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lynch.の今を深く切り取ったライブ映像作品が完成! アルバム『Xlll』を掲げ駆け抜けたホールツアーを細部までパッケージングした作品の魅力に迫る

改めて思うが、ライブバンドという肩書はlynch.にこそふさわしい言葉なのかもしれない。そのステージングには圧倒的な強さと美しさがあり、見る者を拒まない驚くほどの懐の深さも持ち合わせている。そんな彼らのライブがいかにして作られているのか、この作品には今年6月に行われたホールツアーの様子と共に、普段は目にすることのできない制作の裏側の様子が収められている。彼らを支える数多のスタッフと共に、いかにして5人がステージを作り上げているのか――この作品を観ることで、ライブの見方がグッと深まるに違いない。この作品について、そしてlynch.が真っ直ぐに突き進む、15周年への“序曲”と銘打ったZeppツアーとその先の未来について、ヴォーカルの葉月に話を聞いた。

◆メンバーとスタッフが、ちゃんと会話した上で成り立っている。この作品で、そういうものを見せられると思った

――今回映像に収められた「HALL TOUR’19 <Xlll-THE LEAVE SCARS ON FILM->」で、アルバム『Xlll』を掲げての1年が終幕となりましたが、振り返っていかがですか?

葉月:ステップアップできたというか、一歩上に行けた感覚はありますね。一昨年は色々あって激動だったんですけど、『Xlll』で明徳が戻って、やっとまた安心してどっしり構えて活動できるようになったなと思います。それまでは、もう本当に忙しくて。例えばサポートの方をお願いしていた時は、ベーシストが4人いるのでリハも4回入らないといけなかったんですよ。スケジュール的にも休みなし、さらに『Xlll』の制作が被って、結構無茶なことをしていて。『Xlll』が出て、そういうことからやっと一息付けた感じでした。

――本来のlynch.のペースに戻ったんですね。

葉月:そうですね。

――今回の映像作品は、東名阪3会場のライブとバックステージの模様を1本にまとめるという珍しい撮影形態です。完成した作品を観たときにどんな感想を持ちましたか?

葉月:最初にこうしたいって言い出したのは僕なんです。せっかく3本ライブをやるのに、東京公演の映像だけを入れるというのはちょっと寂しいなと思ったので、全部ごちゃ混ぜにしました。さらに、ドキュメントはいつもより深めに入れて、スタッフにもスポットを当てて、ライブはこうやって作られているんだというところも見せたかったんですよ。

――『10th ANNIVERSARY 2004-2014 THE BEST』(2015年3月リリース)ではメモリアルブックレットという形でインタビューが付属していましたが、今回は作品の中にドキュメント映像が入っているんですね。

葉月:そうです。そっちのほうが入り込める気がして。単純に僕はそのほうが好きだし、観ていて飽きないんですよね。ちなみに、プロのファンの方は、プロであればあるほど「ライブを観ている状況と同じなので、1カメが最高です!」とおっしゃるんですよ。

――それは…かなり極めていらっしゃいますね。

葉月:そうなんです(笑)。でも、それはちょっとプロ過ぎるし、僕はライブだけじゃなく、バンドのいろんな側面を見たいと思うので、今回こういう形でやってみようかなと。結構細かく指示をしたので、出来上がりは思い通りというか、「あぁできた。よかったな」と思いました。

――今回の映像作品は単なるライブ映像作品ではなく、記録映像という意味合いもあるように感じました。lynch.の今を深く切り取ったという印象で、普段目にすることのないリハーサルやアートワークの打ち合わせシーン等々、レアなシーンも満載でしたね。

葉月:ああいうところが普段見られないじゃないですか。僕がファンの立場だったら、どうやってセットリストやジャケットは決まっていくんだろうとか、誰がどういう風に意見を出していくんだろうとか、そういうところがすごく知りたい。会場でのリハーサルの照明の打ち合わせのシーンは、「こういう風に作って本番に入るんだよ」というのを見せたかったんです。

