インタビュー

D

D

Dが生み出した最高傑作。夢が詰まった「アリス」3部作の最終章『Wonderland Savior』の全貌に迫る!

2015年に発表した『HAPPY UNBIRTHDAY』『MASTER KEY』のシングル2作を経て、「アリス」をコンセプトに掲げた3部作の最終章となるアルバム『Wonderland Savior』がついに完成した。「アリスをテーマにしたアルバムでこの作品に勝てる人はいない」とASAGI(Vo)が自負する通り、アリス×スチームパンクという世界観に沿った様々なストーリーを軸にしながら、楽曲、サウンド、歌詞、あらゆる面でこだわり抜いた渾身の一作について、Dの5人にたっぷりと語ってもらった。

◆チャレンジできて良かった(Tsunehito)

――ついにアリス3部作の最終章がリリースとなります。音源を聴いているだけで、物語を見ているような感覚になりました。曲順はスムーズに決まったのでしょうか?

ASAGI:ギリギリまで相当悩んで、明日の何時までに確定させなきゃいけないという状況になったよね(笑)。

HIDE-ZOU:入稿の締め切りの関係もあったりしてですね…。

ASAGI:全員で案を出し合ったのを俺がまとめて、プロデューサーの岡野さんと相談しながら最終的に決まったんですけど、完璧な曲順になったなと思います。

――1曲目「Dream in Dream」はインストで、まさに物語のオープニングという雰囲気です。

ASAGI:元々「月影の自鳴琴」のオーバーチュア(序曲)だったんですけど、歌が入ってくるまで結構長いから、トラックを分けたほうがいいんじゃないかということから、こうなりました。なので、元々は「Dream in Dream」と「月影の自鳴琴」は1曲だったんです。「月影の自鳴琴」は過去を振り返っているような感じなんですけど、夢が溢れていた時代を思い起こしているようなオーバーチュアにしてほしいとシンセの方にオーダーして、こういうものが上がってきたので、すごく満足しています。分数が短いとはいえ、Dが描くこれまでのアリスの世界観の流れを細かくお伝えしましたね。

――今作ではASAGIさん、Ruizaさん、Tsunehitoさんが作曲していますが、デモ段階での作り込み度合いにそれぞれ違いはありますか?

Tsunehito:大体、構成は作り込んで、同期やシンセの音も自分で考えられることは全部入れてデモを皆に渡すんですけど、今回の「七色革命」は最初自分が出したデモから岡野さんと相談しながら構成の入れ替えも試したりして。今まで自分の曲でそういうことを試したことはなかったので、チャレンジできて良かったなと思います。

Ruiza:デモを出す段階で、できる限り考えて作るようにはしていますね。各パートはこういう動きをしたいなというのは一応入れるんですけど、もちろん各メンバーの思いや考えたフレーズを入れてもらいたいので、そのきっかけとなる、こういうことがやりたいんだというものが伝わるものを入れるようにしますね。

ASAGI:メロディはもちろんきっちり作り込みますけど、曲のポイントになる部分、リフやリズムもそうですけど、この曲はこういう風にしたいなという部分はしっかり固めて、それ以外は皆に任せるという感じですね。

――曲のバリエーションは様々ですが、どれもメロが綺麗だなという印象が強くて。

ASAGI:とにかくメロディありきで考えるので、レコーディングにしてもDの場合は歌を先に録って周りを固めていくという場合が多いです。歌の表情に合わせて他を考えるという。

――それは珍しいパターンですね。

ASAGI:普通は大体仕上がってから最後に歌を入れますよね。Dは世界観を最重要視しているので、鍵盤では表せないような歌の表情だったり、歌詞に合わせた歌い方みたいなものがすごく特殊だと思うんです。だからそれを皆に感じてもらって、そこから演奏を決めていくほうが、Dのスタンスとしてすごく合っているのかなと。

――なるほど。前回、ハサミの音をTsunehitoさんが機材マイクで録ったというお話がありましたが、今作ではそういうものはありますか?

