YOMI(ナイトメア)vs怜(バロック)対バンツアーを行うナイトメアとバロック。異色の2バンドのヴォーカル対談が実現!
ナイトメアとバロックという、実に豪華な顔ぶれで行われる注目の対バンツアー『NATURAL BORN ERRORS』。インディーズ時代から10年余りの時を経て、彼らはこの夏、再び同じステージを共有することとなる。今回実現した、フロントマンであるYOMIと怜の“初対談”! 語られるヴォーカリストとしての想い、そして徐々に上がるヴォルテージと共に、二人の意外な一面が明らかに!
◆純粋にバンドを始めた時の気持ちをこのツーマンで思い返せるのかなと(怜)
――「ナイトメアvsバロック」、この豪華な顔ぶれのライブツアーが決定したとき、どう思いました?
YOMI:俺は、そもそも他のバンドとのツーマンは考えられなかったんですよね。ツーマンをやるとしたら、っていう企画が出た時から、ナイトメアのメンバーの中では「バロックとやりたい」という意思が固まっていたので。他にも何バンドか候補に出ていたけど「何か違うね」って。
怜:俺らは、去年の赤レンガ、そして1月6日のTOKYO DOME CITY HALLでの復活ライブからずっとワンマンライブをやってきて、俺たちもツーマンをやりたいと思っていたんです。ナイトメアとやってみたいけど、ナイトメアはずっと第一線に居続けているバンドだし、こちらから何もなしにお願いするのは筋違いだろうと思っていて。そんな時、偶然このツーマンの話が出て、これは必然なのかなと。
――運命を感じますね。
怜:そうだね。ナイトメアとバロックは昔、対バンしたことがあって、その時から時間は空いたにせよ、お互い何か惹かれるものがあるのかなと思って。純粋にバンドを始めた時の気持ちをこのツーマンで思い返せるのかなと。
――ワンマンとツーマン、それぞれをライブをする側としてどんなふうに捉えていますか?
YOMI:ワンマンは単純に、自分たちの世界観や、演奏で良いものを見せようと集中できるけど、ツーマンは多少なりとも相手を意識するところがあると思う。負けたくないっていう気持ちもあるし。でも、そういうものがお互いにプラスになると思うんですよね。
――「負けたくない気持ち」というところから、今回のタイトルは「ナイトメア vs バロック」なんですか?
YOMI:「vs」って言っても「ファンを取ってやろう」みたいなのはないですよ。
怜:戦うっていう意味ではないです。一緒にその日やるからっていう意味も込めて。でも、俺達としては心のどこかで、「ずっと第一線で戦っているナイトメアとのツーマンに、バロックから何の手土産もなしに行くわけにいかない」って思っていて。だから、第3現象(※1)の中でどんどん磨いて、一番良い形でツーマンに行こうと思ってます。それがこのツーマンに向かう大前提だなと。ナイトメアにもナイトメアを好きで来てくれるファンにも、真剣に楽しむには真剣な想いが大切だと思うからもちろんバロックを好きで来てくれるみんなにもね。
――お二人ともヴォーカリストですが、バンドの中でのヴォーカルというパートをどう捉えていますか?
YOMI:バンドの中で一番、精神力がいるパートだと思う。もちろん、ライブはみんなで作っていくんだけど、ヴォーカルが先頭に立って作らないといけない空気もあるし。そういう面では大変。
怜:ヴォーカルは一番最初に届くものだからね。もちろんメンバーそれぞれがバンドの看板を背負っているわけだけど、やっぱり一番最初に刺さるのはヴォーカルだと思うから。俺たちがダメだったら伝わるものもひん曲がって伝わっちゃうだろうし、そういう意味では諸刃でもある。
YOMI:削られる、本当に。削られた分返ってくるものも多いけどね。
――怜さんも削られてます?
怜:んー、どうだろ。俺はこれが生き方そのものだと思ってるから、削られたら削られたままでも良いと思ってる。削れたら「ごめん削れた」くらいの感じかな(笑)。
YOMI:(笑)。でも、普通の満たされてる時には出せない、削れた時にしか出せないものってあるよね。
――深いですね。お二人とも、削られつつも楽しいのは、やはりライブですか?
YOMI:どうだろうな。俺はレコーディングよりはライブの方が好きかな。
怜:俺は、歌うことが好きで、メンバーが好きで、好きなやつらと好きなことやってるから、ライブもレコーディングも楽しい。作るまでは苦しいけどね(苦笑)。
YOMI:苦しいよね。弱い自分と戦うのがきついんですよ、すごく。
怜:めっちゃわかる!
