NOCTURNAL BLOODLUST

NOCTURNAL BLOODLUST

NOCTURNAL BLOODLUSTが世に放つミニアルバム『ZēTēS』。彼らが作り上げた、世界のあらゆるものを滅ぼす最強の作品の全貌とは――

絶え間なく自らの音楽の刷新を図り、現状に満足することなく高みを目指すNOCTURNAL BLOODLUSTが、約10ヶ月ぶりの新たな音源として、ミニアルバム『ZēTēS』を完成させた。これまでの彼らの作品とは一線を画したジャケット写真に期待が高まっていることと思うが、ぜひ何度も再生して、新たな進化を遂げた彼らが描き出す最強の音世界に存分に浸り、酔いしれ、打ちのめされていただきたい。5月には東名阪ツアーファイナルを過去最大キャパのEX THEATER ROPPONGIで行う5人に、この作品について、そしてライブについてたっぷりと語ってもらった。

◆誰にどうこう言われてもこれがNOCTURNAL BLOODLUSTなんだと言える(尋)

――想像の上をいくスケールの大きな作品でした。聴き終わった後の満足感がものすごくて。

Cazqui:嬉しいですね。今回、全て書き下ろしなんですよ。

――3ヶ月で作るというのは結構な密度ですね。

Masa:いつも通りです(笑)。

Cazqui:もちろんストックはあったんですが、音楽シーンはこうしている今も移り変わっていきますから。
我々の『今』を出したかったんです。

――ミニアルバムは2013年リリースの『OMEGA』以来と久々ですが、今回の制作はいかがでしたか?

Cazqui:地獄でしたね。一巡した上での新作です。
ここ数年は多様性や間口の広さを見せていく事がメインでした。
予め受け手の許容範囲が拡張されていれば、こちらも挑戦的な作品が作りやすいので。
ここで本質的なところをやるとなると、この数年で培ってきた技術・要素を上手く調和させる必要があるわけです。
でなければ、今までのは何だったのか、という話になりますから。
上手くいけば新たな色が生まれますが、絵具と一緒で考え無しに色を混ぜると、淀んでいく。
誰もが諦めてしまう事を決して諦めず、それを成し得る事がクリエイターとしての使命だと思っています。

――一巡して以前より深いところを追求できたんですね。

尋:そうです。昔できなかったけどやりたかったようなこともできてきたなと。自分もヴォーカル力がある程度上がってきたからできたことが、今回のアルバムには詰まっています。成長過程の一部としてこうなりました、というのもあるし。昔だったら単純な考え方しかできなかったものが、今回の作品ではいろんなものを複合的に考えられたりして、誰に聴かせても恥ずかしくない作品になりました。自信を持って作っているので誰にどうこう言われても、これがNOCTURNAL BLOODLUSTなんだと言える良い作品ができたんじゃないですかね。昔だったら、ここまで歌えないとか、こうやりたいけど、まだ準備ができていないということがいっぱいあったんですけど、それがスルスルとできたし。

――尋さんはスムーズに完成に至りましたか?

尋:スムーズではなかったですね。いろんなことをいっぱい考えないといけないし、これまでに得てきたものとか、経験してきたことを全部作品に入れないといけない。これまでも楽にできた作品は一つもないんです。でも、音楽シーンもノクブラの作品の構成も移り変わりが激しいから、どういう風に声を入れて、色を変えていくかを考えながら、楽しく作りました。

――制作時に、過去の作品は意識しますか。

尋:それはしないです。やっぱり今を見て作りますね。それに過去と同じような力で作っても、多分同じような作品にしかならないじゃないですか。常に新しいものを見せないと僕ら的にも嫌だし、聴いている側もつまらないですから。

Cazqui:もちろん、飲食店でいう「看板メニュー」を撤廃するようなやり事はしないですけどね。おれなら行かなくなるね(笑)

