Crack6

Crack6

シリーズ第1弾、コンセプトシングル『カナリア』が完成。最後の愛、抗えない運命、繋いだ赤いリボン…カナリアの人生はどんな結末を迎えるのか――。

PENICILLIN千聖のソロプロジェクトCrack6が、コンセプトシングル『カナリア』をリリースする。2017年の千聖ソロ名義でのデビュー20周年記念ベスト盤『Can you rock?!』、2018年の千聖/Crack6のダブルネームによるスプリットシングル『ジキルの空/MAD RIDER』を経て、純粋なCrack6作品としては実に約3年ぶりとなる今作。カナリアという一人の女性を主人公とし、その恋愛模様、人生を描いたシリーズ第1弾として、物語のテーマ曲「カナリア」、そして「アオイユメ」「Rain Dance」という序章が完成した。そんな最新作の全貌と今後の展開について、MSTR(千聖)にじっくりと話を聞いた。

◆彼女がどう生きていくのかを見てみたい

Crack6

――今年もソロ活動の季節が到来しました。今回はシングルなので、例年よりはスムーズでしたか?

MSTR:PENICILLINも含め、毎年のルーティーンで活動があるので、せっかくやるなら何かチャレンジしたかったんですよね。曲はいつもチャレンジしているので、そこだけじゃダメだなと考えた時に、ストーリー性やコンセプトを持たせるべきかなと。コンセプトも今までになかったやつをね。それで、主人公を立てた作品を作ってみようと今年の頭くらいに思い始めたんですよね。そこまでは良かったんだけど、考えていたらどんどん深みにハマってきちゃって、これを全部まとめるのはスケジュール的に間に合わないなと(笑)。だったら、今回は起承転結の中の「起」の部分の辺りを作ってみようと、考え方をちょっと変えたんです。

――3月頭に、「何曲かある中で、一貫して1つのテーマがある作品を作りたいかな。1人か2人の主人公たちが織りなす世界かな」とツイートしていた時は、制作のどの段階だったんですか?

MSTR:それはまだ全てをいっぺんに作る気満々だった頃ですね(笑)。歌劇じゃないけど、ストーリーの流れをちゃんとしたかったので、あまりにも慌てて一気に作ると、インスタント的になっちゃって面白くないし、せっかくここまで考えたのにチープに見えるのが嫌だなと。今回はこれをまず表現しようと、集中して作るのが良いかなと思いました。

――なるほど。

MSTR:カナリアという女性をフィーチャーして、彼女にまつわるエピソードを作ってみようと。好きな男性がいて、ロミオとジュリエットのようなパターンで、カナリアがジュリエットならば、ロミオを探しているわけです。そのロミオと出会った時の感覚、そして二人の展開、最後の結末…それを三部作くらいのイメージで作りたくて。序章、つまり起承転結の「起」の部分で、既に頭の中がいっぱいになっちゃって、ジローさん(JIRO 6/O-JIRO from PENICILLIN)、シゲさん(SHIGE ROCKS)、テンちゃん(TENZIXX/長野典二 from everset)に話をしたら、重要なのは確実に詞だよねということになって、自分ではやったことがないことをやりたかったし、表現を変えたかったので、今回はこういう形になりました。

――そういう経緯で、「カナリア」の作詞が千聖さんではなく小松令奈さんなんですね。

MSTR:そうなんです。カナリアがヒロインなので、「カナリア」は物語のテーマ曲ですね。だから、ストーリー展開を説明した上で、この楽曲の歌詞の内容は、相対的に見たものにしてほしいと話しました。主観性も客観性も含めた歌詞にしたくて。〈最後の愛を 誰のために 歌ってる〉と言っているのが、すごく相対的な感じがするんですよね。人生の終わりの部分も見て言っているような、プロローグの中にエピローグもちょっと出しているみたいなところもあって、でも全てのストーリーを見せているわけではないというのが、とても綺麗に表現されているなと思います。俺が言いたいことが綺麗に表現できていて、読みやすくまとめられているし、字数、言葉の当て方も素晴らしいですね。すごく気に入っています。

――2018年は千聖ソロとCrack6のスプリットシングル『ジキルの空/MAD RIDER』、2017年は千聖ソロのデビュー20周年記念ベスト盤『Can you rock?!』をリリースしたので、純粋なCrack6の作品としては約3年ぶりになります。今作の制作に取り組む上で、そういう点が影響を与えた部分はありますか?