ASAGI:今回はなかったですけど、音選びに全部意味を持たせていて、例えば「Keep a secret ~帽子屋の憂鬱~」は、帽子屋だからミシンをイメージするようなブレイクビーツを入れたいなとか。あとは曲によってはヴォーカルを加工したり、色んな音が入っていたり。

Ruiza:「水たまりの空 ~ドードー飛行記~」でエレクトリックシタールを入れましたね。

HIDE-ZOU:キランとした音とか、自分的には特殊なエフェクターや様々なギターを試させてもらいました。

Ruiza:「海王鯨島 亀毛海浜夢珠工場」は本物のクジラの声が入っています。

ASAGI:歌詞に合わせてクジラの声を入れたかったんです。

――そうなんですね。以前撮影のことをお話いただきましたが、今回、「Wonderland Savior ~太陽と月の歯車~」のMVをフル尺で見て、改めて本当に豪華ですね。

ASAGI:アリスとグランマはもちろん、武器屋、防具屋、道具屋も出てもらいたいなと思ったのと、敵役の魔女とカニ…、盛りだくさんですね。

HIROKI:撮影現場は皆さんすごく和気藹々としていましたよ。

ASAGI:夢の中の世界で悪役の魔女が、実はアリスの母親だったというのが今回のエンディングなんですけど、最終的に家族間の溝が埋まり、絆が深まるというラストシーンにしたいなと思って、夢を見られなくなった母親を救うアリスとグランマ…というイメージです。

――なるほど。前半のほうでASAGIさんがニンジンをかじるシーンがありますよね。

ASAGI:ニンジンをかじってパワーアップするところですね(笑)。

HIROKI:戦闘モードに(笑)。

――(笑)。あれは一発OKですか?

ASAGI:カメラを回す前に何度かかじってみて、本番では一発OKです(笑)!

◆最初は「なんだ、これは!?」とビックリした(Ruiza)

――「Keep a secret ~帽子屋の憂鬱~」は重いイントロから始まって、サビとのギャップがありますね。

ASAGI:帽子屋が秘密を抱えているという曲なんですけど、自分なりのストーリーを考えたんですよね。帽子屋ならではの秘密って何だろうと考えた時に、時計ウサギの帽子を作る時に頭にツノが生えているのを見てしまって、ただの時計ウサギではなくてジャッカロープだったという秘密を知ってしまい、それを隠しておかなきゃいけないと帽子屋は思うんです。ワンダーランドをDの世界では兎角國と言っているんですけど、兎角國は有り得ない国という意味なので、帽子屋はウサギにツノがあるなんてことは有り得ないと思って、その秘密が漏れてしまったら国がパニックに陥ってしまうんじゃないかと、一人で抱え込んでしまって、お酒に溺れる。もし自分が漏らしてしまったとしても「あいつは狂ってるから、またおかしなこと言ってるな」と思われるように、普段から奇行を繰り返して。周りからは狂っていると思われているけど、実は正気で。国のことを思って、自分一人で秘密を抱えて憂鬱になっているというイメージの曲で、本人はすごく重く捉えているから、重いイントロで始まるんです。けど、時計ウサギはツノが生えているということを全く秘密にしているつもりはなかったというオチですが(笑)。

HIROKI:普通ですけど?って(笑)。

全員:(笑)

ASAGI:有り得ないことが起こって当たり前なんだよっていう意味で、全く秘密にしてるつもりはなかったんですけど、いつも帽子をかぶっているから皆気付いていなくて、帽子屋だけがそれを知っているんだと思い込んでしまって、すごく苦しんで、狂ったフリをするという。

――ASAGIさんが考えた物語のコンセプトは、制作中に皆さんにお話するんですか?

ASAGI:事細かに歌詞と一緒に伝えます。

HIDE-ZOU:曲の持っている背景やイメージがあるから、より入り込んで作れるというか。今までの楽曲から繋がっている部分もあったりするのが、すごく驚かされるし感動します。その感動をどう表現するかというのが重要ですね。今回特に色々なアリスの世界観の中で、物語がどんどん増えていくので、それを構築していく作業の楽しさをすごく感じた制作でした。

――「海王鯨島 亀毛海浜夢珠工場」は特にインパクトのあるタイトルですね。作曲者のRuizaさんとしてはこのタイトルを聞いた時、いかがでしたか?

