ガラ、テツ(メリー) × 眞呼、aie(deadman)

進み続けているメリーを物凄くリスペクトしている

眞呼

眞呼さんやaieさんはメリーのメンバーの関係性をどう見ていますか?

aie:メリーはずっとノンストップでいるじゃないですか。健君(健一、9月19日の日比谷野外大音楽堂をもって脱退)はいなくなっちゃったけど、4人はずっと一緒にいて。僕は眞呼さんとも長いけど、間に休憩があったりするから、進み続けているメリーを物凄くリスペクトしています。25年ぐらいこの仕事をしながら、ずっと最初から一緒にいる仲間っていう存在はそんなにいないんですよ。僕からするとメリーも不思議な距離感だなぁと。たまにガラ君、テツさん、僕とで飲んだりするんですけど、家族を大事にする会に呼ばれた感じがするというか。

それはどういうことですか?

aie:ガラくんによる、「テツさんがちょっと働きすぎて疲れすぎてるから、今日はタガを外そうぜ」っていう会(笑)。そういうことができるって、いいなと思いますね。長く一緒にいると、プライベートと完璧に分けちゃう人も多いじゃないですか。deadmanもそうだけど、あまりそこにコントラストが効いてないというか。オンとオフが一繋がりにいる、それに近い感じがあるなと思いますね。

メリーのお二人に伺いますが、ずっと同じメンバーで続けていくことの大変さや、続けていくために大事なこと、そのために変化したことは何ですか?

テツ:5人の時と4人になってから、同じ“メリー”としてやっていますけど、やっぱり全然別のバンドだなと思っていて。メンバー同士の関係性もそうだし、音楽もやっぱり変わりますよね。4人になってから、よく話すようになりました。俺がマネージャーになったっていうのもあるとは思いますけど、誰かに任せるのではなく、4人で話し合って決めるようになりましたね。やっぱりこのバンドが大事ですし、ずっと続けていきたいなと思います。

ガラ:僕は看板の背負い方が変わったというか。今まではメリーのガラとして何かをやらなきゃいけないとか、バンドを引っ張っていかなきゃって、メリーの看板を背負って突っ走ってきたところがあったんですけど、メンバーの脱退とかもあってから、バンドは俺一人でやってるんじゃねぇんだなって気付かされたんですよ。メンバーって尊いなとか、バンドってスゲーなとか、そういうことを感じられるようになった。今までは、あれやるよ、これやるよって押し付けてきて、メンバーもよく付いて来てくれたなと思うんですよ。今は肩の力が抜けて、俺が丸くなったのかもしれないですけど、一緒にやっているっていうことを大切にするようになってから、視野も広がっていったんです。deadmanを観ていたら、今バンドをやっているのがめちゃくちゃ楽しそうなんですよ。そういうのがすごくいいなと思って。deadmanが復活して一緒にリキッドルームに出てもらった時は、俺らはずっと止まらないでやってきたけど、deadmanは活休して復活したバンド、俺らが負けちゃいけないよな、みたいな感じで勝手に何かを背負っていたんです。俺らはずっと動いてきたバンドなんだから、眞呼さんに新しいガラを見せなきゃいけないってすごく意識していて。それがいかにくだらないことだったのかを最近感じました。自分が鋼から作って磨いてきた刀を、もう何本も腰にぶら下げているはずで、今はどの場面でどの刀を抜くかっていうことだけを考えてライブをやっていますね。

ガラさんはdeadmanのことを「今バンドをやっていることが楽しそう」だと言っていましたが、deadmanのお二人は今の活動について、どう考えていますか?

aie:復活のスタート時点では1年だけにしようと決めていて、その1年はテツくんがベースを弾いてくれてやっていたんです。でも、うっかり世界が変なふうになってしまって、完遂できなくなってしまったじゃないですか。復活するテーマが、2006年の活動休止の時のような寂しい感じではなく、ちゃんとハッピーエンドで終わろうぜっていうモードで動いていたんです。そのはずが、世界が活動休止することになって、ハッピーエンドに向かうはずのバンドはどうすればいいのだろうか?ということになって、リテイクを出したり、全国ツアーが出来ないなら新曲作っちゃおうぜとか。ネガティブに落ち込むんじゃなくて、ものすごくポジティブに、ハッピーな方に動いていったんです。それが大人の役割かなと思って。そういう話し合いは、リハーサルのたびに眞呼さんと朝まで飲みに行って。世界とは、宇宙とはって話もして(笑)。

