
jealkbがニューミニアルバムで掲げるテーマは『AGAINST』(反逆)。バンドの更なる飛躍を予感させる今作、そして音楽に対する想いを聞いた、5人のスペシャルインタビュー!
この春、『Invade』(侵略)と名付けられたアルバムを引っ提げて行われた長いツアーを成功させ、更なる進化を遂げたjealkb。そんな彼らが新たに突き付けるのは反逆を意味する『AGAINST』と冠した5曲入りのミニアルバム。前作とはがらりと変わったアートワーク、そこに詰め込まれた、ポップ、スカパンク、エレクトロ…ジャンルに捕らわれることのない“jealkb流”を貫いた楽曲たち。彼らの名刺代わりになりえる今作の魅力を、5人にアツく語ってもらいました!
◆良い曲がたくさんあったので、激戦だったんですよ。渋々選びました。(hideki)
――『AGAINST』とは「反逆」や「逆らう」という意味ですよね。今回のミニアルバムのタイトルに込めた意味を教えてください。
haderu:タイトルの意味は、今、日本中が感じている向かい風とか、俺達がjealkbを6年間やってきた中で感じた逆風ですね。ライヴを観に来てくれた人は、俺達がバンドをふざけてやっているんじゃないってわかってくれているけど、観ていない人には「どうせ遊びでやってるんでしょ」って思われてる。そんな逆風を色々感じているので。
――今でも言われますか?
一同:言われますよ!
ediee:「弾いてないんでしょ?」とかね。
haderu:4、5年くらい前から「あれ? まだやってるの?」って言われるようになって。ということはやっぱりそれまで音楽を真剣にやっているように見えなかったんでしょうね。俺たちの音楽に向かう姿勢を示すのは、ここからなんだろうなと。
――今作のリード曲が「虹の橋」ということで、『AGAINST』というアルバムタイトルとのギャップを感じたんですが、この曲をリード曲に選んだ理由を教えてください。
haderu:選曲の時、リーダーが「良い曲ができた」って持ってきたんですよ。俺たちも聴いて「これは良い!」と思いましたね。一方で、「AGAINST」って曲も制作していく中で「これは化けたね」と。どちらを表題曲にするかすごく悩んだんですが、「虹の橋」がリード曲になりました。「AGAINST」はリード曲ではなくなったけど、jealkbの代表となる曲だし『AGAINST』っていうミニアルバムの表題をそのまま引き継いでもいいんじゃないかということで1曲目に入れたんです。
――今回は全5曲ということで、選曲は大変だったんじゃないですか?
hideki:良い曲がたくさんあったので、激戦だったんですよ。渋々選びました。
haderu:渋々だとマイナスだろ(笑)。
――(笑)。作曲者のelsaさんもやはり一番手ごたえを感じたのは「虹の橋」?
elsa:僕としては全部推しです(笑)。でも「虹の橋」は作曲しているときよりも、アレンジの段階ですごく好きになったんですよ。こういう暖かみや癒しがある楽曲って、今まであまりやったことがなかったので。そういう意味でも新鮮でしたね。
haderu:バンドとして新たな一歩を踏み出したなと思います。まだライヴでは(ミニアルバム収録曲は)1曲しかやっていないですけど、他の曲も早くやりたいですね。
――ライヴでさらに化けそうな予感が。
haderu:ですね!
◆僕、遊郭に行ったことないんですけど、行った気持ちになりました(dunch)
――今回のアートワークや衣装も、かなりこだわりが感じられますが、これもメンバーの方がメインで決めているんですか?
haderu:ぼくは衣装のコンセプトを提示しました。信頼しているスタイリストさんにテーマを投げるといつもすっごいのが返ってくるんですよ。今回も“遊郭で遊んでいる男”ってテーマでお願いしたんですけど、ロックテイストでヴィジュアル系を意識したこんなすごいのが出てきました。
――遊郭ですか! この衣装、他のメンバーの方はどう思いました?
ediee:よく見るとカッコいいんじゃなくて、一発で「お! かっこいい」っていう。そのスタイリストさんには頭が上がりません。
haderu:頭が下がりますでしょ?
ediee:あ、そうだ! 下がります(笑)!
hideki:この衣装いいですよね。僕、普段家ではいつも着物なんで…
haderu・ediee:嘘つけ!
