JOE(Dr)とRicky(Vo)によるユニットDASEINが今年デビュー20周年を迎えた。このアニバーサリーイヤーも大詰めを迎えた2021年11月27日、28日の2日間に渡って、「DASEIN VS Black DASEIN」と冠したライブが行われた。27日はDASEINのコピーバンドという設定…でなく、コピーバンドであるBlack DASEIN。そして28日はDASEINが登場し、2つのバンドの対決企画ライブの模様をお伝えしよう。そして、2021年を締め括るライブも決定!!

2021.11.27
Black DASEIN@渋谷REX
DASEIN デビュー20周年特別企画「DASEIN vs Black DASEIN」~先攻 コピバンブラダー参上!!!~

1日目は「先攻 コピバンブラダー参上!!!」と題して、DASEINをこよなく愛するコピーバンド(?)、Black DASEINが登場。翌28日に登場するDASEINの前哨戦ともいえるこの日の?ライブと、思いきや今回のライブタイトルは「DASEIN VS Black DASEIN」。コピーバンドとはいえ、これはマジのVS(対決)。本家有利の下馬評のなか、模倣が本家を凌駕することもあり得るのか!?

ほぼ定刻に会場が暗転し、緞帳が上がる。ステージにはバックライトを浴び、シルエットとなった4人が立っている。ギター少が奏でるフェイズが効いたギターサウンドに、上がハネたビートを作りだす。そしてそのリズムのうねりを縫うようにベース流の重低音がレイヤーとなって重なる。

「よく生きてたな! ブッ放していくぜ!!」と鬼の棍棒のように黒いベースボールバットを肩に乗せた力の煽りを合図に、上の高速ツーバスが炸裂する。オープニングナンバー「闇」のスタートだ。真紅のライトに包まれて熱く歌う力。DASEINのコピーバンドでありながら、オープニングはR*A*Pのカバー(元々はDASEINのデモ曲)からスタートという、うっちゃりをカマしてくるあたり、今宵のライブで何かのサプライズを企んでいるに違いないと期待が高まる。

ミディアムテンポの「Yの黙示録」、疾走感溢れるポップナンバー「リフレイン~ありふれた奇跡~」、そしてファンキーなギターリフから、ハードなサビへとジェットコースターのように展開する「英雄ピエロ」と、序盤から緩急のあるセットリストで観客を魅了する。

Black DASEINはメンバーの経済的な理由により、打ち込み機材を用意することができずに、完全に生演奏でパフォーマンスをする。そんなBlack DASEINの真骨頂を魅せたのは6曲目に演奏された「真夜中のエレジー」。ギターの少がフリーテンポで奏でるイントロのアルペジオのフレーズに、少と目配せをした力が間をとって歌に入る。

7曲目に披露された「じっとみつめたい」では、曲中で力に続きベースの流、ギターの少、そしてドラムスの上の順番でオーディエンスに向かって“じっとみつめたい!”とアツく語りかける場面があり、会場の女子たちを赤面…ではなく沸かせる。

ライブ中盤は上のドラムソロに突入。ドラミングフォーム、出音、途中の煽りのポーズまで、DASEINのJOEを完璧にトレースしている(笑)。上のJOEへの愛の深さを感じる。後半は「黒胡椒」、そして「COGITO ERGO SUM」と、パワーソングで一気にオーディエンスを煽る。オーディエンスも両手を高く挙げてバンドのパフォーマンスに応える。“Black DASEINでした”。大きな拍手の中、4人は一度ステージを後にした。

アンコールの「君の街に降れるオリオン」では上が刻むリズムに、少がゆっくりとしたギターカッティングを披露。そこに伸びやかな力のボーカルが重なる。まるでジャム・セッションをしているようなBlack DASEINのパフォーマンスは完全生演奏ならではの醍醐味。

「DASEINさんが続けていく限り、俺たちはコピーし続けます。そして、これからも生演奏でハードに、硬派に、ときにおもしろ、おかしくなることもあるけれど、本気でやっていくんでこれからもよろしくお願いいたします」と力が語り、DASEINの最新シングルである「泡沫なる夢幻」を披露。そして最後は「NO BLACK NO LIFE!!!!!」でオーディエンスを煽りまくって、Black DASEINのこの日ステージは終幕をむかえた。