眞呼:そういう脱線もしてね(笑)。

aie:意識の問題とかそういう話をして、お互いのイメージを共有しながら、わりとこのバンドをこうしていこうぜっていう決定権が出しやすくなったというか。お客さんを泣かせることはやめたいし、笑われることをカッコ悪いと思うところからは、もう抜けちゃっているから自信もあるし。活休前とはモードがちょっと変わったかな、というのはありますね。

眞呼:僕にはガラさんが言うような看板とかはない。昔はありましたよ、こうじゃなきゃいけないとか。復活してからは勝負をしない。相手に「負けませんからね」って言われたら、「僕は負けます」と言います。

aie

どうしてそういう心境になったのでしょうか?

眞呼:自分がやることに対して、上下はいらない。優劣はいらないということなんです。自分として、バンドとして納得がいくものができれば。

ガラ:そういうところが眞呼さんと話をしているとわかるから、色々話しちゃっているのかもしれない。負けねぇぞ、なんとかしなきゃ、とか、今どうするべきかっていうことをすごく考えていた時に、「そんなに力を入れずに、これからを楽しんだらいいんじゃないの?」と言ってくれたりもするので。昔だったらライブを観に行ったりもしなかったでしょうけど、今は純粋にdeadmanのアルバムを聴いてカッコいいと思ったし、どんなライブをしているんだろう?って気になって、観に行ってみたりもして。

眞呼:deadmanの場合は昔とはちょっと違ってきていて。aieさんも私も、「こういうのもありだよね」とか「こういうのもやってみたい」っていうのができるようになってきた。以前は、「「この曲ありきのこれだから」とか、勝手に枠みたいなものを作って、その中でしか動けなかったけど、今は「こういうことをやってみませんか」っていう提案に、お互いが「いいね」って言うことができるというか。

それはリミッターを外せた、ということですか?

aie:単純にお互いのスキルが上がったんだと思います。それには時間がかかったけど。

ガラ:そこはすごく違うところなのかなって思う。一度活休なりをして、それぞれの活動があって色々吸収してまた戻ってきている、というのがdeadmanで。メリーはずっと一つ屋根の下でみんなで暮らしていて、たまに会話もなくなって部屋に閉じこもっていたりして、家族団欒みたいなものがなくなってしまったりして。一つ屋根の下に住んでいると、お互いに深く入り込まないというか。だから今、deadmanが羨ましくて仕方がない。

aie:でもね、それが何かはわからないけど、どこかルールというか、線引きはあって。kazu君とは16~17年一緒にやっているけど、俺とkazu君との関係上、これは聞いちゃいけない質問だよなってブレーキをかけることもある。そういうことが無意識にできるぐらいには大人になったかなと思うけど。

ガラ:やっぱりそういうこともあるんですね。最近ライブに行ったり、打ち上げに行ったりしているのって、deadmanといたら何か楽しいことが起きそうな気がするからなんですよ。他のメンバーにもバンドの楽しさを共有させたいなと思って、今回一緒にやりたくて誘ったんです。

aie:それこそテツさんとは1年間ぐらいで、一生分の酒を飲みましたもんね(笑)。

ガラ:そういうことをテツさんは言わないんですよ。「deadmanのライブをしてきて、こうだったよ、ああだったよ」っていうことを。

テツさんにとって、deadmanのサポートベースをしていた時間はどんな時間でしたか?

テツ:最高でした!

aie:だってテツさん、名古屋でリハーサルを終えて、その夜の新幹線の切符を取っているんだけど、毎回乗車変更して次の日に帰っていましたからね。

ガラ:メリーだったらそういうことしないから、テツさんの新たな一面ですよ。

aie:本当にすごく飲んでいましたからね。

テツ:今でもそういうチーム感はありますよね。

眞呼:いや、テツさんみたいなクレイジーな感じではないですよ。

aie:アハハハハハ!

