vistlip

vistlipが、バンドのヒストリーを詰め込んだ初のシングルコレクション、その名も『SINGLE COLLECTION』をリリース!

2008年にリリースされた1stシングル『Sara』から、今年4月にリリースされた最新シングル『CHIMERA』までの全12枚を収録したvistlipのシングルコレクションがリリースされる。タイトルは、実にシンプルかつストレートな『SINGLE COLLECTION』。この作品に詰め込まれた、6年に渡るバンドの“ヒストリー”を智(Vo)とTohya(Dr)と共に紐解く。

◆若さや経験のなさで詰められなかった。それも歴史の一つだなと(Tohya)

――今回はベストが出るということで…

Tohya:ベストじゃないですよ! シングルコレクションです(怒)!

――!

Tohya:「(怒)」ってちゃんとつけといてくださいね(笑)!

――失礼しました! ベスト改めシングルコレクションが出るわけですが、“ベストアルバム”と“シングルコレクション”、お二人にとってそれぞれどういう位置づけですか。

智:最上級の曲を集めたのがベストで、シングルの頭曲のみを集めたのがシングルコレクション。こっちは単なるヒストリーです。やっぱり歴史が一番わかるのはシングルたちだと思うので。

――このタイミングで出すことは前々から決めていたんですか?

智:今年になって決まりました。Tohyaと、次にどういう展開にするか話していた時に、このタイミングで出そうということになって。

――今回の収録曲はリリース順に並んでいて、まさにバンドのヒストリーという言葉がぴったりですが、6年分の楽曲を振り返ってみていかがですか?

Tohya:Vif風に言うと…最初の頃のは、やっぱダメだったな!

智:(笑)

――Vif風って何ですか(笑)。

Tohya:細かいとこ攻めちゃう感じ。

智:あはは、そうなの(笑)?

Tohya:そうそう。だってほら、普通、昔の作品が悪かったなんて言えないじゃないですか。決して悪いわけじゃないけど、もう少し攻められたところを、若さや経験のなさで詰められなかった。でもそれも歴史の一つだなと。

――細かいところをストレートに攻めていただきました(笑)。ところで、今回の収録曲はリマスタリングはしたんですか?

Tohya:リマスタリングと、リミックスされてるのも何曲かありますね。

――その段階で今のvistlipらしさを出そうとはしましたか?

智:そこは出ないでしょうね。素材が出来上がっているから。本当に今の自分たちを出したければ全部再録したと思うんです。でも、それだとシングルコレクションにはならないですからね。

Tohya:リリースする上で納得できなかった部分を直したくらいかな。形はそのままです。

――今回の作品、再生してまず「智さんの声が若い!」と思いました。

Tohya:うん、若い! 昨日ちょうどリミックスをしていたんですけど、めっちゃ若かったです。

智:確かに、それはわかる(笑)。でもただ若いというより、あの頃は出せる声を出していたというか、歌うのに必死だったからね。そこから、自分でどんどん歌い方を変えていっているから。

――変わってきたのはいつ頃でしょう?

智:「SINDRA」くらいかな。

Tohya:うん。声の出方が全然違うんですよ。

――歌い方は具体的に何を変えましたか?

智:どうやったら感情が込められるか、ですね。昔は、ぶっちゃけ無機質だったけど、とりあえず綺麗な声で、歌が綺麗に聴こえるようにって思っていたんです。でも今は、どんどんナチュラルになっていて。それが自分の味というか、自分が出せる一番ナチュラルな声が一番伝わるんだろうと思うようになりました。例えば、声が枯れていたら、以前はそれは“良くないこと”だと思っていたから使わなかったけど、今なら使っちゃうし。

――それは綺麗さに重きを置いていたから?

智:いや、“自分の声が綺麗に聴こえる方がいい”というより、商品だからって思っていたんですよ。この前のロングツアーの時に、一度のどを壊してしまって、声が枯れまくって出なかったんです。昔だったらそれに萎えて、嫌になって、良いライブにならなかったと思う。でも、今は枯れちゃっていることに対してごめんなさいという気持ちはあるけど、それを自分のリアルとして良いライブをすれば、その一瞬しか見られない俺が見てもらえるなと思うようになりました。感情を伝えるっていうのを頭に置くようになった今だからこそ前向きに捉えられるというか。

――Tohyaさんは今と昔、どちらの智さんの歌がお好きですか?

