特集-Special Feature-

Raphael

Raphael

Raphael、“最後”の全国ツアー開催&再録アルバムをリリース。
『Never -1997040719990429-』が映し出すRaphaelの1年と20年。

1997年に結成し、99年『花咲く命ある限り』でメジャーデビュー。2000年にはメンバー全員が18歳という若さで日本武道館公演を開催するなど絶大な人気を誇っていた中、同年10月31日に華月(G)が急逝したことに伴い、全国ツアーを最後に活動を休止したRaphael。華月の十三回忌にあたる2012年、約12年ぶりのライブを決行し、限定復活を果たした。そして2016年4月7日、約3年半ぶりに行ったライブで、YUKITO(B)の音楽活動引退とRaphaelの“解散”を発表。華月の十七回忌、メンバー邂逅から20年という節目でもある今年、“最後”の全国ツアー開催と再録アルバム3作品をリリースする。その第1弾となる『Never -1997040719990429-』について、Raphaelというバンドについて、メンバー3人にじっくりと話を聞いた。

◆ようやく自分たちの手で終わらせてあげられる(YUKI)

YUKI

――改めてRaphaelの歴史を振り返って、すごいなと。

YUKI:壮絶だったでしょ?

全員:(笑)

――97年3月結成で、12月の初ライブでいきなりトリだったんですね。

YUKI:そうでしたね。前売りの成績で出順が決まる時代だったんです。当時、まだ16歳とか17歳なので、中学・高校時代のクラスメイトなんかの繋がりで、他のバンドマンより友だちの数が多かったんですよ。なので、最初から動員があったんですよね。

HIRO:知り合い皆に声をかけました。

YUKI:メンバー4人とも違う高校だったので、それぞれが呼びかけたら結構な人数が集まっちゃって。初めてのライブでいきなりトリで、いきなり動員が150人とかでした。

――すごい。そして、98年4月7日には早くも恵比寿GUILTYで初ワンマンということで。

YUKI:人生5回目のライブがワンマンでした。でも、それも自分たちの手売りなので、学生時代の仲間に声をかけてという感じです。なので、雑誌とかで興味を持って足を運んでくれた純粋なファンの人たちが何人いたかは、何とも曖昧ですよね。でも、全体で300人集まりました。

――初ワンマンの日に初音源『LILAC』がリリースされましたが、そこまで結成からわずか1年ですよね。当時を振り返って、体感としてはあっという間でしたか?

YUKI:当時10代ですから、その頃の体感速度って今より遅いと思うんですよね。だから、結構鮮明に覚えていることが多いかなぁ。1年っていうのは短いとは思わなかったです。

YUKITO:すごく覚えてはいるんですけど、僕は意外とあっという間だったなという気もしますね。

HIRO:がむしゃらだったよね。やること、やりたいことがハッキリしていたので、それに向かって突き進んで行ったという感じですね。

YUKI:たまたま信じられないくらい早いタイミングで一人他界しちゃったから、色々な思い出を大切にしようとか、しまっておこうという、心がそっち側に働く人や物事が多いというだけで、世界中の誰よりも特別な時間を過ごした人たちっていう感じではないと思うんですよね。HIROが言う通り、がむしゃらだったというのが一番ピッタリかもしれないですね。

――2012年に約12年ぶりに再始動しましたが、そこに至るまでには10年以上の月日が必要だったということでしょうか?

YUKI:前回の再始動は華月の十三回忌に捧げたものだったので、一つケジメをつけてもいいのかなという感じでした。止めていいのか、動かしていいのかわからないままの十数年だったので、それで胸のつかえが取れる人が一人でもいるなら、きっとその先に正解があるのかなと。

――その後、約3年半活動を行わなかったのは?

YUKI:2012年で自分の心がスッキリしたし、事実上完結した手応えがあったんですよ。今回は、YUKITOが音楽そのものを引退するということで連絡をもらって、我々の出会いや青春の心のど真ん中にいつもあったのはRaphaelだったので、最後に再始動しようと。だから、前回と全く趣旨が違うんです。

――YUKITOさんの中で音楽活動を引退すると決めてから、YUKIさんに連絡するまではどのくらいの時間を要したのでしょうか?

