Angelo

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壮大なる計画の序章。AngeloのツインギターKaryu&ギルが語る、EP盤2連作第1弾『FACTOR』の全貌とは――。

5~6月に行われた全国ツアーのファイナル、EX THEATER ROPPONGI公演で発表された、Angelo初の試みである6 tracks EPの2枚連続リリース。その第1作目『FACTOR』について、Vifインタビュー初の組み合わせとなるAngeloのツインギター、Karyu&ギルにたっぷりと語ってもらった。バンド内での年下組、そしてギタリストならではの内容となった今回のインタビュー。随所に新たなアプローチが取り入れられ、これまで以上に音の厚みが増した最新作が示すAngeloの進化の裏には、個々のアーティストとしての底知れぬ吸収力と、貪欲なまでの探究心があった。

◆自分以外全員が先生だっていうスタンス(ギル)

ギル

――ギルさんは今回Vifインタビュー初登場ですが、このような取材自体なんと約4年ぶりかもとのことで。

ギル:はい(笑)。よろしくお願いします。

――Angelo自体のインタビュー初登場(Vo.キリト&Karyu)は、5人体制になって1枚目のシングル『Calvary』(2012年2月発売)の時だったのですが、Karyuさんがギルさんのことを「アレンジに関してはさすがだなと思うところもあるし。お互いに欠けている部分を上手く補い合えている」と言っていて。現在も同じ思いですか?

Karyu:変わりなく、お互いに頼るところは頼ってるしね。

ギル:自分自身がまだ優柔不断な性格で、決断力に欠ける時があるんですよ。曲に対して、そこに入る音が色々なパターンが想像できちゃって迷子になりがちなので、Karyuさんに「この5パターンの中でどれが一番おいしいかな?」という相談をしつつレコーディングをしていたり。そういう部分はすごく頼っています。

――結構バリエーションを出すんですね。

ギル:それはやっていて楽しいので、苦もなく。Karyuさんから「ここ困っているから何かアイディアないか」と言われたら、やるやるって感じですし。ボツになろうがなるまいが、色々なパターンを作り出して、Angeloが広がっていけばいいなという立場でやっています。

Karyu:プレイに関しても、ギルはアルペジオが得意で、俺は苦手だったり、逆にリフものは俺のほうが得意で。良い感じに分かれているんです。

――Karyuさんから見たギルさん、ギルさんから見たKaryuさんのギタリストとしての魅力とは?

ギル:わお(笑)。

Karyu:今日リハだったんですけど、音作りが上手いなと。エフェクティブな感じ…。

ギル:鍵盤にしてもギターにしても限られた音の中で、その組み合わせで一つの曲が出来上がるわけじゃないですか。その中でのアプローチの仕方、アイディアの出し方が、本能的なニュアンスというか、音の使い方が作品を出すごとに変わってきているし、こんな不思議な音階で攻めてくるのかって思っても、前後との絡みがちゃんとしているから成り立つんだなとわかったり。側にいて、この人すごいなと感じることが新しい作品を聴く度にありますね。

――褒められましたね!

Karyu:俺が言ったことよりも、さらに超えて、褒められた(笑)。

ギル:え、こういうことじゃないんですか?

――こういうことです! 褒め合いです(笑)。

Karyu:気持ち悪っ(笑)。

――たまにはいいじゃないですか(笑)。制作方法は、加入当初と現在で変化した部分はありますか?

Karyu:レコーディングは早くなりましたね。とにかく詰めてからレコーディングに入るというのは、意識しています。前までは、その場で思い付いてやるというタイプだったので、結構時間がかかっていたんです。

――初登場時のインタビューで、Angeloとして始動して新たに知ったメンバーの一面を伺った際、Karyuさんが「KOHTAさん(B)が楽屋で面白いのに、ライブでそれが発揮されない」と(笑)。

Karyu:まぁ、それはお互いなんですけどね(笑)。でも、リハとかでもムードメーカーはKOHTAさんですよ。

ギル:正直、頼れるお兄ちゃんですよ。いるべくしてベーシストとしていてくれますし、僕らに対して年上ということでリードも取ってくれるし、空気も和ませてくれる。

――本当に頼れるお兄さんですね。ギルさんから見た、加入して新たに知ったメンバーの一面はありますか?

ギル:周りというより自分自身が、追い込まれたら何くそとなる一面が、より強くなりました。そう来るか、だったらこういうのはどうだっていう音楽的な提示や姿勢も、柔軟になったんですよね。なんでしょうね、俗に言う、歳を取ると丸くなるというものなのか、わからないですけど。他のメンバーの音楽センスが入ってきたから、というのがあるんですけど、この音の世界観だったらこのくらいしか選択肢がないと思うんだけどな、なんでその音が来るのかな、でもそれを取り入れたことによって変わるから…っていう考え方がどんどん広がっていったので、加入前よりは人間的には柔らかくなったかなって。

――吸収する意欲が高まっているんですかね。

ギル:基本的に自分以外全員が先生だっていうスタンスなので。その人が何かしら自分より優れたものがあるから、何かを自分に言ってくれているんだって思って接しているんです。昔は人の意見を否定しがちだったのが、全くしなくなりました。

――Angeloはギルさんにとってすごく良い環境ですね。

ギル:自分が育っていくという意味では、いいかもしれないですね。

――近くにいるKaryuさんも、ギルさんの成長を感じますか?