――ツッコミ早!(笑)
hideki:家にいるときのリラックス感ですね。帯とか締めるんでね。うん。………次dunchさんが語ってくれます。
dunch:あ、僕、遊郭に行ったことないんですけど、行った気持ちになりました。
一同:(笑)
◆今回は最初から飛ばしていきます!(elsa)
――前回のツアー「鳥薔薇ノ空」のライヴレポをVifで募集したところ、たくさんのレポートをいただいたので、ジュアラーはアツいな!と思ったんですが、今回の収録曲の「jealize」はいつも応援してくれているジュアラーのための楽曲ですよね。O-EASTでのランキングライヴで初披露されましたが、ラップは難しかったですか?
hideki:ラップは初だったのですごく難しかったです。まだまだ練習が必要な状態だなと。でも一度お客さんの前でやれたので感じが掴めて良かったです。
――でも、すごくかっこよかったです!
hideki:いやいやいや…
haderu:下手です。
――一刀両断!?
hideki:お世辞が無理なレベルの下手さですもん。でもみんなちょっとずつ楽曲に対して不安があったみたいです。まぁ僕はそれすらも感じないくらいテンパってましたけど(笑)。
――10月から始まるツアー「霧薔薇ノ月夜」の中でもどんどん仕上がっていくんじゃないですか?
elsa:でも今回ツアーは全4か所なので頭から完成の状態で持っていかないといけないんですよ。前回の「鳥薔薇ノ空」みたいに公演回数が多いとその中で完成させていって、集大成をファイナルで…ということもできますけどね。今回は最初から飛ばしていきます!
hideki:しかも間も開きますからね! ぎゅっぎゅっと詰めてってわけでもないので。
――ライヴに向けての楽曲の進行具合はいかがですか?
haderu:まだ練習始めていないので、これからですね。そろそろセットリストを決めないとな、という段階です。
hideki:CDをライヴでどう表現するかが課題です。あと僕らはVTRとかいろんなパフォーマンスをしているので1個のライヴを作り上げるのに時間がかかるんですよ。
――今回のツアーでも恒例のVTRが! jealkbは1本1本のライヴにかける熱量がすごいですよね。
haderu:そうですね。一緒にやってくれているスタッフもjealkbがただライヴをやるバンドじゃないってわかってくれているし、チームワークができているからできるんだと思います。
◆元々バンドに本腰は入れていたんですけど、さらにグイッと入れた感じですかね。(ediee)
――ところで、jealkbの楽曲の制作はどんなふうに進むんですか?
hideki:基本はelsaが曲を作ってきて、haderuが作詞です。
――楽器隊の方々は?
hideki:基本elsaががっちり作り込んできます。やっぱり音楽に一番詳しいので。
elsa:レコーディング前に楽器隊3人でプリプロに入るんですけど、そこからアレンジしていったり、構成を少しずつ変えたり。俺はその前に結構作り込んで臨みます。
dunch:elsaのデモはかなりクオリティが高いんですよ。俺はそれを必死で耳コピしてプリプロに挑むんですけど、そうすると「そこはそんなに弾き過ぎなくていい」って言われることもあって。俺はelsaが作ったのを必死で覚えたんですけど、意外と簡単になっちゃうときがあるんです(笑)。
――覚えたところからの引き算、ちょっと残念ですね。edieeさんは?
ediee:僕は逆にちょっと足し算です。
一同:(笑)!
ediee:大変な作業です。
hideki:お前がさぼっただけだろ(笑)!
ediee:まぁ、そうとも言いますが、「もうちょっとこんな感じがいいんじゃない?」って、その場で足されていく感じですね。「こんな感じどうかな。ちょっと弾いてみて」って言われて、ベースと合わせて「お! いいじゃん! これでいこう」って。僕が足すんじゃなくてelsaの足し算です。計算ドリルです。
――まさか計算ドリルだったとは(笑)。ところでedieeさんは先日のランキングライヴで新しいギターを初披露していましたよね。楽器が新しいとレコーディングも楽しかったんじゃないですか?
hideki:あれレコーディングでは使ってないんですよ。レコーディングで火がついて。
ediee:レコーディングの終わりでランキングライヴに合わせて買ったんです。
elsa:どのタイミングだよ(笑)。
hideki:しかも本番で案の定、音が出なくなりましたけどね。
ediee:ROCKです。
――そうだったんですか(笑)。値段もROCKな感じですよね。
ediee:他のミュージシャンの方は、もっと良いのを使ってると思いますけど、僕にできる精一杯のギターです。値段というより、一目惚れだったので。元々バンドに本腰は入れていたんですけど、さらにグイッと入れた感じですかね。これからガンガン使いますよ!
