ライブレポート

2016.4.7
Raphael@TSUTAYA O-EAST
KAZUKI 17th memorial「蒼の邂逅」

093_MG_9124

10代で日本武道館での単独公演を成功させ、伝説を作ったバンド・Raphaelが3年半ぶりに再始動、TSUTAYA O-EASTのステージに立った。
Raphaelは、2000年にリーダーでギタリストの華月が逝去したことに伴い活動を休止していたが、華月の十三回忌を機に2012年10月31日・11月1日にZEPP TOKYOにて2日間限りの復活を果たした。あれから3年半──。華月の十七回忌を迎える今年、YUKI、YUKITO、HIROの3人は再びの再結成を決心、今日という日を迎えた。

前回の再結成とは異なり、今年は、今日の“蒼の邂逅”にはじまり、夏のツアーやニューアルバム発売などと、長いスパンにわたって大きな展開を行っていく。その幕開けとなる今日のTSUTAYA O-EASTライブはチケットソールドアウト。会場がパンパンにふくれあがるほどに集まったファンたちは、開演前からステージに熱い視線を注ぎ、これから始まる再びの“Raphael伝説”を見届けようと幕開けを待った。

開演時間ほぼオンタイム、ステージに姿を現したYUKI、YUKITO、HIRO、そしてサポートギターを務めるANCHANG(SEX MACHINEGUNS)、咲人(NIGHTMARE)はそれぞれのポジションにつき、1曲目の「「・・・」~或る季節の鎮魂歌」の演奏を始める。YUKIは華月のギターを持ち、ANCHANGや咲人の演奏に支えられながらギターを奏で、歌う。そのまま2曲目の「Sacrifice」に続き、その演奏が終わったところでギターを外したYUKIが超満員のファンに向かって口を開いた。

「ようこそ。みんなお元気だった? ギター歴5週間の”櫻井有紀”です。パンパンだね。想像してた倍以上のお客さんの顔の数!!」
2曲を演奏している時のシリアスさと比べると、MCの時のYUKIはとても陽気で明るい。そんな彼の明るい問いかけに、会場の雰囲気はほっこりと和む。アットホームな雰囲気の中のメンバー紹介で、YUKIは華月の名を呼び、ステージに置かれている華月のギターも紹介。今日は、月姫1号機・青ジャクソン・ペガサスファンタジーの3本がYUKI・YUKITO・HIROのステージを見守っている。

今日のステージはバックに黒布が落とされたとてもシンプルなセットだった。余計なものが目に入らないからこそ、歌と演奏、楽曲そのものに耳と身体を預けることができる。前半は、メンバー自身も黒の衣装に身を包み、Raphaelのレパートリーの中でも比較的ハードで激しい曲を連発。曲によって、ANCHANGと咲人が入れ替わりながらのフォーメーションで演奏をしていたが、11曲目の「エルフの憂鬱」にはサポートギターを入れず、華月のギター音源をギターアンプから流し、バックのスクリーンに在りし日の華月の映像を流しながらYUKI・YUKITO・HIROの3人で演奏。いや、華月を加えた4人でのRaphaelとしての演奏で魅せる。

「エルフの憂鬱」のあと、セットリストは後半戦へ。白い衣装に衣替えし、明るく楽しいRaphaelナンバーが続くパートに入る前にYUKIからこんな言葉が伝えられた。
「3年半前の再演の時も(昔の)映像を探しまわったけど、今回もまたいろいろ探して。みんなに観てもらえる形にしました。今日はお祭りにしましょう。ありのままでいいよ。泣きたい時は泣けばいいし、笑いたい時には笑えばいいし。音楽をとことん楽しむっていうミッションのもと、集まってるわけだからね。ミッションコンプリートしよう」

メンバーひとりを失った痛手はとても大きい。だからこそ、Raphaelは12年という長い間、活動を止めていた。言い方を変えるならば、メンバーもファンたちも、心の整理をつけるまでにそれだけの時間が必要だったのだと思う。けれど、音楽の力というのは誰もが思う以上にミラクルを引き起こすものだと、今日のステージを観ていて痛感する。楽曲は、奏でてこそ活きるもので、止まった時間の中に置いてしまったら、文字通りそのまま呼吸は止まってしまう。その証拠に、“再現性を重視した”という3年半前の再演に比べ、この度の再演はとても自由度が高い。YUKIもMCで言っていたが、“たくさんの可能性を秘めた作品たちの可能性をさらに広げる”、その挑戦に、15年以上前に作られた楽曲達はしっかりと応えてくれている。YUKI(櫻井有紀)とHIRO(村田一弘)はriceとして15年活動を続けてきて、10代の時に比べて段違いのスキルと経験を身につけているが、そんな彼らがアレンジを加えて演奏しても、Raphaelとしての輝きを失うことはない。

それがとても素敵な形で実を結んだのが、アンコールで披露した、アコースティックスタイルの「秋風の狂詩曲(ラプソディー)」と「Evergreen」。YUKIがピアノを弾きながら歌い、YUKITOがアコースティックベースを弾き、HIROが小口径のドラムを叩くという編成。大きくアレンジを加え、今の3人だからこそ紡ぎ出せる楽曲として生まれ変わっていた。こういった形での演奏ができるからこそ、再々演の意味があるのだと思う。

最後に再びANCHANGと咲人を迎え、「夢より素敵な」でセットリストのすべてを披露し終わったあと──
この再演を行うことのもうひとつの意味が語られた。語ったのは、音楽活動から身を引く決意をしたというYUKITO。彼は、華月と出会ってRaphaelに導かれた過去の話から今回の決意に至るまでの心境を赤裸々に話し──初めてはっきりとRaphaelの“解散”について言及した。2016年の活動がRaphaelとして最後の動きになることを。それを聞いた場内の観客からは悲鳴も聞こえたが、多くのファンは静かに彼らの決意を受け取っていたように思う。その証拠に、メンバーが去るステージには温かい拍手が送られていた。

今後は、5月23日からツアー“癒し小屋”が始まり、ツアー前の5月18日に新録アルバム『NEVER』が発売される。終熄に向かう彼等の活動だからこそ、Raphaelとしての可能性がどこまで広がるか、それをしっかり見届けたいと思う。リアルタイムの活動当時、そして2012年の再演、それを受けての2016年。彼らはひたすら前を向いて進化し続けているから。受け手となる私たちも、しっかり前を向いて、音楽の素晴らしさ、楽しさ、奏でることの意味を感じられることを感じたい。