インタビュー

Angelo

あなたは何を信じる? キリトがニューアルバム『FAITH』に込めた思いとは。物事の根源を問う衝撃作の全貌に迫る!

Angeloの6枚目のニューアルバムは前作『RETINA』で描いたテーマをより深く掘り下げた作品。「視覚的な物事一つ取っても解釈の仕方はそれぞれ違う。自分で自分を守るためにどう判断するか」と投げかけた前作からさらに人間の内側に迫る。“FAITH”(信仰・信奉)によって引き起こされる現代の様々な問題をテーマとした今作に込めた思い、そして制作の裏側について、キリト(Vo)に話を聞いた。

◆何が正義で何が悪なのか

――前アルバム『RETINA』(2012年11月発売)完成の際は「しんどかった」と言っていましたが、今回はいかがですか?

キリト:毎回達成感と共に疲労感もあるので、同じような感じなんですけど、それだけ精魂込めているってことですね。

――物理的にしんどい時期と精神的にしんどい時期は違うものですか?

キリト:物理的にしんどいのはもうあまりなくて、ほとんど精神的なものですね。作品としてどこまでやれるかっていうゴールまではかなり精神的に削っているというか、クタクタになりますね。

――今回一番しんどかったのはどの時期ですか?

キリト:曲が出揃うまでというか。最近、いつもそうなんですけど、1回目の選曲会で全部が決まることはないんです。そこから追加したり、また寸前にできあがったりということもあるので。今回はイントロダクションの「Ruthless reward – Instrumental -」(※以下「Ruthless reward」)が出来るまで、アルバムが完成したという感覚がなかったので、それまでは精神的には気が気じゃなかったです。

――「Ruthless reward」は最後に出来あがったということですか。

キリト:そうです。

――インストゥルメンタルの楽曲で始まるというのはAngeloには珍しいですよね。「まずどういう風に思ってもらおうかというのが出るので、アルバムの1曲目はいつも考える」と以前言っていましたが、今回はなぜインストゥルメンタルを1曲目に持ってくることになったのでしょうか?

キリト:元は「FAITH」という曲ができて、Karyuの原曲なんですけど、最終的なアレンジを考えた時に「FAITH」の始まりにクロスしてくる前段階のイントロダクションというのが必要だと思ったんですよね。だから、その後に作り始めたので「Ruthless reward」と「FAITH」は僕の感覚では繋がっていますね。あのイントロダクションがあった上での「FAITH」という曲だから、セットで捉えています。

――先行公開されたイントロダクション映像も、「Ruthless reward」から繋がって「FAITH」の頭の部分まで入っていますよね。

キリト:そうですね。それがこのアルバムで問いかけることの全てだったりもします。

――先行してMVという形ではなくイントロダクション映像というものを公開したのは、どのような意図があったのでしょうか?

キリト:アルバム『BABEL』(2011年10月発売)、『RETINA』の時も、あの映像を紙にしたような、コンセプトシート的なものを作っていたんですよ。今回もそれを作っていたんだけど、ちょうど「Ruthless reward」を作った時に、そのコンセプトシートに沿って作っていた部分があるので、これは映像化して実際に見てもらうのもいいんじゃないかと思ったんです。

――コンセプトシートというのは、いつもはどういう目的で作っているものなんですか?

キリト:まずメンバーに渡して、なんとなく歌詞の部分ではこういうコンセプトでいくよっていうようなことを、分かりやすく説明するために形にして渡すんです。あとはスタッフに理解してもらうためにもちょうどよかったり。そういうチーム全体で意識を共有するためのものですね。

――なるほど。これまで表には出ないものだったけど、今回はそれを映像にして表に出したということですね。

キリト:そうそう。

――『RETINA』は“目に映るもの”を通した“物事の本質”がテーマでしたが、今作『FAITH』はそれをより突き詰めた形でしょうか?