YUKITO:2012年のライブを経て少しずつそういう気持ちが芽生え始めて、辞めようと決意した瞬間に、迷わず、です。

YUKI:約2年ぶりに来た連絡だったので、「ん? YUKITO?」って二度見しましたね。シンプルな文章で「辞めようと思ったら、ちょっと顔を見たくなった」みたいな連絡をもらったので、じゃあ久々に飲みにでも行こうかと。そこからはトントン拍子でした。

――HIROさんは、このお話を最初に聞いた時はどう感じましたか?

HIRO:YUKITO自身が決めたことなので、僕がどうこう言うのは違うかなと思いますし、特に変な気持ちはなかったので、すんなり受け入れました。

――今年4月7日に行われたTSUTAYA O-EASTでのKAZUKI 17th memorial「蒼の邂逅」で、ファンの皆さんの前でYUKITOさんの音楽活動引退、Raphaelの解散を発表し、今現在の心境はいかがですか?

YUKITO:わざわざそういう場所で辞めるという気持ちを皆さんの前で話すというのもあって、前もって手紙にして文章を書いたら、自分の気持ちも整理できたし、それを直接伝えることができて本当に今、スッキリしました。

――ライブ後のブログを読んだのですが、「解散」という二文字は大きいなと思いました。

YUKI:そうですね。実際は、あまり考えないように頭の隅の隅に置いていたものではあるんですけど、こういう機会でようやく自分たちの手で終わらせてあげられるというのは、大切なことかなと思います。

――2012年の再始動発表時のYUKIさんのコメントに「想いは、風化しない。忘れないでいる事と引きずる事は違う」とありましたよね。

YUKI:華月が亡くなった時にもメンバーの声明を求められて、その時に綴った一文なんですよ。それがキーワードになっていくのかなと。そこからさらに時間がかかって遠回りもしちゃいましたけど、まさにその通りの形できちんと終わらせてあげられるのかなと思います。

――今回の活動は1本のライブのみで終わらず、リリースと全国ツアーもあります。

YUKI:YUKITOの最後の音楽人生になるので、そこで何をやりたいかYUKITOからもらった提案もあるし、僕はこんなことをやりたいなとか、色々と3人で話し合った中で、じゃあ旅をしようかと。活動期間がすごく短いバンドなので、持ち曲がすごく少ないんですよ。30曲ちょっとしかないので、それらを全て2016年の自分たちのバージョンで音源を作り直して、人生の記録として残しておこうということになりました。

――今作『Never -1997040719990429-』はインディーズ時代の1年間に発表された楽曲を収めた作品ですが、今後リリースが予定されている2作は、残りの楽曲を再録したものになるということですね。

YUKI:そうですね。リリース順に、フルアルバムと言われる曲数のサイズで3枚に分けるということです。

◆未だに発音がわからない(YUKITO)

YUKITO

――改めて当時の楽曲と向き合ってみて、客観的にどう感じましたか?

YUKI:まぁ時代は感じたよね。当時、インディーズのヴィジュアルシーンって、確かにこういう曲調がすごく流行っていたなって。ソリッドな感じの威力が強そうな部分は今回も残したままで、音質だけ現代のものに引き上げるみたいなやり方をしている曲と、今の自分たちだからこそできるアレンジの両方で作りました。まぁしかし、やり甲斐のあるアルバム制作ですね。

――全体的なテーマとして、アレンジ面で気をつけたことは?

YUKI:華月って、すごいことを言う奴だったんです。当時のインタビューでいつも連呼していたので印象深いのが、「自分の過去を否定してでも、前に進みたい」と言っていたんですよ。要は、前作で言っていたことと矛盾が生じたり、真逆のアプローチをするとしても、今良いと思う方向に突き進んでいきたいっていう。それこそがリアルタイムの等身大の自分たちだっていうのが、彼がいつも提唱していたコンセプトで。その言葉にすごく救われながらやっている感がありますね。だからこそ、原曲とは全く違うアレンジでも、3人で今できるものを頑張って作ろうと。どう足掻いても、4人が3人になるから勝てない部分が多いんですよ。その条件下の中でも、ベストを尽くす。そこにも必ず100点は存在するはずだという思いの元で、全曲向き合っています。昔のテイクを聴きながらアレンジを直していて、正直、3人で「ひでーなー」って言ってたよね(笑)。

――具体的に挙げると、例えばどの辺りが?

