特集-Special Feature- プレゼント

Angelo

Angelo

Angeloが切り開いた新境地。ツインギターKaryu&ギルのロングインタビューで紐解く最新作『FAUST』とは。

前作『RESONANCE』から約1年を経て、遂に待望のニューアルバム『FAUST』が完成した。キャッチーさをテーマに制作したという今作だが、その言葉からあなたはどんな音楽を想像するだろうか。誤解を恐れずに記すならば、Angeloが生み出した楽曲たちは単純明快ではない。なぜなら、彼らの嗜好と感性に基づくヘヴィーかつマニアックなサウンドが揺らぐはずもなく、さらに新たなアプローチを取り入れ、あくまでAngelo流のキャッチーさに昇華させた作品だからだ。それは結果としてAngeloの新境地を開くこととなった。約4年ぶりとなるギター隊Karyu&ギルのロングインタビューを通して、最新のAngeloサウンドの全貌を紐解く。

◆色々と実験しながら試していたら、新しい方向性が見えてきた(Karyu)

Karyu

――久々のギター隊インタビューです。実はEP『FACTOR』(2015年9月)『RESULT』(2015年12月)二作連続リリースの時以来なので、約4年ぶりとなります。

Karyu:もっとやっている感じがしますね。

ギル:お久しぶりでございます!

――最近キリトさんがKaryuさんを「天才」と発言していますが、改めて2015年のインタビューを読み返すと、この時点で既にギルさんは言っていたんですよね。

Karyu:有り難いですけど、自分自身では天才だなんて思ってないです。毎回、ない才能を振り絞って出た一滴みたいなものが作品になっているので(笑)。

――(笑)。ここ2年間はキリトさんのソロ活動もあり、ギルさんはその全ライブでサポートを務めてきましたが、そこで得たものはありますか?

ギル:自分のスタンスとして、より責任を負って、自信も持って発信するようになってきたなと。音に関してやリハーサルに対する姿勢、準備段階全てにおいて、確固たるこういう理由があってこうしています!という、自分で自分に理由を付けて行動するようになりました。これは明らかに変わったと思います。ソロに関しては身内が僕だけなので、僕がコケるわけにはいかないというか。キリトさんが僕を指名してそこにいるわけだから、僕がコケるとAngeloの看板を汚すことにもなりかねない。そういう部分を念頭に置きながら、自分なりにちょっと強くなれたかなと思いますね。上手に立つこともありましたし、アコースティックにしてもバンドスタイルにしても、Angeloとは違う形でした。これが今も活きていればいいんですけどね!

――今年のバンドスタイルのツアーではサポートメンバーはギルさんが最年長だったので、Angeloの時とは真逆の立場でしたよね。

ギル:疲れました(笑)。でも、それによって得た経験は良いものだったし、間違いなく自分の糧になったと思います。何より、キリトソロの曲は自分がレコーディングしていないじゃないですか。それをお客さんを納得させられるレベルで再現しつつ、元々ソロの音源はツインギターではなかったので、ないフレーズをアレンジして、自分っぽいけどキリトソロの世界観を壊さないレベルのものを提示していたんです。なので、音源のフレーズと、アレンジしたフレーズと、キリトさんからの要望を取り入れたフレーズ、基本3パターンを用意しつつという状況でした。個人的には曲を覚えるのは特に大変ではないので、楽しくやりましたよ。

――Karyuさんからは、ソロ活動でのキリトさん、ギルさんはどのように見えていますか?

Karyu:リーダーに関しては、やっぱりソロとAngeloで見せ方を区分けしているなと思います。Angeloのためにやってくれているんだろうなというのがすごく伝わってきました。ギルに関しては、ここ数ヵ月で急成長している感じがしていて。人間の中身的に、責任を負うというスタンスがバンドにも反映されているし、FC旅行で披露する用のアコースティックアレンジは今まで何となくそれぞれが形にしてという感じだったんですけど、例えば俺が「こういう曲をアレンジしたら面白いんじゃない?」と言ったものを形にしてくれたりするというのは、ソロをやった上での行動なのかなと思いますね。

――結果が出ていますね!

