特集-Special Feature-

LM.C

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約2年3ヶ月ぶりのシングル『MONROEwalk』を手に、10周年へ向けて2016年を駆け抜けるLM.Cをフィーチャー!

9年間の活動の中で、実に多彩な作品を世に出し続けてきたLM.Cが、今年10月、結成10周年という記念すべき日を迎える。特別なアニバーサリーイヤーとなる今年、彼らは異なるアルバムをテーマに掲げた4本のツアーを行い、その中で“あえての1曲”として今回のシングル『MONROEwalk』をリリースする。そこに込められた思い、そして10周年について、二人にたっぷり語ってもらった。1本目のツアー初日、mayaが高らかに告げた「来る10周年に向けてスイッチ入れましたよ!」という言葉通り、彼らはすでに準備万端。ぜひとも一緒に、スペシャルな1年を楽しんでいただきたい。

◆人生を歩み始めてからは、自分を信じて自分に賭けることができる(maya)

海

――1月31日にTSUTAYA O-EASTで行われたGo to the 10th Anniversary LM.C TOUR 2016 「SUPER GLITTER LOUD BOX」初日のライブ、すごい熱量でした。

maya:ありがとうございます。あの日、そういう印象を持ってくれる人が結構いたようで。ステージ上で発信している側としては、ツアー初日ならではの久しぶり感も感じつつのライブだったんですけど、初日にも拘らず、のテンションが見せられたのなら、それはLM.Cが重ねてきた歴史ゆえだろうなと。初日のO-EASTは、どのタイミングでやっても最低限こういう空気になるっていうものが保たれていたし、初日だとか、久々に演奏する曲がたくさんあるだとかいうこととは関係なくこういうライブができるんだなと改めて思いました。

――楽しんでいる感じがビシビシ伝わってきました。

maya:楽しんでいるかと言われると…すっごく楽しいですね(笑)。会場の熱量に関係なく。ここ数年、特にそういう感じがするし、それが前提になっているとも思う。

Aiji:ステージもフロアもひっくるめて、あの空間の中でmayaが一番楽しんでたんじゃないかな。

maya:まぁ楽しかったですね(笑)。基本的にハッピーなんですけど、そこに関しては、より幸せなことだなと思います。だから続けられている部分もあるし。自分はヴォーカルだから、自分でどうにでもできるんですよ。気持ちも、会場の空気も、自分で何とかできる可能性があるって信じてる。だから楽しいし幸せなのかもしれませんね。それを誰かにゆだねていたらその人に期待しちゃうし、自分の期待に届かないライブがあったとしたらその人のせいにしてしまうかもしれない。でもLM.Cとして人生を歩み始めてからは、自分を信じて自分に賭けることができる。そこはある種の勘違いをしていこうと思っているし、最近はそういうのが加速しているのかもしれないですけど(笑)。自分で何とかなるんだよっていう、その姿を見せられたらもっと楽しいんじゃないかと思うし、その空気が伝染していったらと思います。

Aiji:俺はmayaとはちょっとスタンスが違うかもしれませんね。昔ライブをやり始めた頃から、ライブは“楽しい”とはちょっと違うところにあるんです。自分は、仲間と一つのことをやりきるとか、そういう達成感に喜びを感じるタイプなので、ライブの最中はどちらかというと楽しいっていうより必死かもしれないですね。それは性格のせいなのかもしれないけど(笑)。でも昔よりは楽しめるようになってきてるかな。

――ライブの見解がお二人で全く違うというのは面白いですね。

Aiji:そうですね。二人組だからなのかもしれないな。

――基本に立ち返ったお話ですが、LM.Cが二人組であることは、活動にどう作用していると思いますか?

