インタビュー

生熊耕治×涼木聡

生熊耕治×涼木聡

生熊耕治×涼木聡(Yeti)の初対談で語られた、それぞれの原点、音楽人としての思い。 今、新たなシーンが幕を開ける――。

今年8月に会場限定アコースティックアルバム第2弾『MONOLOGUE』をリリースし、今秋には新プロジェクト“BLUEVINE”の始動を控える生熊耕治。そして、12月にニューミニアルバム『宇宙人』をリリース、2019年1~2月に東名阪ワンマンを行うことが決定しているYetiの涼木聡(Vo&G)。10~11月にかけて行われる、生熊耕治バンドとYetiの対バン、生熊×涼木でのアコースティックライブ札幌公演を前に、二人の初対談が実現。先輩後輩という立場ながら、これまでに数々のステージを共にしてきた二人の間には、お互いへのリスペクトと愛情が感じられる。そんな二人の対談を通して、それぞれの原点、音楽人としての思いを聞くことができた。

◆せっかくやるからには、ちゃんとストーリーがあったほうがいい(生熊耕治)

生熊耕治

――これまでライブの際にお話はしていましたが、この対談が実現することになるとは。

涼木聡(以下、涼木):僕はもう待ちに待ったというか、恐れ多くて。本来は対談なんかできるはずのないお方が、お隣にお座りになられて。

生熊耕治(以下、生熊):いやいや、そんなことはない(笑)。

――お二人の初対面はいつですか?

生熊:Yetiで言うと、僕がサポートをやっているアーティストと、Yetiのメンバーの昔のバンドが同じ事務所だったので、知り合ったんですよね。

涼木:先輩にご指導を受けていたのが、うちのベースのBikkeyです。なので、遠いようで近くて、ライブは何回も観させていただいていました。

――当初はまだお二人の会話はなかったんですか?

生熊:聡は去年の3月、僕主催のアコースティックライブ「Acoustic Triangle」(以下、「アコトラ」)に出てもらった時に、やっとちゃんと話をしました。その後、7月に逗子の野外イベント「音霊」でYetiと一緒になって、俺は終演後にビールをバンバン飲んでいて…

涼木:耕治さんが「これ、余ったからやるわ」って(笑)。

生熊:あ、思い出した。2016年の京都のサーキットイベント「はんなりロックフェスティバル」に弾き語りで出たんですけど、そういえばYetiが出るやんって思って、挨拶させてもらったんですよ。本当の初対面はその時ですね。その後「アコトラ」になっていくわけですけど、Yeti自体がもっといろんな人と絡んでいきたいと強く思っていた時期みたいで。やっぱりシーンって、偏った人たちとしかできなかったりするでしょ。

涼木:自然とカテゴライズされてしまうというか。飛び出ようとか、いろんな人と関わろうと思わない限り、知れた仲で進んでしまうので、そういうところにジレンマがあったんですよね。耕治さんはどんなことも相談に乗ってくれるので、きっかけをもらいました。今は1ヵ月耕治さんに会わないと寂しくなる2018年になっています。

――今年の「アコトラ」では4~6月に4日間5公演共演していますね。

生熊:アコースティックで一人で地方を回れるパワーがまだなくて、一緒に回ってくれる人がいると助かるなという時期だったから相談したら、一緒に行きたいと言ってくれたんです。

涼木:耕治さんから「アコギをハードケースで持ってくるのはバカだから。お薦めのケースを教えてあげるからそれで来い」って言われて(笑)。

生熊:だって1回目の時に、ギブソンのハードケースとキャリーバッグを持ってきたんですよ。腕が千切れるから(笑)。

涼木:両手が塞がっていて、新幹線の改札で切符が入れられないんですよ(笑)。「しんどいですー」って言ったら、「そのケースが!」と。

生熊:とにかく移動は軽量化やから(笑)。

涼木:そういう日常の教育もしていただいています(笑)。共演させてもらうことが少しずつ増えてきて、恐れ多いながらもYetiの企画に「耕治さんバンドでぜひ!」とお願いしたら、ツーマン(4月29日@吉祥寺SHUFFLE)を受けていただけて。そこでメンバーも「うちのメンバーが耕治さんを釣ってきたぞ! やっとバンドで戦える! 頑張ったな!」みたいな(笑)。やっぱり弾き語りでの共演の経験をバンドに還元したり、昇華して別のエネルギーに替えていかないといけないと思っているので、ツーマンがやれたことは本当に嬉しかったですね。