Ruiza:歌詞とタイトルを同時にもらって、最初は「なんだ、これは!?」とビックリしましたけど、絶対これになるべき世界観なのであろうと思って読んだら、納得でしたね。すごいなぁと思いました。

――今作では至るところに動物が登場するのがASAGIさんらしいなと。猫率高めですよね(笑)。

ASAGI:今回本当に猫率高くて(笑)。チェシャ猫の曲を書こうと思って、アイディアが5~6曲分くらいあったんですよ。どう絞っていこうかすごく悩みました。さすがにアルバムの半分猫が占めていたらマズイなと思って(笑)。

――それはもはや猫のコンセプトアルバムですね(笑)。

ASAGI:最終的に「Psychedelic Horror Show」と「フューシャピンクとフランボワーズの鍵盤」、あと「シュレディンガーの夢遊猫とジャッカロープの杖」はチェシャ猫にまたがった時計ウサギという部分もあるので、絞って3曲ですね。

――「フューシャピンクとフランボワーズの鍵盤」ではコーラスで〈ニャー〉も入っていつつ、楽曲自体かなり特徴のあるものに仕上がっていますが、まず頭の歌い出しの部分で音が後ろのほうから聴こえるようにしているのは、どのようなイメージから?

ASAGI:仮タイトルが「猫ふんじゃった」だったんですよ。最初は猫とピアノのイメージがあって、ピアノって白と黒じゃないですか。それがチェシャ猫のピンクと紫のイメージで曲を作ったらどうだろうというところから作っていきました。だからピアノで始まろうと思ったんですけど、随所にピアノは散りばめられていてフィーチャーされているから、頭は「猫ふんじゃった」を捩ったような始まり方でもいいんじゃないか、と岡野さんからアイディアがありまして。さらに、歌い出しのフレーズをバックに、学校の教室で歌っているような雰囲気はどうだろうという話になり、ああいう形になりました。

――コーラスの〈ニャー〉の録りはスムーズに(笑)?

HIDE-ZOU:結構録りましたね。〈ニャー〉と〈オイ〉と〈ヘイ〉を録ったんですけど、ランダムで散りばめて…。

HIROKI:ここにはどれがハマりがいいだろうと三つ試して、散りばめていったんです(笑)。

ASAGI:〈ヘイ〉〈オイ〉〈ニャー〉、〈オイ〉〈ニャー〉〈ヘイ〉、どうなったら一番バラバラになるんだろうっていうやり取りをしていて、HIDE-ZOUくんが出してきたのと俺のが違って、やっぱこうじゃない?ってやっていたら、だんだんわけがわからなくなってきて(笑)。

HIROKI:どれが正しいのか(笑)。

HIDE-ZOU : 最終的にはASAGIさんの案で決まりましたね。もっとも自然なランダム具合(笑)。

ASAGI:アリスの世界だから変なほうが面白いと思って、歌詞にも〈変なの〉って出てきます。コーラスはお客さんにやってほしい部分でもあるんですけど、あの通りやってほしいとは言わないので、自由に〈ヘイ〉でも〈オイ〉でも〈ニャー〉でも言ってもらえれば(笑)。

――それはライブでの楽しみの一つですね。

ASAGI:色々と入り交じるのが面白いかなと。既にライブでやっていて、チェシャ猫しっぽペンライトというピンクと紫の縞になったペンライトも使うんですよ。それを持って〈ヘイ〉とか〈ニャー〉とか言うので、大盛り上がりですよ。「Psychedelic Horror Show」でも使うんですけどね。

――ASAGIさんの〈Meow! Delicious!〉から始まる曲ですね。

ASAGI:あれは10回くらい録ったんじゃないかな(笑)。

◆これは速いです!(HIROKI)

――Tsunehitoさん作曲の「Egg Supremacism」はイントロのデジタルな雰囲気が印象的ですが、デモの段階からこういうイメージだったんですか?

