
人を笑顔にするNaoの才能全開ソロプロジェクト、MizinkoFacT始動。新たな挑戦で想像の斜め上をいくオンリーワンを目指す
4月26日、突如発表された“MizinkoFacT”始動。現在活動凍結中のAlice Nine.でドラムを務めていたNaoがギター&ヴォーカルに転身し、ソロプロジェクトとしてサポートメンバーを迎えたバンド形態での活動を行う。今夏リリース予定のシングル曲「察して彼女」のMVも公開され、8月3日には目黒ライブステーションにてデビューライブが開催される。それらの情報解禁を前に、MizinkoFacTとして初のメディアインタビューとなるNaoへの取材を実施。近年の動きから今回のプロジェクト始動に至る経緯、楽曲制作の裏側まで――MizinkoFacTの全貌について、たっぷりと語ってもらった。
自分自身をしっかり突き詰めながら成長していく姿を見てもらいたい

VifのNaoさん単独インタビューは、なんと約10年ぶりです!
Nao:おー、すごい! 今21歳(?)だから11歳とか…なかなか早熟ですね(笑)。
バンドが独立し、1年の休止期間を経て完全復活した11th Anniversary Live「Re:birth-飛翔–」の直後でした。そのインタビューが2015年だったので、いつの間にか10年経ったという。
Nao:なるほど、独立のタイミングか。もうそんなに経つんですか。早いっすね。
あの頃、Naoさんは節約のためにおにぎりを現場に持参していると話していて。最近はどうですか?
Nao:あの時は半額おにぎりしか食べてなかった(笑)。もう本当にどうなるかわからなかったから。まぁ、スーパーに寄る時間が、たまたま半額になっているみたいな(笑)。今は安いのも買いますけど、あまり量を食べなくなったので、そういう意味で勝手に節約になっているかもしれないですね(笑)。
そうなんですね。それと、10年前の単独インタビューの際に、海外の土地で森林を育てて、オリジナルドラムを作りたいという壮大な夢を語っていらっしゃいました。
Nao:土地もないんですけど、今って木材がないんですよ。だから、あの時育てておけばよかったかもしれないですね(笑)。ドラムに限らず、ギターとかも材料不足でリアルにないみたいなんですよ。オーダーとか、木材待ちで何年も待ったりするみたいですよ。すごいっすよね。まぁでも、やっぱり作りたいですけどね。オリジナルスティックぐらいは作りたい気もしますけど、自分ちょっと最近ギターヴォーカルっぽいんで(笑)。ギタボぶってるんで(笑)。
(笑)。本題に入る前に、Alice Nine.の活動凍結以降のことにも触れたいと思います。凍結後も表でメンバー同士の絡みは結構ありますが、それは解散でも活休でもなく“凍結”という形をとっているからという部分は大きいのかなと。
Nao:どうなんですかね。僕は結構いろんなところで言っているんですけど、別に凍結したかったわけではないので。ただ、メンバーの意見を聞いて、納得できるところもやっぱりあったし、現状の5人でやれることはやりきったみたいな意見もあって。だから、各々がもっと音楽家として成長しないと、次のステップアップに繋がらないのかなというふうに個人的に解釈しているので、そういう意味でも自分が成長していきたいっていう気持ちを持って、結局自分は音楽が好きなので今、音楽をやっている感じですね。メンバーがやっていることを外から客観的に見られるのも楽しいし、学ぶこともあったり。ドラムももちろんですけど、新たな挑戦をして、音楽というものをもっと学んで、成長していきたいというのが自分の気持ちです。
他のメンバーの活動は気になるものですか?
Nao:気にはなりますね。ただ、自分が新しいことを学んで、経験していくことによって、他のパートの苦労も知ったりして、すごいんだなと改めて尊敬の念が生まれたりします。自分は結構マイペースというか、見栄を張ることもなく、本当に等身大の姿で活動しているつもりで。ドラマーというポジションもあるのかもしれないですけど、そんなに自分を大きく見せる必要もないのかなと思っているんですよね。地に足のついた活動というか、自分自身をしっかり突き詰めながら成長していく姿を、皆に見てもらいたいという感覚です。
昨年5月にHIROTOさんのライブ「HIROTO LIVE 2024 ep.1『Starlight Festival』」で、久々にお二人の共演となりましたが、あの時、一緒にステージに立ってAlice Nine.の曲を演奏した感覚はいかがでしたか?