ギル:そのようで良かったです(笑顔)。

――常に最新が最高の作品を生み出し続けているAngeloですが、アルバム『RESONANCE』(2018年11月)のインタビュー時に、普段インプットはどうしているのか伺ったところ、Karyuさんはトイレで音楽を流しっぱなしにして、そこで自分が普段好んで聴かないような音楽を無理矢理聴くようにしていると言っていましたよね。

Karyu:今もそうですね。何かしている時も、ラジオとかをかけて聴いています。もがいているので、常にインプットできる時はインプットしていますね。

ギル:僕はブルースが苦手なんですけど、強引に聴くようにはしています。歌心のギターという部分で、Angeloとは違うジャンルのものを聴いた上でどうにかならないだろうかということは意識しています。青春時代に好きで聴いていたものは塗り替えられないという話を人から聞いて、そうかもなと思ったんですよ。空き時間ができると、自分が好きだった曲の突き詰めをやってしまう癖もあるので。あと、テレビやYouTubeで流れている音楽に合わせて一緒に弾くという一人遊びみたいなことをしたり、パッと耳に入ってきたフレーズを耳コピしてみたり。これも癖です。

Karyu:ミュージシャンって、「音楽を聴かない」とか言う人が多い気がするんですけど、絶対嘘だろ!って思ってる(笑)。やっぱり常に新しい音楽を聴いていないと、戦えないと思うので。

――産みの苦しみの末に『FAUST』が完成したわけですが、Karyuさん7曲、キリトさん2曲、ギルさん1曲の計10曲収録ということで、過去最高のKaryuさん率です。

Karyu:実は、目標としてはフルで作りたい思いはあったんですけど、やっぱり1年では難しいなと実感しました。

――昨年、「ここから先の1年は多分悩むでしょうね。もうこれ以上のものは作れないなという状態なので」と言っていましたよね。

Karyu:相当悩みました。『RESONANCE』が自分的に本当に良い作品で、出し切った感みたいなものを感じたのは事実で。そうは言ってもAngeloは続くので、何とかしないとなというのをずっと考えていたんです。で、何となくバンドの意向として次のアルバムはキャッチーめというワードが出たので、世間のキャッチーではなく自分なりのキャッチーって何だろうなと、メロディーやリフ、楽器を色々と実験しながら試していたら、新しい方向性が見えてきました。

――『RESONANCE』では、面白いアイディアが思いついたら、それに沿って曲を作るという方法で曲作りをしたということでしたが、今回も同様ということですね。

Karyu:そうですね。キャッチーという言葉だけで、サビから始まったらキャッチーだよなという単純なところから始めてみたり、民族楽器も僕的にはキャッチーなので、そういうものを試してみたり。あとは、コードの移り変わりって1小節ごと、2小節ごとに変わるのが普通なんですけど、小節で区切らずに4拍目で変えてみるのがキャッチーだなということに気付いて、今回それが結構多いです。

ギル:それって「Scheme」(アルバム『HETERODOX』収録)辺りにもあったということですね?

Karyu:あれは意識していないけど、今回はこれでいくんだと意識して、ほとんどの曲がそうなっていますね。

◆掛け違っていたものが重なって走り出したら、すごくカオスな感じ(ギル)

ギル

――今回も各楽曲に関して伺っていこうと思います。1曲目はMVが先行公開された「A MONOLOGUE BY MEPHISTO」ですが、そもそもリード曲が「ファウスト」ではなくこの楽曲になった経緯というのは?

Karyu:特にこれがリード曲というわけではないんですよ。でも、今のAngeloの見せ方として、この曲は攻撃性もキャッチーさもあって、良いんじゃないかと。

――実際、リード曲というとどれになるんでしょう?

Karyu:どれもいけますね。見せ方を変えたければギルの曲「JIHAD」も十分キャチーさがあるし。

ギル:「SCENE」も「HYBRID CENTURY」もキャチーですからね。

Karyu:「A MONOLOGUE BY MEPHISTO」は、不協和音で攻めつつもサビで急に世界観が変わって広がるというキャッチーさが、割と僕が得意とするところではあるんですけど、より斬新に世界を変えることができたなと思います。

――イントロからAメロまで繰り返されるギターフレーズとリズムは中毒性があります。

ギル:僕の中であれはKaryuコードだと思っているんですよ。ギター界ではジミヘンコードというのがあるのと同様に、Karyuさんの代名詞になる響きがこれだと思っています。専門的な話をすると、トライトーンというのを使っていて、コンビネーションオブディミニッシュ的な要素もあります。そこからサビでスイッチして、サビの最後の音でゴーンッと世界を返すというのが、非常に上手。

