◆外しの美学です(悠)
――今回のジャケットの心臓と時計の文字盤というモチーフも意味深ですが。
苑:ジャケットはデザイナーさんの案にちょっとメンバーの意見も入っている感じです。
彩雨:これは実際に手に取ってもらうとわかるんですが、真ん中がくり抜いてあるんですよ。
悠:オレンジが一番大枠で、開くと、赤、ピンクの順になっているんだよね。
Anzi:盤も透明で、すごくおしゃれなんですよ。俺はアイアンメイデンのCDで透明の盤を持っているんですけど、大事にしています。最近はDLで聴けちゃったりするけど、盤って素敵だなと思うんですよね。物としてある特別感というか。
彩雨:曲を聴きながら実際に手に取って感じてもらえたらいいなと思います。これは買って開けないとわからないですからね。
燿:僕はCDを買うのが趣味みたいなところがあって、ものすごい枚数持っているんですけど、これはなかなかコレクター魂をくすぐられました。しかも、CDにDVDまで付いて、なんと1,204円(税別)!
Anzi:面白いジャケットなので、ぜひ手に取っていただけたら嬉しいです。
彩雨:ちなみに、アルバム『AVALON』の初回プレス盤は小林智美氏書き下ろしイラスト外箱付きです。
Anzi:こちらもコレクター魂をくすぐるジャケットになっております。俺も外箱ほしいもん!
燿:小林智美さんはスーパーファミコンの『ロマンシング サ・ガ』シリーズのジャケットとかキャラクターデザインをされていた方なんですよ。
Anzi:その筋の方々にはたまらないデザインです。
悠:ちょっと、その筋ってあなた(笑)。
――そして、今回のソロのアーティスト写真はメンバーごとのカラーがあるんですね。てっきり悠さんは緑だと思っていたのですが…。
彩雨:メンバー発信で作ったら、もしかするとそうなったかもしれないんですけど、今回そういうのも全部、グラフィックを担当している方にお願いしたんです。
悠:僕が緑にするとネタっぽくなっちゃうんですよね。外しの美学です。
――悠さんは口髭デビューをされていますが。
悠:生えてくるようになったんですよ。あんまりやっている人もいないし、顎髭を伸ばした時は賛否両論あって面白かったんで、どうなるのかなと思っていたんですけど。
彩雨:どんな反応だったの?
悠:あんまり反応ない。
全員:(笑)
◆「KEYソロ」っていいですね。「空気を永遠に読まない」みたいで(彩雨)
――c/wの「メインキャストは考える」についてお聞かせください。
彩雨:これは、かなり前に作った曲なんです。2012年の年末だったかな。
悠:2013年の頭にはワンコーラスですがプリプロを作ってましたね。
彩雨:曲調としては自分らしいミドルテンポの曲なんですけど、AメロにもBメロにもサビにも似たような旋律が散りばめられていて、この長い曲の中で徐々にその世界に洗脳していくというのが狙いです。
――レコーディングはいかがでしたか?
悠:彩雨君のミドルテンポって、どの曲よりもカッチリしなきゃいけないと思うんですよ。人的なグルーヴというより機械方面に合わせるグルーヴですね。これは僕にとって結構難しいことで…(笑)。今回は、珍しい使い方をしたシンバルもあれば、僕が「THE 彩雨曲」だと思っている他の2曲とキックのパターンが同じだったり。Anziはメロディの跳ね感とかでそうなんじゃないかって言うんですけど、自然に作るといつもあのパターンなんです。
彩雨:きっと節回しがドラムパターンに影響を与えているんでしょうね。「彩雨節」。
燿:彩雨節はベースラインにも影響を与えていて、「THE 彩雨曲」には、さっき悠が言っていたような、カッチリ感が求められますね。カッチリしつつも、そのままのノリを出す感じなので、グルーヴ感は基本はドラムに合わせて作るんですけど、「THE 彩雨曲」の場合はディレクターから、もっとキーボードに合わせてというアドバイスがあったり。
――彩雨節は多方面に影響を及ぼしていますね。
Anzi:そうですね。僕はあんまりアレンジしづらいなってことはないです。ただ、彩雨の曲は比較的できあがった状態で「みんなでこんな風にやりたい」ってあがってくるんですけど、この曲のギターアプローチに関しては、サビ以外は変えさせてもらいました。元々は、ズドーンと重い歪んだものが入っていたんですけど、「チャラーンっていうのはどう?」ってスタジオでやってみたり。あとは、Bメロのアプローチをザクザク切っていくようなリフものにしたり。この曲にはギターソロがないんですけど、割と遊ばせてもらいました。クランチでアルペジオするセクションがあって、Bメロでちょっとへヴィリフっぽくなって、サビで開けるコードストロークみたいな3パターンで使い分けているので面白いです。