◆セットリスト◆
01. 闇
02. Yの黙示録
03. リフレイン~ありふれた奇跡~
04. 英雄ピエロ
05. 待宵影―マツヨイカゲ―
06. 真夜中のエレジー
07. じっとみつめたい
08. 悲しいKissに消えないで
09. 貴方しかいないじゃない
―ドラムソロ~再生-prologue- ―
10. 唯、此処に在る事が愛しくて
11. 運命AUTOMATIC
12. 黒胡椒
13. COGITO ERGO SUM

En
14. 君の街に降れるオリオン
15. ワラウンダーランド
16. 泡沫なる夢幻
17. NO BLACK NO LIFE!!!!!


2021.11.28
DASEIN@渋谷REX
DASEIN デビュー20周年特別企画「DASEIN vs Black DASEIN」~後攻 DASEINここに在り!!!~

昨晩、渋谷REXで行われたBlack DASEINのライブから、渋谷REXにいよいよ本家DASEINが登場。サーチライトを模したライティングのなかJOEが登場。大きなリズムを叩き出す。突如、テンポアップして、早くもJOEのツーバスが炸裂する。オープニングナンバーはなんと昨日のBlack DASEINと同じ「闇」。偶然の一致なのか? はたまた後攻という有利な立場を利用して意図的にオープニンナンバーをかぶせてきたのか?

オレンジのコートをまとったRickyが〈暗い、暗い闇の中、一寸先もわからずに〉と手振りを交えて丁寧にメロディを紡いでいく。オーディエンスもこのチューンにゆっくり体をあずけているようだ。会場内にシーケンスフレーズが流れる。「真夜中のエレジー」の始まりだ。「さあ暴れようぜ」とRickyが体を上下に揺らす。〈崩れ行く愛しさはどこへしまえばいいの〉とアツく歌うRicky。会場のサイリウムリングの光がRickyの生み出すメロディーがコンダクターとなって一斉に揺れる。

4曲目にプレイされたのは「リフレイン~ありふれた奇跡~」。テンションが上がったステージに清涼感を与えるようなオーガニックなチューン。ポップなメロディのバックでJOEの緩急のつけたドラミングが心憎い。配信で視聴しているオーディエンスも自然と体が動いてしまうのではないか。

最初のMCでRickyが話し始める。「昨日Black DASEINがやりまして、DASEINのセットリストと同じところがありますが、あいつらが、(事前に自分たちの)セットリストを見てパクったんで」。オープニングナンバーの「闇」がかぶったDASEIN側の言い分をアナウンスした(笑)。「本家のいい所をぜんぶ魅せていきます。では新曲「待宵影ーマツヨイカゲー」を聴いてください」(Ricky)。サポートギターのSCOTTIEが奏でるイントロのメロディに導かれRickyがAメロを歌い出す。サビでは幾分感情を抑えたRickyのヴォーカルに、JOEとベースリウのコンビネーションがコントラストをつけ、この曲に奥行きを与える。

「キ・ミ・ダ・ケ」ではJOEのバックボーンが垣間見られるハイテンポドラミングが会場を揺らす。中盤は音源未収録曲である「ずっと一緒に」。そして「歩」、「葬れ」とミディアムテンポの曲が用意された。ライティングやLEDなど会場の演出も味方につけて、このパートはどこか異次元に迷い込んでしまったような錯覚におちいった。そしてDASEINのライブのひとつのハイライトであるJOEのドラムソロ。スティックをマレットに持ち替えて、ドラムスをパーカッシブに扱う。パワーヒッターのJOEではあるが、こういった表現の幅広さもJOEの魅力だ。

そして後半は「唯、此処に在る事が愛しくて」からスタート。〈巡り会えた奇跡に理由も意味もなく唯、此処に在る事が愛しくて〉と目線をオーディエンスまで落として歌うRicky。会場に青いサイリウムが揺れる。「運命AUTOMATIC」、「Do NoT TENdER!?」と鉄板ナンバーで畳み掛ける。既に飽和状態の会場にダメ押しナンバー「COGITO ERGO SUM」をプレイし、4人はステージを後にした。