Nao:単純にHIROTOマンがヴォーカルとして新たな道を頑張っている、自分の表現の幅を広げることに挑戦している感じだったので、応援したいという気持ちでステージに立たせてもらいました。やっぱり演奏のタイム感というか、曲の終わり方とか懐かしい感じがありましたね。「あぁ、この感じ、この感じ」ってHIROTOマンも言っていたので。
そうなんですね。あのライブを前にした昨年4月のHIROTOさんとNaoさんのYouTube配信の中で、Naoさんが話していたことが印象的でメモしていたんですよ。
Nao:え、観てるんですか!? すごいな…!
「将さんがソロでやってくれるのも嬉しいけど、Alice Nine.の上手ギタリストが、オリジナルアルバムを作って歌って活動してくれるのは、なんか嬉しいね。Alice Nine.の上手ギタリストはそういうことができるんだっていうのが勝手に誇りになる」と言っていて。良い関係性だなと思ったんですよね。
Nao:やっぱり嬉しいですよ。こういうこともできる、やれるっていう姿を提示してくれるのは、カッコいいなと思いますね。
今度はNaoさんの番ですね。
Nao:いや、そうなんですよ(笑)! やれるっていうか、やるんですけど(笑)。
ここまでの間に、ドラマーとしてのソロライブも行ってきたわけですが、そのステージを重ねたことで得たものはありますか?
Nao:ドラムソロライブは、基本的には他のアーティストさんの曲を学びつつアレンジしていて。ただ叩くだけじゃなくて、見ていても楽しい、ちょっと躍動するようなノリたくなるような感じを目指して、ドラマーとしての成長を目的にやっている感じですかね。ここ2回はAlice Nine.の曲限定だったんですけど、それを経て自分たちの曲をやってどう進化しているかという新たな挑戦でもあります。
未来でまた5人が合わさった時に、変化が現れるのかもしれないですね。
Nao:そうですね。ただ上手いだけじゃなくて、魅力的な、見ていても楽しいドラムを叩きたいなと思っています。
今からでも何だって挑戦できるし、やれるんだっていうのを提示したい

さて、今回のソロプロジェクト始動について伺っていきたいと思います。まず、このMizinkoFacTという名前の由来から教えてください。
Nao:僕、ミジンコみたいな男ってずっと言ってきているんですよね(笑)。
確かに、よく聞くフレーズです(笑)。
Nao:都度都度(笑)。ドラムは置いておいて、正直、歌とかギターはずっとやってきたわけじゃないし、歌に関してはもう本当にゼロからのスタートみたいなものなんですよね。そういう意味でも、今から新たにゼロからの挑戦みたいな感じで、ミジンコレベルなんですよ(笑)。
このプロジェクトを始動させることは、いつ頃から考え出していたんですか?
Nao:半年ぐらい前なので、結構最近です。何かやりたいなというのはずっと思っていて、明確に生まれたのが去年の9月ぐらいですね。
てっきりもっとじっくり時間をかけて、用意周到に進めてきたのかと思っていました。
Nao:やろうと思ってからは、かなり考えて準備して、計画を立ててはいたんですけど、余裕を持っていたつもりが結構バタバタになっちゃいました。今、虎と二人でやっているTNPというユニットがあるんですけど、一緒に弾き語りもやっていて、その中でカバーもやっているんですね。そこでの選曲として、狩野英孝さんが50TAというアーティスト名で歌っている曲が独特で面白くて好きで、そのカバーをやったら、なんか妙に自分の声にはまっている気がしたんですよ。
まさかの選曲。
Nao:自分の声で真面目な曲を歌っても、なぜか真面目に聴こえないんですよね(笑)。どこかしら面白いみたいな(笑)。面白い声というか、可愛い声というか、なんかカッコよくならないんですよ。で、自分が歌うのはこういう感じなのかなというのが、なんとなくそこでイメージできて。こういう方向で自分が伝えたいことってなんだろう、歌詞も書いたことないしと思った時に、世界観というよりかは、自分が思っていることや考えていること、知っていることを歌詞にして若者に伝えていきたいなと。そういうところから始まりましたね。こういう感じだったら歌えるのかなと思い立ったのが9月でした。
Naoさんが歌う意味、この活動をやる意味を見つけたきっかけがそれだったと。
Nao:それですね。そこから曲を作って、2ヵ月後の11月には、もう「察して彼女」は弾き語りで披露しているんですよ。だから、行動は早いっちゃ早いっすね。
その時点で作っていたのは、弾き語りでのギターと歌のみの状態ですか?