生熊:せっかくやるからには、ちゃんとストーリーがあったほうがいいもんね。聡はYetiというメインのバンドがあるので、そういう軸があって一緒にやるほうがいいのかなと。

涼木:まぁボロ負けしたんですけど。辛酸を舐めるとはこのことかと。

生熊:勝ち負けじゃないし、楽しそうにしてたやん(笑)。

◆何か鋭利な孤独みたいなものを感じた(涼木聡)

涼木聡

――ちなみに、お互いの第一印象はどうでした? 涼木さんは人見知りらしいですが、個人的には全くそのイメージがなくて(笑)。

生熊:そうやね、俺もない(笑)。

涼木:耕治さんの周りの方々が皆さん本当に良い人だらけなので、人見知りする必要がないというか、温かい空気を耕治さんが作られるんですよね。ライブでも演者ながら舞台監督のような、良いムードを作ってくださるので、すごく勉強になります。「どうぞ、楽しんでやってくださいね」みたいに言ってくださる先輩がいるのに「恐縮です」というステージをやるのは、耕治先輩もファンの方々も求めていないだろうなと思って。そういう意味では、人見知りを少し克服するきっかけをくれているのは耕治さんですね。

生熊:いやいや。

涼木:以前は遠くからステージの耕治さんを観せてもらっている立場だったんですけど、楽屋とかでお会いできるようになってからは、少し同じ雰囲気を感じたというか。確固たるもの、込み上げる熱を瞑想して高めている孤高の侍みたいな。何か鋭利な孤独みたいなものを感じたんですよ。闇の強さというか。

生熊:闇(笑)!

涼木:狂気みたいなものを感じて。

――それがよく言っている「最初は怖かった」ということに通じるんでしょうか。

涼木:そうです。未だに怖いですけど。

生熊:まぁわかるよ。俺も先輩は皆怖いからね。でも音楽は勝ち負けじゃなく、年齢も関係なく、表現する上では皆フェアなので、後輩であろうが先輩であろうが、才能ある人は大好きです。聡の年齢で「ドゥービー・ブラザーズからインスパイア受けました」って言う人はなかなかいないし、この間もアース・ウィンド・アンド・ファイアーの「September」をカバーしたり、聡は本当に音楽が好きでいろんな音楽を勉強しているんだなという印象ですね。Yetiの楽曲も割と難しい解釈のものが多かったりするけど、そういうのもちゃんと勉強していないとできないことだから。エンターテイナーというよりは、ミュージシャンミュージシャンしたタイプだなと思います。もちろんエンターテイナーもできるんだけど、音楽を作る人だなぁと。

涼木:嬉しいですね。最初、浮ついたガキだなと思いました?

生熊:それはないよ。

涼木:めちゃめちゃ安心しました。

生熊:むしろ、仲良くなってからのほうが「おい、浮ついてんなお前」っていう時が(笑)。

涼木:はははは(笑)。たまにちょっと口が滑ることが…(笑)。

生熊:でも面白いよね。回数を重ねていくごとに空気も良くなるし、春に「TWO PEACE」(生熊耕治×涼木聡でのアコースティックツアー。5~7月に計4日間7公演開催)を回れたことで、俺と聡が一緒に作っている空気感が好きと言ってくれるお客さんも増えていて。

涼木:最初は境目みたいなものを感じたんですけど、春のツアー、そして9月にもやらせていただいて、ツーマンというより一括りにしてもらえているのかなと感じます。「TWO PEACE」は最後にセッションをやらせてもらっていますけど、そこが一番熱量があったりするんですよね(笑)。

生熊:ファンの人もそれを楽しみにしてくれているしね。

涼木:耕治さんが歩み寄ってくれるので、こちらも安心して混ざり合えます。

生熊:広島が面白かったよな。食事を一緒にすると仲良くなるし、やっぱり旅をすると変わるよね。

涼木:行きの新幹線からもうウキウキで。だって、隣に生熊耕治がいるんですよ? ハンパないっすよ。我に帰ると、すごい方と共演させてもらっているんだなと感じます。だから責任持って…、良いアーティストになっていきたいなと。