Tsunehito:そうですね。アルバムの曲作りの最初のほうに出した曲だったんですけど、イメージとして近未来的な音とレトロな音の合わさりを意識していたので、いわゆるシンセっぽいデジタルな音とアコーディオンを歪ませた音を入れてます。実際に入れているのは打ち込みの音なんですけど、アコーディオンって人力で奏でる楽器なのでレトロなニュアンスがありますし、それを活かしてイントロから曲の雰囲気をしっかり出せるように意識しましたね。

――ここにはハンプティ・ダンプティが出てきますね。

ASAGI:今作はアリス×スチームパンクというイメージが最初からあったので、音作りも歯車や時計とか様々な音が入っていますけど、この曲を聴いた時に、研究室みたいなところに稀覯本(※めったにない珍しい本)がズラーッと並んでいる中、ハンプティ・ダンプティが卵の研究をしているようなイメージが浮かんだんですよね。自分自身のことを研究することに没頭して、卵の研究にのめりこんでいくという。なので、ハンプティ・ダンプティがスチームパンクファッションで研究している姿をイメージして作っていきました。

――そして「シュレディンガーの夢遊猫とジャッカロープの杖」ですが、第一印象、速いなと(笑)。

HIROKI:意外とゴリ押しできるテンポ感なんですよ(笑)。一番重く出せる感じです。

――Dの楽曲の中ではそんなに速いほうではないと。

HIROKI:体感的にはそんなに速くないですね。「Wonderland Savior ~太陽と月の歯車~」のほうが速く感じます。

――これと、「Underground Revolution ~反逆の旋律~」はライブで暴れられる曲ですよね。これもそんなに大変ではないですか…?

HIROKI:これは速いです(笑)!

Ruiza:素直(笑)。

HIROKI:Bメロ以外は結構速いです。サビはシンコペーションしているので、その着地点は気を付けつつ、Aメロも頭打ちは結構速いので、一音一音しっかり出すというのを気を付けながらやっています。ライブで既に披露しているんですけど、すごく盛り上がっていますね。

ASAGI:兎角國の始まりの歌なんです。暴君(ハートの女王)に反旗を翻し、自由を掴み取るという内容になっています。

――「水たまりの空 ~ドードー飛行記~」はシンプルな構成で美しいメロディのバラード曲です。ドードーというのは絶滅鳥類で、飛べない大きな鳥だそうですね。

ASAGI:飛べない鳥というのが僕の中でとても悲しいテーマだったんですよね。飛べないからこそ絶滅してしまったわけだし、大航海時代に繁栄のために人が島に侵略してきて、それまでは楽園で自由に暮らしていたドードーが殺されていったんです。飛べないとか、空に憧れるとか、ドードーの気持ちになってすごく悲しく切なくなって、その気持ちのままメロディを作って。ドードーを表現するにはこれ以上の表現はないなというところまで突き詰めることができました。最後の半音転調でフワッと上がるんですけど、夢の世界でドードーを自由に飛ばせてあげたいという思いを、そこで表現できたのが一番嬉しかったですね。ピアノとシンセはソロ(ASAGI solo works)でもお世話になった藤原いくろうさんに協力してもらったのですが、色々と嬉しいお言葉をいただきました。

――じっくり歌詞を読みながら聴いてほしいですね。そして初回盤ラストはTsunehitoさん作曲の「七色革命」ですが、特にこの曲はベースがメロディアスで動きのあるフレーズですね。

Tsunehito:ベースフレーズはデモを作っている時に大体イメージはあるんですけど、最初にほとんど決めている場合と、アレンジを進めていって大きく変える場合もあって。この曲は最初はもうちょっと動きを抑えていた感じだったんですけど、最終的には躍動感がある形になりましたね。この曲は、傷つきながら切り開いて前に進んでいく、そして最後の最後、歌の一音のところの場面で一番光が差し込んでくるというイメージだったので、そこの音の転調の仕方、どこの音にいくかというのをASAGIさんに色々と試してもらって完成しました。

◆自分の中での限界を超える(HIDE-ZOU)

――どの楽曲もギターソロがしっかりと入っていますが、Dではやはりギターソロはあるのが前提ですか?