――難しい要求ですね。“らしさ”は絶対に残してほしいけど、新しいものを出してほしいという。

Daichi:僕たちは比べるとリリースするスパンが早めだと思うんですけど、だからこそそういう意味での”様々な変化”は激しい。以前のものだけを求められても、飽きちゃうでしょう(笑)。流れが早い分新しいものを求められるし、自分たちでも求めている。いろんなことをやればやるほど新しいものを探しづらくなっていくから、そういう意味ではすごく難しい作品でした。でも、いざやってみたらこれだけ新鮮な作品ができたし、今作を産んだことで次の制作にさらに光が見えてきました。

Cazqui:前シングル『PROVIDENCE』(2015年リリース)を作った後から1年ほど経ちますが、その系譜にある今作の収録曲が生まれるまでは、ストレスで大変でしたね。胃が痛い。いつも寿命を5年ほど削ってる気がします。SNSなど表向きでは余裕綽々の振る舞いをするんですが。
まぁ、なんだかんだ、やれちゃうんです。

Daichi:ギリギリでできちゃう(笑)。だから、次の作品に対する不安を持っているのは僕たちだけでいいんです。聴く側は何にも心配しなくていい。いつだって良い作品を届けますから。

◆世界のあらゆるものを滅ぼせる作品(Cazqui)

――Natsuさんは今回の制作はいかがでしたか?

Natsu:俺は、久しぶりに胃も痛くならず(笑)。録りの現場で、ドラムフレーズのアレンジもあったんですけど、それも楽しみながらできました。

Cazqui:胃、痛くなかったんだ。Natsuくんジム行ってるもんね(o。q°o)

Natsu:それは関係ない(笑)。今回、ノクブラの核の部分を、露出を高めにやらなくてはいけないということで。曲で言うと「MALICE AGAINST」や「EXCEED」みたいなメタル要素の強い部分は、僕らが今まで培ってきた技術がないとできないんです。そういう意味ではレコーディングしながらちょっと懐かしい感じというか、音楽を何年もやっているから今こういうものがちゃんとプレイできるんだなと思ったし、「NG+」や「the strength I need」には、幅を広げて培ってきたものがちゃんと出ている。温故知新を感じました。

Cazqui:ここ数年、新しめのラウドミュージックは、スラッシーさ、速さがあまり感じられないですね。00年代のニューメタル的グルーヴに回帰してる感じもあります。『まぁ、そういうのも好きだけど、速い=カッコ良いって方程式を忘れちゃいかんだろう』なんて思いまして。まぁアンチテーゼというより『昔のお前を思い出せ』という自己奮起の意味合いが強い。思い返してみると、Natsu君がノクブラに加入してから自分が作ってきた曲は、意外と遅いんです。ノクブラ以前から速いのばかりやってきて、飽きていましたからね。でも今回、「Malice against」「EXCEED」あたりは速いですね。高校時代にNatsuくんと一緒にSlipknotをコピーしてた頃は「叩け、意地でも叩け」と滅茶苦茶なことを言う鬼畜な先輩でした。
つまりは原点回帰ですね。Natsu君に頑張ってもらいました。

Natsu:5曲中2曲はBPM 200越えですからね。そしてスラッシュビートが絶対にあるという(笑)。

Cazqui:ぶっちゃけブラストビート主体のデス/ブラック/グラインドを聴くようなノクブラファンはとても少数だと思うんです。本来の意味でのエクストリームとはその周辺を指しますが、我々はそれらを踏襲した上で”新たな音楽”の形成を目指しています。ところで『銃創』(2015年リリースの会場限定シングル)って作品出したじゃないですか。あのイントロの感じが今のファンに受け入れられるんだったら、ここから先、楽しそうですね。いつか1〜3秒で終わる曲とかやりたいですよね。え?ダメ?100曲入れてもダメ?良いじゃないですかやりましょうよ。

Natsu:今回は、フィジカル的にはこれまでで一番疲れたかもしれないな。そういう意味ではミニアルバムで助かりました。フルアルバムでこのボリュームだったら大変だったと思うから。とはいえライブでは20曲ぐらいやっているので、楽しく録り終えられました。やっぱりメタルが好きですから(笑)。

