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MUSIC VIDEO SINGLE『May I Stay/Light of Life』で見せる新境地。ロックミュージシャンとしての思い、清春にとって現在の“sads”の存在意義とは。

2010年より、現メンバーである清春(Vo)、K-A-Z(G)、クボタケイスケ(B)、GO(Dr)という新体制で再始動したsads。デビュー日の7月7日にかけ、新sadsは7月にライブを行うことが恒例となっているが、今年6月18日~7月7日開催のショートサーキット「midst of mayhem」にて、MUSIC VIDEO SINGLE『May I Stay/Light of Life』が会場限定発売となった。Vifでは、ショートサーキット真っ只中の清春にインタビューを決行。最新作についてはもちろん、今年出演した二つのフェス、そしてsadsに対する思いを驚くほど赤裸々に語ってくれた。

◆彼らをsadsに入れなければこういうことはなかった

――清春さんのインタビューは2013年12月の黒夢リリース時以来久々ですが、実は「sadsの清春」としては、今回が初なんです。

清春:お、コンプリート。

――(笑)。まずは、今年sadsが出演した「VAMPARK FEST」(※1)、「LOUDOUT FEST」(※2)の率直な感想を教えてください。

清春:HYDEくんが共演したい海外のミュージシャンというセレクトもすごく僕にはわかりますよね。そういう場面で、美学的に近い日本人として僕らを選んでくれたというところがさすがだなと(笑)。もちろんすごく嬉しかった。Nikki Sixx(B/MOTLEY CRUE、SIXX:A.M.)やBuckcherryにも会えちゃったりさ。

――清春さん的には最も重要な部分ですよね。

清春:世代的にもう有り得ないことですから。モトリーのライブを観に行っても、当然ステージと客席の関係でしょ。楽屋で一瞬会話できたり、一緒のステージに立てたというのは、本当にHYDEくんに借りができたなという感じですよね。

――sadsのステージとしてはいかがでしたか?

清春:あんまり覚えてないけど、ある意味僕らが一番マニアックな音だったんでしょうね。SIXX:A.M.もBuckcherryもVAMPSも、ロックでありキャッチーであり、というかさ。SIXX:A.M.はポップだし、Buckcherryは基本的にロックンロール的な。僕らだけちょっとヘヴィーでしたよね。ま、メタルの人がメンバーに二人いますからね。

――「LOUDOUT FEST」は逆のパターンでしたね(笑)。

清春:LOUDNESSとOUTRAGE、HER NAME IN BLOODはメタルバンドだから、K-A-Zくん(G)とGOくん(Dr)は馴染んでいたんだけど、僕はもう…(笑)。LOUDNESSはもちろん演奏は半端ないし、キャリアもですし、全盛期のモトリーと当時ツアー回ってたりさ、もう完全に凄い。高崎さんはギター超絶テクニックで世界的に有名なんだけど、お会いするとなんだかキュートで素敵な人。けど、あの日も思ったけどヘヴィーメタルファンの人達ってさ、僕からするとすごく人種的に面白いんですよ(笑)。メタルの人が普段写真とか撮る時に、メロイックサインしてガーッて凄い顔をしているのを見ると、もうそれだけでご飯何杯も食べられるくらい面白い(笑)。これ、全くバカにしているんじゃなくて、「この人も相当好きなんだろうな~」っていう。

――(笑)。

清春:で、あの日は他3バンドともすごくカッコよくて、上質なロックなわけ。演奏力も高いし。そういう世界って音が全てなのでルックスなんて気にしていない。ミュージシャンである以上、一番正しい姿でもあるんですよね。でもメタルの文化は僕はちょっと詳しくないと。僕はメタルじゃないけどK-A-ZくんとGOくんもいるし、僕のことも気に入ってくれて出してくれたんだと思うけど。特にメタルファンに認められようとか、全く思ってなかったんですが、案外あの日楽しかったです!

――「VAMPARK FEST」と「LOUDOUT FEST」で、お客さんの反応の違いは感じましたか?

清春:「VAMPARK FEST」は客席が遠いからわからないね。ライブの善し悪しももちろん大切だったんだけど、僕はもうNikkiと写真を撮れるかどうか、2日くらい前からそれだけに掛けてましたから(笑)撮れた時はガッツポーズでしたよ。目標達成でした!

――よかったです(笑)。メタルではない清春さんが、今K-A-ZさんやGOさんとsadsをやっているというのは不思議な縁ですよね。

清春:彼ら二人をsadsに入れなければこういうことはなかったし、復活しなければなかった。さっきもKatsuma(Dr/coldrain)とLINEをしていましたけど、僕の活動だけだったら交わるはずがない若いミュージシャンとも交流を持ったり。ヴィジュアル系だとなかなか持てないんだよね。武瑠くん(Vo/SuG)とかは完全に新世代だから逆に可愛く接してきてくれるんだけど、僕らの音楽を聴いて育った子たちは、僕に会うと大体緊張して喋れなくなっちゃうんですよ。でもメタル寄りの子たちは、僕の存在は知っているけど芸能人的に見ているから「わ、喋れちゃった」みたいな感じで、少し喜んでもらえる(笑)。

◆現sadsは黒夢に対してと、旧sadsに対してのカウンター

――ショートサーキット「midst of mayhem」(6月18日~7月7日)で、MUSIC VIDEO SINGLE『May I Stay/Light of Life』が会場限定リリースとなりました。この形態になった経緯というのは?