Ruiza:世界観の一部というか、あるとないとでは随分と違うと思うので、僕的には、Dにはあってすごく自然ですね。

HIDE-ZOU:曲によって必要であれば入れるべきですし。やっぱり自分はギタリストなのでギターソロの必要理由を考えるし、あったほうが好きですけど。今後どういう作品になっていくのかということによりますよね。ベースソロ、ドラムソロもあるだろうし、その時にギターはどういうアプローチをすればいいのか考える。こうじゃなきゃいけないというのは、あまりないですね。

――今作はリード曲を中心に置いて、テーマありきで制作を進めているということでしたよね。

ASAGI:最初は10曲~11曲の予定だったんですけど、時間が許す限り最大限の曲を詰め込みたいなという思いがあって、一切妥協せずに限界まで曲を増やしました。

――確かに、14曲は多いですよね。

ASAGI:「シュレディンガーの夢遊猫とジャッカロープの杖」と「Underground Revolution ~反逆の旋律~」を最後に出したんですけど、今回、ツアーを回りながらの制作だったので、リアルタイムでライブ感を感じている中で、アルバムとして最高の形を作るにはどうしたらいいかと考え続けた結果、ライブ感ある曲を入れたいと思ってできたのがこの2曲だったんです。ツアーを回りながらの制作は本当に大変なんですけど、それをプラスに変えたというのが良かったなと。アルバムの中でも重要な立ち位置になりますし、ライブでもその威力を発揮できる曲になったので、頑張って追加して良かったなと思います。

――今回のレコーディングで新たに挑戦したこと、印象に残っていることなどを教えてください。

Ruiza:僕は先ほど言ったエレクトリックシタールを使ったり、「水たまりの空 ~ドードー飛行記~」と「月影の自鳴琴」は全編アコースティックギターだったり。アコースティックギターなんですけど、エフェクターを駆使して色々と表情を変えている箇所もありますね。

ASAGI:全曲その曲にしかない言葉選び、もしくは今ある日本語の中で自分の世界を表現できないものは造語にしてみたり、歌の表情含め、とにかく細部までこだわり尽くしました。メロディにしてもアリスの世界は摩訶不思議な世界だから、理論とか何も考えずにイメージだけで変なものを作ってみたらどうなんだろうと思って作ったのが「フューシャピンクとフランボワーズの鍵盤」だったり。半音で動いていくというのが変な猫のイメージにしっくり来たというか。そこに辿り着くまで、すごく時間が掛かったり苦しんだりしたんですけど、アリス×スチームパンクというテーマでやっていた中で、自分ならではの表現をやり尽くしたなという達成感はすごくありますね。

――ちなみに、この楽曲の〈ボーカルフライドポテト〉とは…(笑)?

ASAGI:(笑)。言葉遊びもやりたくて、〈EAT ME! DRINK ME! 〉に合わせて食べ物や飲み物を入れたいなと思ったんですよね。グリッサンドとサンドウィッチをかけて〈グリッサンドウィッチ〉という歌詞から始まって、もっと音楽用語を織り交ぜて食べ物になるような変な歌詞ないかなと考えた時に、ボーカルフライという声の出し方があるので、じゃあフライドポテトだ、みたいな(笑)。で、その後の〈EAT ME! DRINK ME! PLAY ME!〉の部分はボーカルフライ(エッジボイス)なんですよね。

――なるほど(笑)! 皆さんはいかがですか?

HIDE-ZOU:色々な部分で達成感がありました。音に関しても色々と試させてもらったし、録り音も色々な比較ができたので、その曲が求める音やフレーズの違いとか、細かい部分のこだわりにすごく時間を掛けられました。自分の中での限界を超えるという意味では、テンポ240のダウンピッキングを完成させたという。今まで220が最高で、それが人間の限界なんだろうなと思っていたんですけど、それは人間の限界じゃなくてただ自分の限界だったんですよね。やればできるということを感じましたね。でも、それで満足じゃないですよ。余計、もっとという気持ちになりました。今、240でダウンができる奴はそうはいないだろうと自負しています。

全員:(笑)

ASAGI:動画上げれば? あと、ダウンピッキングコンテストとか(笑)。

Ruiza:それ、ヤバ(笑)。

HIDE-ZOU:すげー奴がいるかもしれない(笑)。

ASAGI:その中で優勝して「やっぱ俺だな」って。

Tsunehito:リサーチしてからやったほうがいいですよ(笑)!

