2022.12.27
CHIYU@高田馬場CLUB PHASE
「聖誕祭 2022 〜AMA ROCK PARADE〜」

CHIYUの誕生日当日である12月27日、恒例のバースデーライブとなる「聖誕祭 2022 〜AMA ROCK PARADE〜」が高田馬場CLUB PHASEにて開催された。現在、CHIYU自身が様々なアーティストのサポートベーシストを務めているゆえ、ソロとしてのライブ本数は決して多くないという現状もあり、聖誕祭は「その年の集大成のワンマンライブ」という位置付けで行ってきた。また先頃、2022年を「自分の中でモヤモヤしていた『このままじゃダメだな』という気持ちが露骨に見えて、確信に変わった1年だった」と話し、さらに2023年のソロ活動5周年に向け「しっかり見つめ直してリスタートしようと思っている」という言葉も残していたことから、この先大きく変化していくであろうソロアーティストCHIYU の2022年の集大成かつ現在地を確認する唯一の機会が今回の公演となった。

かくして迎えた「聖誕祭2022」。CHIYUの通常のライブでは自身がベースヴォーカルを務め、ギター、ドラムとのスリーピースという形をとってきたが、今回はsebastian(G/BULL ZEICHEN 88)、Shun Suzuki(G)、YASU(Dr)がサポートを務め、初のツインギター編成で行われた。4人がステージに姿を現し、まずCHIYUが立った場所は下手。センターにはShunがついた。この意外な展開から「Own weapon」でスタートを切ると、ゴリゴリのスラップベースが際立つハードナンバー「TRICK STER」へと続け、さらには「AMArican Dream」をShunのヴォーカルver.でプレイ。オーディエンスをしっかりと見つめながら下手から上手へ移動したり、sebastianと向き合って演奏するCHIYUの姿が見られた。「AMArican Dream」については「Shunからのバースデーサプライズ」とのことで、CHIYUは「自分の曲を歌わずにベースだけ弾くって…本当に楽(笑)。煽れるし、前に行けるし、上手にも下手にも行ける」と吐露したが、この幕開けからの3曲は“ベーシストCHIYU”を全面に押し出したブロックだったと言えよう。

その後はCHIYUがセンターの立ち位置となり、ベースソロも見どころのシャッフル曲「apathy house」から疾走感のあるロックナンバー「愛欲の華」、「まだまだそんなもんじゃねーだろう。いけるか!?」(CHIYU)の声にオーディエンスがジャンプで応えた「L or R」で熱量を上げると、「ツインギター新鮮ですよね。でも、フロントに3人いるとホッとするね」とCHIYU。そして、恋愛の曲を初めて書いたというR&B色の強い「あいすくりん」ではベースを置きハンドマイクで歌に専念すれば、そこから続けた「film#0」ではCHIYUがカメラを手にフロアを撮る演出があり、演奏しながらステージ上の4人で自撮りするという微笑ましい一幕も。さらに〈偽りの愛〉というワードが曲のカラーを象徴する「ヒトリ籠」でエロティックな一面を見せるなど、中盤ではアダルトなムードの楽曲が並んだが、このブロック最後にはエフェクティブな「書生論」で再びフロアを揺らしたのだった。

「支えてくれた皆さんがいたからできた曲」というCHIYUの言葉から、メッセージ性の強い「Keep it real」で〈あなたの存在が 足元照らす 光だから〉と歌った本編最終ブロック。「ここからどんどん盛り上がっていきましょう!」とダンスチューン「FREAKY DANCE」、ヘヴィーナンバー「V.I.P.」と畳み掛け、ラストは〈君と僕を繋ぐメロディー〉のリフレインが印象的なポジティブソング「wiθ U」をもって本編を締め括ったのだった。

アンコールでは「アイツの歌じゃ終われねー」(CHIYU)と、改めて自身のヴォーカルで「AMArican Dream」をプレイしたのだが、曲中に威勢の良いシャウトと「Happy Birthday CHIYU!」の声が。「なんか袖にいると思って、マイク投げたらやっぱ言ったわ(笑)」(CHIYU)とのことで、駆け付けた盟友の美月(The THIRTEEN、Sadie)が声のみ参加するという思わぬ一幕があったのも聖誕祭ならでは。

そして、レポート冒頭でも触れた件について、改めてCHIYUは直接ファンに向けてこう話したのだった。
「この5年、とにかく止まらないということが目標で、ペースは遅いですが皆さんのお陰でライブができていると感じています。このままじゃよくないなというのをずっと思っていて。一回どこかで立て直したいというのがあって、2023年はちょっとだけ時間をください。リセットではなくリニューアルみたいな感じで、土台をしっかり固めて曲もしっかり作って、この5年培ってきたものを、ちゃんとした形で皆さんの前でお届けできたらなと。またやる時になったら絶対に今日よりもパワーアップしたライブをしますので、その時はぜひ観に来てもらえれば嬉しいです」

また、ソロでのライブ活動がここから半年以上先になることについて、「やっぱりソロの活動がなければないほど、感覚がどんどんなくなっていくんですよね。ツアーを回っている時はコンスタントにライブをしていたから、体が勝手に動くくらい自然と演奏もできるんですけど、空けば空くほど感覚が失われていくんです。失われた時にライブ、また失われた時にライブという、この負の連鎖も本当によくないなと思っているんですけど、そういうのも一回ちゃんと立て直して、しっかり皆さんにお届けできるように頑張りますので、2023年もよろしくお願いします」との言葉もあったことから、次にソロでの“CHIYU”が動き出す時には、これまでより精力的な活動ペースとなることを期待したい。

この夜のステージは、オーディエンスが手で作るハートがフロア中に溢れたポップなラブソング「Egoistic GAME」で多幸感溢れる空間を、〈僕がいるから〉〈君との居場所さ〉と歌うミクスチャーロックナンバー「Regret」で白熱の空間を描き出し、「今年もありがとう! 来年もっと頑張ります!」というCHIYUの挨拶をもって幕となったのだった。2023年もベーシストとしてのCHIYUが観られる機会は数多くありそうだが、ソロアーティストとしてのCHIYUが今後どんな景色を見せてくれるのか、その時を楽しみに待ちたい。

◆セットリスト◆
01. Own weapon
02. TRICK STER
03. AMArican Dream 〜Vo. Shun Suzuki ver.〜
04. apathy house
05. 愛欲の華
06. L or R
07. あいすくりん
08. film#0
09. ヒトリ籠
10. 書生論
11. Keep it real
12. FREAKY DANCE
13. V.I.P.
14. wiθ U

En
15. AMArican Dream
16. Egoistic GAME
17. Regret

(文・金多賀歩美/写真・堅田ひとみ)


CHIYU オフィシャルサイト