生熊:早く飲みたいから早く締めようとしてる(笑)。

――(笑)。

涼木:耕治さん可愛いんですよ。広島で一緒にお昼ご飯に行かせてもらったんですけど、耕治さんはカレー南蛮を食べながら「なんで俺、ライブ前に白い服を着てカレー南蛮食ってるんやろね」って言っていて(笑)。気を付けて食べていたんですけど、本番前に「あかん、ズボンのほうに付いてる!」と(笑)。

全員:(笑)

涼木:上着のほうに集中し過ぎて、ズボンに付いているという(笑)。そういうチャーミングな一面を見ちゃうと、より愛おしく感じて、もう本当に最高ですよ。

生熊:大阪も前乗りで入って、defspiralのTAKAくんがちょうどいたから一緒に飯に行ったんですよ。あれも楽しかったよね。

涼木:普通に紹介してくださるところもすごいなと思うんですよね。

生熊:聡が変な子だったら紹介しないけど(笑)。

涼木:よかった(笑)。つくづく、耕治さん周りのアーティストの方って素敵な方しかいないなと思いました。

生熊:いや、変な人もいっぱいいるよ(笑)。紹介してほしかったらするけど(笑)。

涼木:なんで僕があえて「変な人紹介してください」って言うんですか(笑)。

生熊:刺激がいる時(笑)。「ちょっと刺激物が欲しいんですよねぇ」って(笑)。

◆初めは、俺にとってギターは自分を守るための武器だった(生熊耕治)

生熊耕治

――お二人の共通点をいくつか見つけたのですが、生熊さんのソロ名義の活動スタートとYetiの結成がどちらも2012年で。お二人にとっての音楽人生の大きな転換期が同じ年だったんだなと。

生熊:あ、そうなんやね。もう6年経つのかぁ。

涼木:僕も今そう思いました。感慨深いです。これはあの…、MCのネタに使えますね(笑)。

生熊:「やっぱりスタート地点が一緒やったから」って(笑)。

――(笑)。そして、お二人ともヴィジュアル系シーンを経ていて、現在でもその頃の交友関係が続いていますよね。

生熊:確かに。俺、若い頃は髪の毛が腰まであったし、網タイツ履いてましたからね。

涼木:その網タイツは今どこに?

生熊:そりゃ捨ててるやろ(笑)。

涼木:えー、思い出の品ないんですか。僕、変化していくアーティストってカッコいいと思っていて。しかも、耕治さんは元々ギタリストじゃないですか。

生熊:今もギタリストやけど(笑)。

涼木:僕の中では、耕治さんの印象はシンガーなんですよ。ギタリストの面ももちろん大好きですけど、もし僕が耕治さんのライブの夢を見たとしたら、耕治さんは確実に歌ってますもん。思考や発言も、僕からは最早ギタリストには見えていなくて。

生熊:ギタリストもいろんな人がいて、プレイヤーに特化して、とにかく演奏が素晴らしいというスタイルで生きている人もいる。俺の場合は自分のスタイルは明確にあるんだけど、cuneのヴォーカルが脱退したというのもあって、歌おうと決めていたんだよね。

涼木:僕は中1でギターを手に入れてバンドを始めたんですけど、当時、活躍していたバンドって早咲きの方々ばかりだったんですよね。だから、早咲きできなかったら才能がないってことだと思い込んでいたんです。いざ始めたらあっという間に二十歳になりました。だから今、延長戦です(笑)。

生熊:その気持ちわかる。俺も『ノストラダムスの大予言』で死ぬと思ってたから(笑)。そこから先は延長戦で、生かしていただいているぐらいの感覚(笑)。

――(笑)。涼木さんは最初にギターを手にしたんですね。

涼木:バンドの音楽は大好きだったんですけど、ギタリストにばかり目が行っていました。ギターが好きなんですよね。リズムが弾けて、とんでもないような爆音も出せて、艶っぽい、沁みるようなこともできて、僕にとっては魔法木箱みたいな感じ。あれだけ七変化する音が出せる楽器って、なかなかないですよね。