――作品中で、特殊効果担当の千葉香奈子さんがエアーバーストと音玉の説明をしていましたが、ライブの光と音の仕組みを知って驚きました。

葉月:あれね(笑)。ライブでは火が出ているところで音が鳴っているわけじゃないんですよ。音玉がないと火がシャッと出て終わりなんです。

――まさに普段は見られない裏側、という感じがしました。それにしても、裏側を見せることを良しとしないアーティストもいると思うのですが、lynch.はそういう制約はないんですね。

葉月:見せられないような恥ずかしい裏側だったら見せませんけど、全然そんなことはないですからね。メンバーとスタッフが、ちゃんと会話した上で成り立っている。この作品で、そういうものを見せられると思ったし、これを観たことで、ファンの人たちの今後のライブの見方が変わるかなと思ったんですよ。ライブを観て、「この照明はこういうやり取りがあったのかな」と感じることができたら、それだけでも深みが出るじゃないですか。

――これだけたくさんのスタッフの方々の支えがあって、あのライブが完成していると思うと感慨深いです。ところで、ホールはこのジャンルの音楽には難しい気がするのですが、その点はどう感じていますか?

葉月:確かにそうですね。でもそれは、気持ちの面での問題なんですよ。ステージ自体のサイズは新木場 Studio CoastやZepp Tokyoと変わらないので、使い方は同じなんです。一番違うのは客席の見た目ですね。座席があるとライブハウスみたいにお客さんがステージに押し寄せてくることがないので、熱が勝手に生まれるということがない。だから、僕の中で熱を作っていかないといけないんです。

――己との闘いなんですね。

葉月:まさにそうです。ホールではお客さんがライブハウスのようにテンションを上げてくれることはないから、自分の中でそれに頼らずしてどこまで上げられるかなんですよ。そこがホールの難しさだと思います。それができちゃえばライブハウスと一緒ですね。

――では、今回のホールツアーに点数をつけるとしたら何点ですか?

葉月:えー、難しいな(笑)。でもまだできることはたくさんあると思うので…70点かな。このツアーはそもそも、『Xlll』をホールでやってあげたいという気持ちでやったツアーだったんです。歌に特化している雰囲気のあるアルバムだったので、ライブハウスだけで終わるのはもったいないよねということで、じゃあホールで『Xlll』をやろうよと。

――明徳さんも言っていましたが、『Xlll』はホール向きのアルバムですよね。そして、これまでのlynch.とは一味違うSE明けの「THIRTEEN」、それでいて開始早々に見事に揃った客席の拳を見て、さすがだなと。

葉月:ありがとうございます。「THIRTEEN」は、ちょっとメジャー感がありますもんね。

――セットリストでこだわった点はありますか?

葉月:特にはないですね。セットリストは、ライブハウスツアー(『TOUR’18「Xlll -THE BEAUTIFUL NIGHTMARES-」』)と90%くらい同じなんですよ。さらに『Xlll』の楽曲の置き位置は全部同じなんです。

――なぜ同じにしたんでしょう?

葉月:これがベストだったからです。これと順番を変えようと思うと、どうしても無理が出てきたり、できない曲が出てきたりするんですよ。

――そんな限界ギリギリなセットリストなんですね。

葉月:うん。全部やるならもうこれしかない。特に中盤の「RENATUS」「AMBLE」「SENSE OF EMPTINESS」の流れは変えようがないので。ただこれは、賛否があるだろうなと思ったんです。「これ、夏のライブハウスツアーと同じじゃん」って言われるんだろうなと。でも、『Xlll』を映像にする上で、実験的なセットリストで出すわけにはいかないなと思ったんですよ。この先10年経って『Xlll』を映像で振り返ったとき、やっぱりベストな流れのほうがいい。なので、「この間のツアーと一緒じゃねーか」という意見に振り回されたくはないなと思ったんです。

――収録されている過去の曲たちは、どういった視点で選んだんですか?