――ヴォーカル同士、共感できる共通点がたくさんありますね。
怜:うん。実は二人ともシャイだったりするしね(笑)。
――シャイに見えないところもまた、ヴォーカルたる所以なのかもしれませんが(笑)。
怜:(笑)。もちろん堂々とする時も、泣きべそかくときもありますよ。時には泣きまねとかもあるかもね(笑)。
――(笑)。YOMIさんも泣きまねします?
YOMI:んー、俺すぐに謝るからなー。ライブで歌詞を間違えたら、その日のアンコールで「すいませんでした!」って謝っちゃうし(笑)。
◆ほんとにずっと“すごい人たち”のイメージのままなんですよ。(YOMI)
――ナイトメアとバロックは、2002年に名古屋E.L.L.で対バンしていますよね。この他にも対バンはしましたか?
YOMI:何度かやってるよね。
怜:名古屋、仙台、東京でもやってるね。なんだかんだイベントで絡むことが多くて。バンド結成した時期も近いし、ある意味同期なのかなと。
――同じ頃にバンドを結成して、同じシーンで活躍するヴォーカリストというのはどんな存在なんでしょうか。
YOMI:ぶっちゃけると、俺たちが東京に出始めた時には、怜君たちがもうすごい人気で、勢いがすごくて、自分的にはずっと憧れの存在でしたね。
怜:…意外な…。
YOMI:ほんとほんと! ほんとにずっと“すごい人たち”のイメージのままなんですよ。
怜:俺はどっちがすごいとか、すごくないっていうのはないと思うけど、ナイトメアがずっと第一線に出続けていることは本当にすごいと思う。その一番先頭に立つのはYOMIくんだと思うから。
――YOMIさん、相当褒められてますよ。
YOMI:いやいやー(照)。
怜:褒めちぎったんだけどね(笑)。これは帰りに何かお土産もらえたりしそうだねー(笑)。
YOMI:(笑)。
――では、同じヴォーカリストとして相手の「ここがすごい!」と思う部分はありますか?
怜:俺、しっちゃかめっちゃかに体を動かして、顔もクシャッてして心身共に鳴らして歌うヴォーカリストだから、YOMI君みたいに構えて歌うことに憧れてるんだよね。ナイトメアって、構えて届ける印象なんだよ。ライブを観た時、「こういうとこ、俺も欲しいな」って思った。
――バンドの顔であるヴォーカルのスタイルが、ライブ全体の雰囲気を作りますよね。
怜:そうそう。ライブの雰囲気を作り出すキーって絶対ヴォーカルだと思う。
――YOMIさんはいかがですか?
YOMI:俺たちのバンドって5人が平均なんですよ。本当はヴォーカルがガンッと前に出て、それを他のメンバーが支えているのが良いバンドだと思うんです。でもナイトメアは変に平均的というか、基本的にヴォーカルを立てないという独特なシステムなので(笑)。バロックは怜君がいて、メンバーがいる、その形が羨ましい。
怜:いやいや、俺からしたらナイトメアは、ちゃんとYOMIくんが入口になってるよ。
――ヴォーカリストとしてもバンドとしても、お互い個性がはっきりしているから、対バンには面白いでしょうね。
怜:そうだね。ナイトメアとバロックって、バンドのキャラクターが近いと言えば近いけど、歌い手としては真逆のスタイルかもしれない。俺は結構変化球なのかも。
――意外。直球かと思っていました。
YOMI:俺も直球な気がするなー。人によって感じ方は違うのかな。
怜:俺からするとYOMIくんは直球なんだよね。
――YOMIさんは直球に見せかけて、最後微妙に変化球かと。
怜:ギリッギリで違う、みたいな(笑)。
YOMI:あー(笑)。
――個人的には、バロックは全身で表現する歌い方も含めて、その直球さがバンドの魅力なのかなと思いますが。
怜:それがキーなのかもしれませんね。俺、性格的にひん曲がってるところがあるから、ストレートに届けすぎると、もしかして響いてないんじゃないかと思うけど、そういう風に思ってもらえるのは嬉しいです。でも、あんまり感情むき出しにして歌うとよだれが出る(笑)! 他のバンドとか見てて、何でこんな顔作れるんだろうって思うんだよね。
YOMI:あれ絶対顔作ってるよ! 俺も歌は顔で歌うものだと思う。顔を作っちゃうと歌も作られた感じになっちゃいそうで。
怜:とか言いながら俺、顔がクシャッてならない練習してるんだけどね(笑)。かっこつけちゃおうかな、みたいな(笑)。
YOMI:あはははは!!