YUKI:「人間不信」とか、ひどいなと(笑)。あの当時の少年たちのフルスロットルの激しさで組み込んだアレンジだったと思うんですけど…

HIRO:勢い一発! みたいね。

YUKI:勢いでしかなかったよね。

YUKITO:僕、〈アン、ドゥ、トロワ〉って言っているんですよ。未だに発音がわからないですよ。

全員:(爆笑)

YUKITO:何だったんでしょうね、〈アン、ドゥ、トロワ〉って(笑)。フランス語でしたっけ?

YUKI:フランス語なんだけど、歌詞カードには〈1..2..3..〉って書いてある。

YUKITO:ジャッジャッジャッジャッって。すごいアレンジですよねぇ。

YUKI:それしかやってないよな(笑)。

HIRO:やっぱり、展開とか構成がエグいのが結構ありますね。今だったら絶対にこうしないだろうというのが、当時は良いと思ってやっていましたからね。

YUKI:その辺って、ギリギリの駆け引きだよね。それを大人がそつなくこなすことで、より良い曲になるのかというと、それには当てはまらない曲も出てくるなというところで、思い切ってガラッとアレンジを変えるものが出てきたり、あえて過去のものを踏襲しているものがあったり。面白かったですね。

――「窓際の夢」や「White Love Story」は大幅に変わっていますが、この楽曲はなぜ3人の音のみにしたのでしょうか?

YUKI:正直なところを言うと、昔過ぎて、華月の録音テープがほとんど残っていないんですよ。逆を言うと、「症状3.XXX症」は奇跡的に華月の武道館公演のギターテイクが生き残っていたので、上手くレコーディングに参加させてあげられたんですけど、そういう曲たちばかりじゃないという時に、4人が3人になっちゃったというところを包み隠さずに表現してもいいんじゃないかなと。理想としては、華月本人のテイクがある楽曲ばかりをラインナップできると一番良かったんですけど、現実はそんなに上手くいかなくて。

――この10年~20年、急速にデジタル化が進んだんだなと改めて思いました。

YUKI:本当にそうなんですよね。残っていないというのと、当時お世話になっていたレコード会社も、随分と業務規模を縮小していたり、当時我々を担当してくれていた方もいない状態なので、資料がどこにあるか、もっと言うとあるのかないのかもわからないんですよ。そういう中でも奇跡的に入手できたものが1曲でもあるというのが、救いでしたね。

――今回はYUKIさんのピアノ、ギターの音も入っていますが、これは当時のRaphaelの選択肢としてなかったものですよね。

YUKI:今だから言えることですけど、ギタリストが死んだわけじゃないですか。結構ショックで、ギターは触れないというか、苦手意識が強かったんです。今回、何もかもYUKITOが最後だからってことばかりじゃYUKITOも重くなっちゃうと思うので、僕なりにRaphaelの音楽や、これまでの自分音楽活動遍歴と向き合いながら、今の自分ができるもの、このプロジェクトが終わる頃にはできるようになってみせるぞ!と思うものを全部盛り込みたいと思って。なので、ギターデビューが34歳です。よろしくお願いします(笑)。

――だいぶ最近(笑)。

YUKI:人生で初めてレコーディングでギターを弾いたんです。仲間に教わりながら弾きました。

――Raphaelのヴォーカルは技術的な面でとても難しいとブログに書いてありましたが、そういう点では今回のレコーディングはいかがでしたか?