葉月:過去の曲たちは、ホールでやるから云々というより、映像作品が出るから、ということでやりました。「EVILLY」「JUDGEMENT」「LIE」は、最近のライブ映像に入れていないはずなので、久々にここで入れておくかと。

――それにしても、ここまで『Xlll』の映像を作らずにきたのは、このツアーを見据えていたからだったんでしょうか?

葉月:どうだったかな。多分、ライブハウスツアーの時はその前に幕張の映像作品が出たばっかりだったんですよね。なので「また?」という感じになりそうだったし、カメラが入るとお客さんが入るエリアを削らないといけないじゃないですか。TDC(昨年11月4日に行われた『TOUR’18 Xlll-THE BEAUTIFUL NIGHTMARES-』ツアーファイナルのTOKYO DOME CITY HALL公演)はこれ以上無理というところまで人を入れて、完全なるソールドアウトでやろうという話になったので、映像はここまで作らなかったんです。

――lynch.にとって映像作品はどういう位置づけですか?

葉月:自分で観ることはほとんどないので、ファンのために残しておいてあげたい作品ですね。

――ご自分で観ないというのは意外でした。

葉月:チェック以外では観ないです。過去に全然興味がないんですよ。12~13年前に最初のライブDVD(2008年3月リリースの『OFFICIAL BOOTLEG -TOUR’07 「TOWARD THE AVOIDED SUNRISE」FINAL 2007.07.02 SHIBUYA O-WEST-』)を作った時は本当に嬉しくて、「ついに俺もライブビデオが作れた!」って何度も観ていたんですけど、今はもう全く。幕張の映像も一度も観ていないです(笑)。観ると、自分の歌とかステージングとか、いろんなところが気になっちゃうと思うんですよね。なので、ファンの方が喜んでくれればそれでOKです。

――他のメンバーも観ないのでしょうか。

葉月:わからないですけど、皆観なそうですよね。MVも観ないし。

――え、そうなんですか?

葉月:観ないですよー。自分のMVを観てどうするんですか。「俺、カッコいいな…」とか?

――そうそう。

葉月:いやいや(笑)。

――(笑)。では、2時間15分に渡る映像作品の中の、一推しのシーンを教えてください。

葉月:僕、最後のエンドロールが好きなんですよ。

――確かに、あのエンドロールは最後までじっくり観てしまいました。

葉月:僕もです。いいですよね。あとはこの作品にアンコールが入っていないというところですね。監督のこだわりで、あえて入れていないんですよ。もちろんファンは入っていたほうが喜ぶと思うんですけど、監督的には「A FOOL」で終わってエンドロールのほうが締まるんだけどなと言っていたので、じゃあそうしましょうと。『Xlll』の作品だし、通常のライブ映像でもないし、それでいいと思いますよと。これは気に入っていますね。

――アンコールを入れないライブ映像作品というのはなかなか珍しいし、あくまで『Xlll』の映像作品という点からも潔いです。リハーサルシーンから「CREATURE」への切り替わりでは、「こうやってライブは作られているんだ!」というのをリアルに感じられました。

葉月:あれも監督のこだわりなんですよ。人のライブを観ているとつい錯覚するんですけど、ステージには基本的にメンバーしかいないから、照明は自然発生的に起こっているものに見えてしまうんですよね。でも、当然あれは人がやっていて、組み立てられるまでに相当なやり取りがあるというのを知ってほしかったんです。忘れちゃいけないと思うんですよ。アーティストのオーラで、ああやって照明が光っているわけではないじゃないですか(笑)。でもそう見える。それはスタッフがそう見せてくれているわけで、そこに至るまではたくさんの話し合いや、やり取りを重ねているんです。でも自然発生的に見えたらスタッフの勝ちですからね。

――そこがスタッフの方々の目指すところだと思いますが、その努力に支えられていることを忘れないでほしいというアーティストの気持ちは、とても嬉しいと思います。

葉月:そうやってみんなで頑張って作っているんだぞと。

――朝早くからの作業ですものね。

葉月:そうですよ。この日も6時入りじゃなかったかな。ライブハウスと違って、ホールは常設のスピーカーも照明もないから、スタッフの作業はスピーカーの設置や照明を吊るところから始まるんですよ。それを言ったら、幕張メッセなんて本当に何もないただの平地で、本当に24時間寝ていないスタッフもいましたからね。メンバーはただ演奏するだけですから、一番楽ですよ。

――こんな殊勝なことを言うアーティスト、見たことないです!