MSTR:久々のCrack6なので遠慮はないんだけど、どうやったら3年ぶりの作品としてCrack6の持ち味を出せるかという、ワクワク感が大きかったですね。ハードなところとノリノリになるところがCrack6のポイントの一つだから、千聖ソロとはコンセプトが違うんですよね。今回は完全にCrack6モードに変えることができたので、良かったなと思います。

――3年前の2016年のフルアルバム『薔薇とピストル』、さらにその前の2015年のミニアルバム『Change the World』もコンセプチュアルな作品だったので、ここ数年、千聖さんの中ではコンセプトをしっかりと固めた上で作品を作るという方法がお好みなのかなと。

MSTR:そうそう、そのほうが制作的にも漠然と作るより皆が同じ方向に向かいやすいんですよね。曲も色々悩むけど、詞とタイトルがいつも悩みに悩む(笑)。何を表現したいのかとなると、言葉の表現になってくるので、やっぱりテーマがあったほうが作りやすいですね。『Change the World』は生命をテーマにしたので、ものすごく壮大なスケールで、内容としては若干重かったんですよね。『薔薇とピストル』はヴィジュアルイメージから先行して入ったので、ちょっとまた違う作り方でもあって。だから今回は、どちらかと言うと『Change the World』に近い感覚なのかもしれないけど、『カナリア』はもっと身近で具体的というか。精神的にはハードな部分もあるんだけど、地球や生命の因果関係のような壮大なものではないですね。

――同じ“コンセプチュアルな作品”でも、それぞれ取り組み方が違うということですね。

MSTR:人の生き様をフィーチャーするという部分では『薔薇とピストル』に近いのかもしれないけど、『カナリア』はさらにミニマムで、男女の会話のような感じです。

――『カナリア』というタイトルはどこから生まれたのでしょうか?

MSTR:ロミオとジュリエットのようなものを象徴する言葉が何か欲しくて、一番俺が付けそうもない鳥というのはどうだろうと。鳥でも、鷲や鷹とかの強いイメージや、カラスとかのダーティーな感じではなくて、「え、カナリア? 可愛く綺麗に鳴いちゃう鳥?」っていう(笑)。ある種、弱さの象徴みたいな、か細く見える綺麗な鳥が、外に飛び出して逞しく羽ばたいていくということを表すのに、カナリアが一番スッと入ってきたんですよね。愛玩鳥みたいなイメージがあるんだけど、鳥かごから出ていく=彼女がどう生きていくのかを見てみたいなと。

――「カナリア」がテーマ曲ということは、今作3曲のストーリーの時系列は収録順ではないということですよね? 「カナリア」は独立しているというか。

MSTR:まさに、その通りです。順番的には「アオイユメ」、「Rain Dance」、ずっと離れて「カナリア」ですね。始まりは「アオイユメ」で、次の展開が「Rain Dance」なのかなと。始まりがなければ「Rain Dance」みたいな悲劇は生まれないだろうし。

――もしも収録順だとしたら、「カナリア」では主人公はすごく愛されているように見えるので、「アオイユメ」で一体何があったんだろうと思って(笑)。

MSTR:(笑)。「アオイユメ」は二人が出会って、お互いすごく浮き足立っている感じがするんですよね。

――でも、〈悲しみのFake〉〈過ちのFake〉が出てくるという。

MSTR:そうそう、そこが肝なんですよ。お互い思っている、何かダメな部分があるんでしょうね(笑)。どこかで嘘が入ったり、都合の悪いことは隠すとか、そういう人間同士のピュアに見せたピュアじゃない愛がどこかにあるというか。そういうものを表現したかったんです。綺麗事も入っているので、「アオイユメ」というタイトルにしたんですよね。「蒼」という漢字だと「顔面蒼白」みたいであまりにも悲劇過ぎるし、「青」だと色が強過ぎるなと思ったので、あえて両方の意味が取れるように片仮名にしました。この曲は全体的に、二人とも都合が良い、自分でいっぱいいっぱいみたいな感じです(笑)。思いやっている感じがあまりしないというか、思ってはいるんだけど、どこかフェイクが入る。なので、いずれ悲劇を招くということを表現したかったですね。

――女性目線で見ると、この歌詞は男性のほうが酷いように見えます。

MSTR:間違ってないです(笑)。

――そもそも、〈あんな男 やめなさいと ママに怒られるの〉とは、一体どんな男なんだろうと(笑)。

MSTR:確かに(笑)。もし、このロミオがすごく誠実な男だったら、多分こうは言われないですからね。

――「アオイユメ」で、カナリアの心の中には〈勘違い?〉という思いがあったわけですが、「Rain Dance」で〈愛されることもない 私を求めてない〉と言っていて。この2曲の段階では、絶望で終わってしまっているんですよね。

MSTR:そうですね。ただ、そこで「カナリア」に戻ると、これはもしかすると何かがあってこういう展開になっているのかなと。ロミオとジュリエットは、どうしてこうなったんだろうという結果にしたいと思ったんですよね。映画で、冒頭にいきなり結末っぽいシーンが出るものもあるじゃないですか。そういうふうにしてみようと思って。だから、「カナリア」は曲の構成としてもサビ始まりにしたんですよね。

◆俺にはないテイストは面白いし、勉強になる

Crack6

――Crack6はこれまでバンドらしい制作方法でしたが、今回はいかがでしたか?