キリト:そうですね。『RETINA』から踏み込んだ内容です。『RETINA』のテーマが、網膜を通して見たものをどう解釈するか、それは見た人によって違う、というもので。今回はそこからの延長線上の話で、もっと内面的に何を信じて何を指針に生きているか、人それぞれ違っているものであれば、そこで争いが生まれたり、価値観の違いが時に狂気のようなものを生んだり…そういうことは全て“FAITH=信仰”の違いから生まれたりもする。でも、どちらもその本人にとっては正義なんだっていうことから、何が正義で何が悪なのかを共通してジャッジすることはできないんだっていうことでしょうね。

――“網膜”を意味する『RETINA』は、タイトルだけでそこに込められた意味合いを解釈するのは難しいワードでしたが、今回の『FAITH』というタイトルは直球だなと思いました。

キリト:これだけ色々な国、文化、宗教があって、考え方の違い、主義主張だったり宗教的な教義、経済の形もあるだろうし、色々な枠組みの違いによって何を第一義として生きるかって、それぞれ違うじゃないですか。例えば資本主義的な考えで言えば、お金が第一という考え方もあれば、軍国主義の国にとっては力が第一なんだとか。国によっては国家元首が全てなんだというところもあったり。それぞれ違う中で、それをお互い認めないからこそ争いが生まれたりする。じゃあ、自分は何を信じるのか、あなたは何を信じるのかというところで、「信じるって何?」みたいなところに…段々その大本の部分に“?”がいくっていう。何を信じるか、ということです。

◆「もっとやれんだろ」みたいな感じになってきちゃって

――以前から気になっていたのですが、“こころ”を“精神”と表記しているのには何か理由があるのでしょうか?

キリト:どちらかと言えば、その方がしっくりくるということです。場合によって合う方を使いますよね。

――「Doll」「ディスプレイ」「Beginning」は日本語のみで、「MADMAN MAKE QUANTUM VARIATION」は英語が多いですが、キリトさんの中で日本語と英語の使い分けは、決まり事やこだわりがあるのでしょうか?

キリト:サウンド的なものもあるんですが、直訳するとあまりにもストレートな表現の時は英語にします。

――「MADMAN MAKE QUANTUM VARIATION」は結構、直球ですもんね。

キリト:これは全部直訳しちゃうと日本で出せないと思う。

――確かに(笑)。ちなみに、今作の中で一番のお気に入りの歌詞はどれですか?

キリト:歌詞というより曲全体になりますけど、バラードの「Voice of the cradle」は、レコーディングの時に歌っていてすごく感情が入ったので、歌詞もすごくシンプルで感情に迫るような言葉で作れたなと、気に入っていますね。ライブで歌うのが楽しみです。

――では、サウンド構築の面で一番のお気に入りはどの楽曲ですか?

キリト:『RETINA』でもシーケンス、ループものでわりと実験的なことをやったんですけど、「MADMAN MAKE QUANTUM VARIATION」はさらにその先に行っているというか。ギターのリフにしろ、リズムにしろ、全部の構築を一回バラしてから、ずらしながら並び替えている。全てが実験ですよね。そういう意味ではおもしろいものになったと思います。

――展開の仕方に驚きました。前作では楽曲「RETINA」が急に方向性を180度変えたので大変だったということでしたが、今回はそのようなことはありましたか?

キリト:「想像の楽園」という曲は、結構早いタイミングで歌を録っちゃったんですけど、その後いろいろやっていく流れの中で、自分の中で、歌全体が「もっとやれんだろ」みたいな感じになってきちゃって、後半に全部録り直したということがありました。作業的に大変だったわけではないんですけど、一からやり直したという意味で。自分の理想に近づいたので良かったなと思います。

――具体的にはどのように変化したんですか?

キリト:歌い方というか…歌そのものですね。もう1ランク上の歌が歌えるだろうって思ったんですよ。歌録りのタイミングが早かったから、その時にまだ気付いていなかった感情の込め方だったり、発声だったり。歌詞もちょっと変えました。

――では、逆に一番スムーズに完成した曲はどの楽曲でしょうか?

キリト:僕的には自分の曲以外はスムーズですよ。KaryuやKOHTAの曲に歌を乗っけるだけって考えればスムーズです。やっぱり自分の曲の方が全体的に色々考えちゃうから、手を加えたりやり直したりっていうことが出てきちゃうんです。

――KaryuさんとKOHTAさん作曲のものに関しては、他のパートのことにはあまり触れないですか?

キリト:言う時は言いますけどね。ギターソロでもやり直してもらったり。部分的に僕が弾いちゃったりする時もあるし。

――今回はありますか?

キリト:何カ所か(笑)。

――そうなんですね(笑)。ところで、今作は通して聴いた時にとても自然な流れで、綺麗な終わり方だなと思いました。曲順はスムーズに決まったのでしょうか?