Aiji:二人組は、今のところ良いことの方が多いですね。でもたまに、不便に感じることもありますよ。例えば、夢がない話ですけど、海外のライブに行くのにサポートメンバーのギャラを払うと予算が足りなくなるから行けない、なんてこともある。だから誘われても出られないライブもあるんですよ。今は極力自分たちのストレスがないように活動はできていますけどね。でも、その分フットワークは軽いです。曲作りでは、LM.Cはそれぞれのやりたい表現という意味で濃度が高いと思うし、それはメリットでもあると思うんです。

――完成した作品への満足度も高くなるわけですね。

Aiji:そうです。バンドだとみんながアイディアを持ち寄るから、意図せずすごいものができる可能性もある。反面、作品性としては個人の思いが薄まる可能性がありますよね。作品制作の中で曲が変わっていく様を見るのもバンドの醍醐味ではあると思うけど、変わることによって本来自分が表現したいことからネガティブな方向に変わったら嫌じゃないですか。そういうことがLM.Cにはない。…とはいえ一長一短かな(笑)。二人ともバンドを経てやっているから二人でやる意味とメリットを感じるし、良い意味で作用していると思うけど、最初から二人でやっていたらこうは思わなかったかもしれないですね。

――ライブについてはどうですか?

Aiji:ライブはバンドの方が良いのかなと思う瞬間はありますね。俺らはゆずみたいに二人がセンターに立つスタイルを取っていないじゃないですか。サポートメンバーを入れたバンドスタイルだから、例えば、ライブ中に俺がずっと上手にいたら下手にいるお客さんにしっかりアプローチ仕切れない可能性もあるのかな、と。これはフォーメーションの問題だから、意図的にコミュニケーションを取ろうとしないと届かないこともあるのかなと思いますね。

maya:自分はあんまり良くない点は見ないようにしているんですよね(笑)。Aijiさんが言ったみたいに、バンドが好きで音楽を始めているので、4人とか5人が生み出すパワーに憧れることもあります。でもLM.Cのライブはバンドスタイルでやることが多いし、サポートメンバーも時期ごとに入れ替わったりして、そのたびに心機一転して新しいバンドになったような空気も楽しめるんです。そういうところが素敵だなと思います。言い方を変えれば毎回新曲みたいにリハーサルをやり直さないといけない面もありますけど、刺激になっていいなと。あと、これまでいろんなドラマーの方にお願いできたのがすごくよかったですね。バンドだったら、こういうことがやりたいと思っても、ドラマーの人がテクニックを持っていないから無理…ってこともあったかもしれない。そういう意味でどんな曲でもできてきたからストレスもなく楽しいです。

Aiji:多分、ドラマーがいたら「EDMやりたい」って言った時に「えー!?」ってなると思うんですよ。「打ち込みにするならレコーディングは俺、何したらいいの?」ってことになるじゃないですか(笑)。

maya:人間が増えるってそういうことなんですよね。可能性と共に人間関係ってものができてきて、「あの人、これは嫌がるかな?」って気を使わなきゃいけないじゃないですか。そういうのが増えると手間だなと思っちゃうんです。

――一長一短とはいえ、二人組は良いところがたくさんありますね。

Aiji:そうですね。ただ、さっきのライブの話みたいに、たまにファンの子から「下手をもっとかまってください」ってメールをもらうと、やっぱりそういう風に思う人もいるんだよな、とも思う。そうなるといつかはバンドスタイルのフォーメーションじゃなくてゆずスタイルを取る事もあるのかな、って考えたりもします。フォーメーション的にカッコいいかカッコ悪いかはともかくね(笑)。過去に「そういうのやってみる?」って話も出たんですけど、あんまり完成図がイメージできなくてなくなったんです。

maya:まぁ、あの人たちは二人とも歌ってますからね(笑)。

Aiji:そうね。そのへんは20周年に向けて色々考えていこうと思います(笑)。その時は「ROCK THE LM.C」じゃなくてフォークソングの「FOLK THE LM.C」ということで(笑)。

maya:(笑)

◆消費されない音楽というか、1曲に命かけてる感じ(Aiji)

――O-EASTでのライブで『MONROEwalk』のスポット用のコールをフロアの皆さんと録っていましたね。この取材の何日か前にその音声入りのデータがAijiさんからmayaさんに渡ってまだ返事がないようですが、その後どうなりましたか?