生熊:シンセサイザーくらいかもな。

涼木:特にソングライティングするアーティストへの憧れが強くて、俺もバンドやって、曲を書いて、印税もらって、一軒家建てるんだい!みたいな。そんな軽い気持ちでバンドを始めたら、いつの間にかそれ以外の夢は見られなくなりました。

――それだけギターが好きだから、生熊さんと通じ合うのかもしれないですね。

涼木:よく楽屋で耕治さんがすごく難解なコードを弾くので、「今のどうやって押さえるんすか!?」って教わったりしていて。いつもそういうお土産付きなんですよ。

生熊:「Emaj7って他にどういう弾き方がありますか?」とか聞いてくるんですよ(笑)。俺はセコ技が大事やと言うんです。とにかく楽してカッコいい音を出す。

涼木:上手く弾くんじゃなく、上手く見せる、聴かせるテクニックが必要だって耕治さん言いますもんね。

――生熊さんはcuneのこともあって歌い始めたわけですが、涼木さんはなぜ歌うことになったんですか?

涼木:15歳の時にやったバンドで、ライブの前日にヴォーカルが原付きで事故って…

生熊:「15の夜」やん。

涼木:そうなんですよね(笑)。曲は僕が作っていたので、弾きながら歌ったら一応乗り越えられるなと。そしたら「俺がいなくてもライブができるんだったら、もういい」とヴォーカルに言われて、気付いたら僕はギターを置き、ギタリストを他に探し、20代半ばまではハンドマイクだけで歌っていました。なので、きっかけは「15の夜」です(笑)。耕治さんが音楽に踏み入れたきっかけは何ですか?

生熊:俺らの時代ってヤンキー=バンドだったんだよね。喧嘩が強かったらギターを弾いていなかったかもしれない。俺、こういう身なりだからヤンキーに目を付けられて、よく校舎の裏に呼び出されてボコられたりしていたんだけど、負けたくないから、勝手にギターが上手くなっていったんだよね。喧嘩で勝てないのはわかっていたから、ギターが上手ければ誰も文句を言ってこないだろうと思って。それで案の定、いじめられることはなくなった。だから初めは、俺にとってギターは自分を守るための武器だった。

涼木:それも妙なきっかけですね。

生熊:好きだったからというのはもちろんあるけど。ただ、ギターだったら誰にも負けへんっていう自信はあった。それが中学の時で、高校も引き続きバンドブームで、ヤンキーから「ギター教えてよ」って言われて教えていたら、ヤンキーからもリスペクトされだして、変なもんだよね。

涼木:スパイシーな話ですね。でもちょっと思うのは、もっと感受性豊かな経験をして文章もいっぱい読んで、良い少年時代を過ごせれば、今もっと良い曲を書けたかもしれないなと。

生熊:もっといろんな景色を見たり、いろんな場所に行けば良かったなとは思う。子供の頃に見たり聞いたりしたものって、今もすごく残っているから。

涼木:耕治さんの「Reminder」(2018年8月発売のアコースティックアルバム『MONOLOGUE』収録)という楽曲を、完パケ前に聴かせていただいたんです。ファンの方よりも早く聴けたんですよ! ここ強調しておいてください(笑)。耕治さんの人間像がそのまま投影されている歌詞、曲の雰囲気で、聴くたびに泣きそうになるし、マジですげーカッコいいです。…好みです。本当に。

生熊:(笑)

涼木:耕治さんって、泥臭いロックンロールのギターリフやダーティーな歪みとか、エグいのを使ったりするんですけど、意外とアンビエントなシンセサイザーの音色とかも好きですよね。

生熊:単純に音楽が好きなんよね。ミーハーだと思う。

涼木:ジャンルの壁なんて取っ払っていますよね。

生熊:俺はね。今日、スタッフの人が、フランスのジャズは聴きやすいけどドイツのジャズは聴きにくいみたいな話をしていて、そんなの聴き比べたことがないわと思って。ジャズって一括りにしがちだけど、音楽人としてもっと勉強しなきゃいけないことってあるなと。そういうのって面白いよね。聡も過去の有名な曲を自分のフィルターを通して自分なりに解釈して、今のYetiの曲に投影させているのは良いことだと思うし。