Cazqui:んじゃ次のアルバムは100曲でよろ(o。q°o)ノ

――前ミニアルバム『OMEGA』のとき、尋さんがブログで、「ただひたすら貪欲に凶悪に、聴いた人間が暴れ狂って、時には哀しく、切なく、涙を流すかもしれません でも最後は笑顔になれる、それを目標に創りました」と書いていたんですけど…

尋:…記憶にございません。

全員:(笑)

Cazqui:『OMEGA』は、とにかくライブを意識した作品だったので、彼はそういう書き方をしていたんでしょうね。NOCTURNAL BLOODLUSTのライブ空間は彼の語った通りです。読者の皆様、是非。

――今回、明確な目標はありましたか?

尋:今まで自分は最強、という部分を貫き通してできた、その+αみたいなものですね。ライブをやる中で、こういうのがほしいと思ったものを話し合って、今までのライブ以上のものを出すために新しい作品を作った感じです。どれだけ成長したかを見せられたらと思っています。

Cazqui:あらゆるものを滅ぼせる作品ですね。矛先はその破滅的欲求そのものにすら向いています。
固定概念や俗説はもちろんですが、憎悪の対象であったり、理不尽な事象であったり、そうやって我々人間を苛む負の感情であったり。
アルバムを最後まで聴いてもらえれば言わんとする事が伝わるかなと思います。
けれど、人間、生きている限り完全に浄化される事はないですよね。特に自分の場合は不安定で、循環していますから。
この作品は繰り返して聴いてもらった方が、きっと実用的です。皆さんの人生のお供になれば嬉しいですね。

Natsu:ついさっき「楽しく録り終えた」って言ったのに、それであらゆるものを滅ぼすという(笑)。でも、実際ブラストビートを叩いているときが一番楽しかったですからね。

Cazqui:いやー破壊的ですねぇ。

◆間違いなくライブがすごく楽しいし、+結構泣けます(Daichi)

――今回のジャケットは、これまでのものとは趣向が違いますね。

Masa: ジャケットは過去作含め基本的に僕がデザイナーさんに依頼しています。これまでのモチーフは巨人やモンスター系が多かったんですけど、みんな従来のデザインにそろそろ慣れてきたかなと思ったので、ちょっと違う方面を提示してみました。

――具体的に何と言って頼むんですか?

Masa:すごく抽象的な感じで伝えますけど、基本的に「世界を滅ぼす最強な感じ」でオーダーします(笑)。あとはこのモチーフを使ってくださいとか、こういう配置で色はこんな感じでとか、細かい事は沢山ありますけど。

Cazqui:今回は今までの「滅ぼすよ?きみ、逃げた方が良いんじゃね?」という脅しテイストから「事後」になりました。そう、既に行動は終わっているんだ。

Masa:破壊的な感じが楽曲に合っていていいなと思います(笑)。

――これまでの緻密な絵とは方向性が違う絵で、未知との遭遇を彷彿とさせますね。

Masa:そうですね。やっぱり僕らの楽曲を聴くときに、未知の遭遇感を感じてもらえるような、そういうところもリンクしているかなと(笑)。ジャケットを一目見ただけで、一体どんな凄い楽曲なんだと思わず身構えてしまうような、そんなイメージですね。

Natsu:見た瞬間、第一印象で「勝てない…!」と思った。

全員:(笑)

Masa:手をファッとかざすだけで地球を滅ぼす感じだよね。

Cazqui:本当に力を持っている者というのは、わざわざ姿形でその強さを誇張しないんですよ。手をかざすだけで済む話なので。

Daichi:フリーザと一緒だよね。形態を変えていくごとに小さくなっていく感じ(笑)。

Cazqui:そうそう。ゲームとかでも第1、第2はでっかいのに、最終形態は人型サイズになりますし。つまり、NOCTURNAL BLOODLUSTはラスボスってことなんですよ。だからとりあえず我々に挑まねば、あなたの人生は詰みゲーです。

――ちなみに、タイトルの「ZēTēS」はギリシャ神話に登場する英雄の名前ですよね(北風の神ボレアスが、アテネからさらってきたエレクテウス王の娘オレイテュイアに生ませた子で、風神の子にふさわしく翼をそなえ、快速で飛ぶことができたと言われる)。これはどなたの案でしょう?