ガラ:そういうことを周りからしか聞かないんですよ。テツさんはクレイジーでサイコパスだっていうことを。なんか今のメリーに足りないものが、すごくdeadmanに溢れているような気がして、一緒に対バンすることで俺らに良い影響があるんじゃないかなって思って。

眞呼:テツさんを前に出すと結構クレイジーになりますよ(笑)。

ガラ:それがテツさんはメリーになると真面目なんだよ。

このツーマンツアー『狂った夏』にdeadmanを誘ったのは、先ほど言っていたように何か楽しいことがあるんじゃないか?という期待感があると。

ガラ:当時一緒にやっていた頃みたいなバチバチ感、ではない感じにしたいなと。お互い活動歴も人間的にも歳を重ねて、また違うものが絶対にあるだろうなと思ったし。それってメリーとdeadmanにしか出せないグルーヴ感だったりすると思うので。

眞呼さんとaieさんは、この『狂った夏』に誘われた時、何を思いましたか?

aie:メリーとは常に一緒にやりたいと思っていましたから。今回たまたまスケジュールがダメで、東京には出られなかったんですけど、この2本にとどまらず、もっといろんな場所に行きたいですよね。今回、事前にこっそりメリーの移動情報をもらっていて、一緒のホテルにしておきました(笑)。

ガラ:箱を押さえてスケジュールが決まって、deadmanとやるとなってから気がついたんですけど、名古屋の日(7月15日)は、おっしゃん(大佑)の命日だったりするんで、これはアイツが呼んだな、と。名古屋が好きだったから、名古屋に好きなバンドを呼んだんだなって。そういう気がするので、入りから発泡酒は置いておいてあげようかなと。

aie:発泡酒ね(笑)。

名古屋公演は特にみなさんにとって特別な日になりそうですね。

aie:何かやろうっていう話もしたじゃないですか。

ガラ:aie君が、蜉蝣はやめようって言ってたの、俺もすごい賛成!

aie:うん。押ちゃんのためなら、そこじゃないから。やっぱりやるならMerry Go Roundじゃねって思うんだけど。

ガラ:いいね。あと俺、deadmanの曲を歌ってみたい。眞呼さんのメロディと歌詞を。

aie:なるほどね。打ち合わせはどうする?

ガラ:本当に不意にdeadmanの最中に眞呼さんが急に捌けたと思ったら、次に俺が出て行ってdeadmanの中で歌ってる、みたいな。俺がdeadmanの中で歌ったらどういう感じになるんだろうとか、逆にメリーの中に眞呼さんが来たらどうなるんだろうとか。そういうこともすごく興味がある。

眞呼:あれ? これ打ち合わせが始まった(笑)?

では締め括りにそれぞれ意気込みを語ってから、打ち合わせに入ってください(笑)。

テツ:先日のdeadmanのツアーファイナルを観に行って、今が一番カッコいいなと思ったんです。そんなカッコいいdeadmanと、今、脂が乗った我々メリーがやる、見逃せないステージになると思います。あと、忘れないように言っておくんですが、眞呼君に2年ぐらい借りたままになっているDVDを、ちゃんと持って行きます(笑)。

眞呼:まだいいですよ、持っていてもらっても(笑)。楽しくできればいいかなって思います。楽しみたいですね。よろしくお願いします。

aie:個人的にもすごくメリーのファンですし、ツーマンの2時間は必ず良いものを観せられるということが確定していますので。一番怖いのは、ホテルが一緒ということで、無事に部屋まで帰れるかどうかってことなんですけど、お酒を飲んで、良いグルーヴが出来ると、第3回、第4回と続いていくんじゃないですかね。だから大阪や名古屋で未来の話ができていればいいなと思います。我々も楽しみにしています。

ガラ:今までやってきた活動に対して、自信があるんですよね。どれだけおふざけをしていたり、ハメを外していても、やる時はやるっていう。確実に刺せるナイフを持っている自信というか。今年はすごくいろんなことを経験させてもらっている中で、またdeadmanとやれるので、この世代は最高だろっていうことを見せたい。ガラの全部を惜しみなく大阪・名古屋で出したいなと思っています。

(文・大窪由香)

ライブ情報

●メリー 2MAN TOUR「狂った夏」

6月23日(日)吉祥寺CLUB SEATA w/ ΛrlequiΩ
7月14日(日)大阪 阿倍野ROCKTOWN w/ deadman
7月15日(月・祝)名古屋 ElectricLadyLand w/ deadman

16:30 / 17:00

前売¥7,000(D別)

6月23日 吉祥寺公演:チケット発売中
7月14日 大阪、15日 名古屋公演:一般発売 6月22日(土)10:00〜

deadman

眞呼(Vo)、aie(G)、kazuya(B)、Toki(Dr)

オフィシャルサイト