涼木:若い頃ド派手なバンドをやっていて、華々しく花道の先端でギターソロを弾くロックスターに憧れていたんですけど、今の僕はスポットライト一つでアコースティックで歌っていたりもする。でも、僕にとってのロックスター像というのは一生変わらないと思うんです。2012年にYetiを始めて、人に伝わりやすいポップな楽曲をやっていくんだと、最初はそこに固執していたんですけど、最近はこのルーツも餌にして昇華したほうが、面白い曲を作れたり、ライブパフォーマンスもできるんだろうなと思って。

――『ハウル』(2017年5月発売のミニアルバム)、『アンチテーゼ』(2016年9月発売のフルアルバム)を聴いて、Yetiもジャンルレスだなと思いました。

生熊:まだまだ出し切れてないものたくさんあるでしょ。

涼木:まだ自分の全部の引き出しを開けてないですね。

生熊:それだね。聡は引き出しがいっぱいあると思う。

涼木:でも、苦手なジャンルもあるんですよ。

生熊:俺、ないんだよね。ギターのプレイの話だと、スウィープ奏法一つにしても、面白く解釈すれば面白く使えるやん。どこを切り取るかだけの話だから。俺は、それがポップスやと思うんだよね。

涼木:なるほど。

生熊:ヴァン・ヘイレンのライトハンド奏法をスピッツと混ぜたらどんな感じになるやろうとか。それでcuneの「流れ星」とかができているんだよね。オクターヴ奏法は元々ジャズの奏法らしいけど、それをロックに引用したり、トリルもクラシックの奏法だけど、ベースでやったりする。そういう切り取り方が、新しい音楽を作っているんだと思うんです。だから、聡が作る音楽がまた新しい時代、ジャンルを切り拓く可能性はあるやろうね。それが楽しいよね、音楽って。

◆類は友を呼ぶ、くらいの予感が(涼木聡)

涼木聡

――今、12月リリース予定のYetiのニューミニアルバムを絶賛制作中とのことで。

涼木:そうなんです。作る行為って好きで、0から100という欲張ったことではなく、一つひとつ0を1に、とやっていくうちに、気付いたら100になっていると思うんですよね。作っている最中は辛いなんて思わないし、時間なんて忘れちゃうんですけど、作らなきゃと思ってしまったら辛いんですよ。締め切りとなると「あーー…」って…。

生熊:締め切り大っ嫌い。だから巻きでやってしまうんだよね。

涼木:僕は頭を下げて延ばしてもらうタイプです(笑)。余程のことがあれば厳守しますけど、大概、円滑に進むためにはこの時間っていう設定じゃないですか。

生熊:巻くと楽だよ。

涼木:できないんすよー。巻いたら巻いたで、もう1回突き詰めたくなっちゃうので。良い曲できた、寝よう、起きてもう1回聴いて、うわダメだーっていうのが多いんです。

生熊:まぁ、わからんでもない。

涼木:深夜にやる作業が大好きなんですよ。深夜3時くらいがMAX感受性豊かになっていて。それを耕治さんに言ったら「それはあかん。男は朝日を浴びろ」って言われました(笑)。

生熊:でも俺も今の生活スタイルに変えたのは30代後半くらいやで。夜は諦めが肝心。俺はお酒を飲んだら、制作はあまりしない。

涼木:晩酌したら、もう1回作業デスクに戻ることはしないですか。

生熊:歌詞は見るな。酔っている時のほうが言葉が出ることが多くて。でもあまりそれをやると癖になるからやめようと思って。飲まないと書けないとはなりたくないから、午前中に書いて夜に見直したりはする。持ち越すことも大事やからね。だから巻きでやったほうがいいってこと。

涼木:なるほど、余裕を持って。

生熊:これ何の話やねん(笑)。

――(笑)。生熊さんはYetiの曲で好きな曲はありますか?