Masa:基本的にタイトルは、ほぼCazqui案です。

Cazqui:こういう用語を知っている人って、いわゆる“こじらせてる人”が多いです。まぁ、こじらせてますね。
だからこそNOCTURNAL BLOODLUSTの過去作や、今作「ZēTēS」を生み出せているので、それを悪いとは一切思ってませんけど。
そんなこじらせた人間が、ノクブラっぽいと思うものの中から、最も相応しく、発展性がありそうなものをメンバーに見てもらって決めています。

――言葉の意味合いも含めて選ぶんでしょうか? それとも響きのみで?

Cazqui:まず、言葉の響きに力がないと他人は興味すら示さないと思いますね。
内容との関連性、そういったこちらの意図をリスナーに汲み取ってもらうというのは、いわば我々が出会った後の話であって。
ラブストーリーは突然に、と言いますが「あの日あの場所で君に会えなかったら僕等はいつまでも見知らぬ二人のまま」って事です。
その出会いのきっかけとして、響きと字面はとても大事に思いますよ。
ガギグゲゴ・ザジズゼゾです。

Daichi:『OMEGA』とか『GRIMOIRE』とかね(笑)。

Cazqui:そう。「ノクフラ」じゃパンチがない。意味合いが良くてもね。「ノクブラ」の方が良いでしょう。意味合いもあるしね。

――ZēTēSは、両翼を持っていますが、過去のジャケットにも翼がよく登場しますね。

Masa:そういえば…。特に意識したわけではなくて、ただ綺麗だなーとは思っていました。
優秀なデザイナーさんにお願いしているんですけど、翼のモチーフをあんなにきれいに描ける人はあまりいないんですよ。だからあれを見れば一発でノクブラのジャケットだとわかるというのもあって。

Cazqui:『THE OMNIGOD』なんて「あらゆる要素を内包した超越的存在」という、あのアルバムの内容を示す造語ですけど、孔雀のような、虹色の羽ですよね。単色の翼ではない。よく考えてくれたなと思います。

――ジャケットに未知との遭遇感を感じつつ、再生した1曲目の「ZēTēS」に、そこはかとないティム・バートンぽさを感じました。

Cazqui:前回のインタビューでも言及した「シネマティックメタルコア」というコンセプトはずっと一貫しているので、それを象徴するような幕開けをご用意しました。1曲目「ZēTēS」は2曲目「Malice against」とセットで作曲しました。Malice againstでも共通の世界観が繰り広げられています。
この感じはNOCTURNAL BLOODLUSTならではのものかと思います。

――曲作りはどんな風に行われるんでしょう?

Masa:うちは基本的には個々が書きたいものを好きなように書いてもらって。あとは例えばCazquiがこうやって書いてきたら、自分は被らないようにこう書こうかなというぐらいで、縛りはないですね。基本的には、「ご自由にどうぞ」です。

Cazqui:EXCEEDはリスナーが欲しているであろうストレートさを意識しつつ、個人的趣向である北欧ハーモニーリフや、レトロJ-POPのテイストをスパイスにして、歪な直球勝負をしています。”NG+”では「サックスを導入したモダンハードコアを生み出す」という、単純にクリエイターとして創作意欲が湧くコンセプトを形にしました。自分はファンに向けて「好きな音楽をやる」と公言していますが、同時に、リリースの段階において必要性を感じる要素を散りばめて提示しているつもりです。ただ受け入れられない趣向を通すだけでは、自分やファンの居場所を守れないというのは分かっているので。
今回は縛りなどありませんでしたが、今までは個人的に縛りを設けてきました。それは2011年の1stEP以降ですね。例えば『GRIMOIRE』の頃の新曲群は、大胆なテンポチェンジをやらないこと、という制約。フロアとの兼ね合いもありますし。今まで常にその縛りの中でどこまでやれるか、というやり方でしたが、少しつづそのタガを外すようになってきて、自分は今作でようやくフルスロットルです。テンポチェンジ・ブレイクダウンの嵐です(笑)テンポだけでなく調も結構変わりますね。