Tohya:そりゃ今ですよ。歌は感情を込めてなんぼだと思うので。最初の頃は、僕の曲の作り方も未熟だったし、感情を込められるメロディだったかというと難しかったかもしれない。自然と入り込めるような作りでもなかったし。昔の曲をライブでやる時、今の智の歌い方で歌えばちゃんと感情も込められるけど、昔は全然甘かったなと。それこそ、“綺麗に聴かせる”、“かっこよく聴かせる”ってことだけを念頭に置いて作ってましたね。今は、そこはお互いに自然に歩み寄れたかなと。

――曲作りはどの段階で変わったと思いますか?

Tohya:「SINDRA」の時にも若干変わってます。

――お二人から「SINDRA」の名前が出ましたが、この曲はやはり一つの節目になっているんでしょうか。

智:そうですね。節目でしかないですけど。この曲の時は、いろんな事を考える時間がすごくあったし、時期的に自分を変えるタイミングが詰まっていたので。

Tohya:あと、単純な話、ここで機材も変わってるんです。「SINDRA」まではオールインワンシンセっていって、シンセサイザーの中でMIDIで打ち込める機能がついているもので打ち込んでいたんですけど、ここからはパソコンでDTMに変えました。

――なるほど。ところで、今回の『SINGLE COLLECTION』のvisterにはCD収録曲の全MVが特典としてつきますね。6年前の作品も収録されるわけですが…

二人:…恥ずかしいです。

――どの辺りからなら恥ずかしくないですか(笑)?

智:やっぱり「SINDRA」かな。

Tohya:でも「Recipe」はちょっと恥ずかしいし…。やっぱり「SINDRA」がMVのNo.1ですね。あの作品は気合いが入ってたよね。時計の照明みたいなのもわざわざそのために作ったし。

――vistlipはMVの数がとても多いですよね。改めてシングルの顔ぶれを見てちょっと新鮮でした。「THEATER OF ENVY」や「ORDER MADE」は、そういえばシングルではなかったなと。

Tohya:そうなんです。「EDY」とかも入ってないしね。結構ファンの子にライブで「1stシングルの曲は何でしょう?」って聞いたら「『EDY』!」って答えたくらいだし。あれは衝撃だったね(笑)。

智:そうそう(笑)。

――vistlipのMVは毎作品凝っているから、印象に残っていたんですよ、きっと。

二人:そんなことないですよー。

Tohya:その当時はお金かけられなかったですし(笑)

――ご謙遜を(笑)。

智:いやいや、その限られた中でいつも海と頑張るんですよ。こっちでやりたいことだけ並べて、撮影当日「できませんでした」って返されるのが嫌なんですよ。
決められた中で最高のものを作らなきゃいけないわけですから、できることを把握して、削るものも決めます。…海は…しないんだけどね…。

Tohya:(笑)

智:「お前がやれよ!」って思うんだけど。

Tohya:あいつ理想ばっか並べそうだからなー。

智:うん。で、俺が「いや、それはできないんじゃない…?」って言う(笑)。

――海さん、その辺りしっかりしていそうなのに(笑)。それにしても、アーティストでそこまでMV制作に関わる人は珍しいのでは?

智:いや、こだわる人は自分で監督までやっていると思いますよ。楽曲とのリンクを気にする人とか、この世界観にはこういう映像じゃないと、っていうこだわりがある人はやっぱりやるんじゃないかな。