会場、そしてオンラインで参加している視聴者の熱烈な心の声に応えて再びステージに立ったRickyとJOE。出し惜しみすることなく「BREAK←SHAKE→BRAIN」、「今に勝る時はナシ 今に敗けるよりはマシ」を続けてプレイ。アンコールMCでJOEが静かにマイクを手にとった。「世界がこんなふうになってしまって、また、こういう光景(有観客ライブ)が見られるという自信がなかったんですが…。今の光景は奇跡だと思っています。これが始まりになって欲しいです」。そしてRickyが続く。「人間は、自分でコントロールできない時期があると思うんです。それはみんなにもあると思います。でも、しっかり自分を立て直して、やれるところまでやりますので応援してください」。率直な気持ちを語った。

そしてアンコール3曲目は「大切な人へ」。〈君に歌える奇跡に祝福を〉。この曲はDASEINからオーディエンスに対する感謝の詩。スパンコールを模した紺色のジャケットを身にまとい、幾分フォーマルに歌うRicky。ラストは「泡沫なる夢幻」。〈泡沫なる夢幻をガムシャラに生きるのさ 愛しても止まない君が在れば〉このリリックがまさにDASEIN、リスナーの“今”を体現しているように思える。一つに一つの言葉を噛みしめるように歌うRickyの姿が印象的であった。

そして再びステージに立ったRickyとJOE。最終ナンバーは「レジスタンス」。JOEのツーバスが炸裂。アウトロでRickyが超ハイトーンでフェイクする。約2時間半のステージを終えDASEINはステージを後にした。

二日間に渡って行われたBlack DASEINとDASEINのVSライブ。この対決の勝敗は、オーディエンスに個々に任されたのかアナウンスされなかった。ただ、戦いが終わればノーサイド。DASEINは12月30日、31日にもライブを行うことが決定している。ここでもまた、2つのバンドの対決、共演が観られるかもしれない。詳細の発表を待つこととしよう。

◆セットリスト◆
01. 闇
02. 五月雨
03. 真夜中のエレジー
04. リフレイン~ありふれた奇跡~
05. 待宵影―マツヨイカゲー
06. キ・ミ・ダ・ケ
07. ずっと一緒に
08. 歩
09. 葬れ
―Drソロ~波乱~―
10. 唯、此処に在る事が愛しくて
11. 運命AUTOMATIC
12. Do NoT TENdER!?
13. COGITO ERGO SUM

En1
14. BREAK←SHAKE→BRAIN
15. 今に勝る時はナシ 今に敗けるよりはマシ
16. 大切な人へ
17. 泡沫なる夢幻

En2
18. レジスタンス

(文・ぽっくん/写真・岡本麻衣(ODD JOB LTD.))


【ライブ情報】
●Black DASEIN
Kuroninal Black DASEIN 2021 コピー20周年記念 譜愛名留(ふぁいなる)「共存狂栄」~虎の威を借る黒毛和牛の如く~
12月30日(木)初台DOORS
OPEN17:30 /START18:00

会場チケット スタンディング:¥7,800(D別)
12月11日(土)10時よりイープラスにて販売開始

配信方法:ツイキャスプレミアム配信
配信チケット:¥4,500
チケット購入

<麺刃亞>
Drums:上
Vocal:力
Guitar:少
Bass:流(ヘルプ)

●DASEIN
Shimekukul DASEIN 2021 デビュー20周年記念 FINAL「NEXT QUEST」~探ギュウ心でlet’sトライ!!~
12月31日(金)初台DOORS
OPEN17:30 / START18:00

会場チケット スタンディング:¥7,800(D別)
12月11日(土)10時よりイープラスにて販売開始

配信方法:ツイキャスプレミアム配信
配信チケット:¥4,500
チケット購入

<MEMBER>
Drums:JOE
Vocal:Ricky
Guitar:SCOTTIE
Bass:村井研次郎
Manipulator:巧

DASEIN オフィシャルサイト