Karyu:そうですね、柔らかくなったというか、柔軟に接していこうというか。アレンジもそうだけど。

ギル:自分だったらこれだ!っていうのと、客観的に見た自分はこうじゃないかっていうのと、自分の中で自分の意見をこう…。

Karyu:吸収しようという努力が…すげー毎日見える(笑)。会う度に見える(笑)。

――日々成長しているギルさん(笑)。ちなみに、以前キリトさんがKaryuさんのことをMだと言っていましたが(笑)。(※過去の記事参照

Karyu:ファンもそういうイメージが強いみたいですね。

――キリトさんがKaryuさんに肩パンチしたことに関して「Mだから喜んでるんですよ」と(笑)。

Karyu:喜んでないわ(笑)! でも、なんでかわからないけど、Mに見られがちですよね。

――外から見たAngeloのイメージで言うと、ギルさんもMキャラですよね。

ギル:そうなんですか?

――やっぱり、キリトさんからいじられている姿が、そういう風に見えますよね。

Karyu:うちら二人ともそうじゃないですかね、年下っていうだけでなんか。

ギル:まぁそういう空気になりますよね。でも我々、精神はたぶんSですよね。

Karyu:たぶん(笑)。

――新事実発覚(笑)。

Karyu:みんなの流れに乗るか、乗らないかっていう(笑)。

ギル:好きな人からいじられる分には、いくらでもMになれますよね。あれ? 俺だけ?

全員:(笑)

Karyu:流れがおいしければ(笑)。

◆バンド感が急激に良くなった(Karyu)

Karyu

――さて、6曲収録EP第1弾『FACTOR』が9月30日に、そして第2弾『RESULT』が12月にリリースされるわけですが、EP盤二作という形態にするというのはキリトさんの発案ですか?

Karyu:そうですね。最初は1枚のミニアルバムという予定だったのが、コンセプトが固まってきて2枚出すということになりました。

――この話を聞いた時はどう思いましたか?

ギル:まぁ、毎年アルバムは出していますからね。

――曲数で言えば、合わせるとフルアルバムと同じくらいですね。

Karyu:シングルを出してないので、時間的にはかなり余裕がなかった。今もないですけど(笑)。

ギル:制作に臨む姿勢は毎年変わらずですね。

――5~6月のツアーと並行して曲作り、レコーディングだったようですが、相変わらず大変でしたか? 前アルバム『PSYCHE』(2014年12月)の時は相当大変そうでしたが。

Karyu:いつも通り大変です。

ギル:去年、あのスケジュールでできちゃったから、今年もできるだろうって思っちゃっていますけど。

――やるしかないですね(笑)。今作を聴いてまず思ったのが、バンドサウンドの厚みがどんどん増しているなと。

ギル:専門的な話ですけど、バッキングをヘッドアウトからとって二系統で同時に録音したんです。だから、自然とギターの音圧の底上げはできているんじゃないかなと。今回からそれを試したんですよ。いつもハイゲインアンプを使って、楽曲の骨となるサウンドを作っていたんですけど、今回はスタンダードにマーシャルのJCM800というオールド感のある普通のアンプで、ギターから回線を二つに分けて音を混ぜて作ったんです。なので、作り方の根底を今までと変えることによって骨太なサウンドになったなと。

Karyu:毎回、色々とチャレンジしているので、音の厚みは自然と出てくるんじゃなかろうかと。じゃないと困るっていう(笑)。

――(笑)。最近、制作する上でバンド感をより意識している部分もありますか?

Karyu:去年の一連の流れの中で、バンド感が急激に良くなった感じがしていて、それが自然と出たような気がします。

――ギターの弾き分けはいつもどのように決めているんですか?

Karyu:レコーディングでは基本は僕が右左両方弾いていて、ウワモノをギルが弾いたり。なので、右だからKaryuだっていうことはなく。ライブはバランス(笑)。それと、得意なほうをやるという。

――なるほど。「自分の曲は全体像がハッキリ見えているので、わりとやりやすいけど、キリトさんやKOHTAさんの曲は探り探り」と言っていましたが、今作はいかがでしたか。

Karyu:作曲者のイメージ通りに沿えるかというと、その人自身にしかわからなかったりするので、とりあえず自分が良いと思ったフレーズを投げて、そこから選んでもらうという方法でやっていますね。

――原曲の段階で作曲者が結構細かく作るそうですが、どの辺まで作り込むんですか?

Karyu:僕の場合は、ベースのアレンジは結構お任せな感じですけど、それ以外はガッツリ。キリトさんの場合は、レコーディングしていて完成を聴いて、足りなかったら変えてっていう作り方をしていますね。

――ギルさんとしては、制作する上で作曲者による違いは感じますか?

ギル:キリトさんのはコードがあって音が乗ってるという感じで、Karyuさんのはリフとリズムが組み込まれているという風に感じます。いじりやすいかどうかは曲によってなんですけど、変えてよければいくらでも変えるのは楽しいです。キリトさんの曲はよくいじらせてもらっていて、何パターンも提示して「違うな」「これは良かったよ」と反応をもらう時が、一番楽しみです。