HIDE-ZOU:音の正確さも重要だからね。

ASAGI:岡野さんに審査員になってもらって(笑)。

HIDE-ZOU:ちょっとやってみたいな。僕が主催すればいいんですよね。

ASAGI:大トリね。

Ruiza:圧倒的じゃないとダメだよ(笑)。

HIROKI:全てをなかったことにするくらい圧倒的じゃないと(笑)。

――そして最後にDの皆さんでその240の楽曲「シュレディンガーの夢遊猫とジャッカロープの杖」を披露すると(笑)。

HIDE-ZOU:この曲はザクッとキマっているダウンピッキングでよりパワー感を出しているので、自信を持っています。

Tsunehito:このアルバムを通して、ベースのフレーズは曲によって音を減らしたり、逆に多く入れたりという押し引きが上手くできました。それによって曲がより入ってきやすくなったんじゃないかなというのもあるし、ライブでもう5曲やっているんですけど、音数が詰まっていないからこそリズムを支えられることもあるんだなというのも実感しています。音数が多いとゴチャゴチャした感じになってしまうこともあるので、曲中の場面によってベースの役割を見極めるということや、色々な感覚を掴み取れた作品になりました。

HIROKI:ドラムとしてもアルバム全体を通してビート感をすごく体感できるものになりましたし、歌のメロディが最大限活きるフレーズ、ビートにブラッシュアップできました。岡野さんと相談しつつ上手く昇華できたので、ライブで演奏していても伝えやすいですし、今まで通りテクニカルな要素もふんだんにあって、そういう部分でも聴き応え満載の作品になったので、音源も期待していてほしいですし、ライブでも感じてもらいたいです。

◆アリスをテーマにしたアルバムでこの作品に勝てる人はいない(ASAGI)

――11月3日から全国ツアーが始まり、ファイナルはサンリオピューロランドでのカウントダウンライブということで。

HIROKI:アルバムがリリースされてからのワンマンツアーなので、もちろん音源も聴いてくれていると思います。生でこそ感じられる楽曲の世界観もあると思いますので、期待していてほしいですね。カウントダウンはDとしても久々なので、2016年を僕たちと一緒に締め括りつつ、2017年の新たな旅立ちとして一緒に過ごせたらいいなと思っているので、ぜひお待ちしています。

Tsunehito:アルバムは最高傑作ができたのですごく満足ですし、早く聴いてもらいたいなと思います。アルバムメインのツアーになるので、ライブでもきちんと表現しきって、皆に楽しんでもらえるように頑張りたいのと、年末も前代未聞の試みなので、2016年の締め括りと2017年の良き幕開けになるようなライブにしたいと思います。

HIDE-ZOU:アルバムを引っさげてのツアーということで、手にしてくれた子たちの参加も多いと思うので、アルバムの世界観を音源として浸ってくれている楽しさと共に、ライブはいいなと感じてもらえるように、しっかり表現して僕らの魅力を出していきたいですし、改めてライブでしか体感できないものを目指していきたいです。今後の自分たちに繋げていければなと思います。

Ruiza:素晴らしいアルバムができたと思います。完成した時もすごく感動したしグッと来たんですけど、今何回聴いたかわからないくらい聴いて、自分たちでも楽しめるすごく良いアルバムになりました。そのアルバムのツアーなので、もちろん聴いてきてくれたら当然楽しめますし、そうじゃなくても楽しませる自信はあります。ライブでしか感じられないもの、一緒に作る楽しみとかたくさんあると思いますので、ぜひツアーに来てほしいです。

ASAGI:今回のアルバムはDとしてもヴォーカリストとしてもアーティストとしても、本当に納得のいく最高傑作ができたと思っています。アリスをテーマにしたアルバムでこの作品に勝てる人はいないんじゃないかなというところまで突き詰めることができた作品なので、とにかく早く聴いてもらいたいという気持ちでいっぱいです。夢が詰まったアルバムなので、なかなか夢を見ることができなくなっている時代の中で、少しでも夢を見ることの素晴らしさや大切さが伝わればいいなというのと、自分たちは実在しているんだと感じられるのはライブが一番だと思うので、兎にも角にもライブに来てもらってこの独特の世界観を感じてもらいたいです。また明日から頑張ろうと前向きな気持ちにさせられるような、元気を与えられるような、世界観に浸れるような、まさに七色の夢を見せられるようなライブをしていけたらいいなと思いますね。そういうアルバムを完成できたというのが何よりも誇りですし、それを引っさげてライブができるという幸せを噛み締めながら活動していければと思います。