葉月:(笑)。

――ところで、今回のアーティスト写真の制作方法が斬新で驚かされました。てっきり全てデジタル処理されたものだと思っていたのですが、あらかじめ撮っておいた個人ショットを現像して床に並べ、その上にガラスを置いて叩き割ったものを撮影するという極めてアナログな制作工程だったんですね。

葉月:ゴーグルを付けてね(笑)。面白かったから、ムービーを撮っておけばよかったな。今回は僕の案だったんですけど、毎回そんなにギチギチにこだわって作っているわけではなくて、スタッフがどんどんアイディアを出してくれるので、そこに乗っかることもあります。皆さん信頼できる方ばかりなので。

――スタッフの方々とは長いお付き合いなんですか?

葉月:原田くん(プロダクション・ディレクターの原田貴之氏)は結構長いですよ。lynch.の最初の赤坂BLITZ(2009年9月に行われたTOUR’09 『THE SHADOW IMPULSE』ファイナル)の時からなので、もう10年以上ですね。

――ではもう阿吽の呼吸ですね。ところで、10周年の時にインタビューで「10年後はどうなっていると思いますか?」とお聞きしたら、玲央さんが「今関わっている人数の倍以上がバンドに参加していると思う」と言っていたのですが、あれから5年経った今、スタッフの数や関わり方に変化はありますか?

葉月:やっぱり人は増えてきていますね。ただ、増えたのは楽器テックが多くて、僕にはあまり関係ないんです(笑)。でも、楽器の皆はすごく楽になっているんじゃないかな。自分の楽器のことだけをお世話してくれる人がそれぞれに付いているので、弦を交換するのも、メンテナンスをするのもプロフェッショナルが付いてやってくれる。でも、僕はそういうのがないので、孤独なんですよ。付き人みたいな人が一人ほしいんですけどね(笑)。

――その人には何をやってもらうんですか?

葉月:うーん…コンビニに行ってもらったり、マッサージしてもらったり、スマホの充電してもらったり…とか(笑)?

――(笑)。でもバンド全体に関わるスタッフが増えたということは、着実にバンドが大きくなってきているという証拠ですね。

葉月:そうですね。いやらしい話、それだけのスタッフを雇えるということですからね。

――20周年には玲央さんの予言通り倍になっているかもしれません。

葉月:僕に付き人も付いてね(笑)。素晴らしいな!

◆今のまま突撃していっても問題ないという気がしている。あとはもうやるだけというか

――作品中で葉月さんは、「デカくなりたい」と言っていましたが、その青写真は描いていますか?

葉月:今のまま突撃していっても問題ないという気がしていますね。あとはもうやるだけというか。「そうなるために、俺はもっとこうしなきゃ!」ということはないです。

――同じく、「完璧なヴォーカリストになりたい」という言葉も印象的でした。そして、SNSで書いていた、「基礎が全然伸びていない」というヴォイストレーナーの先生の言葉に対して「じゃあ伸び代だらけじゃないか」と思ったというエピソードが素晴らしいなと。

葉月:そうそう。「マジか! じゃあ上手くなるじゃん!」と思って。でも、それまでは、めちゃめちゃ適当でしたよ。完璧を目指したいと思ったのはそれこそ、ここ1年くらいなんです。歳を取ってくると急に健康志向になる人がいるじゃないですか。それまでタバコを吸っていたのに、急にグルテンフリーとか言い出すみたいな、そんな感じです(笑)。でも、もっと楽に声が出せるようになれば、ツアーもコンディションを保ったまま回れるし、基本的に良いことしかないですからね。

――なぜそう思うようになったんでしょう?