MSTR:実は「ジキルの空」の時から、風呂場で作曲することが多くて(笑)。意味がよくわからないかもしれないですけど、風呂に入ってボーッとしている時が一番思い浮かぶんですよ。ハッと思い付いた時に、頭を洗いながら鼻歌を歌い続けて、上がってすぐにギターを弾くという(笑)。だから、髪の毛がビショビショの状態で歌っているんですよ(笑)。

――大変ですね(笑)。

MSTR:「MAD RIDER」は覚えてないんですけど、「ジキルの空」以降、PENICILLINの曲も含めて、基本的にこのパターンです。「カナリア」も漏れなくそうで。実は「カナリア」というタイトルで数曲作ったんですけど、結局これが一番カッコいいということで選ばれました。最初に弾き語りでプロデューサーのシゲさんに聴かせたら、全然イメージが伝わらなかったので(笑)、ちゃんとデモを作らないとダメだなと、「ちょっと待っててください」と言った記憶がありますね。それと、今回ヴォーカル録りの機材を変えたんですけど、ジローさんたちエンジニアサイドからすると、すごくやりやすくなったみたいで、歌がさらに良くなったと思います。ただ、エアコンを入れてないから、1曲歌うと汗ダクになっちゃって(笑)。その環境をもう少し整えたいですね。

――ちなみに、「カナリア」のBメロ、サビ前半のドラムのリズムはちょっと面白いなと。千聖さん流の言葉で言うなら、わっしょい系の…。

MSTR:確かに! わっしょい系ですね(笑)。

――あのリズムパターンがあることによって、楽曲の印象が変わるのかなと。

MSTR:ただ、これだとBメロがアッパーになり過ぎちゃう傾向があるので、気を付けないといけなくて。サビを聴かせるための演出のはずなんだけど、あんまりわっしょいし過ぎちゃうと、そっちの印象しか残らないというのが一番嫌で。難しいけど、やっぱりリズムがカッコいいほうが良いし、リズムには高揚させる力があるので、そこは大事にしたいですね。最近、俺の中ではBメロが要なんですよね。

――皆さんから出たアイディアは何かありますか?

MSTR:「カナリア」に関しては、皆気に入っていたので、ほとんどそのままですね。もちろん、シゲさんは細かい演出は色々と手を加えてくれていますけどね。ギターも弾きたい放題弾けました。ギターソロだけ、自分とシゲさんのを混ぜましたね。

――「アオイユメ」は典二さん作曲ですが、今回は千聖さんから何かオーダーを出したのでしょうか?

MSTR:いや、「カッコいい曲でよろしく!!」としか言ってない(笑)。なので、彼の中で今回はこれだったんでしょうね。珍しく、サビのメロディーが切ないですよね。

――特徴的なイントロ、典二さんの合いの手コーラスもあって、一見ちょっと激しめな雰囲気に取れますが、歌メロはかなりキャッチーですよね。逆に言えば、アレンジ次第で大分印象が変わる曲なんじゃないかなと。

MSTR:なるほど、そうですね。結構可愛い雰囲気にもできるかもしれない。女性が歌ってもいいかも。テンちゃんが曲を持ってくる段階では、英語っぽい言葉を並べたような歌が入っているんですけど、まずそれを俺が日本語に直す作業をするんです。例えば「I love you」と「アオイ」だったら、英語だと3単語だけど、日本語は3文字じゃないですか。そういうのを、「これ、どうするの?」ってテンちゃんに言うんですけど、「任せます」と(笑)。テンちゃんの曲に関しては、いつもその辺は神経を尖らせる部分なんですよね(笑)。だから、歌詞を乗せてみると曲の雰囲気が大分見えてきますね。今回のアレンジの雰囲気は、テンちゃんが作ってきたものをベースにしています。ただ、2コーラス目のAメロとか、さらにカッコよくなっていて、やっぱりアレンジした(山田)巧君のエッセンスはすごいなと思います。