――では、各々の『ZēTēS』の聴きどころを教えてください。

Natsu:SEが終わってからの「MALICE AGAINST」ですね。この曲のサビは楽しみにしていてほしいです。ドラムの聴きどころは、「MALICE AGAINST」と「NG+」です。「MALICE AGAINST」はド頭からBPM240というノクブラ史上過去最速のテンポなんですけど、いきなりスネアカウントでブラストビートに入るという。ダ、ダ、ダ、ダダダダ…っていうね。ずっとやりたかったけど、ちょっと露骨過ぎると思って今までやっていなかったんです。

Cazqui:非常にアンダーグラウンドな手法です。やはりエクストリームを名乗るならまずスネアカウントからのブラストがないとダメです。

Natsu:やっとできました。そんな高速のブラストビートから、全編通してメタルドラミングの凝縮、さらにスラッシュメタルのドラムがあり、デスメタルのドラムがあり、最近のメタルコアのブレイクダウンのドラムがあり、サビでは従来の王道フレーズで大先輩の方々が培ってきたメタルのドラムがありという。ふんだんに叩き尽しの、踏み尽しなので、メタルというところに重点を置いたドラムは、聴き応えがあると思います。「NG+」は『ZēTēS』の中で一番特徴的なグルーヴで、簡単なビートではあるんですけど、叩き手のニュアンスでうねりがすごく変わってくるんです。同じギターのリフのところでも、最初と次に出てくるところで違うビートを叩いていたり。そのうねりを感じてくれたら嬉しいです。

――難易度が高そうです。

Natsu:「NG+」は確かにそうですね。厳密に言うと、テンポチェンジも激しいんですけど、若干の変拍子もあって。この曲は今やっている東名阪のワンマンツアー(NOCTURNAL BLOODLUST presents 東名阪ONE MAN TOUR “VANADIS”)でも披露したんですけど、リハーサルのときに「ごめんちょっと待って」って、2、3回曲が止まっちゃいましたから(笑)。

Daichi:よく僕はインタビュー等で「泣きながらガッツポーズ!」という比喩をよく出すんですけど、今回はいろんなシーンでむさくるしい奴らがガッツポーズしながら号泣してる様がよく見られるアルバムだと思います(笑)。

Cazqui:もちろん女性もガッツポーズしていいんですよ(o。q°o)/

Daichi:そうそう、老若男女ガッツポーズして泣いてくれれば最高(笑)僕が書いた「Deep inside」は、初っ端からBPMが200を超えたスラッシュビートで疾走感があるんですけど、所謂メロコア等に見られるパンキッシュな疾走感なんです。今までのノクブラはそういうものをあまりやってこなくて。なので既存の楽曲はもちろん、「MALICE AGAINST」や「EXCEED」との疾走感とはまた違う新鮮さがあるかなと思います。

Cazqui:今までにないグルーヴだよね。

Daichi:だよね。サビのヴォーカルはお客さんが歌える系なので、間違いなくライブがすごく楽しいし、+結構泣けます(笑)

Cazqui:世間の人の知っているDaichi君のイメージって、いわゆるバラード調が多かったと思うんですけど、昔から彼を知っている自分はどちらかというと「Deep inside」のイメージですね。

Daichi:普段聴いている音楽も含めて、僕自身のルーツはここなんだよなぁと考えたときに作った曲です。オールドスタイルのハードコアバンドとか好きでよく聴いているんですけど、そういう要素すら取り入れて、新時代に超過させていくことを常に考えてます。

◆今までで最もブルータルなんだけどバリエーションを出しているのは、さすが(Masa)

――Masaさんは今回の作品をどう捉えていますか?