葉月:映像ではカットされていたんですけど、インタビューで「なぜ完璧な歌を歌いたいのか」という質問があって。それは、来てくれた人に「楽しかった。また行きたい」って思ってほしいからなんですよ。そのためには歌っていて音を外して、「え?」って思われるところがないほうが良いに決まっている。なんで楽しんでほしいかというと、また来てほしいから=動員を増やしたいから。よりデカい所でやるためには、動員を増やさなきゃいけない。そのためには完璧な歌を歌ってより楽しんでもらわなきゃいけない、ということなんです。

――その逆算でこういう考えに至ったんですね。キャリアを積んでいくと、自分のやり方に固執する人もいると思うのですが、驚くほど柔軟ですね。

葉月:自分のやり方や歌に納得ができている人はいいと思うんですよ。でも当然弱点はないほうがいいですからね。

――現時点で、葉月さんは完璧なヴォーカリストだと思うのですが。

葉月:完璧に見えるようにしていたんですよ。苦手な部分をカバーするテクニックもあるので。でもそうじゃないほうがいいと思うんです。

――こういう話からも、lynch.は、緻密に計算して着実に成長している、とてもクレバーなバンドという印象です。

葉月:昨日、河村隆一さんのイベント(「RK presents Children of the New Age ~新時代の子供達へ~」)に参加させていただいて、打ち上げの時にシドのマオさんに、「lynch.最近すごいですよね。どうしているんですか?」って聞かれて話をしたんです。僕がlynch.がいいなと思うのは、『EXODUS-EP』(2013年8月リリース)の頃から、ファンやお客さんが僕たちにやってほしいであろうことに専念するようになったことなんですよ。今はそれがやりたいことなので、ファンとの衝突やガッカリさせることが基本的にはない。僕はロックバンドの危うい所はそこかなと思っていて、メンバーがやりたいこととファンがやってほしいことがどんどんズレて行って終わるのが一番悲しいなと思っているんです。マオさんには、lynch.はそれがないからいいのかもしれないですね、という話をしました。

――確かにそうですね。でもその中で、自分たちがやりたいことと求められることが、必ずしも一致しないこともあるのでは?

葉月:確かに、理想を追い求める心が強い人ほど、すれ違う可能性が高いですよね。でも考えてみれば、「葉月やlynch.にこうなってほしい」というイメージって、僕らが作ってきたものじゃないですか。だから当然嫌いなわけがないというか、抵抗がないんです。ロックの方で昔の自分が嫌いで見たくも聴きたくもないという人もいますけど、そういう風じゃなくてよかったなと。もちろん今の自分から見たら、昔の自分は甘いなとかショボいなとは思いますけど、やりたいことはそんなに変わっていないし、当時やりたかったことは今全力でやってもカッコいいと思うので、全然抵抗がないんです。

――では今後の展望は?

葉月:次の作品ですね。もう作り始めていて、今はそこに興味があります。『Xlll』の時は死ぬほど遅かったので、今回は前もってちゃんとやろうと思って。次の作品は、メイクしている意味がちゃんと見出せる音にしたいなと思っているんです。特にラウド寄りの音楽をやっているバンドだと、「え、何でこの人たちメイクしているの? そのメイクで何を表現したいの?」ということがたまにあるんですよね。だったら僕は、MALICE MIZERのほうが筋が通っていると思うんです。歌詞や写真や音が全部綺麗にピタッとはまると、いわゆるヴィジュアル系というシーンに興味がない人が見ても、一つのエンタテインメントとしてもっと見やすくなるんじゃないかと思うんですよ。そこを目指しています。

――アルバム『D.A.R.K.-In the name of evil-』(2015年10月リリース)の時も「歌詞とか、歌い方とか、メロディとか(中略)そこをもっと突き詰めれば、このメイクと衣装と作品の世界観、音や歌詞が全部リンクできるんじゃないか、そこでやっとバンドの個性が出せるんじゃないか」と言っていましたよね。

葉月:そうですね。あれよりもう一つ抜けたい感じです。あの時はタイトル通り『D.A.R.K』だからこうという感じで、今の自分からするとそこまでエンタテインメントできていない感じがあって。今はもうちょっと周りを巻き込む力が欲しいなと思っています。

――周りを大いに巻き込みつつ、ぜひ「THIRTEEN」の歌詞のように〈誰も知らない場所〉まで行っていただきたいです。

葉月:そうですね。行ってみたいと思います!