――ギターソロで一気に切なさが増しますね。

MSTR:あー、そうですね。巧君が俺のフレーズを全部知っているから、「千聖さん、こういうフレーズ弾くでしょ?」みたいな感じでギターソロも仮に弾いてくるので、当然それを自分なりに変えるんだけど、変えても、あの男はそもそも俺のパティーンに寄せてくるから近いんですよね(笑)。

――巧さんは千聖さんの癖や好みを熟知しているんですね。

MSTR:本当に。「これ、好きですよね?」って(笑)。でも、俺と違う変則パターンもあるので、面白いですね。「ジキルの空」もそうでした。「アオイユメ」のアレンジは、最終的にはバランスを色々と工夫していましたね。サビ前の〈涙が零れ…〉からサビに移るところとか、俺だったらもうちょっと空けちゃうんですよね。あと、サビの〈Don’t stop Burning Love〉の後にもう1行ありますけど、俺の場合はあれは作らないので、逆に気に入っています。そういう俺にはないテイストは面白いし、勉強になりますね。

◆ロミオとジュリエットが今度どう展開していくか

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――「Rain Dance」のイントロは速いなと思って。

MSTR:そう? もうちょっとスピード出したいなと話していたんだけど(笑)。ただ、サビがこのテンポがちょうどいいということで、こういう結果になりました。

――この楽曲は、英語のセクションと〈聞こえないの?〉のセクション、どちらがサビに当たるのでしょう?

MSTR:本来は英語の部分がBメロなんだろうけど、俺の中ではこれがサビで、〈聞こえないの?〉はCメロみたいな感覚ですかね。そもそも、英語の部分が最初に生まれてできた曲なんですよ。タイトルにもなっているくらいだし、やっぱりこっちがサビでいいんじゃないかな。あと、久々にドコドコ言っているツーバスのパターンを考えたので、楽しかったですね。

――Crack6には「6月の雨」「the Rainsong」もあるので、雨の曲がまた一つ増えましたが、これまでとは違うタイプですよね。

MSTR:かなり激しいですね。土砂降りのグチャグチャ、化粧も取れてメチャクチャみたいな(笑)。

――絶望感がすごいです(笑)。

MSTR:(笑)。「Rain Dance」というワードだと、すごく素敵なイメージもありますけど、全然違って激しいという、なかなか面白いパターンですね。

――メッセージとしては〈私はそんなに強くない〉という部分が核なのかなと。

MSTR:そうですね。ロミオがジュリエットに対してどう思っているか知らないけど、ジュリエットはもう精神的に耐えられなくなっているんです。だから、この人は私に何を求めているんだろうっていう、その絶望を表していて、〈私はそんなに強くない〉と訴えているんでしょうね。どんどん深みにハマっていますね(笑)。

――(笑)。「カナリア」に〈六月の雨〉というフレーズが出てきますが、これは意図的なものか偶然か、どちらでしょうか?

MSTR:さぁ、どうでしょう? もしかしたらね…(笑)。「カナリア」の歌詞の1番は男性目線、2番はカナリア目線、「アオイユメ」の1番はカナリア目線、2番は男性目線、「Rain Dance」はカナリア目線なわけですよね。しかも、全曲で〈カナリア〉という言葉を出しています。そこは重要なテーマなので、これからも〈カナリア〉は必ず出てきますね。

――6月15日から始まるツアーでは、『カナリア』の楽曲以外はどんなラインナップになりそうですか?

MSTR:今ちょうど打ち合わせしている最中ですけど、結構アゲアゲな感じですね。全体的に激しく切ないというか、でもって結局激しくわっしょい(笑)。気分は上がるんだけど、雰囲気のある感じですね。もちろん、Crack6の特徴でもあるノリのカッコよさは全面に出ると思います。逆に、セットリストを作っていて、もうちょっとこういう曲が欲しいなというテーマが出てきたので、次回はこのカナリアシリーズでそういう曲も作りたいなと。ライブにメリハリができるような曲をもっと作りたいなと思いますね。早く今作を聴いてもらって、早くライブで馴染ませたいんですけど、ツアー初日のFC限定ライブはまだリリース前なので、皆には頑張ってノッてもらいたいです。でも、ノリのいい曲ばかりなので、皆で付いて来てくれるといいな。

――カナリアシリーズは、期間なのか曲数なのか、どの辺りまで続いていくのでしょうか?