Tohya:うちの場合は歌詞の世界観が深いから、ただ映像で演奏しているだけじゃ何も伝わらないんですよね。

智:楽曲と関係ないものにはやっぱりしたくないじゃないですか。

Tohya:そういう意味では、最初の頃はメンバーが映像に関わってなかったからね。ちょっと違ったかも。

――「-OZONE-」から映像がガラリと変わりましたよね。

智:確かに俺、「-OZONE-」のMV制作には関わってるんだよね。

Tohya:この辺からエキストラも入ってるしね。

智:やっぱり変わったのは俺が入るようになってからかな。

――「-OZONE-」の次にリリースされた「STRAWBERRY BUTTERFLY」のMVは、海外撮影だとメイキング映像で言っていましたよね。

Tohya:あ! それ、メンバーの嘘ですよ(笑)。

智:撮影場所は山梨です(笑)。

――全力で騙されていました…。

Tohya:こんな身近に騙されている人がいた(笑)。他にも騙されてる人いるかもしれませんね。

智:この前、Yuh(G)が「グアムで撮影!」って言ったらみんな信じてたしなー。

Tohya:俺と智が「イタリアの鳥●族にいます!」ってツイートしたらみんな信じてたしー。

――騙されるのでやめてください(笑)。

◆シングルコレクションっていうのは本当にナチュラルな状態(智)

――今回、12曲収録されていますが、一番のお気に入りを教えてください。

Tohya:僕は「CHIMERA」ですね。最近の自分の感性というか、楽曲として結構面白いものを作れたなってことで。

智:ライブでやっていて楽しいのは「Recipe」かな。いい気分になれるよね。

Tohya:「Recipe」は楽しいよね。イントロから明るく開ける感じがあって。

――「Recipe」は客席にいても楽しいです。では、逆に一番大変だったのは?

二人:「B」です。

智:俺は音が高すぎて大変でした。そもそもレコーディングなのにうまく歌えない!っていう(笑)。

Tohya:あと「深海魚の夢は所詮、」(※以下「深海魚」)かな。

智:でも「深海魚」は、すげぇ音が良いんだよなぁ…。『CHRONUS』(2013年7月にリリースされた3rdアルバム)を作っている時にマスタリングをしたんですけど、アルバムの曲と並べても驚くくらい音が良くて。今と比べても音良いって…って悩んだくらい(笑)。楽器同士のリンク性があるからかな。重さが強調されていて、すごくいいんですよ。

Tohya:ドラム単体だったらそんなに大きく変わらないけど、ベースとギターの兼ね合いなのかな。

智:リフだったりね。本当にすごく良い音なので、全曲そうなるように目指したいです。

――皆さんがご自分たちの成長を感じるのはシングルですか? それともアルバム?

智:シングルだとなかなか難しいですね。シングルっていうのはアルバムに通じるカケラなので。そこでまた考え直させられて、アルバムの段階でミックスし直してっていう。シングルコレクションっていうのは本当にナチュラルな状態なんでしょうね。アルバムでは変えちゃってるから。

Tohya:シングルだとCDとしてはまっさらの状態でその世界を見せるわけじゃないですか。アルバムは全部で表現できる。シングル一つだと見せられる部分も少ないし、一歩上に行くって意味では、大きく成長はしづらいんですよね。アルバムを作る上で、みんなも自分も一つ上っていけるのかなと。

智:何なら世の中にはシングルカットとか、先行シングルなんてものもありますからね。本当はそういうのをやってみたいんです。アルバムを先に作って、そこからこの年にこの曲をシングルとして出す、っていう。

Tohya:アルバム『CHRONUS』の時、その話があったもんね。

――その方法だと、より精度が高い状態で出せますよね。

智:そうです。でもアルバムが出るのが自分たち的に遅すぎて「まだ発売しないのか!」ってことになりますからね。そこからシングル2枚出すって、一体いつになるんだっていう(笑)。「これ1年前の作品だよね!?」ってなって、そうこうしているうちに自分たちがちょっと成長しちゃって、「もうこれ出すのヤダ」ってなりますから(笑)。

――それはまずいです(笑)。ではもし、vistlipでベストアルバムを出すとしたら、この中のどの曲を入れたいですか?