――そして、いよいよ今秋の「ZEPP TOUR’19[XV]act:0-OVERTURE-」から15周年の序章が始まりますが、どんなlynch.が観られるんでしょう?

葉月:今年一番普通のlynch.が見られるはずです。今年は、全曲披露ツアー(4~5月に行われたTOUR’19<UNDEAD SOULS #2>)とホールツアーをやって、普通のlynch.が観られなかったと思うので。やっとライブハウスで、自分たちがベストと思えるセットリストでやれます。

――今年観られる最初で最後の普通のlynch.が、15周年YEARの序曲というのが面白いですね。15周年のプランはもう決まっているんでしょうか?

葉月:そうですね。来年はツアータイトルにもある「act:○○」というのがどんどん繋がっていくんですけど、まずは「act:1」がどこに来るのか、という感じですね。骨組みは決まっているので、盛り上げて盛り上げて、最後はボーンと打ち上げて散ろうかなと…あ、散らないですけどね(笑)。

(文・後藤るつ子)

ARTIST PROFILE

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<プロフィール>

葉月(Vo)、玲央(G)、悠介(G)、明徳(B)、晁直(Dr)から成るロックバンド。激しくもメロディアスな楽曲と圧倒的なライブパフォーマンスでシーンを牽引する。2011年6月、アルバム『I BELIEVE IN ME』でメジャーデビューし、多数の作品をリリース。2018年8月、アルバム『Xlll』と共に13周年に突入。2019年9月18日、このアルバムの世界観を約4年ぶりのホールツアーを通してフィルムに収めた映像作品『HALL TOUR’19「Xlll-THE LEAVE SCARS ON FILM-」』をリリース。10月1日より、15周年YEARの序曲となる「ZEPP TOUR’19[XV]act:0-OVERTURE-」をスタートさせる。

■オフィシャルサイト
http://lynch.jp/

【リリース情報】

HALL TOUR’19「Xlll-THE LEAVE SCARS ON FILM-」
2019年9月18日(水)発売
(KING RECORDS)

HALL TOUR’19「Xlll-THE LEAVE SCARS ON FILM-」
[Blu-ray]
KIXM-390
¥8,000+税
初回製造分のみフォトブック付き特殊パッケージ仕様
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HALL TOUR’19「Xlll-THE LEAVE SCARS ON FILM-」
[DVD]
KIBM-812~3
¥7,000+税
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【収録曲】

[CD]
01. INTRODUCTION
02. THIRTEEN
03. EXIST
04. GROTESQUE
05. JØKER
06. CREATURE
07. EVILLY
08. JUDGEMENT
09. LIE
10. RENATUS
11. AMBLE
12. SENSE OF EMPTINESS
13. THE WHIRL
14. GALLOWS
15. INVADER
16. FAITH
17. OBVIOUS
18. pulse_
19. FIVE
20. A FOOL

[Blu-ray only]
・2019 06.15 NAGOYASHI KOKAIDO OPENING
・2019 06.23 NHK OSAKA HALL OPENING
・LIVE「FIVE」DIRECTOR’S CUT 葉月ver./玲央ver./悠介ver./明徳ver./晁直ver.
・LIVE「JØKER」DIRECTOR’S CUT 葉月ver./玲央ver./悠介ver./明徳ver./晁直ver.

【ライブ情報】

●ZEPP TOUR’19[XV]act:0-OVERTURE-
10月1日(火)Zepp DiverCity
10月6日(日)Zepp Fukuoka
10月10日(木)Zepp Nagoya
10月20日(日)Zepp Osaka Bayside
10月31日(木)Zepp Tokyo [HALLOWEEN NIGHT]
11月17日(日)Zepp Sapporo