Aiji:そうそう! その翌日か翌々日にmayaから返事が来たんですよ。返事っていうか「OKです」っていうLINEのデフォルトのスタンプがきました。

maya:(笑)

――このインタビューが掲載される頃にはガンガン流れていることと思います。

Aiji:そうですね。ファンの人たちは、ツアーの最初のライブでこういうことをやって、良い思い出になったんじゃないかな。

――あの日は、1曲目と最後から2曲目に「MONROEwalk」をやりましたね。

Aiji:1回目は初聴きだし、こっちもファンの人の前で演奏するのは初めてだし、衣装も新しいしで、新しいこと尽くしでしたけど、2回目は明らかにファンの人のリアクションが違いましたね。1回聴いてるし、本編の最後の方だったからテンション上がって脳みそパーンってなってるし、いい意味で破壊力があったなと(笑)。

maya:演奏する側としてはただやりきるって感じでした。特に1回目は自分たち以上に観ている人々の方が新曲で何も知らない状態なので、できるだけ丁寧に歌おうと。メロディも歌詞もわからない状態で聴くわけだから、せめて雰囲気が伝わるようにと思って。そこでこっちが楽しくなっちゃって雑に歌うと伝わらないじゃないですか。

Aiji:maya、雑って言っちゃうとアレだから、“ライブ感”て言おうね(笑)。

maya:あはは! でも、そこで何も伝わらないともったいないなと思ったんです。

――今回のシングルは群を抜いてキャッチーなので、しっかり耳に残ったんじゃないでしょうか。

Aiji:ビートも乗りやすいしね。

maya:そういう雰囲気がちゃんと伝わったかな。

――シングルのリリースは2年3ヶ月ぶりですよね。この前が2013年12月リリースの『My Favorite Monster』ということに改めて驚きました。

Aiji:自分もびっくりしました。結構出してなかったんだなと思って。

――お二人はいつも、シングルを作ろうと思って曲を作っているわけではないんですよね。

Aiji:そうなんです。それもあるし、自分なりに昨今のシングルの意味合いを考えて、出さなくてもいいかなと思ってたんですよ。アメリカ的な感じで、リードトラックを聴かせてアルバムにつなげる方が今は合っている気がして、シングルの意味を感じなくなっていたんです。でも今回は、あくまで10周年YEARの中で新曲をリリースしたいっていう思いがあって、かといって2曲3曲は必要ない。今年は、過去のアルバムのセットリストでツアーを組んでいるので、そこに新曲がバンバン入ってくるのは違う…というところであえて1曲にしたんです。

――ツアーのテーマありきでこのシングルが決まったんですね。

Aiji:まずそれですね。10周年に向けて、ツアーをやろうということを先に決めていたので。

maya:今一番似合うこととしてツアーが先にあって、それに並行して何ができるかを考えた結果です。

Aiji:これならちょうどツアーの間にリリースを入れられるしね。

――それにしても、新曲1曲というのは実に潔いです。

Aiji:気分は演歌的ですよ。1年に1曲だけ出して、それで地方を回って、紅白につなげるっていう。1曲を大事にする精神、好きなんです。消費されない音楽というか、消耗していないというか、1曲に命かけてる感じ。こういうシーンで、しかもメジャーでやっているとどうしても忘れがちじゃないですか。

――昨今なかなかない、とても贅沢なスタンスですよね。

Aiji:そうなんです。でも、もし次のシングルが3曲入りとかになっていたら「あれ? 何か気持ちが変わったのかな?」って思ってください(笑)。とはいえ、これも思いつきですからね。今出すんだったら複数曲入りっていうのはイメージできなかった、その気持ちに素直に生きているってことです。