清春:去年は黒夢が20周年ツアーをやったり、ここ数年、黒夢とソロのアルバムがあって、sadsはミニアルバム『Lesson 2』(2010年12月発売)以降正式には何年も出してないので、早くフルアルバムを出したいという気持ちがずっとあるんだけど、去年会場限定シングル『spin』(2014年6月14日~7月7日tour「Evil 7 playground」にて販売)を出して。今回も音だけにしようかなと思っていたんです。けど、黒夢が一段落して、ソロとsadsのアルバムに着手していくにあたり、リリースのための環境を整えなきゃいけないというのがまずあって。このタイミングはビデオのほうがいいのかなと。『spin』ではMVがなかったので、映像自体を撮りたいという気持ちもあったんだよね。で、ちゃんと新曲でやろうと。あと、海外で活動をするチャンスというのはずっと探っていて、僕らの気持ちの中では海外に行ってどうかという曲になっていくんですけど…色々なことを考えたらこれになりました。

――英詞にしているのも、海外を見据えて?

清春:英詞にしてこそちょうどいい、中和できる曲なんじゃないかなと。日本語にしたらかなりベタな感じになると思いますから。

――清春さんの英詞の作り方というのは、どのような方法なんですか?

清春:まずストーリーを考えて、母音先行で書いていくので、メロを作る時にめちゃくちゃな英語を歌うんです。

――先に日本語で書くというわけではないんですね。

清春:そうです。まず仮歌があって、それに近いようなワードを探していくんですよね。「May I Stay」にある「エイ」という響きをたくさん使いたくて「ここはこういう意味にしたいんだけど」って翻訳してもらって、「それだと響きがダメだから」というようなやり取り。その時、簡単な日本語の脚本みたいなものは持っていくんですけど、それに対して英語に訳されたものが箇条書きで来るので、当てはめていくという。「そのはめ方ダメです」とか言われたりしながら(笑)。英語で完成させた歌詞を、今度は翻訳の人が逆に日本語にしてくれるんですよ。それをまた自分の言葉遣いで書き直すの。

――何往復も、行ったり来たりですね(笑)。

清春:そうなの(笑)。

――それにしても、今回の曲は6月18日のライブで初めて聴いて、驚きました。

清春:お、1曲目(「May I Stay」)良かったですよね。でもね、昨日(6月19日@浜松)は、すっごい良かった。曲順も違って中盤にやったんだけど。

――sadsらしい重厚さがありながら、この広がり感という。今までのsadsにはない曲だけど、sadsにしか出せない色ですよね。

清春:ちゃんと曲をやりたいというのがあって。sadsって旧sadsの頃から、黒夢に対してのカウンターという気持ちがどっかにあるんですよね。現sadsに関しては、黒夢に対してと、旧sadsに対してのカウンターという部分もあって。過去の活動の中で一番ヘヴィーなサウンドになっちゃっているんですけど、それだけじゃいけないなと。本来の自分の得意とする部分をやってもいいんじゃないかという話をして、K-A-ZくんとGOくんも「清春さんの、そういうメロの部分好きです。オケは任せてください」と普段から言ってくれててさ。次のアルバムは、この曲を中心とした、このような曲をもっと作って作品にしたいなと思います。

――今作収録のドキュメントの中で「アンセム」と言っていましたよね。

清春:この曲って、特にサビに来たら不自然さもなく普通に口ずさめる。そういう曲が今まであんまりなかったんですよね。ちょっと前までのsadsは全部の曲が全部、ゴリゴリ行き過ぎていて、途中でテンポが速いのか速くないのか、すごいのかすごくないのか、わからなくなってくるんですよ(笑)。こういう曲が増えていけば、激しいものをやった時に効果絶大だと思う。

――『spin』で初めてsadsの曲をK-A-Zさんが作曲し、今回の「May I Stay」もK-A-Zさんですね。

清春:アレンジはアルバム『THE 7 DEADLY SINS』(2010年7月発売)の頃から参加していて、もちろんK-A-Zくんが曲を作れるのは知っていたんだけど、メインのソングライターという部分では僕が作ったほうがいいだろうという判断が今まであって。まぁでも結局歌メロは僕が作るので、清春節的なのは絶対出るんです。なのでファンの人は不安じゃないと思うんですよね。僕が曲を持っていった時にK-A-Zくんがヘヴィーなアレンジをして返してくるので、その順番が逆なだけです。今度GOくんが作りたいと言っているんですけど、それにしても僕がメロを作りますし。ただ、彼らも自分の曲だとクレジットされれば、よりやる気が出るだろうし。

――原曲を聴いた第一印象はいかがでした?

清春:色々なメロディが浮かびました。色々と試した中で、キュンと来る、歌える、切ない、広がる…そういうベストなものを選んだ感じ。ベタになり過ぎず、でも明らかにキラーチューンになるように考えましたね。

――清春さん作詞作曲の「Light of Life」はドキュメントの中で「MOTLEY CRUEです」と言っていましたが、その他にアピールポイントは?

清春:これは映像メインな感じです。軍帽に濃い化粧という…ファンの人が好きなものっていう役割ですよね。一般的には売られてないんだけど、私たちしか知らない世界で、好きな部分の何個かのうちの一個を、お家でも見られるようにっていう優しさかな(笑)。若い子達はMarilyn Mansonとかを見てこういうのをやっているんだと思うんですけど、僕にとっては完全にジュリー(沢田研二)のイメージなんですよね。だからまぁ意味が全く違うぜと(笑)。ロックもあれば歌謡曲もあるという僕のルーツ。そんじゃそこらの若手とは軍帽歴が違います。