YUKI:やっぱり、しんどいなぁと思う曲はありましたね。聴いていて良い曲と、歌って心地よい曲は別物なんですよね。特に、ギタリスト作詞の譜割り感って、ちょっと違うんですよね。ヴォーカルだと息を吸う場所とか、得意不得意の母音、メロディの流れを考えながら言葉をチョイスするんですけど、いかんせん華月は強烈なメッセージ性を放ちたいタイプの作詞家で。このメロディにこの歌詞の詰まり方だとこの音域では苦しいとか、物理的に息を吸う場所がないから、レコーディングでは重ねて録ることができるけど、ライブだと歌えないとか、そういう話を何度もしたんですけど、それでもいいからやってくれっていうのが多かったんです。「君を信じている」と(笑)。

HIRO:ゴリ押しですね(笑)。

YUKI:「君はいつだって僕の期待を裏切らない」とか言われて(笑)。

――圧がすごいですね(笑)。

YUKI:そんなやり取りを何回もして、当時のプロデューサーさんからも「そこをなんとか、華月が一生懸命書いた詞だからさ」って、上手いこと丸め込まれて、渋々歌っていたなというのを思い出しましたね。

――今回、一番大変だった曲は?

YUKI:「人間不信」も息を吸う場所がないですし、「Sacrifice」なんか、最後にサビが3回出てくるので大変でした。10代現役だった当時より、音域は上も下も伸びているんですよ。だから、あえて原曲より半音高いキーでレコーディングしている曲もあったりして、そういう部分では、あの頃よりもきちんと歌えている自分をアピールできたらいいなと思います。「人間不信」はYUKITOもたくさん叫んだので大変だったと思います。

YUKITO:〈アン、ドゥ、トロワ〉と、〈うぅぅぅ…うぅぅぅ…〉も言いました(笑)。

HIRO:(笑)

YUKI:ちょっとうめいてくれとお願いしました。間奏をよく聴くと入っています。

――耳を澄ませて聴いていただきたいですね(笑)。

YUKITO:聴いてください。夜のおかずにしてください。

YUKI:(笑)

HIRO:夜のおかずにしてやってください! よろしくお願いします!

――(笑)。YUKITOさんは今回のレコーディングで大変だったこと、印象深かったことは?

YUKITO:2人は現役でずっとやっていますけど、僕は特に2012年の再演が終わってからはほぼ楽器を触っていなかったので、こんなにがっつりアルバムレコーディングなんて、もう何年ぶりか覚えていないくらいで。技術的に…頑張りました(笑)。

YUKI:本当にブランクがあったんだなっていうのはプレイを見ていてわかるんですけど、全然弱音一つ吐かないで、ガツガツ現代の音楽事情にトライしていくから、すごいなと思いました。見習う点が多いです。

YUKITO:櫻井有紀Pに色々と指導してもらいました。もう…頑張りました! ベースを聴いてください!

――結構練習したんですか?

YUKITO:練習はしてないです(笑)。時間もタイトだったので、レコーディングの時にYUKIと一緒にベースラインを考えてもらいながら、その場その場でやりました。

YUKI:時間がなかったもんね。レコーディングで弾けるまでやるっていう。だから、そこが練習みたいなものだよね(笑)。

YUKITO:ツアーでは新しいアレンジのほうもお披露目すると思いますので、頑張ります。

――ライブに向けて練習しないといけないですね。

YUKITO:しないとまずいですよね。HIROにリズム隊練習をやってくれと。

HIRO:全体練習の前にやります。これから急ピッチで。ちゃんと曲を聴いてきてよっ?

YUKITO:頑張りますよっ。

HIRO:おう!

全員:(笑)

――HIROさんは今回のレコーディングで印象深いことは?

HIRO:技術的に今だからできることも含めて、より激しくした曲もあるんですよね。「follow you」は特に激しいんですけど、今の自分ができる新しいチャレンジ的な要素を含めて言うと、それが一番印象的でしたね。当時、ツーバスは踏めるようになってから比較的多用していたんですけど、それからrice含めてそんなに使っていなかったんです。今回の再録をきっかけに、今の自分だったらこういうパターンも入れてみようかなと、技術的に今ならできるので足数を増やしたりしてみました。

――ところで、「eternal wish」のみ2012年版の音源にした理由は?

YUKI:再録がキーワードなので、2012年も同じ気持ちでやっていますからね。むしろ、そのテイクじゃないと筋が合わないかなという。再録をまた再録しちゃうと、ちょっと話が違ってきちゃうんですよね。他の曲は今回が1回目の再録なので。マスタリングはもちろん手入れしていますし、同じテイクでも聴こえ方とか印象は変わっているんじゃないかなと思います。