キリト:まず、最初と最後は決めていましたね。あと、間に入る部分は前後したところもあるけど、大まかな大事なポイントは決めていました。

――曲順は毎回悩みますか?

キリト:いや、そんなに悩まないです。

――ところで、10月に行われた沖縄FCツアーの中で試聴会を行ったそうですが、これはAngelo初の試みですか?

キリト:試聴会自体は前にもやったことがあるんですけど、今回の沖縄では、国立劇場という場所でスクリーンに歌詞を流しながらやったんです。そういう部分では初の試みではありました。自分としては音だけじゃなくて、じっくり歌詞も見てもらいながら聴いてもらうというのが、一番いいなと思いましたね。みんな世界観を想像しながらじっくり聴いてくれていたと思います。

◆まったりしているより、いつもドキドキしてもらっていた方が

――『FAITH』を引っさげたツアーが11月28日からスタートしますが、どんなツアーになりそうですか?

キリト:アルバムのツアーなので、メニューがガラッと変わって『FAITH』中心のメニューになるということで、また新しい見せ方ができるのがやる方としてはすごく楽しみですね。まずは作品の『FAITH』を聴いてもらい、今度はライブで別の意味での『FAITH』の世界観を見てもらって。両方見てもらって、初めて完成するような感覚があるから、音源を聴いただけではわからない感情の部分というのも、ライブで生で演奏を見てもらえば新たな発見や気付く部分もあると思います。

――ライブが楽しみです。さて、もう年末ということで、今年1年を振り返ってみてどんな1年でしたか?

キリト:曲作りから考えるとずっと『FAITH』にかかっていたような感覚があります。

――いつ頃から取りかかっていたんですか?

キリト:構想とか曲作りっていうレベルから考えると、本当に今年に入ってすぐですね。ずっとやっていたので…そういう1年でした。

――なるほど(笑)。では、少し早いですが、2014年の抱負をお願いします。

キリト:当然『FAITH』の次の世界に突入していくと思うので、またさらに色々な意味で『FAITH』を超えるものを作るということがまずあります。そして、ファンの人にとっても良い意味での驚きだったり、時に「なんで?」って思うようなこともするかもしれないけど…まぁ、でもそういうのが好きなので。まったりしているより、いつもドキドキしてもらっていた方が。ただそこには常に最終的な僕の考えっていうものがしっかりあった上での行動だと思ってもらえば、どこかドキドキしながらも信頼してもらって楽しんでもらえる形になると思います。これからも色々とやっていきます。

(文・金多賀歩美)

Angelo

<プロフィール>

キリト、KOHTA 、TAKEOの3 人により結成され、2006年8月に正式デビュー。結成5 年目の節目となった2011 年8 月、Karyu(ex. D’espairsRay)とギル(ex.ヴィドール)のギタリスト2 名を迎え入れ、新生Angeloとして動き出す。同年10月、アルバム『BABEL』をリリース。2012年、シングル『Calvary』『RIP/MOMENT』、アルバム『RETINA』をリリース。2013年、2月には渋谷公会堂2days公演、4月〜6月にはツアーを展開し、8月に行われた主催イベント「THE INTERSECTION OF DOGMA」では1万通を超える申し込みがあり即完。同月、シングル『OUTBREAK』をリリース。11月28日の川崎CLUB CITTA’を皮切りに、ニューアルバム『FAITH』を引っさげた全13公演のツアーを開催する。


■オフィシャルサイト
http://angeloweb.jp/


【リリース情報】

初回限定盤
(CD+DVD)
IKCB-9529~30
¥3,990(tax in)

通常盤
(CD)
IKCB-9531
¥3,360(tax in)


『FAITH』
2013年11月27日(水)発売
(発売元:ブロウグロウ 販売元:ソニー・ミュージックディストリビューション)
Angelo、6枚目のニューアルバム。前作『RETINA』に続く、現代における物事の本質を問うメッセージ性の強い作品。

【収録曲】
[CD]
01. Ruthless reward – Instrumental –
02. FAITH
03. OUTBREAK
04. Doll
05. 評決
06. HOLYWAR
07. ディスプレイ
08. Voice of the cradle
09. CONTRACT
10. MADMAN MAKE QUANTUM VARIATION
11. 想像の楽園
12. Beginning

[初回限定盤DVD]
「FAITH」Music Clip