怜:リハのときはどうしてるの?
YOMI:リハは押さえて歌ってるから、顔作ってるわけじゃないけど無表情に近いかも。
怜:えらいなぁ。
――怜さんはリハの段階で「クシャッ」ですか?
怜:うん。本気のライブみたいになっちゃうんだよね。リハでも2曲目くらいからエンジンかかっちゃってメンバーに「やめなさいやめなさい」って言われちゃう。あと、俺、ライブで歌詞変えちゃったりするからな。
YOMI:え! それ、事前に考えて、じゃなくて?
怜:曲によってだけど、喋りながら歌うメロディとかはその時の気分で変えたり。気分が男っぽいときは男っぽい口調の歌詞になったりとか。
――間違えたりはしないんですか?
怜:間違えではなくその日のみの歌詞に変えてる感覚だなぁ。
YOMI:(笑)。でも間違えたときって自分が気づいてないときは周りも気づいてないんだよね。
怜:実際、自分が「間違えた!」って思った時は絶対周りも気づいてる。
YOMI:あと俺、トラブルとかで本来喋らなくていいところで喋ることになると今でもテンパるんだよね。あのね、俺が一番気に入らないのは、メンバーが「お前ヴォーカルだからお前が喋るの当たり前だろ?」って姿勢でいることなんだよ! すげー腹だたしい(怒)!!!
怜:…これ、絶対書いてあげて(笑)。
――はい(笑)。
YOMI:色んなバンドがいて、ギターさんがMCを引っ張るところもあるし、ドラムの人がMCをするところもあるのになぜだ!と。あとで「あのMCの内容はなかったわー」みたいなこと言われると「この野郎ー(怒)」ってなりますよ。だから、MCは大事な部分だけで十分だなって最近思ってるんですよね。
◆今度ステージからYOMIくんに電話しようかな。(怜)
――MCに関して色々思うところがありそうですね。
怜:そうだね。俺はメンバーの言いたいことは言っているかな。ヴォーカルの声はメンバーの声だし。…まぁ、油断してると俺すぐメンバーを茶化しますけど。あ、今度ステージからYOMIくんに電話しようかな(笑)。でも絶対電話に出ないんだろうなー。
――YOMIさんは、以前のインタビューで、電話に出ない説が浮上しましたよね。
怜:確かにそんなイメージがある(笑)。
YOMI:でも俺、メンバーからの電話より、怜君の電話の方が出ると思う!
怜:ほんと? あ、そういえば俺ね、携帯の着信音出してないんです。
YOMI:俺も!
怜:仲間! 家で一回も音鳴ったことないよ。
――バイブの状態なんですか?
怜:ううん。バイブにもしてない。
――サイレント!?
怜:うん。俺、目覚ましも使ってないですもん。
――私、二つ目覚ましをかけてるんですけど…なしでどうやって起きてるんですか?
怜:自然に目が覚めますね。遅刻もほぼなくなったし。たまに4時間とか遅刻したりするけど(笑)。
YOMI:でもすごいなー。俺、全然起きられない。起き上がるまでがキツすぎる。
――YOMIさんも携帯はサイレント?
YOMI:俺、バイブです。
怜:…YOMI君がバイブとか言うと下ネタにしか聞こえない。
YOMI:いやいやいや、感じて起きるわけじゃないですよ(笑)。
怜:ほらもー! そういう拾い方する(笑)!
YOMI:今回のツアーで怜君に下ネタを伝授して、MCで言ってもらおうかな。「YOMIくんから教わったんだけど」って俺のせいにしてもらって構わないから。でも怜君が「チ○ポーーーー!!!」(拳振り上げつつ)って言ったらきっと俺、バロックのファンに怒られるわ。
怜:え! それ煽り!? 煽りなの!? じゃあその煽りで会場が「シーン…」てしたら、ステージから電話でYOMIくん呼ぶわ。「すぐ来て!」って。
YOMI:あはははは!!