MSTR:両方ですね。曲数もだし、来年までは続くかなと。ロミオとジュリエットが今度どう展開していくかは俺もまだわかっていないので、そこは楽しみにしていてほしいですね。知っての通り、ロミオとジュリエットってシェイクスピアの悲劇の一つだから、雰囲気的にはそういう面白さが出るといいなと。それと、音の演出効果の魅力をどこまで出せるか…俺の感覚と、テンちゃんが持っている独特の感覚、アルバムになればジローさんやシゲさんの特徴ももっと出てくるだろうし、巧君や(大久保)英紀、今回の令奈さんみたいに新しい人が関わるかもしれないし、いろんなパターンを噛み締めてほしいなと思います。それと余談ですけど、Twitterに上げていた、スタジオのゴミ捨て場でスタッフが拾ってきたZO-3がこれなんですけど、「Rain Dance」のギターソロの前半部分はこれで弾いているんですよ。

――そうだったんですか!? すごい!

MSTR:でしょ? 実用化しました(笑)。ZO-3で弾く日が来るとは思わなかったですね。ボロボロだったのでダメかなと思っていたんだけど、全部隅々まで綺麗に拭いたら、ジローさんがバラシ始めて、スピーカーが壊れていたので買ってきて、くっつけ直して。電池が悪いのか、配線が切れているのか、全部調べましたからね。で、直った状態でシゲさんが弾いた動画をTwitterに上げたと(笑)。

――そもそも、これを直そうというのは、誰が言い出したことだったんですか?

MSTR:スタッフの人が拾ってきて「これ使えないですか?」と言うから、「ちょっと見せて」と。それで「ダメだね」って返すのは簡単だったんだけど、何か楽器が可哀想で、全部磨いてみたんですよ。音は鳴らないし、なんで鳴らないのかも最初はわからなかったけど、やり出すと凝っちゃうタイプなので、ずーっと磨いていて「ほら、こんなに綺麗になったよ」って見せたら、ジローさんが「じゃあ、ちょっと貸して」って直し始めて…あっちこっちいじりだして、調べに調べて…。それぞれの性格が出ましたね(笑)。

――面白いですね(笑)。

MSTR:ジローさんは配線図みたいなものを書いていましたからね。俺とタイプが全然違って面白い人だなと。シゲさんは、これだったらこうするのがいいよってアドバイスするんですよ。これがレコーディングの時の僕らの息抜きでした(笑)。

――そして、そのZO-3が今も事務所にあるという。何だか奇跡みたいな出来事ですね。

MSTR:ペイントとかしても面白いかもなぁ。新しく生まれ変わるのもありですね。

(文・金多賀歩美)

ARTIST PROFILE

Crack6

<プロフィール>

PENICILLINのギタリスト千聖が自らの名前をMSTRと変え、「Hybrid Music Project」というコンセプトのもと2003年6月6日にスタートさせたソロプロジェクト。現メンバーは、MSTR(千聖 from PENICILLIN/Vo&G)、SHIGE ROCKS(G&Sound Producer)、TENZIXX(長野典二 from everset/B&Cho)、JIRO 6(O-JIRO from PENICILLIN/Dr)の4人。PENICILLINの活動と並行して精力的に活動を展開し、15周年を迎えた2018年には、千聖ソロとCrack6ダブルネームによるスプリットシングル『ジキルの空/MAD RIDER』をリリースした。カナリアシリーズ第1弾となるコンセプトシングル『カナリア』を手に、2019年6月15日よりリリースツアーを開催する。

■オフィシャルサイト
https://www.crack6.jp/

【リリース情報】

カナリア
2019年6月19日(水)発売
(発売元:shelva records、DUPLEX DEVELOPMENTS JAPAN inc./販売元:PCI MUSIC)

カナリア
[初回盤]
(CD+豪華ブックレット)
SRPM-2005
¥2,000+税
amazon.co.jpで買う
カナリア
[通常盤]
(CD)
SRPM-2006
¥1,500+税
amazon.co.jpで買う

【収録曲】

[初回盤]
01. カナリア
02. アオイユメ

[通常盤]
01. カナリア
02. アオイユメ
03. Rain Dance

【ライブ情報】

●『カナリア』RELEASE TOUR「カナリア ~prologue 序章~」
6月15日(土)SHIBUYA REX(※CLUB NEO 限定LIVE)
6月22日(土)西川口 LIVE HOUSE Hearts
6月29日(土)名古屋 ell SIZE
6月30日(日)大阪 RUIDO
7月6日(土)TSUTAYA O-WEST

●CHIYU主催TOUR2019「Notice of Arrival」-Do you savvy?-
7月28日(日)渋谷CHELSEA HOTEL
出演:Crack6、CHIYU