――ギターソロがないというのも新鮮ですね。
Anzi:これは僕が自主的に自粛をしたんです。だって、大概、1パーツだけ作曲者が持ってきた段階で、自動的に「GT(ジーティー)ソロ」(※ギターソロ)って書かれてるんですよ。この曲も最初は「間奏はGTソロじゃない?」ってなってたんですけど、「たまにはKEY(ケーイーワイ)ソロ(※キーボードソロ)でもいいんじゃないか」と言ってみたら、彩雨君が「じゃあやってみようかな」と。
彩雨:「KEYソロ」っていいですね。「空気を永遠に読まない」みたいで。まさに自分のためにあるような言葉だ。
全員:(笑)
――「KEY(キー)ソロ」ではなく、あえての「KEY(ケーイーワイ)ソロ」なんですね(笑)。
Anzi:いいじゃん。推していこうぜ! これ彩雨語になるんじゃない? あげるよ、「KEYソロ」。
彩雨:「空気を永遠に読まない」ソロか。ちなみにこのソロは、割と曲調に合わせていて…
Anzi:早速空気読んでるじゃん!
全員:(笑)
彩雨:空気を読みつつ、フレーズも色んなところに散りばめてあるものを入れたり、エレピなのでちょっとおしゃれにしたりしていますね。
――エレピは、前回のシングルc/w曲「DRACULA」でも使われていましたよね。
彩雨:そうなんです! 「DRACULA」はヴォーカルとキーボードなので自動的にキーボードソロになるんですけど、その時に普段摩天楼では使わないエレピを使おうと思ったんです。それで、2012年に「メインキャストは考える」のデモを作った時から、この曲の出だしはエレピにしようと思っていた流れもあって、ソロもエレピに決めました。
――この2曲を聴いて、9月3日リリースのアルバム『AVALON』への期待が高まります。では最後に、冒頭でもAnziさんがおっしゃっていましたが、2014年初登場ということで、今年の抱負をお願いします。
Anzi:前回のツアーが終わって、苑が「次は劇的なロックをやりたい」と言っていたので、それに向かって曲をたくさん作りました。その集合体が次のアルバムです。その延長にシングル『隣に座る太陽』もあるんですが、これも含めて新しい俺たちの可能性みたいなものを感じてくれるんじゃないかなと思います。2014年、やっぱりやるじゃないか摩天楼オペラと。
悠:俺は、元気にツアーを回るのが目標です。これってすごく難しいことなんですよ。
燿:俺も骨折したしな…。
悠:そうだね(笑)。ツアーに対する準備はしているんですけど、本数回っていると、移動が過酷だったり、疲れが抜けないうちに長距離移動をするので…。でも、今回はファンの方に心配をかけないようにしたいですね。
燿:下半期もガンガン攻めていくのでよろしくお願いします!
(文・後藤るつ子)
摩天楼オペラ
<プロフィール>
苑(Vo)、Anzi(G)、彩雨(Key)、燿(B)、悠(Dr)の5人から成るロックバンド。2007年12月より現メンバーでの活動を開始。インディーズシーンで精力的に活動し、2010年12月22日、ミニアルバム『Abyss』でメジャーデビュー。2011年7月メジャー1stシングル『Helios』を、同年10月、メジャー2ndシングル『落とし穴の底はこんな世界』をリリースした。2012年3月、メジャー1stフルアルバム『Justice』を発売し、3rdシングル『GLORIA』、4thシングル『Innovational Symphonia』を経てフルアルバム『喝采と激情のグロリア』をリリース。この作品を掲げて全29公演のライブツアーを行い、9月には、ファイナルとなったZepp Tokyoの模様を収めた『GLORIA TOUR -GRAND FINALE- LIVE FILM in Zepp Tokyo』を発売。2014年秋には日比谷野外音楽堂ワンマンも決定している。
■オフィシャルサイト
http://matenrou-opera.jp/
『隣に座る太陽』
2014年7月23日発売
(King Records =music=)
摩天楼オペラの2014年1枚目のシングル。疾走感あふれるロックチューンと力強いメッセージが胸を打つ1枚。
【収録曲】
【CD】
01. 隣に座る太陽
02. メインキャストは考える
【DVD】
「隣に座る太陽」 MUSIC VIDEO