Nao:いや、これが実はもうその時点で、今のアレンジができていました。元々バンド形態でやりたいと思っていたので、バンドアレンジでちゃんと作っていたんですよ。だけど、とりあえず弾き語りで披露したいなと。
ちなみに取材前に、「新人なんで、人生2週目みたいな感じ」と言っていましたよね。
Nao:そうですね。まだまだ新しいことに挑戦しても遅くないのかなと。ていうか、遅くないっていう姿を見せたいのもありますね。今からでも何だって挑戦できるし、やれるんだっていうのを提示したい!
Alice Nine.は皆さん多才ですし、独立以降は基本的に何でも自分たちでやるというスタンスで活動していたじゃないですか。加えて、バンド活動時から沙我さんとNaoさんによる二人のみでの「ALTERNATIVE」公演も行っていましたし、そういう様々なことをやってきたこれまでの経験が今、活きている部分もありますか?
Nao:もうまさにそれでしかないというか。元々の自分は、ドラム以外やるつもりはなかったと思います。やっぱりこのバンドだったからっていうのは大きいと思うんですよね。なんか勝手に自分の中でドラムしかやっちゃいけないみたいな感覚があったんですけど、「ALTERNATIVE」で自分もギターを触るようになったりして、ドラム以外もやっていいんだな、みたいな。うん、やっぱりこのバンドだったからっていうのはありますね。
「ALTERNATIVE」はリズム隊二人だけのステージにもかかわらず、ギターやヴォーカルなど何でもこなしてしまう、斬新な形でしたもんね。
Nao:あの時から比べると、少しは成長しましたね。改めて振り返ると、すごいなぁ。Alice Nine.で言うと、「UNDEAD PARTY」(2017年4月発売のアルバム『IDEAL』収録曲)の途中で、俺がドラムから離れて前に出るみたいなのもあったりして。
パーティーピーポーになるセクションですね(笑)。
Nao:そうそう(笑)。あれは積極的にやりたかったわけではないんですけど(笑)、そういうのをやったことで、ドラムだけじゃなくてもいい、色々やっていいんだなという感覚になりましたね。
ところで、MizinkoFacTのサポートメンバーは、詳細を明かさずに活動するのでしょうか?
Nao:いや、そんなことはないですね。サポートメンバーで半固定みたいな感じなんですけど、世界観を作りたくて仮面にしています。あと、サポートメンバーにイメージを左右されたくないというのもあって。あくまで自分が主体で、自分で見せたいというのが軸なので、たとえサポートメンバーが変わったとしても、イメージを変えたくないなというところで、この形にしていますね。
ちなみに、どのような方々なのでしょう?
Nao:全然ヴィジュアル系の方じゃないんです。ベースはニコニコ動画の弾いてみた界隈のくえんさんというんですけど、YouTuberのタケヤキ翔君がラトゥラトゥというプロジェクト名でアーティスト活動をやっていて、そのサポートを去年一緒にやった子です。元々知り合いで、ちょっと一緒にやってみたいなと思って、彼を引き連れてやったんですけど、なかなか活きのいいプレイをするので選んだ感じ。ギターの人はボカロPですね。最近100万再生とか出していました。「たまたまっすよ」って本人は言っていましたけど。俺なんかより有能な方たちです! ミジンコなんで(笑)。
新たなNaoさんの始まりという観点で考えると、確かにサポートメンバーはヴィジュアル系界隈ではない方々のほうがいい感じはしますね。
Nao:逆にV系界隈の皆が知っている人だったりすると、仮面をして、顔が見えないのは嫌だと思うじゃないですか。サポートの何々さん目当てでライブに行きたいのに、顔が見えないから…みたいな。だから、表立って活動している方に仮面を着けてもらうのは、ちょっと微妙だなと思って。あと、新鮮味が欲しいというのもありましたね。
とても良い形な気がします。皆さんが知っているような方だと、どうしてもその方のカラーも出ますし、それによってNaoさんのソロプロジェクト感が若干薄れる可能性もあるんじゃないかなと。
Nao:そうそう。あくまで俺主体で、「俺が俺が俺が!」っていう感じでやりたいので。で、ドラムはSNSでAlice Nine.の曲を叩いていた子がいて、それがすごく良かったんですよ。普通に聴いているだけではここまでコピーできないというところまで、ちゃんと理解して叩いてくれていて、この人は有能だなと。この人に叩いてもらいたいと思いました。