ツアーをまわるごとに、バンドの「これまで」を果敢に更新し続けるMY FIRST STORYにとって、昨年8月から開催した「MY FIRST STORY TOUR 2019」もまた大きな挑戦となるツアーだった。このツアーはライブハウスツアーにはじまり、ホールツアーを経て、初のアリーナツアーに辿り着く、全3形態の14都市17公演。そのファイナルとなったバンド史上初となる、さいたまスーパーアリーナ公演の模様をレポートする。

この日、Hiroはステージで「この世界は俺がいなくても変わらずに動いているかもしれない。でも、明日も歌っていることで、変えられる世界があると信じて、ロックバンドをやっている」と言っていた。それは、インディーズバンドの限界を越え、ロックシーンの頂点を目指すマイファスが貫くバンドの信念が強く刻まれたライブだった。

定刻。会場に荘厳なSEが流れ、紗幕がばさりと落とされると、ステージには巨大な顔のオブジェが設置されていた。1曲目は「不可逆リプレイス」。重厚なバンドサウンドにのせて、胸を引き裂くようなHiroのハイトーンヴォーカルが広大なさいたまスーパーアリーナに響き渡った。「さあ、楽しもうか!」。不敵な言葉を合図に「Black Rail」になだれ込むと、Nob(B)が花道に歩み出て、鮮やかなスラップベースを炸裂。

インスト曲「monologue」では、「決められたルールよりも、お前らの気持ちを大事にしてやれ!」と熱いメッセージを投げかけていく。序盤から、会場はこれ以上ないほどの熱狂だったが、「おい、お前ら、そんなもんか!? 束になってかかってこい!」と、挑発するHiro。花道を歩きながらラップを繰り出した「KING & ASHLEY」では、観客を一斉にしゃがませてからジャンプしたり、スタイリッシュなサウンドを取り入れた「mine」で軽やかに踊らせたり、これまで以上に観客との密なコミュニケーションを重ねながらライブは進んでいった。

中盤、初めて立つさいたまスーパーアリーナの高いスタンド席を見上げて、「デカいね。上のほうの人は落ちちゃいそう(笑)」と初々しい感想を口にしながら、メンバーがセンターステージへ移動すると、アコースティックコーナーに突入した。披露されたのは、昨年リリースされたアコースティックアレンジ盤『THE PLUGLESS』に収録された「終焉レクイエム」。バンドアレンジとは一味違う繊細なサウンドは、その曲に込められた孤独や絶望の色合いが一層強く浮彫になる。そして、美しくも切ないミディアムバラード「Love Letter」では、観客がスマホのバックライトを灯すと、会場に光の大海原のような幻想的な景色を描いた。

再びメンバーが正面ステージに戻り、昨年リリースされた最新ナンバー「無告」から、いよいよライブはクライマックスへ。「俺の人生が変わったのは2011年5月2日の渋谷AXだった」という言葉と共に、小さなライブハウスからはじまった「物語」が、8年という歳月をかけて、さいたまスーパーアリーナまで辿り着いた感慨を伝えて届けたのは、Hiroがバンドを組むきっかけを与えたロックバンドPay money To my Painのカバー「Weight of my pride」だった。

そこから、ダンスミュージックの要素を取り入れた「MONSTER」や「ACCIDENT」、バンド初期からのライブアンセム「モノクロエフェクター」といった狂騒的なナンバーを間髪入れず畳みかけると、ラスト1曲。「俺の生きる理由はただひとつ……お前たちと生きていくことだけだ! 愛してるよ、さいたまー!」と叫んだ「With You」では、最高潮の盛り上がりに達したお客さんの頭上を銀テープがキラキラと舞い、大きな歓声に包まれてさいたまスーパーアリーナのライブは幕を閉じた。

「もっとラクにいきる道があったかもしれないけど、俺たちには叶えなきゃいけない夢がある」と覚悟を決めたMY FIRST STORYにとって、この場所は偉大なる通過点だった。

(Photo by Takashi Konuma)


【番組情報】
「MY FIRST STORY TOUR 2019 FINAL at SAITAMA SUPER ARENA」
2月23日(日・祝)夜8:30[WOWOWライブ]

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昨年1月に行われた横浜アリーナ公演もアンコール放送!
「MY FIRST STORY S・S・S TOUR FINAL at Yokohama Arena」
DAY-1:2月20日(木)午後2:15[WOWOWライブ]
DAY-2:2月20日(木)午後3:45[WOWOWライブ]

番組特設サイト
https://www.wowow.co.jp/mfs/
※プロモーション映像公開中!

MY FIRST STORY オフィシャルサイト
http://myfirststory.net/