――edieeさんもニューギターを手に入れたことですし、dunchさんもこれに乗じて新しいベースを買っちゃったりしないんですか?
dunch:うーん、高いんですよね。
hideki:いくらするの?
dunch:ほしいのは100万はする。200万しないくらいかな。
hideki:高いな!
haderu:…俺買えるけどな~…。
dunch:!! いいすか(小声)…買ってもらってもいいすか(小声)。
haderu:…。ダメです。身分がありますから。
一同:(爆笑)!!
dunch:粘んなきゃよかったよ!
――では自腹で(笑)。
dunch:でも、すごいミュージシャンの方もライヴでは安い楽器を使ってたりするんですよね。ライヴだとhaderuが興奮して水まいたりして結構後ろに飛んできたりするし。僕、いつもベースを守ってるんですけど、ああいうのですぐダメになっちゃうので。
haderu:(笑)。
dunch:レコーディングでは高いのを弾いて、ライヴではほどほどの楽器にしようかなと。
――edieeさんのギターが心配です(笑)。
◆俺は、思っていないことは書けないし、思っていて書かないということもできない(haderu)
――作詞を手掛けているhaderuさんは、今作ではどんな想いを込めたんでしょうか。
haderu:今回、震災後に作った歌詞ばかりなので、震災を抜きに詞を書くことがどうしてもできなくて。詞の向こう側には被災された方々がいて、その方々に向けたjealkbからの一歩踏み出すための応援歌というか、前向きになれるような曲にしたいなと思っていました。
――歌詞には時代や想いが反映されているんですね。
haderu:そうですね。俺は、思っていないことは書けないし、思っていて書かないということもできない。みんながタブー視していることでも、俺が思っていることだから詞に載せたいということもあります。そういうことも今回書きました。
――haderuさんの言葉の選び方にはすごく興味がありました。
haderu:気になる言葉をストックしていて、そこから連想できるストーリーを詞に載せて書いていますね。
――jealkbの楽曲は良い意味でジャンルにボーダーラインがありませんよね。それはバンドのポリシーなんですか?
elsa:そうですね。その時やりたいものをやるっていう。僕らの音楽性は音楽性がないことなんですよ。何でもやってみようっていう意識はhaderuが一番強くて、それに僕も影響されていますね。多分、普通ヴィジュアル系のバンドがあまり手を付けないであろうジャンルも、jealkbならこう表現する、ということで取り入れたり。今回5曲ですけど、すごく盛りだくさんなミニアルバムになったなと。
――濃厚ですよね。
elsa:濃いですね! 今までも達成感があったんですけど、今回の作品を作った時「これはすごい」ってメンバー全員が思えたのは、ミニアルバムだったってことがでかいと思います。5曲で表現するってことでみんなすごく集中力があったから、楽しかったですし。タイトなスケジュールの中でちゃんと良い音源を作ることができました。
――それは事前の足し算と引き算がスムーズだったおかげ?
elsa:それもあります(笑)。
ediee:その時期はみんなストイックにやってましたね。(他の)仕事が終わってからスタジオに入って寝ないで、とか。
elsa:でも好きですからね。全てはライヴのため。そのために音源も作るし。自分たちが表現させてもらう場があるっていうのはありがたいことだなと。
――好きと同時に努力をしないと6年間続かないですよね。
elsa:そういう部分が伝わると良いなと思います!

jealkb
<プロフィール>
haderu(Vo)、hideki(Vln)、ediee(G)、dunch(Ba)、elsa(Dr.)の5人組ヴィジュアル系ロックバンド。2005年1月にライヴ活動を開始し、その規模を拡大。海外からのオファーを受けるなどライヴパフォーマンスに定評がある。2010年4月に現在の5人編成になり、2011年2月9日、2ndアルバム『Invade』をリリース。2月から全国ツアーjealkb LIVE HOUSE TOUR 2011「鳥薔薇ノ空」を行い大成功を収める。9月14日ミニアルバム『AGAINST』をリリースし、10月15日よりjealkb LIVE HOUSE TOUR 2011「霧薔薇ノ月夜」が決定している。
■オフィシャルサイト
http://jealkb.jp/
『AGAINST』
2011.9.14発売
(よしもとアール・アンド・シー)
容易にジャンルの壁を越えてみせるjealkbのミニアルバムは、まさに“多彩”の一言に尽きる充実の1枚。
【収録予定曲】
<CD>
01.AGAINST
02.jealize
03.虚無感狂想曲
04.shilhouette
05.虹の橋
<DVD>※初回盤のみ
5月12日に赤坂BLITZで行われたLIVE「鳥薔薇ノ空」ツアーファイナルから23曲を収録。yasu(Acid Black Cherry)、逹瑯(ムック)や、はるな愛、THE冠、庄司智春という、華やか且つジャンルを超えた、彼らにしか実現できない豪華ゲスト達が登場する夢の一枚。