伝えした通り。昨年11月に発表した最新アルバム『NEOSPIRAL』を軸に据えていることは共通していながらも、その都度見せ方を変えてきたKIRITOが、今ツアーでは“キリト”名義の既存曲を現在の“KIRITO”サウンドに大幅にリアレンジしたことが大きなトピックスで、『NEOSPIRAL』の全12曲と組み合わせることにより相乗効果を生んできた。

ステージ上手と下手の背面にはLEDビジョン、その中央に配された螺旋状にきらめく巨大なビーズカーテンのバックに、ツアータイトルの幕が下りてくるという印象的なオープニング演出を経て、重厚な「テロメア」でスタートを切ったこの日。ここから繰り広げられた全22曲の展開は、初日と最終日で大きな違いがあった。まず、初日では『NEOSPIRAL』ブロックと既存曲ブロックが、それぞれ大きな塊として交互に組まれた構成だったわけだが、最終日では少しばかり細かな組み合わせ方になっていたのだ。

『NEOSPIRAL』の収録順通りに7曲目「MASTERMIND」まで進んだ後、供されたのが「誰もいない丘」。その混沌とした空気感と悲痛さを増した心の叫びのような歌声、スタンドマイクを手にステージ上を移動しながら歌うKIRITOの姿が印象的だった。これに続いたのが『NEOSPIRAL』収録の「雫」「Storyteller」で、「誰もいない丘」とのコントラストが際立つ優しい歌声、そして、いつも信じてくれるあなたがいたから、幾度も道を切り開き、ここに立つことを選んだのだというメッセージの意味合いがより強く響き、この3曲の流れはまさにKIRITOの人生を表しているようだった。また、本編を『NEOSPIRAL』の楽曲ではなく「GARDEN」で締め括ったことも初日とは違う点だが、それはここからまた始まる〈新しい夜明け〉を示唆していたのかもしれない。

なお、全くの別物へと変貌を遂げ、初日の時点で私たちを驚かせた「Awaking bud」「PLOT」をはじめ、攻撃的なハードナンバーたちが抜群の威力を発揮していたことは言わずもがな。随所で見られたメンバー同士の絡み、弦楽器陣がドラム台を囲むように向かい合った場面、さらには「I BLESS YOU」の間奏部分でKIRITOを含む4人がセンターに集結した場面など、パフォーマンスの面でもバンド然とした姿を見せてくれた彼ら。「このツアーは特に良かった」というKIRITOの言葉が示すように、今ツアーを通してサポートメンバーである海(G/vistlip)、JOHN(G)、Chiyu(B)、Allen(Dr)との絆を深め、共に一つのバンドとしての“KIRITO”を強化させてきたことが見て取れた一夜だった。

この日のラストナンバー「EXIT」を前に、KIRITOが述べた言葉を記しておきたい。
「『NEOSPIRAL』を究極まで突き詰めて、僕の中で次の世界観が見えたので、それをこれから作っていくにあたって、良い流れができているなと思いました。全国各地一人ひとりの顔を見て、色々な思いが伝わってきたので、そういう大切な思いを作品にしたいと思います。KIRITOとして、またこれから先の大切な約束を。時間が経てば経つほど、振り返った時に『ファンで良かった』と胸を張って言えるような新しい流れをしっかり作りますので、これからもよろしくお願いします」

この後KIRITOは、7月22〜23日KANDA SQUARE HALLにてアコースティックライブ『KIRITO Acoustic live 23’「Phantom Ⅳ -A line of conviction-」』が控えているが、新たに8月20日CLUB CITTA’にて『KIRITO「THE CHEMICAL DESTRUCT」』と題した公演が決定した。過去にはAngeloとして毎年夏の恒例行事となるライブを開催してきたが、今年からはKIRITOとしてそれを実現するという。また、今年はその第1弾としてワンマン公演を行うが、来年からは進化させ夏の恒例イベントにしていくという予告も。「KIRITOはどんどん新しいことを始めていくよ! そして今始めたことが長い年月を経て、『恒例のアレがないと夏を越せませんよね』となりますから」とのこと。2023年6月の満月の夜、一つの終わりと共に、また新たな始まりが見えた。

◆セットリスト◆
01. テロメア
02. ANTI-MATTER
03. Discord
04. BUTTERFLY IN A PHANTOM
05. VICTIM
06. INTO THE MIRROR
07. MASTERMIND
08. 誰もいない丘
09. 雫
10. Storyteller
11. Awaking bud
12. PLOT
13. Clue
14. Aim
15. RAID
16. NEOSPIRAL
17. I BLESS YOU
18. GARDEN

En
01. Suicide View
02. カンナビス
03. Ray
04. EXIT

(文・金多賀歩美)


【ライブ情報】
●KIRITO「THE CHEMICAL DESTRUCT」
8月20日(日)CLUB CITTA’川崎
17:15開場/18:00開演
サポートメンバー:海(G/vistlip)、JOHN(G)、Masa(B/NOCTURNAL BLOODLUST)、Hiroki(Dr/C-GATE)

<チケット詳細> 
・一般料金(指定席/後方立見):¥6,500(ドリンク代別・税込)

<ファンクラブ先行料金>
・VIP指定席:¥9,000(ドリンク代別・税込)
・指定席:¥6,000(ドリンク代別・税込)
・後方立見:¥6,000(ドリンク代別・税込)

<VIP特典>
・客席前方指定席
・直筆メッセージ入りポストカード
※特典のポストカードは公演当日会場配布(発送不可/不良品以外の交換はご対応致しかねます)

ファンクラブ先行受付期間:6月4日(日)21:00~6月18日(日)23:59
制限枚数:お一人様1公演につき2枚まで ※同行者は非会員可
※3歳以上有料/別途手数料あり
詳細はこちら

●KIRITO Acoustic live 23’「Phantom Ⅳ -A line of conviction-」
7月22日(土)KANDA SQUARE HALL
17:00開場/17:30開演
7月23日(日)KANDA SQUARE HALL
16:30開場/17:00開演
サポートメンバー:JOHN(Ag)

<チケット詳細>
全席指定
料金:¥11,000(ドリンク代別・税込)

KIRITO オフィシャルサイト