智:「-OZONE-」と「SINDRA」は絶対入ると思う。

Tohya:うん。その2曲は絶対ですね。「-OZONE-」は、今年の7月7日のライブ(Zepp Tokyoで行われたvistlip 6th Anniversary“TELESCOPE CYLINDER”)で智がベストアルバムみたいなイメージで曲を選んだんですけど、入っていないってがっかりされたくらいだし(笑)。

智:「July Ⅶth」が本当の七夕の曲なのに、なぜかファンからは「『-OZONE-』をやらなかった!」ってブーイングが…。「『-OZONE-』は七夕の曲じゃねーし!」と思いましたけど(笑)。まぁ、その2曲は絶対入るでしょうね。あと、1stシングルの「Sara」かな。あれはもう1回MVを撮ったらかっこよくなると思うんだよね。

Tohya:いいね。ギターとかも無駄に重くしたりして。

智:あの曲は全て作り直す価値があると思う。

Tohya:じゃあやりますか。

――ベストの時はぜひ! ところで、今回のコメント動画で、今作のジャケット写真について話していましたが、限定盤がちょっと変わった仕様になっているんですよね。

Tohya:そうなんです。バラバラになっていて、それぞれのシングルのジャケ写に変えられるらしいです。その仕様も最近知ったんですけど(笑)。

智:海がカギを握ってますね(笑)。

Tohya:デザインはずっと同じデザイナーさんにやっていただいているんですけど、vister、lipper盤は今回のデザインを見る限り、今まで使ったシングルの素材を使って新たなデザインを作っているのかな、なんて思っています。

――12月25日にはSTUDIO COASTでクリスマスイベント『Merry Bell』が決定していますが、その時に無料配布するCDはメンバーお一人ずつが歌うそうで。

Tohya:歌います。

智:(笑)。まだ録ってないんですけど楽しみです。

Tohya:うん、レコーディングが楽しみなんですよね。

――どんな作品になるのか楽しみです。来年はどんな年になりそうですか?

智:今、目指してる音とか曲を完成させるための年ですね。

Tohya:次にアルバムを出すとしたらこういうのを、っていうヴィジョンがあるんです。それを実現させるための年にしたいですね。

(文・後藤るつ子)


vistlip

<プロフィール>

智(Vo)、Yuh(G)、海(G)、瑠伊(B)、Tohya(Dr)の5人からなるロックバンド。2008年4月、ミニアルバム『Revolver』でデビュー。2013年7月7日にZepp Tokyoにて行われた6th Anniversary “TELESCOPE CYLINDER”はチケット即日ソールドアウト。7月17日に3rdアルバム『CHRONUS』をリリース。12月4日にバンド初のシングルコレクションとなるニューアルバム『SINGLE COLLECTION』をリリースする。12月25日には STUDIO COASTにてvistlip LIVE 『Merry Bell』を行う。当日、来場者全員にCD『Merry Bell』が無料配布される。

■オフィシャルサイト
http://www.vistlip.com

【リリース情報】


LIMITED EDITION
DX SHOW CASE BOX/CD+DVD
MJSA-01101~2
¥6,930(tax in)

LIMITED EDITION
ROUGH the PACKAGE/CD+DVD
MJSA-01103~4
¥3,780(tax in)

vister
CD+DVD
MJSA-01105~6
¥3,780(tax in)

lipper
CD
MJSA-01107
¥3,150(tax in)

『SINGLE COLLECTION』
2013年12月4日発売
(発売元:マーベラスAQL/販売元:ソニー・ミュージック ディストリビューション)
2008年9月リリースの1stシングル「Sara」から2013年4月リリースの11stシングル「CHIMERA」まで、タイトル曲を収録したシングルコレクション。

【収録曲】
[CD]
01. Sara
02. alo[n]e
03. drop note.
04. -OZONE-
05. STRAWBERRY BUTTERFLY
06. Hameln
07. SINDRA
08. Recipe
09. B
10. 深海魚の夢は所詮、
11. アーティスト
12. CHIMERA

[DVD]
【LIMITED EDITION DX SHOW CASE BOX】
ライブ映像:13.07.07@Zepp東京&13.07.31@渋谷公会堂よりセレクト

【LIMITED EDITION ROUGH the PACKAGE】
ROUGH the vistlip(新規撮り下ろし)

【vister】
CD収録曲の全music video

★初回限定特典:トレーディングカードランダム封入(全10種類)
※vistlipメンバーの取り下ろし写真