Masa:今までで最もブルータルなんだけど、ブルータルに終わらずに上手いことバリエーションを出す。さすがだなこのバンド!と思います。

Daichi:客観的だな(笑)。

Masa:だって、普通はブルータルなだけか、聴かせる系かのどっちかじゃないですか。僕らは全部の曲調が好きなんで、その芯の部分は残したまま、多彩なラウドを展開させているんです。いろんな曲を聴いて側面だけで判断せずに、根っこの部分もわかってもらえたら嬉しいですね。

尋:聴きどころは沢山あるんですけど、僕は「MALICE AGAINST」のAメロが始まってからサビまでのところに自分の培ってきた歴史をぶち込んだ感じがあるんです。デスコア、ハードコア、メタルコア、サビにいけばジャーマンメタル…そのテクニックってやっぱり楽曲が背景にあるからこそできると思うんですよ。そうじゃないと、ただ単一にデスコア、ハードコアという進行でいっちゃう。そこを上手く使い分けた、すごいことをしているということをわかってもらえたらいいかなと。あと今回、各曲が誰でも簡単に口ずさめるようなサビのメロラインになっているということかな。それと、僕は楽曲をスピーカーから流すんじゃなく、イヤホンで聴き込むタイプなんですけど、今回リスナーが聴いて、色んなものを発見できるように、色々隠し要素みたいなものを入れつつ、耳で楽しめる作品にしました。

Cazqui:冒頭の「ZēTēS」でも、個性豊かなお芝居を楽しめます。さぁ、役者さんが何人いるか数えてみましょう。

尋:あれも100回聴いてもわからないぐらいの声が入っていると思うので、何回も聴けるような、飽きのこない作品になったと思います。

――イヤホンで聴くと、毎回発見がありそうです。

尋:こんなところにこんな音があるっていうね。好きな人はどんどん発見すると思うし、初めて聴いた人も「今、何か音があった」って気付くようなものを作ったりして。全曲、聴きどころは満載です。

Cazqui:ギターのリードトーンを、以前より伝わりやすい音色に出来たなと。どの曲もリードを弾く上での心情・テーマが全く違うので、それぞれ毛色は異なりますが。最終的にはバイオリンのようで、尚且つエレキギターにしか弾けないようなソロが弾けたらいいなと思っています。例えば「EXCEED」のギターソロがそうなんですが、ピッキングのキャリキャリした音が鳴らないように、ほぼレガートで弾いていて。音数は多くて速いんですけど、右手を使わず、左手だけで弾いている箇所がすごく多い。つまり、「EXCEED」に関しては美麗なソロを弾く意識です。逆にMalice Ageinstのソロは自分が制作期間中に抱いたあらゆる醜悪な感情の吐露なので、アタック音をけたたましく鳴らしていますし、意図的なスケールアウトもしています。あれは求不得苦の音像化です。

あと、1980年代後半のアナログ機材を用いています。

――あえて使ったんですね。

Cazqui:そうなんです。二つあって、僕の自前のビンテージ機材と、GLAYのHISASHIさんから譲っていただいたビンテージ機材、両方使っていて。自前の方は、今回録った後に壊れてしまいました。このミニアルバムでしかそのギターの音は聴けないです。HISASHIさんの機材はライブのメインリードトーンです。
あと、同じ人間が演奏していますが、6曲目の「the strength I need」のラストを飾るギターソロと、「Malice against」のギターソロは表裏一体なんです。
多面性を感じていただけると。

――なるほど。個人的に、「the strength I need」のギターで涙しました。

Cazqui:ありがとうございます。個人的にちょっと色々ありまして、それが投影されているかなと。
人間は様々な感情を抱く生き物ですが、それは時に美麗であり、時に醜悪なものですよね。
この作品の流れは、とある人生の一部を切り取ったようなものです。
冒頭から最後まで、全部通しで聴いて、これで一つのものとして受け取ってもらえたらいいなと思うんです。
アルバムを聴き進んでいくうちにドス黒い感情が「浄化」されていく。そして掴んだと思えば、また消えていく。その度に得ては、また失って。何度も何度も繰り返す。
それと同様、何度も何度も繰り返し、ミニアルバム『ZēTēS』を末永くご愛聴いただければ幸いです。

◆どこでやるにしても俺たち5人のライブの熱さを体現しなきゃいけない(Natsu)

――今回、初回限定生産盤のDisc2には「Rebellion」と「A Bullet of Skyline」の2曲が再録されています。どちらも1stミニアルバム『Ivy』に入っていた曲ですが、今のタイミングで再録したのはなぜだったんでしょう?