生熊:そんなに聴き込んではいないからなぁ。「皇帝ペンギン」とかは…

涼木:それは前のバンドの曲ですね。弾き語りの時に、Yetiと前のバンドの曲を織り交ぜてやらせてもらっているんですよ。

生熊:そうなんや。あの曲の物の見方の尺度、言葉の選び方は俺にはできないし、ペンギンをモチーフに俺が書いたとしてもああいう書き方にはならないんだよね。自分にはないフィルターを持っているから、そういう角度で考えることもできるんやなぁって思う。聡ならではの視点で、刺激になりますね。

涼木:何をテーマにして歌うかとか、歌詞によってバラードにもロックにもなるので、選ぶ言葉は楽曲の比重がすごく大きいと思うんですよね。真似しようと思ってもできないし、人それぞれ違うものだなと。

生熊:あ、〈行く当てはないけど〉ってやつ…

涼木:「Tomorrow land」(『アンチテーゼ』収録)ですね。

生熊:めちゃくちゃいい曲やなと思う。少年が旅立つ絵が浮かぶんだよね。聡の曲って、絵が浮かぶからいいなと思う。

涼木:嬉しいっすね。今夜はぐっすり眠れそうだなぁ。それにしても、今日は共通点をピックアップして教えていただけるなんて思わなかったので、嬉しかったです。今後のMCが盛り上がりますね。

――11月に「TWO PEACE」の札幌公演が決定していますが、その前に生熊さんのバンドスタイルのツアー「LIVE HOUSE TOUR 2018『VORTEX』」の10月27日名古屋R.A.D、11月4日 TSUTAYA O-CrestにYetiも出演します。

涼木:めちゃめちゃ有り難いことなんですけど、当たり前のように「Yeti出るでしょ?」とお誘いいただいて、メンバーも喜んでいます。何としてでも盛り上げて良い空間を作って、「バンドでもちゃんと経験を生かしてるな」と言ってもらえるように、耕治さんに見せるつもりで頑張りたいなと真剣に思っています。

生熊:そんな上から目線ないよ(笑)。

――セットリストのイメージはありますか?

涼木:やっぱり悩みますよねー! 耕治さんは甘口、中辛、辛口、全部あるので、どこで来るかなっていう。

生熊:タイトルに付けている「VORTEX」は渦という意味があるんですけど、ごっちゃ混ぜになって発信する何かがあると思うので、各々の良さが際立ってくれればなと。俺はまだセットリストを悩んでいます。

涼木:こうなったら「Reminder」やってほしいですけど。

生熊:いやー、どうやろな。せっかくだからバンドとして出来ることをやりたいというのもあって。

涼木:なるほど。耕治さんバンドは何が出てくるかわからないハラハラ感が大好きです。

生熊:新プロジェクト“BLUEVINE”始動に向けて絶賛レコーディングをしている最中ですけど、それがあるので個人名義のバンドとしてやるのは今後結構時間が空きそうなんです。そういう意味では自分の中ではケジメのツアーで、やりたいことをやり切って次に行きたくて。次に繋がる出し切り方をしたいから、めっちゃ考えていますね。

涼木:スリーピースって、全員が全員しっかりしていないと成り立たないグルーヴだと思うんです。耕治さんバンドって、3人の出音じゃないような音が出ますよね。

生熊:それはそうかもね。赤松と亜季ちゃんのお陰で自由にやらせてもらっています。今回のツアーはYetiがよく対バンしている子や、最近ヴィジュアル系からJ-ROCK、J-POP系に移行しようとしている子たちも出てくれるから、また新しいものが生まれそうだなと。東京は結果、面白いことになりそうやし、結構ガチンコみたいな感じになるかもね。

涼木:類は友を呼ぶ、くらいの予感が。楽しみですね。

(文・金多賀歩美)

【生熊耕治×涼木聡 リリース情報】

生熊耕治×涼木聡『TWO PEACE
ライブ会場限定販売

TWO PEACE
¥2,000(税込)

【収録曲】

01. limiter/涼木聡
02. cheese/涼木聡
03. 熱風レインボー/生熊耕治
04. GRACEFUL PARANOIA/生熊耕治

【生熊耕治×涼木聡 ライブ情報】

生熊耕治×涼木聡 Acoustic Tour『TWO PEACE』
11月9日(金)札幌 円山夜想
11月10日(土)札幌 musica hall cafe

ARTIST PROFILE

生熊耕治

<プロフィール>

2002年、cuneのギタリストとしてシングル『リフレイン』でメジャーデビュー。2006年の活動休止を経て、2010年に再始動、現在はヴォーカル&ギターを担う。2012年、ソロ名義で活動開始。音源リリース、ライブ活動を精力的に展開し、近年ではアコースティックライブ、黒田倫弘とのカップリングツアー、田澤孝介との47都道府県ツアーなど、様々なステージを繰り広げている。2017年9月、1stフルアルバム『12-Twelve-』でソロアーティストとしてもメジャーデビュー。2018年8月、会場限定アコースティックアルバム第2弾『MONOLOGUE』(黒盤)をリリース。今秋には亜季(B)、赤松芳朋(Dr)との新プロジェクト“BLUEVINE”の始動が決定している。