――…これは、どんなライブになるのか、ものすごく楽しみですね。
怜:「チ○ポ」は何回言うか分かんないけどね。
――うーん、その単語、YOMIさんが言っても平気なのに、怜さんが言うと強烈な違和感が…。
YOMI:いやいや、そこをね、3本やってファイナルに「いやー、怜君大きくなったねー。違う一面が見えてきたねー」みたいな部分が出てきたら、俺は今回のツアーやってよかったなと思うね。
――じゃあファイナルの野音では爽やかな空の下、拳付きで叫んでいただくということで。
怜:男らしさが段々シモに走ってきたなー。
YOMI:でもなー、俺が言うのと怜君が言うの、違うからなー。そこまでエッチに聴こえないかも。『スケベボウイ』(※2)方式で、ちょっと感じ方が違うと思う。
怜:確かに、俺、ステージでシモってなかなか言わないからな。
――だって嫌ですよ。「メイメイらら♪」って歌った後にそんな単語絶叫されたら。
怜:今想像したけど、確かにそれはないね(笑)。
◆怜君の知らなかった一面をもっと知れたらいいなと(YOMI)
――ライブの行方がものすごく気になります。ところで2バンドとも野音は今回が初なんですよね?
YOMI:俺たちは2005年の天下大暴走以来ですね。
怜:俺たちは初です。野外ライブは去年の夏に復活ライブを赤レンガ倉庫でやったんですけど。晴天でめちゃくちゃ暑かった。でも、野外は気持ちいいよね。(音の)跳ね返りもないし。
YOMI:野外はヤバいよねー。
怜:ダメだよ? 「チ○ポ」って言っちゃ。
YOMI:えー(笑)。解放的になっちゃうからなー。
――大丈夫ですか、また何かアレな感じに…。
YOMI:あ、大丈夫! 弟ではないんで! お兄ちゃんなんで!
怜:お兄ちゃんはそこらへんしっかりしてるな(笑)。
――どちらのバンドも雨男はいないんですか?
怜:俺、雨男です。
YOMI:うちは咲人が実は…でも雨の野音もカッコいいと思うけど。
怜:え…できれば降ってほしくないな。やむまで待とうよ。もしくは雨がやむまで俺とYOMI君で漫才しよう。
――漫才…新しいですね(笑)。今回のヴォーカル対談、お二人の意外な一面がわかってツアーへの期待感が倍増しました。
YOMI:このツアーを通じて、怜君の知らなかった一面をもっと知れたらいいなと思います。一緒にいいツアーにしましょう!
<脚注>
※1:6月27日より行われているライブハウスツアー
※2:2002年にリリースされたバロックの1stシングル
(文・後藤るつ子)
ナイトメア
<プロフィール>
YOMI(Vo) 、柩(G)、咲人(G)、Ni~ya(B)、RUKA(Dr)によって2000年に結成。2003年にメジャー・デビュー。2010年に結成10周年を迎え、記念アルバム『GIANIZM』と、『Historical〜The highest NIGHTMARE〜』をリリース。2011年、avexに移籍。2枚のシングルをリリースし、11月23日、移籍後初となるニューアルバム『NIGHTMARE』を発売。2012年、ツアーファイナルとして4度目となる日本武道館公演を行い、6月にライブDVD・CD『NIGHTMARE TOUR 2011-2012 Nightmarish reality TOUR FINAL@NIPPON BUDOKAN』をリリースした。
■オフィシャルサイト
http://www.nightmare-web.com/
バロック
<プロフィール>
怜(Vo)、圭(G)、晃(G)、万作(B)によって2001年に結成。2003年にメジャーデビュー。同年8月、結成から2年3か月という史上最速で初の日本武道館公演を行う。2004年12月解散。2011年7月17日に横浜赤レンガ倉庫野外特設ステージでフリーライブを行い、9月に正式に復活を発表。2012年1月4日に同時発売したシングルが、オリコンチャート週間シングルランキングにてインディーズアーティストによるシングルトップ5内3作同時ランクインという史上初の快挙を成し遂げる。6月20日シングル『ザザ降り雨』、7月18日最新シングル『メロウホロウ』をリリース。11月7日にはバロック現象「第4現象」と銘打ちNHKホールでのライブが決定している。
■オフィシャルサイト
http://www.pigmy.jp/
ライブ情報
ナイトメア vs バロック
NATURAL BORN ERRORS
【ツアースケジュール】
7月31日(火)名古屋クラブダイアモンドホール
8月1日(水)なんばHatch
8月4日(土)日比谷野外音楽堂