Masa: 初回限定生産盤にいつも何かしら付けたいと思うんですが、大体がMVを撮ったメイキング映像だったりするんですよね。それ以外のものを考えたときに、昔からやりたかった『Ivy』の再録が浮かんだんです。『Ivy』は前の事務所の音源なので、前の事務所の縛りで今のエンジニアとは別のエンジニアさんなんですよ。だから僕らとしては今のエンジニアで自分達のプロデュースで録りたかった。なのでその中から、ライブでもよくやる2曲を選んで再録したんです。本当は全編再録してもいいんですが、当時の良さもやっぱりあると思うので、またの機会があればやるかもですね。

――Daichiさんが加入する以前の作品ですね。

Daichi:そうですね。でもずっとライブでやっている曲なので、別にそんなに違和感はなかったです。

Masa:この機会に聴いてもらえたらなと思います。初期の曲すぎて、多分知らない人もいるんじゃないかなという。

Daichi:そこですね(笑)。

Cazqui:再録した2曲を気に入ってくれとは言わないです。
正直、自分も好きなアーティストが再録した曲を聴いて「これは違う」と思うことはよくあるので。ただ我々としては、こっちなんです。音圧が増したのも、エンジニアが変われば当然であって、時を経たからではないんです。あえて当時と全く同じギター(Caparision Dellinger7 FX oil finish)を使ってレコーディングしました。客観的には成長と受け取られてしまうのかもしれませんが、リスナーに成長を見せる目的のものではありません。我々のビジョンが実現したものだと思ってもらえれば幸いです。もしも気に入ってもらえたら、それは光栄です。

――この2曲も含め、東名阪ツアーでの『ZēTēS』の全曲披露が楽しみです。

Masa: 名阪で「NG+」と「EXCEED」をやって、初見にも関わらず、すごく反応が良くて。さすがCazquiだよな!

Cazqui:(照)

Natsu:作品を出すたびに思うんですけど、今回のミニアルバムに収録されている曲は特に、自分たちの武器になった感覚があるんです。名阪は、初見とは思えないレベルで盛り上がってくれて、たった2曲であそこまで反応がいいと、あとの3曲をやったらどうなっちゃうんだろうという手応えがありました。…でも初日の名古屋はマジで生命の危機を感じましたけど。

――息苦しいほど暑かったそうですね。

Natsu:楽屋の鏡が5曲目くらいで曇ってましたからね。

Masa:床も湿ってたしね。

尋:マイクは湿気でやられて使い捨てになるし。

Natsu:俺10曲目ぐらいで手足の感覚がなかったからな。しびれちゃって。足も自分が踏んでいるんだかいないんだか、わからなくなってきちゃったし。

尋:体に良くないです。

Cazqui:でも、会場が大きければ大きいほど酸素はありますからね。酸素を入れるためだけに、もっと頑張ってキャパを上げていけばいいんじゃないんですかね(笑)。

――なるほど! 5月22日には過去最大キャパのEX THEATER ROPPONGIでツアーファイナルを迎えますね。

尋:酸素がいっぱいです。まあ最大キャパというより、どれだけ新しく出したミニアルバムの曲をライブに反映できるかだと思うんです。「EXCEED」と「NG+」は既にやったんですけど、あとの3曲で初めて聴く人たちをどういう風にのせられるかというのが、不安と言えば不安ですし。全員がミニアルバムをいっぱい聴いているわけではないと思うので、僕ららしいライブをみんなに楽しんでもらえるようなライブ作りを目指そうと思います。