(文・金多賀歩美)

ARTIST PROFILE

D

<プロフィール>

2003年4月、ASAGI(Vo)とRuiza(G)を中心に結成。2005年に現メンバーASAGI、Ruiza、HIDE-ZOU(G)、Tsunehito(B)、HIROKI(Dr)となる。世界観を重視したドラマ性を持った作品を次々に発表し、軒並みオリコンインディーズチャート1位を獲得。2008年5月、シングル『BIRTH』でavexからメジャーデビュー。2011年から独自活動を行い、世界10ヶ国のワールドツアーを決行。結成10周年を迎えた2013年、8月発表のシングル『Rosenstrauss』からVICTOR ENTERTAINMENTに移籍。2014年、47都道府県ツアーを終え、ASAGIの体調不良により活動休止。2015年夏、復活を果たし、『HAPPY UNBIRTHDAY』『MASTER KEY』と、「アリス」をコンセプトにしたシングル2作を発表した。2016年10月、「アリス」3部作の最終章となるアルバム『Wonderland Savior』をリリースし、11月より全国ツアーを開催する。

■オフィシャルサイト
http://www.d-gcr.com/

【CDデータ】

●『Wonderland Savior
2016年10月26日(水)発売
(CJ VICTOR ENTERTAINMENT)

Wonderland Savior
限定盤A-TYPE(CD+DVD)
VBZJ-28
¥3,900+税
amazon.co.jpで買う
Wonderland Savior
限定盤B-TYPE(CD+DVD)
VBZJ-29
¥3,900+税
amazon.co.jpで買う
Wonderland Savior
通常盤C-TYPE(CDのみ)
VBCJ-60004
¥3,000+税
amazon.co.jpで買う

【収録曲】

[CD]
01. Dream in Dream (Instrumental)
02. 月影の自鳴琴
03. Wonderland Savior ~太陽と月の歯車~
04. Keep a secret ~帽子屋の憂鬱~
05. 海王鯨島 亀毛海浜夢珠工場
06. フューシャピンクとフランボワーズの鍵盤
07. Egg Supremacism
08. HAPPY UNBIRTHDAY
09. シュレディンガーの夢遊猫とジャッカロープの杖
10. Psychedelic Horror Show
11. MASTER KEY
12. Underground Revolution ~反逆の旋律~
13. 水たまりの空 ~ドードー飛行記~
14. 七色革命
<通常盤ボーナストラック>
15. HAPPY UNBIRTHDAY (LIVE / WS TOUR "your voice" EDIT MIX)
16. MASTER KEY (LIVE / WS TOUR "your voice" EDIT MIX)
17. Wonderland Savior ~太陽と月の歯車~ (LIVE / WS TOUR "your voice" EDIT MIX)

[限定盤A:DVD]
01.「Wonderland Savior~太陽と月の歯車~」 MV
02.「Wonderland Savior~太陽と月の歯車~」 MV Making

[限定盤B:DVD]
13th Anniversary 「Mad Tea Party Vol.34」2016/4/15 EX THEATER ROPPONGIよりDのLIVE部分を収録

【ライブ情報】

●D TOUR 2016 「Wonderland Savior ~月の歯車~」
11月3日(木・祝)名古屋Electric Lady Land
11月6日(日)OSAKA MUSE
11月11日(金)新横浜NEW SIDE BEACH!!
11月13日(日)HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3
11月19日(土)仙台CLUB JUNK BOX
11月23日(水・祝)新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
11月26日(土)札幌cube garden
12月2日(金)福岡DRUM Be-1
12月4日(日)広島SECOND CRUTCH

●TOUR FINAL
D Produce “Mad Tea Party” カウントダウン ワンマン フェスティバル in サンリオピューロランド(貸切)
2016年12月31日(土)~2017年1月1日(日)
サンリオピューロランド・エンターテイメントホール