■生熊耕治 オフィシャルサイト
https://kouji-ikuma.amebaownd.com/

■cune オフィシャルサイト
http://cune-official.com/

【リリース情報】

MONOLOGUE
ライブ会場限定販売

MONOLOGUE
SSDG-0004
¥2,000(税込)

【収録曲】

01. Reminder
02. Mr.ベンダー
03. MIDNIGHT RAIN
04. 荒野へ
05. ひとつ

【ライブ情報】

●LIVE HOUSE TOUR 2018『VORTEX』
10月14日(日)大阪2nd LINE
出演:生熊耕治、Dr.UNDY、Refrain Refrain、tenoto、高高-takataka-
10月27日(土)名古屋R.A.D
出演:生熊耕治、森翼、Initial’L、Yeti
11月4日(日)渋谷TSUTAYA O-Crest
出演:生熊耕治、Yeti、Flutter Echo、since i RE:MADE

●「master+mind ~acoustic mind #15~」
10月30日(火)渋谷LOFT HEAVEN
出演:生熊耕治、高木フトシ、緋村剛

●生熊耕治×黒田倫弘ぶらり旅2018「黒生」~福岡・天神の夜編~
11月2日(金)福岡brick

●生熊耕治×黒田倫弘ぶらり旅2018「黒生」~北海道・狸小路の路地裏で編~
11月10日(土)札幌 musica hall cafe

●生熊耕治×黒田倫弘ぶらり旅2018「黒生」~北海道・円山裏参道にて編~
11月11日(日)札幌 円山夜想
ゲスト:涼木聡(Yeti)

ARTIST PROFILE

涼木聡(Yeti)

<プロフィール>

涼木聡(Vo&G)、沢村英樹(G)、Bikkey(B)、多村直紀(Dr)から成るロックバンドYetiのヴォーカリスト&ギタリスト。幅広いジャンルを取り入れた音楽性の高さと柔軟性、涼木の特徴的な歌声とバンドの持つ独特な世界観で、唯一無二の存在として人気を集める。2017年5月、6thミニアルバム『ハウル』をリリースし、全国ツアーを展開。12月には渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて5周年記念ライブを成功に収めた。2018年12月にニューミニアルバム『宇宙人』をリリース、2019年1~2月に東名阪ワンマンを行うことが決定している。

■Yeti オフィシャルサイト
http://yeti-web.jp/

【リリース情報】

宇宙人
2018年12月発売予定

【ライブ情報】

●Yeti Presents LIVE 2018「Birthday」#2
10月15日(月)渋谷DESEO
出演:Yeti、NON’SHEEP、Migimimi sleep tight

●「ハピコレ!!vol.187」
10月18日(木)六本木morph-tokyo
出演:Yeti、The LADYBIRD、ACT ONE AGE、村上ユウタ…and more

●「CoolRunnings presents 2MAN SERIES!! ONE ON ONE Vol.15 "CoolRunnings vs Yeti"」
10月21日(日)渋谷RUIDO K2

●LIVE HOUSE TOUR 2018『VORTEX』
10月27日(土)名古屋R.A.D
出演:生熊耕治、森翼、Initial’L、Yeti
11月4日(日)渋谷TSUTAYA O-Crest
出演:生熊耕治、Yeti、Flutter Echo、since i RE:MADE

●Yeti Presents LIVE 2018「Birthday」#3
11月13日(火)高田馬場CLUB PHASE

●「Yeti X’mas Special ONEMAN LIVE 2018」
12月22日(土)吉祥寺SHUFFLE

●「Yeti ONEMAN TOUR」
2019年
1月18日(金)大阪2nd LINE
1月19日(土)名古屋SiX-DOG
2月8日(金)渋谷 Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE