2014.2.24
Angelo@渋谷公会堂
「END POINT OF FAITH」
Angeloが2月24日、「END POINT OF FAITH」と冠したライブを渋谷公会堂で行った。この日のライブは、今年で3年連続となる同会場でのキリト(Vo)の生誕祭。当然ながら場内はお祝いムードに包まれていた。しかし、今年は一つだけ違う点があったのだ。
日付としてはこの前日となる2月23日0時00分、キリトのソロアートワークプロジェクト「CAUSE REALIZE」のスタートが発表され、2月24日0時00分より同プロジェクトのオフィシャルサイトがオープンした。このプロジェクトは、アクセサリーブランド「VELVET LOUNGE」とのコラボレーションやオリジナルアイテムの制作など、「アーティストとして音楽に限らず、実験的に表現を突き詰めてみたい」というキリトの思いから、様々なアートワークを展開していくというもの。同時に、「CELLCODE」名義で楽曲制作を行っていくこともアナウンスされており、同サイトでは全ての音をキリト一人で構築した「Clue」という楽曲が既に公開されていた。
この発表から約18時間半後。期待はもちろんだが、ファンの中には僅かな動揺や不安、どこか複雑な気持ちを抱きながらこの夜を迎えた者もいただろう。
赤一色の空間に巨大な十字架が傾く今宵のステージは、最新アルバム『FAITH』収録の「CONTRACT」で幕を開け、同アルバムを中心に構成された楽曲群に場内はぐんぐんと熱を帯びていった。そして様々な場面を経ながらアンコールを含め全24曲で終演を迎えたのだった。アンコール途中には、もちろんキリトへの「Happy Birthday」のサプライズも。キリトがケーキに立てられたロウソクの火を吹き消した後、メンバーを代表してKaryu(G)がキリトへの手紙を朗読。バンドのリーダーとして、事務所の社長として、時に優しく時に厳しくバンドをまとめてくれることへの感謝、昨年のツアー中に自身が負傷した際、キリトからパワーストーンをもらったことなどを話し、最後に「一緒にてっぺん取りましょう!」と締めくくった。キリトは「無駄に金使いやがって。全然泣けない」などと言っていたが、今年もメンバーと多くのファンからの祝福で、温かな笑顔に溢れる空間となった。
この日のキリトの発言は、前述の発表のこともあってか、いつにも増して印象的なものばかりだった。
前のバンドが終わりソロ活動をしていたが、バンドという形で前に進むことだけを考えてAngeloをスタートさせ、ソロ活動をやめたこと。それから5年経ち、新たにKaryuとギル(G)を迎え入れ、『BABEL』『RETINA』『FAITH』という作品を創り、今のAngeloは自分一人ではどうにもならないくらい、すごいバンドになっている、ということ。
「色々な決断をする度に賛否両論あるけど、賛否どちらも愛おしく受け止めて、ズバッと決断していくのが僕の役割だと思っています」と話し、KOHTA(B)、TAKEO(Dr)、Karyu、ギルという4人のメンバーやスタッフへの感謝の気持ちと「何よりも、背中を押す声を止めないでいてくれた君たちに感謝しています」とファンへの思いを語った。そして「みんなが見るべき場所、進むべき道を新たに切り開いていくこと。それが恩返しであり愛情だと思っています」と。
また、キリトは「Angeloが全てだから」とも言っていた。Angeloのためにやめたソロ活動を、今再びスタートさせたこと。それは、今のAngeloが決して揺らぐ事のない強靭なバンドへと進化を遂げたからであり、そこにはメンバー、スタッフ、ファンとの深い信頼と愛情があるからに違いない。この数々の発言は多くのファンの胸を打ち、不安を払拭してくれたことだろう。
Angeloは4月から「AWAKENING THE NEW VARIETIES」と冠した全国ツアーをスタートさせる。そしてこの日、追加公演として6月7日に日比谷野外大音楽堂公演を行うことが発表された。ますますそのスピードを上げ、新たな高みを目指すAngeloの動向から目を離すわけにはいかない。
◆セットリスト◆
01. CONTRACT
02. 評決
03. Script error
04. RIP
05. HOLYWAR
06. ディスプレイ
07. CONVICTION
08. EDEN
09. Voice of the cradle
10. 螺旋
11. Blind Light
12. MADMAN MAKE QUANTUM VARIATION
13. 想像の楽園
14. Beginning
15. PROGRAM
16. Doll
17. OUTBREAK
18. FAITH
EN
01. Prelude
02. My Strife
03. RETINA
04. Manic State High Pressure
05. PLOSIVE
06. シナプス
(文・金多賀歩美)