――ちなみに、サビのギターの音色が面白いなと。

ギル:めちゃくちゃ加工したアルペジオのことですよね。何パターンか録って、その後の加工でEQをめちゃくちゃかけました。

Karyu:バッキングギターがサビでミュートになるってあんまりやっていなくて、アルペジオで世界観を成り立たせるので、音色は普通じゃダメだなと思いましたね。

――2曲目「ファウスト」はサビのギターリフがカッコいいです。

Karyu:ありがとうございますっ。

ギル:Karyuさんはリフメーカーですからね。それと入口の間、サビ前の間、各セクションを繋ぐ間が本当に上手です。小節数が必ずしも4小節で展開しているわけじゃなくて、フックになるようにそこだけ2小節足されたりしているんですけど、違和感なく入ってくるという。数えてみると仕掛けがわかるみたいな。普通に聴いたらスッと入ってくるというのは、すごく大切なことだと思うんですよね。

――Karyuさんはそれを感覚的にやっているのか、練りに練って計算しているのか、どちらですか?

Karyu:計算する時もありますけど、基本は感覚で自分が気持ち良いところに置いていくと、そうなるというのが多いです。

ギル:これが俗に言う天才ですよ。

Karyu:違います(笑)!

ギル:Karyuさんは癖でよくこうやるんですけど(※脚を手で叩いてリズムを取る)、一番気持ち良いところで「あ、これだ」ってなるのが、世間からしたら天才枠のところにいるという。

Karyu:天才は何も考えずにできるけど、俺は何パターンか試してからのだから(笑)。「ファウスト」は先ほどの話のサビから始まったらキャッチーなんじゃないかというところから始まって、実はギルがきっかけで作った曲です。

ギル:それは知らなかった…!

Karyu:ギルが楽屋でよくピロピロ速弾きみたいなフレーズを弾いているんですよ。そういうのをやりたいのかなと思って、サビの複雑なフレーズを入れてみたところから始まって、割とギターをフィーチャーしている曲なんですよね。Bメロもソロっぽいものを入れてみたり。

ギル:あれは斬新でした。

Karyu:自分では弾きたくないフレーズだけど(笑)。

ギル:あっ、そういう意味では、音域の使い方がらしくないなと思ったんですよ。

Karyu:ギルがいるから、できた曲です。

――素敵エピソードじゃないですか。

ギル:ですね。知らなかったー。

――そして、3曲目「HYBRID CENTURY」はまさにキャッチーです。

ギル:こんなに明るくてキャッチーなのに、チューニングがローBなんですよ。Angeloの中では特に低いです。

Karyu:やっていることは単純なんですけど、そう聴こえさせないように作りました。

――Aメロでもサビでもない英詞部分が曲の冒頭に来る構成は珍しいなと思ったのですが。

Karyu:このブロックは大サビというかDメロというか。イントロから始まるのがつまんないなと思ったのがきっかけです。試しに色々なブロックを持ってきたんですけど、この部分を持ってきたら、雰囲気的にもこういう感じで始まる曲は今までになかったなと思って、採用しました。

ギル:コード進行だけで言ったらシンプルで、僕の中ではBマイナー平行調Dというキーは明るめな印象があるんですよ。Angeloで言ったら「Manic State High Pressure」とか。明るくてジャカジャカした感じの曲はギタリスト的には作りやすいんですけど、それだけじゃない要素がありますね。多分Karyuさんは作っている段階でシンセの構想があったり、先ほど言っていただいた通り頭にくるフレーズが普通じゃなかったり、実は単純には構築されていないという。

――4曲目「THE SELECTED NEW AGE」はキリトさん作曲です。

Karyu:これはライブで一番楽しそうだなと思います。今回僕が作った中で欠けていた部分が確実に入ったなと。欲しかった曲調です。構成がすごく多くて、リーダーの新しい扉を垣間見られるような曲です。

ギル:一つ一つのフレーズは難しいわけではないんですけど、繋がって、皆が重なると「ん!?」という。繋がって複雑化している、掛け違っていたものが重なって走り出したら、すごくカオスな感じという印象ですね。

Karyu:特にイントロとか、あのリフにカッティングがこう入ってくるんだという発想がすげーなと。普通じゃないなと思います。それが成り立ってカッコよくなっているという。

ギル:この曲って、まずは歌を聴くでしょうけど、その次にどこに耳を持っていかれるのか、聴いた人の感想を聞いてみたいです。