Cazqui:過去最大キャパっていうと仰々しいですけど、別にいつも、会場が小さかろうと大きかろうと、悔いのないようなライブを心がけているので。ただ、酸素が確保されている環境では良い演奏やパフォーマンスを披露出来る可能性が高いし、今回も演出、フリースペースの設置など、お互いにとって満足度の高いライブを行えるかと。さぁ、みんなで、いっぱい酸素を吸い尽くそうよ(o。q°o)/

Daichi: もちろん名阪もそうでしたけど、過去より会場のキャパを上げるということは初めての方にもどんどん来て頂きたいわけで。今回の東京公演も初めての方を含めて沢山の人が遊びに来てくれると思うので、そこでブレないNOCTURNAL BLOODLUSTというものを表現して、今まで培ってきた自分たちのライブをどんどん大きくしていけたらいいなと。とにかくそれを心がけて、最高のライブをお届けしたいと思います。

Masa:『ZēTēS』の全曲をライブでどういうふうにみんなと共有できるかというのも楽しみですし。単純にキャパがデカい分、やれることがいっぱいあるんです。地方では物理的に不可能なことがいっぱいあるけど、そういうのが東京だとできる。ガチの、フル装備のノクブラを観るためにも、ぜひ名阪だけで満足せずEX THEATER ROPPONGIに来てほしいです。

Natsu:ライブに対する姿勢は、昔から一回も変わったことがなくて。お客さんがライブに来るために仕事を休んで、高いチケット代を払って、中には遠くから来てくれて、ホテルに泊まって次の日帰らなきゃいけないという人もいると思う。そういう人たちがそれだけの時間とお金を払って来てくれる。キャパが大きいということは関係ありそうで、俺にとってはないというか。どこでやるにしても俺たち5人のライブの熱さというものを体現しなきゃいけない。それがちゃんと会場にいる一人ひとりに伝わったらいいなと思います。

(文・後藤るつ子)


ARTIST PROFILE

NOCTURNAL BLOODLUST

<プロフィール>

尋(Vo)、Cazqui(7-strings)、Daichi(G)、Masa(B)、Natsu(Dr)の5人からなるロックバンド。過去にドイツの重鎮HEAVEN SHALL BURNや、「激ロックFES」にてイタリアのDESTRAGE、スペインのRISE TO FALLらとも共演。ヴィジュアルシーンにおいても、2ndミニアルバム『OMEGA』でオリコンインディーズチャート1位を獲得するなど快進撃を続け、2014年に3ヶ月連続リリースされたシングルは全てオリコンインディーズチャートTOP10入りを果たした。2015年6月には赤坂BLITZにてワンマンライブ『銃創』を行い、同年10月からはNOCTURNAL BLOODLUST presents 13大都市 ONEMAN TOUR 「THE ORIGIN」開催。2016年3月より東名阪ONE MAN TOUR "VANADIS"を開催中。

■オフィシャルサイト
http://nocturnalbloodlust.com/

【リリース情報】

ZēTēS
2016年4月20日(水)発売
(発売元:IRIS & CRISIS)
エクストリームミュージック界の異端児・NOCTURNAL BLOODLUSTが放つニューミニアルバム。

ZēTēS
初回限定生産盤
(2CD)
NCBL-18
¥2,500+税
amazon.co.jpで買う

【収録曲】

[DISC1]
01.ZeTeS
02.Malice against
03.EXCEED
04.NG+
05.Deep Inside
06.the strength I need

[DISC2]
01.Malice against (Instrumental)
02.Rebellion (Re-Recorded / Remastered )(2016)
03.A Bullet of Skyline (Re-Recorded / Remastered )(2016)

初回プレスのみ2枚組デジパック仕様
※初回盤は生産限定のため、予定数に達し次第、CDのみの通常盤を販売開始予定。

【ライブ情報】

NOCTURNAL BLOODLUST presents 東名阪ONE MAN TOUR "VANADIS" TOUR FINAL
5日22日(日)EX THEATER ROPPONG